感動器官

笑い、涙、鳥肌、私たちの感動を現出させる器官。

2015年02月

【映画】ファイナル・カウントダウン



ファイナル・カウントダウン(1980年、アメリカ)

【監督】
ドン・テイラー
【出演】
カーク・ダグラス
マーティン・シーン
キャサリン・ロス
ジェームズ・ファレンティノ
チャールズ・ダーニング
ロン・オニール
ロイド・カウフマン
スーン=テック・オー
ジェームズ・コールマン
ジョー・ローリー
マーク・トーマス
アルヴィン・イン
ダン・フィッツジェラルド
ピーター・ダグラス
ヴィクター・モヒカ
リチャード・リバティー
ゲイリー・モーガン

感想(2015年1月31日、TV録画にて鑑賞)

1980年、ハワイ沖を航行していた原子力空母ニミッツは、突如奇妙な嵐に巻き込まれる。
しばらくして嵐は収まったものの、地上との無線連絡が途絶え、代わりに古い暗号通信と昔のラジオ番組が受信するなど、異様な状況に置かれてしまう。

レーダーに反応した飛行機を調査すると、それは旧日本軍の零戦であった。
さらに真珠湾へ向かった偵察機が持ち帰った写真には、1940年代の風景とかつての戦艦群が写っていた。
やがて艦長たちは、空母ニミッツが奇妙な嵐によって1941年12月6日、真珠湾攻撃の前日にタイムスリップしたことを知るが…。



80年代のSF映画。けっこう面白かったです。
SFといってもVFXはあまり使用されておらず、タイムスリップのシーンでの奇妙な嵐を合成などで表現してるくらい。

むしろ、実物の原子力空母ニミッツと、トムキャットを始めとする本物の戦闘機が見所。
VFXよりも、本物の迫力を見せてくれる、珍しいタイプのSF映画ですね。
というか、これはミリタリー映画と呼ぶべきかも。

ストーリーは、艦長、航空隊長、民間企業から出向してきた調査員を中心にドラマが展開します。
真珠湾攻撃の前日にタイムスリップしたことで、真珠湾攻撃を阻止して歴史を変えてしまうか、攻撃されると知っていて見捨てるかの判断を迫られます。

そこへ1941年当時の政治家や女性秘書も絡んできて、ロマンスもあったりします。
で、ラストは意外な形で冒頭の描写と繋がるという感じ。

タイムスリップものですが、けして難解ではなく、むしろオチも割とザックリしてるというか…。
それよりはやはりこれはミリタリー映画で、実物の空母や艦載機が惜しみなく出てくる所が印象に残りました。




【映画】世界の果ての通学路



世界の果ての通学路(2012年、フランス)

【監督】
パスカル・プリッソン

感想(2015年1月25日、TV録画にて鑑賞)

ケニアのサムブル族の少年ジャクソンと妹サロメは、野生の象やキリンを避けながらサバンナを駆け抜ける。
彼らが向かっているのは学校。
毎朝彼らは15km離れた学校への道のりを2時間かけて通い続けている。

世界にはジャクソンの他にも大変な道のりを経て学校へ通っている子供たちがいる。
アルゼンチン、アンデス山脈の人里離れた牧場で暮らすカルロスは、雄大なパタゴニア平原を愛馬の背に揺られて通学し、ベルベル人の少女ザヒラはモロッコのアトラス山脈を臨む山奥の村から寄宿学校へと通い、インドで暮らす生まれつき足が不自由なサミュエルは弟たちの引く車いすで登校している。
彼らは危険も顧みず、学校に向け道なき道を進んでいく。



「通学」をテーマにしたドキュメンタリー作品。
ところが見てみると通学に見えないんですよね(笑)
これはむしろアドベンチャーでありロードムービーであり……。

野生のゾウやキリンを避けながら小走りで2時間とか、馬の背に揺られての通学途中で祠に寄って旅(通学)の安全を祈願したりとか、山道で足を痛めたのでヒッチハイクしてなんとか寄宿舎に着いたとか、ガタガタの車椅子を力任せに押しているうちにタイヤが外れて修理店に寄ったりとか……。

信じられないけどこれ普通の少年少女の通学風景で、しかも「行き」の話なんですよね。
このドキュメントでは学校にたどり着いて授業に臨むところで終わりで、「帰り」の道程までは描かれてないんですよ。
なのに、このアドベンチャーっぷり。まずはその世界の果ての通学風景に素直に驚きました。

