感動器官

笑い、涙、鳥肌、私たちの感動を現出させる器官。

2014年06月

龍ヶ嬢七々々の埋蔵金

龍ヶ嬢七々々の埋蔵金

【原作】
鳳乃一真
【監督】
亀井幹太
【シリーズ構成】
倉田英之
【キャラクターデザイン】
赤りんご(原案)
川上哲也
【アニメーション制作】
A-1 Pictures
【声の出演】
田辺留依
小野友樹
阿澄佳奈
花澤香菜
興津和幸
鈴木絵理
早志勇紀
能登麻美子
鳥海浩輔
内山夕実
伊藤かな恵
櫻井浩美
細谷佳正
久野美咲

あらすじ

父親に勘当され家を追い出された高校生・八真重護(やま じゅうご)は、学生特区<七重島>へとやってきた。一人暮らしを始める重護が選んだのは、「1K、バス・トイレ別、家具家電その他もろもろがついて月々5千円」という激安物件だった。早速<幸せ荘・202号室>に入居した重護。しかしその部屋には、10年前にこの部屋で殺されたという地縛霊・龍ヶ嬢七々々(りゅうがじょう ななな)が住み着いていた。「その他もろもろ」とは、幽霊付きの部屋という意味だったのだ。七々々を成仏させるためには10年前に彼女を殺した犯人を捜し出さなければならない。そのために必要な不思議なお宝<七々々コレクション>を手に入れるため、重護は七重島第三高等部・冒険部に入部する。

感想

ライトノベルが原作のノイタミナアニメ。
この春、2014年4月から6月にかけて1クール全11話が放送されました。
1話ずつのレビューはしなかったのですが、一応最後まで見てしまったのでまとめ感想を書いておきます。

■ノーアドベンチャー、ノーライフとは?

美少女地縛霊ヒロインと同居することになった主人公が、ヒロインを成仏させるため奇妙な遺跡を探検し不思議な財宝を手に入れるという構成なんですが、冒険よりも駆け引きに主軸が置かれた内容でした。
平凡な主人公だと思っていた八真重護(やま じゅうご)も、第4話くらいで実は怪盗団<祭>の関係者で武術のたしなみがあることが視聴者に明かされるという感じ。
そこからは、名探偵、冒険部部長、祭、主人公と、様々な立場の人間が一つの財宝を狙って騙し合うという構図になり、アドベンチャーというよりはライアーゲームでしたね(笑)


遺跡のトラップも名探偵・壱級天災(いっきゅう てんさい)の活躍でストレートにクリアしてしまうし……。
むしろ宝箱を目の前にしての駆け引きや、財宝ゲットした後の実はニセモノだった本物はもう取られてた云々かんぬんの方がメインでした。


重護が財宝を求める理由は、地縛霊の龍ヶ嬢七々々(りゅうがじょう ななな)を成仏させてやるため。
そのためには10年前に七々々を殺した犯人を見つけ出さなければならないのですが、当時の捜査では犯人には辿りつけず事件は迷宮入りしています。
ならば、島のあちこちにある遺跡に隠された不思議な力を持つ財宝<七々々コレクション>を使って、犯人を見つけ出すことはできないか……。
それが重護の行動理由になってくるわけですが、そもそも七々々コレクションの中に10年前の犯人を見つけ出せるようなアイテムがあるとは限らないわけです。

そして終盤になってくると、七々々にも主人公とは別の思惑があるらしいことが分かってきます。
自分を殺した犯人を見つけ出したいとは言うものの、七々々コレクションの在り処を把握していながら自分ルールを設けて情報を制限したりなど、どこかゲーム感覚なんですね。(無類のゲーマーというのが彼女の個性でもありますが)
むしろ、地縛霊としての現在に満足しており、成仏することを拒んでいるようにも見えます。

その辺の設定が、個人的にはしっくりこなかったですね。
結局、一番にアドベンチャーを見せたかったのか、騙し騙されの駆け引きを描きたかったのか、犯人は憎いけど成仏したくないという微妙な乙女心を描きたかったのか……。
少なくともアドベンチャーに関しては最大のウリにするほどのものではなかったですね。


■女性陣カワイイ

この点だけは評価できますね。
登場する少女たち(一部男子含む)がみんな可愛かったです。

まずメインヒロインの龍ヶ嬢七々々(りゅうがじょう ななな)。
七重島の今日の発展に尽力した女傑で、世界各地の秘宝を根こそぎ手に入れたというトレジャーハンター。
しかし18歳の時に何者かによって殺害され、以来地縛霊として幸せ荘の一室に住み憑くようになります。

オンラインゲームとプリンが大好きで、特にプリンは高級菓子店の特製プリンを好むなど味にうるさいが、その出費はすべて同居人(つまり重護)に頼ってるというニート霊。
地縛霊という特性上、部屋の外に出ることができず、いつもは気丈に振る舞っているが実は同居人の帰りを寂しく待っているらしい……。