次に思ったのは、「どうやって撮ったんだろう?」ということ。
ドキュメンタリーを撮るときには、「事実」と「真実」どちらを見る者に伝えるかで、編集方法がまったく違ってくると思うんですよね。
ほぼ一発撮りでありのままの事実を映しだすのか、真実の姿を訴えるために効果的な編集をしていくのか……。

私が思ったのは、これってたった一日の出来事なんだろうか?ということ。
出発から到着までたった一度の登校を一発撮りで撮ったにしては、ちょっと出来すぎだと思ったんですよね。
例えば、インドの三兄弟の車椅子による通学は、狭い道でトラックが立ち往生しているのが(映画的に)絶妙のタイミングだったり、タイヤが外れてしまうのも映画的にラッキーなアクシデントですよね。

もしかしたら、この作品は何日か子どもたちに寄り添って撮影したものを一日の出来事のように編集しているのかもしれません。
そして、もしかしたらアクシデントのいくつかは最初から予定にあったのかも……なんて疑心を抱いてしまうほど、面白い通学風景でした。



まあ、編集の云々はこのドキュメントの場合あまり重要ではなくて、要は「世界にはこんなに大変な道程を通ってでも勉強をする子供たちがいる」ということを訴えたいわけですよね。
単に「へー大変なんだね」ではなくて、「では、教育が行き届いている先進国の我々はどうか?」っていうことを暗に問いかけてくる作品。

映画の終わりでは、子どもたちが将来の夢をキラキラした目で語ります。
「パイロットになりたい」「医者になりたい」
そのために大変な道程を通うことも苦にしていない。むしろ学べることに感謝している。

その真摯な姿勢には恐縮しました。それに比べて日本は……ハァ、とも思いました。
でも、そんなお説教じみた話で終わるのはなんかイヤですね。
できれば、このある種異常な通学風景は、世界全体の歪みとして捉えたいですね。

立派な将来の夢を持ってとんでもない距離を移動する子供たち。
ですが、彼らが通っているのは小学校や中学校に相当する教育機関で、お世辞にも高等な教育とは言えないんじゃないでしょうか?
物凄い苦労をしてたどり着いた学校での授業内容は、果たしてその苦労に見合うものなのでしょうか?

近所に小学校があるのが当たり前の国で育った私には、山奥から4時間かけて登校する(往復8時間)彼らを見て不平等さを感じました。
せめて、基礎的な学問くらいは集落や家庭の中で学べないのか……。
逆に言えば、親が基礎的な学問を教えられないほどに教育が長らく行き届いてなかったということで、これは是正されるべき国際社会の歪みだと思います。

そしてもう一つ思ったのは、そういった過疎地の子供たちが夢を叶えて世界に羽ばたいていくと、彼らが育った家や集落はやがて朽ちてしまわないか、ということ。
もちろん、個人が個人の夢を叶えるのは素晴らしいことだし、他人がそれを止めることはできませんが、それによって失うものもあるのではないかと。

部族社会が作った古い文化は教育によって廃れていくのかもしれません。
教育にはそういった側面もあるのかもしれないと思いました。




【映画】アース



アース(2007年、ドイツ/イギリス)

【監督】
アラステア・フォザーギル
マーク・リンフィールド
【声の出演】
パトリック・スチュワート(英語版ナレーション)
渡辺謙(日本語版ナレーション)

感想(2015年1月24日、TV録画にて鑑賞)

およそ50億年前、巨大な隕石が地球に衝突し、その衝撃により地軸が23.5度も傾いてしまう。
この傾斜は四季の移ろいや多様な地形を地球にもたらし、その後の生命の誕生と進化に重大な役割を果たすこととなった。

北極を基点に地球縦断の壮大な旅に出た撮影隊は、ホッキョクグマ、象、ザトウクジラの親子に導かれ、さまざまな命の営みに出会う。



BBCのネイチャー・ドキュメンタリー「アース」です。
地球上の様々な生き物を通して、生命豊かな星・地球を描いた作品。

5年の歳月を費やして撮影された自然の姿は、やはり期待通りのものでした。
個人的には、湿原を移動するトナカイの群れが画面いっぱいにひしめいてるのが壮観で、「ロード・オブ・ザ・リング」の戦争シーンを思い出しました(笑)

ただ、後半から眠くなってきてしまって、終盤はウトウトしてましたね。
見ていたというよりも聞いていた状態(笑)
渡辺謙のナレーションのせいでしょうか?