個人的には、地縛霊がヒロインというのは多分初めてだったので、なんか「動かないヒロイン」のイメージでした。
性格は明るく好奇心旺盛、冒険心がうずうずしてるような子なのに、行動範囲は部屋の中限定。会話の他はゲームしてるかプリンを食べてるか……。
七々々コレクション探しのヒントを与えたり、使い方をレクチャーするゲームマスターのような存在でしたね。


次に、もう一人のヒロインと言っても過言ではない壱級天災(いっきゅう てんさい)。
自称・名探偵。ちみっ子ながらも、自信家で尊大な口調の女の子。
シャーロック・ホームズをそのまま萌え少女にしたような感じでしょうか。

自分は「正義の名探偵」でなければならないと勝手に重護を悪人にしてしまうちょっと奇天烈な性格。
推理力がずば抜けていて、あっという間に遺跡のトラップを暴いてしまいます。

個人的には、七々々よりも好きなキャラですね。
重護と一緒に行動することも多いせいで、抱き合ったりお姫様抱っこされて恥じらう姿が可愛らしかったです。
全編に渡って活躍していたキャラで、むしろこっちこそメインヒロインでしょ、と言いたくなったのは私だけじゃないはず。


名探偵・天災の付き人、星埜ダルク(ほしの だるく)。
メイド服に身を包む褐色美少女、ではなく女装の少年。男の娘。
重護のような体力も、天災のような推理力もなく、ひたすらサポート要員って感じでした。

うん、でも可愛かった……///
設定上は♂ですが、外見は股間以外は完全に少女として描かれてるので、別に┌(┌^o^)┐ホモォ…じゃないはず!


怪盗団<祭>のリーダー格の女性、不義雪姫(ふぎ ゆきひめ)。
重護の守り役だった女性で、体術に秀でています。(この作品のキャラ、けっこうみんな体術に秀でてますがw)
<祭>として七々々コレクションを狙っていますが、<祭>を抜けた重護のことを今も気にかけている様子。

個人的には、第7話での重護との因縁のやりとりがあったので、そこからキャラが立ってきたな~と思いました。
7話の2人の口論はよく分からないけどアツかったですね(笑)


ちなみに上の4人の主要女性キャラ、前髪の形がみんな同じです(笑)
なんででしょう?キャラデザってそういうもの?


■続きは原作で……!?

まあ、見ていて1クールで終わるな…ってのは予想できる内容でした。
結局、七々々が本当は何を考えているのかが語られてエンディング。
重護のエキセントリックな日常はまだまだつづく…って感じでした。


まあ綺麗にまとまっていましたが、正直満足度は低かったですね…。
悪役とのバトルも痛み分けで終了、ユンちゃんの件も明かされないままでした。
そもそも原作未読だとちょっとついていけない部分もあって…。キャラの名前がいちいち難解だし、「いっかくしゅんじゅう」って何ですか誰ですか状態?

原作の方は当然まだ続きがあるようで、最終話のCパートでも続きを匂わせるシーンはありましたけどね。
逆に、続きがあって、1クールじゃ収まらない話なのに何故1クールでやろうとした…って話ですけども。

まあ、こんな風に1クールずつ製作して、オンエアの反応を見極めてからでないと2期作れないのが最近のアニメ業界の事情なんでしょうけど、ただそれは、とにかく何でも作りゃあいいってことでもなくて…。
公式ツイッターの方では「続きは原作で…!」なんて呟いてたみたいですけど、現時点で2期決まってないならそれでもいいかなあ…なんて(笑)

まあ、可愛い女の子たちが美麗に描かれていれば、なんだかんだで許せてしまうのも最近のアニメの事情…。
そういう意味で、ごちそうさまでした(笑)

【アニメ映画】たまこラブストーリー



たまこラブストーリー(2014年、日本)

【監督】
山田尚子
【声の出演】
洲崎綾
田丸篤志
金子有希
長妻樹里
山下百合恵
日高里菜
藤原啓治
日笠陽子
西村知道
立木文彦
雪野五月
【アニメーション制作】
京都アニメーション

感想(2014年6月1日、MOVIX仙台にて鑑賞)

人気TVアニメ「たまこまーけっと」の続編となる、劇場用アニメ「たまこラブストーリー」。
TVシリーズ最終話から数ヶ月後、高校3年生になり進路と恋に直面した主人公たちの悩みや戸惑いに迫った、けっこうシリアスでキュートな作品です。



商店街の餅屋の一人息子・大路もち蔵は、向かいの餅屋の娘・北白川たまこに幼い頃からずっと恋をしています。
しかし、2人の関係はこれまでずっとただの幼馴染みでした。

高校3年の春、東京の大学へ進学することを決めたもち蔵は、ついにたまこに想いを伝えることを決意します。
下校途中、突然の告白に驚いたたまこは、その場から走り去ってしまいます。
それ以来、たまこはもち蔵を直視できなくなり、2人の関係は以前とは違うものになってしまいますが……。