海洋ドキュメンタリーの「オーシャンズ」も見たことあるんですが、あちらは後半から妙に説教臭くなってきてダメでした。
この「アース」は説教臭さはないんですが、その分起伏もなく、最初から最後まで同じテンポなのが、眠くなった原因かもしれません。

まあ、悪くないドキュメンタリー映画だと思います。




【映画】ショート・ターム



ショート・ターム(2013年、アメリカ)

【監督】
デスティン・ダニエル・クレットン
【出演】
ブリー・ラーソン
ジョン・ギャラガー・Jr
ケイトリン・デヴァー
ラミ・マレック
キース・スタンフィールド
ケヴィン・ヘルナンデス
メローラ・ウォルターズ
ステファニー・ベアトリス
リディア・デュ・ヴォー
アレックス・キャロウェイ
フランツ・ターナー
ダイアナ・マリア・リーヴァ

感想(2015年1月22日、フォーラム仙台にて鑑賞)

グレイスは、問題を抱えるティーン・エイジャーを保護するグループホーム<ショートターム12>で働くケアマネージャー。
自閉症の子、暴力を振るう子、様々な問題を抱える子供たちを同僚たちと交代で世話する毎日を送っている。
そんなある日、自傷経験のある少女ジェイデンが、新たにホームにやってくる。

他の入居者と距離を置こうとするジェイデンと親しくなったグレイスは、ある事をきっかけにジェイデンが他人に打ち明けられない悩みを抱えていることを確信する。
しかし、またグレイス自身も、妊娠の発覚や、父親の釈放で、大きな悩みを抱えていたのだった…。



ツイッターで評判が良かった昨年公開の映画。
仙台で上映されるのを待って、先日観てきました。

普段、こういうドラマ作品って観に行かないんですけど、観てみたら評判どおりの良作でした。
めちゃくちゃ感動ってわけではないけど面白かったです。
ラストシーンではグッときました。

主人公はバイタリティー溢れる若い女性グレイス。
ケアマネージャーとして「ショート・ターム12」で働く毎日を送っています。

彼女が世話をしているのは、様々な問題を抱えた少年少女たち。
非行に走ったり、集団行動ができなかったり、時に攻撃的だったりナイーブ過ぎたり…。
そんな、社会にうまく溶け込めない子供たちが短期的に預けられる場所がショート・ターム。

毎日仕事に励むグレイスですが、ケアマネージャーという肩書きのせいでセラピストの治療に口出しができなかったり、敷地の外では入居者へ触れることが禁じられていたり。
少年少女たちのことを思うがゆえに、彼女自身もけっこうなフラストレーションを抱えているんですね。

そんな彼女は、ある日妊娠している事が明らかになります。
悩みを抱えるグレイスはすぐに中絶手術の予約を入れます。
さらに、刑務所に服役していた父親の出所の報せがタイミング悪く届いて…。

仕事のこと、恋のこと、家族のこと、色んな悩みがごく短期間に主人公の身に降りかかってくるんですよ。
これで面白くならないわけはないだろうと思いながら見ていましたが、やはり面白かったですね(笑)
音楽も効果的に使われていましたし、爽やかな後味の映画でした。




【アニメ】艦隊これくしょん -艦これ- 第5話

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艦隊これくしょん -艦これ-
第5話「五航戦の子なんかと一緒にしないで!」

感想

部隊の再編成によって離ればなれになった吹雪・睦月・夕立。
そして吹雪は、新設された第五遊撃部隊へと配属される。
しかし、そこにいたのは一癖ある艦娘ばかりだった…。



突然の再編成で、バラバラになってしまう第三水雷戦隊。
不安も大きいけれど吹雪にとっては憧れの赤城さんと同じ艦隊になるチャンスでもある…。

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しかし、これはヒロインの顔じゃないわ…(笑)

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吹雪と睦月の会話が良かったですね。
3段ベッドでお互いの上/下で安心して寝られたよ、とかなんとか。(私は睦月ちゃんのオフトゥンになりたい)
良い台詞でしたけど、何かのオマージュですかね?二人の絆が感じられる言葉。

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眠れない二人は夜の波止場へ。
すると、誘われなくてお怒りっぽい夕立と川内型姉妹もやってきて、結局、三水戦の解散会に。
うーん、これはちょっと感慨深いものがありましたね…。
(みんな、それぞれの場所で頑張るんやで…)

でもまあこれが今生の別れではなくて、同じ駆逐艦の睦月や夕立とは学科や合同演習で会う機会もあって…。
なんだかOLさんの人事異動みたいな感じ?



吹雪が新たに配属されたのは、新設の第五遊撃部隊。
勇気を出して部屋に入ると、そこには大井・北上コンビが…。
視聴者的にも普通に「うわあ…」と思いました(笑)

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大井・北上はこれまでも毎回のように登場し(特に大井が)個性をアピールしていたので、あえてレギュラー化する意味もちょっと分からないですが…。
あと、むしろ部隊再編で大井と北上が離ればなれになった方が面白そうな気も…。

でも、戦闘ではこのコンビかっこよかったですね。
大井っちが北上さん以外にもデレる日がいつか来ると信じてしばらく見守ろう(我慢しよう)と思います。

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で、別室では正規空母の加賀と瑞鶴が険悪な雰囲気で…。
一航戦の加賀さんは五航戦の瑞鶴のことを認めようとしないんですね。
クールで頑固な加賀さんに、直情型の瑞鶴も食ってかかる。

しかも翔鶴お姉さんまで加賀さんを「随伴艦」などと微妙に煽っていきますからね…(笑)
これは実はけっこう根深い対立なのかもしれない…。

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人間関係ギスギスした部署に飛ばされてしまったOLのように悩む吹雪が、唯一心を許せる艦娘が前回大活躍だった高速戦艦・金剛。
頼れる先輩の登場に吹雪涙目(笑)
「Oh! ぶっきー!」なんか視聴者までもがホッとしてしまう(笑)

でも金剛含めて随分個性的なメンツが揃いましたね。
最初に揉めたのは、「部屋割り」(笑)
大井と北上は必ず同じ部屋でなければならず、加賀と瑞鶴は必ず別の部屋にしなければなりません、これ何かの知能テストですか?(笑)



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そんなこんなで、ストレス過剰で胃炎にでもなっちゃいそうな吹雪。
ちなみに睦月は最上の部隊、夕立は那珂ちゃんと一緒で楽しそう。
(ただ、最上が睦月ちゃんに衝突して沈めてしまわないかとちょっと不安…)(最上、たしか第1話でも中破してたし…)

「ダメだあ~…」と弱気の吹雪ですが、赤城さん成分を補充して回復?
赤城さんから、今回の再編は来たる反抗作戦・FS作戦のためではないかと聞かされ、再編成の意義を知ります。



第五遊撃部隊が次に揉めたのは、「誰が旗艦になるか?」。
普通に金剛じゃん?と思ったら意外とそれぞれの思惑があるようで揉めます(笑)
で、それなら演習で試しに一人ずつ旗艦やってみたらいいんでない?ということに。

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とてもテンポ良くて素晴らしかったですね。
お風呂シーンももはやギャグで、お色気とかないし。
北上を中心に据えた輪形陣(笑)

結局、(吹雪以外の)誰が旗艦やってもうまくいかず、第五遊撃部隊の先行きがいよいよ怪しくなってきます。
そこで出たのが、再びの再編成を司令官に進言しようというもの。

息の合わないメンツで無理してもしょうがない、結成して間もない今なら傷口も小さくて済む、と言う瑞鶴に、吹雪が食い下がります。
いい!吹雪のこの表情、いい!

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そうこうしてると緊急出動が。
敵は小規模なのでこのメンツの敵ではないんですが、吹雪は最後尾から先輩たちに指示、いや意見具申します。

セオリー通り偵察機を出す、勝手に前に出ようとする先輩を制して陣形を意識する。
学科に強い吹雪ならではの基本に忠実な指示に、加賀さんや大井北上も頷き従います。

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そして、必要とあらば、自ら囮になる勇気。
吹雪は、他の艦娘の特性を良く理解した上で、駆逐艦である自分が先頭を切って囮になる選択をしたんですね。
第1話から随分成長しましたね。

そんなわけで、バラバラでまとまりがなかった第五遊撃部隊は、なんとか初戦で勝利を納めました。
今回の功績を讃えられ、なんと吹雪が旗艦に!?
(地味でも一番マトモな子がクラス委員に選ばれてしまうやつか…)

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ギスギスしていた人間関係も吹雪の存在で変わりかけたようですね。
クールな加賀さんのちょっと可愛いところを見つけたことで、瑞鶴との橋渡しができるかもしれない。
でも、ゲームの方があるので、加賀さんがデレることはないんでしょうけど。

まあ普通に面白い回でしたね。
次回は第六駆逐隊が主役!?ハラショー。



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↑甲板胸、確認。
妖精さん「発着艦しやすくて最高のおムネです!」

【アニメ映画】アップルシード アルファ



アップルシード アルファ
(2014年、日本/アメリカ)

【監督】
荒牧伸志
【アニメーション制作】
SOLA DIGITAL ARTS
ルーセント・ピクチャーズ・エンタテインメント
ソニー・ピクチャーズ・ワールドワイド・アクジション
【声の出演】
小松由佳
諏訪部順一
悠木碧
高橋広樹
名塚佳織
東地宏樹
玄田哲章
堀勝之祐

感想(2015年1月17日、MOVIX仙台にて鑑賞)

第5次非核大戦によって、国家や情報網が破壊し尽くされたニューヨーク。
元・SWATのデュナンと、彼女の恋人で全身サイボーグのブリアレオスは、不本意ながらギャングから依頼された仕事をこなして日々の糧を得ていた。

街を出たいと思いながらも叶えられない日々が続く中、自動兵器に襲われている男女を助けたデュナンとブリアレオス。
アイリスとオルソンと名乗るこの二人との出会いが、やがて人類の希望を守るための戦いへと二人を導いていく。



毎度革新的なフルCGアニメーションを見せてくれる「アップルシード」シリーズの最新作。
今までに作られた劇場版第1作「APPLESEED」第2作「エクスマキナ」の続編ではなくて、新たに起動したリブート作品ということでいいようです。

監督は前2作にも携わっているアニメ監督の荒牧伸志。
今作は海外の脚本家が執筆していて、日本公開よりも前に北米で公開されました。
海外向けに作られた作品と言ってしまっていいと思います。

個人的にはそれが功を奏したと思っています。
ジャパニメーションとしてではなく、映画として面白いものになってるんですよね。
まるでハリウッドのSFアクション映画を観ているような感じでした。台詞回しもストーリー展開も。

さらに最大の見所である映像。
今作はアニメっぽさを捨てて完全にリアルCGで生身の主人公や有機的な背景も描いています。

その精緻さといったらなくて、驚いたのは少女の額に浮かぶ一瞬のシワまで再現してみせたこと。
二次元アニメではまずやらないことをあえてやることによって、映像の説得力が半端ないものになっています。
表情の微妙な変化も完璧。デュナンなんて実際こういうハリウッド女優いそう、と思えるほどでした。

私は監督の前作「キャプテンハーロック」も映画館で観て、その完成されたリアリティに唸ったんですけど、今作はまた映像が進化してるのがすごいなと…。
このまま行ったらどうなるんだろう、と期待しかありませんね。



そんなわけで、世間的にはスルーされがちな作品ですが、私はけっこうオススメだと思うんですよ。
アニメファンよりもむしろ洋画好きにこそ見てみてほしい映画です。

ストーリーも始まりの物語ということで、アップルシード知らない人も楽しめる内容になってますし。
ただ、楽園とされる「オリュンポス」について何度も言及されるんですが、そこだけは知らない人にも知ってる人にもネックになり得るのかな…とは思いますが…。

でも、気になるのはそれくらいで、あとはもうアップルシード観てるとは思えないくらい普通の映画してました。
この革新的な映像で普通に面白い映画を作るというの、私は全然アリだと思いました。




劇場版 PSYCHO-PASS サイコパス

劇場版PSYCHO-PASS

劇場版 PSYCHO-PASS サイコパス
(2014年、日本)

【監督】
本広克行(総監督)
塩谷直義
【アニメーション制作】
Production I.G.
【声の出演】
花澤香菜
野島健児
佐倉綾音
伊藤静
櫻井孝宏
沢城みゆき
東地宏樹
山路和弘
日高のり子
神谷浩史
石塚運昇
原島梢
関智一
榊原良子

感想(2015年1月17日、MOVIX仙台にて鑑賞)

人間のあらゆる心理状態や性格傾向を数値化するシビュラシステムが、社会生活のすべてを監視・管理する近未来。
人々は「サイコパス」と呼ばれるその数値をもとに理想的な人生を享受し、「犯罪係数」と呼ばれる数値が規定値を超えた者はたとえ罪を犯していなくても潜在犯として裁かれる。
常守朱は潜在犯を裁くための組織・厚生省公安局刑事課に4年前に配属された監視官だった。

ある時、武装した密入国者の一団を捕らえた公安局は、テロリストの脳内記憶から日本への侵入を手引きしていると思われる男を確認する。
その男とは、常守のかつての部下であり、公安局を脱走し殺人を犯した後行方を眩ませていた元公安局刑事課執行官・狡噛慎也だった。
常守は、狡噛の真意を探るために、日本がシビュラシステムを輸出し束の間の平和を手に入れた、東南アジア連合<SEAUn>の首都シャンバラフロートへと単身で捜査に向かう。



アニメ「PSYCHO-PASS」シリーズの最新作。
2期見終わった時点ではこの劇場版にとても期待していましたが、実際観てみるとそんなでもなかったです…。

劇場版アニメを観る時に、私はムダに期待してしまうんですよ。
「完結編」「最終章」「集大成」「決定版」そんなイメージを勝手に抱いてしまうんです。

公式の宣伝で「最終章」などとは言ってないんですが、先入観で「最終章」だと思い込んでしまいました。
TV1期・2期と続いた作品が、ついに劇場版で壮絶に終わる…!と、勝手に決めつけてしまいました。

実際の今作は、1期で袂を分かった狡噛と常守が再会しました…くらいの中身しかないと思います。
今回のお話、事件の真相がとても単純ですし、シビュラシステムについても毎度のことながら煮え切らない終わり方。(朱ちゃんは見事に啖呵切りましたが…)

「劇場版」というよりは「2時間SP」という感じの内容で、シリーズの結末でもなければ、物語が結末に向かって進んだとも言えない内容でした。
まあ、面白いシーンはいくつもあったんですが、ストーリーそのものは前進も決着もしなかったと思うんですよね。
メッセージ性も乏しかったと思いますね。(これはシリーズ通しての問題かな)



こき下ろしてるみたいになってしまいましたが、すべては私個人の「最終章だと勝手に思い込んだ」ことが原因だと思います。
こういう思い込みってアニメ映画だとけっこう他にもあるんですよね。

その1。「まどマギ新編」を完結編だと思ってて、あの結末にキョトン。(←新編とは言ってるけど完結編とは言ってない)
その2。「劇場版WUG!」を90分~2時間の長編だと思ってて、60分で終わってキョトン。(←劇場版がすべて長編とは限らない)
その3。「ヤマト2199星巡る方舟」は大戦争が起こるのだと思ってて、意外と規模小さくてキョトン。(←イスカンダルからの帰路で起こった話だと知っていたはずなのに…)

上の3本がけしてつまらないというわけではなく、むしろ面白いんですよ。
なんというか、私が「楽しみ方」を分かってなかったというか。
その楽しみ方を踏まえた上で振り返るといずれも面白い内容なんですよね。

ただ、今回の劇場版PSYCHO-PASSに関しては、なんだかあまり肯定できないんですよね。
まどマギ新編のような引き込まれるようなシーンやカットは少なかったし、劇場版WUG!のように物語の動き出す感じもない、星巡る方舟のように今後の展開を示唆してもいない…。

そう、特に「今後の展開」について思い当たる布石が何にもないことが、一番良くないと思うんですよね。
TV版2期は今となってはけっこうつまらなかったと思うんですけど、それでも最終回の、常守の行動によって社会が近い将来大きく変わってしまうかもしれない、という含みがとても良かったと思います。
すべてが解決しない代わりに「今後どうなるのか?」という興味を持たせる終わり方だったんですよね。

この劇場版にはそういう「今後の展開への期待」は正直持てませんでした。
それは、前述のとおり、ストーリーは前進も決着もしなかったから。
むしろ狡噛と再会し、でも結局ああいうラストでは、前進どころか後退してしまったんじゃないでしょうか。

狡噛と常守はどうやったらくっつくのか?
いや、そもそも二人が結ばれることがこの物語のメインテーマなのか?
そうでないならシビュラシステムを通して人間社会の在り方について何らかのメッセージ性を持たせてほしかったですね。

とはいえ、ここで終わってしまったらけっこう微妙なシリーズになってしまいそうなので、頑張って次回作も作ってほしいですね。
次はちゃんと物語を終わらせる覚悟でやっていただきたいです。

【アニメ】艦隊これくしょん -艦これ- 第4話

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艦隊これくしょん -艦これ-
第4話「私たちの出番ネ!Follow me!」

感想

前回の悲劇の結末から尾を引くのかと思いきや、金剛型姉妹のバカさ加減がほどよく中和してくれましたね。



サブタイトルの通り、今回は高速戦艦・金剛と彼女の妹たち比叡・榛名・霧島たちが登場。
吹雪は落ち込む睦月に何もしてやれぬまま、金剛型姉妹の艦隊に編入されます。

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吹雪にとって憧れの存在である戦艦・金剛。
しかし、実際の彼女たちはかなり落ち着きがなく、吹雪は金剛姉妹に振り回されてしまいます。

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↑那珂ちゃんも参戦で泥沼化w

まあ、金剛姉妹に期待してたことはやってくれた感じでしょうか。
場の空気を読まない…というか、強烈な個性で空気を変えてしまうおバカな金剛と、長姉に負けず劣らずおバカな妹たちが面白い。
部屋にこっそり入ってくるカットはキャラ崩壊でしょう。榛名、何が艦娘をよろしくお願いします、だ…(笑)←CMの話

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でも一応、海戦ではかっこよく決めてくれましたね。
もう金剛、素手で砲弾を弾くとかかっこよすぎて笑える…。



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島風も出番が多かったですね。
出撃忘れて行方不明とかなんなのこの海軍…(笑)
連装砲ちゃんも可愛かったし、鳳翔さんの膝枕も登場。

散々探して(というか、騒いで)、結局紅茶タイムになったらあっさり出てくるという…。
花より団子か(笑)

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友人の帰りを待ち続ける睦月の姿があまりに痛々しかったですね。
「あの子はもう帰らないんだ」それだけの事実が受け入れられない。
それを指摘する勇気も吹雪にはなかった…。

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しかし、死線をくぐり抜けて帰ってきた吹雪は、睦月を強く強く抱きしめます。
堰を切ったように泣き出す睦月。
泣くこと=友の死を認めること。そして感情の整理をすること。

もしかしたら、未だ帰らない友よりも後に出かけた吹雪が無事に帰ってきたことで、どれだけの間待ち続けていたか気づいたのかもしれないし、友と吹雪の姿を被らせることで、逆に友の不在を認めるしかなくなったのかもしれません。

とにかく、艦娘は死と隣り合わせの人生を送っているわけで、このアニメではけっこう真摯にその事実を描こうとしているようですね。
一方で、艦これファンのためのサービスも忘れていない。
だから、一つの回でこんなにも陰と陽のギャップがあるのかも。

どんな艦娘出しても暗くなるはずの今回に、底抜けに明るい金剛たちを出したのは結果的に良かったな、と。
鬱アニメにならないで済みましたし、金剛たちの個性も死ななかったですし。




PSYCHO-PASS 2

PSYCHO-PASS サイコパス 2

【監督】
塩谷直義
【シリーズ構成】
冲方丁
【企画監修】
本広克行
虚淵玄
【アニメーション制作】
タツノコプロ
【声の出演】
花澤香菜
佐倉綾音
野島健児
藤原啓治
櫻井孝宏
伊藤静
沢城みゆき
浅野真澄
井上麻里奈
東地宏樹
日高のり子
山路和弘
榊原良子
木村良平
関智一

あらすじ

人の心を計測し数値化する<シビュラシステム>――。人間のあらゆる感情や心理は<サイコパス>と呼ばれる数値で表され、人々はそれを指標とし「理想的な人生」を謳歌していた。しかし、犯罪に関する数値<犯罪係数>が規定値を超えた者はたとえ罪を犯していなくとも<潜在犯>として裁かれる。常守朱は、公安局刑事課監視官として潜在犯を裁く日々を送っていたが、ある日起こった爆破事件の捜査のため執行官を伴い現場へと急行する。それは新たな事件の幕開けだった。

感想

かなり遅くなってしまいましたが、PSYCHO-PASS第2期の感想まとめです。
まとめと言っても作品見終わって、さらに新作劇場版も鑑賞した現時点で思うことなどですね。
いつものように、まとまらなかったらすいませんですね(笑)


■制作体制の変化

第1期から製作陣がけっこう変わってるんですよね、この第2期は。
1期の総監督・本広克行と原案脚本の虚淵玄は、2期では企画監修という立場に。
代わりに「マルドゥック・スクランブル」「天地明察」などで知られる小説家・冲方丁がシリーズ構成、脚本は「革命機ヴァルヴレイヴ」「残響のテロル」などの熊谷純。

アニメーション制作は、「新編集版」の新規カットを担当したタツノコプロが2期ではProduction I.G.に代わり全編を担当しています。
逆に1期から代わってない主要スタッフは、監督・塩谷直義と、音楽・菅野祐悟。

キャストでは、霜月美佳役・佐倉綾音、東金朔夜役・藤原啓治、鹿矛囲桐斗役・木村良平などが新キャラとして新たに加わりました。
1期で槙島聖護役だった櫻井孝宏は、2期ではまったく別人の雛河翔役に。(何の裏もないキャラでした)
狡噛慎也役・関智一も、なんだかんだで出番があり、印象を残しましたね。



そんなわけで、けっこう新しい風が吹き込んできた2期なんですけど、その割にはイメージの変化はあまりなかったかな、と思います。
ストーリーについては1期よりもエグみが強かったんですけどね。
禾生壌宗役・榊原良子とドミネーター役・日高のり子がいる限りPSYCHO-PASSの世界観は崩れないと個人的に思っています。(褒め)

虚淵玄が2期では監修の立場に退いたというのも、けっこう重要だと思うんですよね。
2期制作の段階で劇場版の企画があったわけで、劇場版に注力するために2期を他者に任せたと推測するんですが、そのために2期は全体的なストーリーの流れからは外れた存在になっているとも言えるんですよ。

もちろんこの2期はオフィシャルの本編ですが、PSYCHO-PASSを狡噛×常守×シビュラとして見た時には、2期は1期と劇場版の間に必須となる要素ではないんです。
劇場版のために張られた重要な伏線は2期には無いし、新たな一係のメンバーが登場するくらいの意味しかないですよ。
しかもせっかく登場した新メンバーは、劇場版ではあまり活躍できませんでしたし…。

まあ、でもそれは劇場版まで見た上での感想で、2期終わった時点では霜月の描かれ方が興味深かったり、シビュラシステムの在り方に大きな変化があったりと、2期そのものはけしてつまらなくなかったです。
ただ、その2期の展開が劇場版で活きてなかったのが残念…と、これは劇場版の感想になってしまいましたね(笑)


■掴みづらかった世界観

この作品のひとつネックになっていたのが、シビュラシステムに管理される未来社会の描写だったと思います。
一言で言ってしまえば、ユートピアを装ったディストピア社会。
しかし、ストーリー描写の中でいろいろと引っかかる部分が出てくるんですよね。

まず、シビュラが測定するサイコパスの定義がイマイチハッキリしないですよね。
人の心を数値化してストレス度合いを色相判定し、一定以上濁ってしまった者は潜在犯として裁きの対象になるわけですが、このシステムにどれほどの信憑性があるのかはあまりハッキリと言及されてません。

むしろ1期からの展開では、そのシビュラの正当性が覆される事案ばかり発生するという…(笑)
しかし、社会的にはシビュラが絶対で、外でも中でも安全が保証されてると思い込んでる民衆に少し寒気がします。

で、まあそんな曖昧な定義の犯罪係数なんですが、運用する上ではその数値が絶対なんですよね。
潜在犯ならば即時量刑、しかし万が一免罪体質やドミネーターが認識しない対象だと、裁くことはできず、途端に逮捕権までも失ってしまうような描写なんですよ。

普通に考えて、ドミネーターが無効ならば、通常の装備で逮捕すればいいのですが、このディストピアの警察機構にはドミネーター以外の解決法が用意されていない。
不測の事態を想定して準備することすら考えもつかないような状態。
それだけシビュラシステムにすべて任せ切りで生きているということなんでしょうが、それは時に滑稽に映るほどでしたね。

探せば納得いく説明もあるんでしょうけど、作品を見てるうちに自然と腑に落ちなかったのは少し残念。
集団的サイコパスという新たな概念が登場したのは良かったですが、それが劇場版にまったく活かされてなかったのも残念。
…やっぱり劇場版の感想になってしまいそうですが(笑)

ただ、2期最終話で、朱ちゃんが新たな時代への扉をこじ開けてしまったという展開はとても興奮するものがありましたね。
この2期自体は楽しく見れました。
(問題はむしろ劇場版なんですよ…)



そんなわけで、PSYCHO-PASS2の感想でした。
この流れだと劇場版を酷評してしまいそうで怖い(笑)
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