※以下、ネタバレですので自己責任でお願いします。



けっこう期待値高めで観に行きました。
直前に「たまこまーけっと」を一気に視聴していたこともあるのですが、何よりTV版ではまったくの鈍感少女でもち蔵の気持ちに1ミリも気付いていなかった主人公・たまこが、「ラブストーリー」と題された劇場版でどのような変貌・成長を遂げるのか……。
そこには間違いなく胸が苦しくなるほどの「青春」があるはずで……。
つまりTV版の延長線上にありながらテーマが異なるという所に非常に期待していました。

結果としては、その期待は半分は満たされたのでしょうか。
鈍感変態お餅少女の恋バナは、別離と恋心の二重の告白をされるというレベルの高い告白を受け、その受け止め方が分からない辛さを描き出します。
幼馴染から恋愛関係に発展する事の微妙だけど絶対的な違い……。
恋を知らなかった子が新たな次元へと踏み出す物語になってます。

ただ個人的にはあくまで「そこまで」という感じもしました。
TV版で印象的だったラブソングも小道具として上手く機能していましたが、正直ラストの感動は期待ほどではなかったんですね。
当然そこに着地することは劇場版のチケット買う前から分かってる、という所に着地するんですね。
もちろん、そこ以外に着地点なんてないんですが。

でもその着地点ってあくまで通過点であり、いや見ようによってはスタート地点なんです。
一つの問題は解決したけど、もう一つ、「別離」という難題が残っていて、それを2人がどう乗り越えるのかを示唆する言葉が無かったので、話し自体は中途半端な所で終わったように思えてしまうんですね。

ただ演出が素晴らしいのでドラマチックなエンディングにはなってるんですけども。
素敵なエンディングを見ても2人のその後が気になってしまうのは、私が歳を食って「若さ」を失ったということかな(´・ω・`)

「ハルフウェイ」という実写映画があります。岡田将生と北乃きいが「進学」によって引き裂かれる高校生カップルを演じた映画なんですが。
その映画では、「告白」よりも「別離」の苦しさが主題になっています。
で、きちんとその苦しさと向い合って、グダグダしながらも最後には結論を出すんですよね。

「たまこラブストーリー」では、その点、あくまで「告白」が引き起こす苦しさの描写で終わってるんです。
さあ、たまこ、もち蔵が遠くに行ってしまうことはどうするつもりなんだい?とエンディングで問いかけたくなってしまう……。



一方で、TV版からの続編である強みを活かした描写もありました。
悩むたまこを友人たちが皆で相談にのってくれるシーンや、TV版から微妙な立ち位置にいたみどりちゃんの葛藤や成長も描かれたりと……。
これはオリジナル映画にはできない描写だったんじゃないかと思います。

結局は「キャラ萌え」なんですかね~。
キャラやエピソードがとにかく逐一可愛いんですよね。
デラやチョイちゃんが一瞬しか登場しないことを除けば、TV版からのファンにとっては至福の時間だったでしょうね。

当然、今までその点が高く評価されてきた京都アニメーション。
京アニとしては大満足の内容になってると思います。

でも、やっぱり「進路」というテーマをうまく活かせてなかったのは残念ですね。
たまこは変態お餅少女なので、進路を聞いたら百発百中「実家の餅屋を継ぐ」だと思うんですが、少しくらいその思いが揺れ動いてもいいんですよ、それがドラマを生むんですよ。

もち蔵についても映像作家への道を踏みだそうとしているわけで、もしその夢が叶えば、実家の餅屋は親父さんの代で終わりか、という話になってくる。(ここまで思い至ってしまうのは、私が年取った証拠みたいでイヤなんですがw)
解決してない問題はまだまだあるということですね。

なので、素敵なエンディングではあったんですが、すぐに「その後」が気になってしまうのは、ちょっと残念だったというか。
続編あるのかな~、あるといいな~、でも無くてもいいような、でもあったら見たいような。
鑑賞後、そんなモヤモヤな気分にさせてくれた作品です。




【アニメ映画】南の島のデラちゃん

南の島のデラちゃん(2014年、日本)

【監督】
山田尚子
【声の出演】
山崎たくみ
山岡ゆり
下野紘
【アニメーション制作】
京都アニメーション

感想(2014年6月1日、MOVIX仙台にて鑑賞)

TVアニメとして人気を博した「たまこまーけっと」
その新作劇場用アニメ「たまこラブストーリー」と同時上映された短編アニメ。

TVアニメの最終話から数ヶ月?故郷の南の島に帰ったデラ・モチマッヅィが、王子やチョイちゃんと楽しく餅つきするお話です。
純朴な褐色少女にトリが卑猥なことしやがります。
3分~5分程度の本当に短い話なので、内容書くとネタバレが酷いことになると思うので何も書けないのですが(笑)

「たまこラブストーリー」本編にはデラとチョイちゃんがほとんど登場しないので、彼らのためのオマケという感じなんでしょうね。
でも、オマケの同時上映で顔出しするなら、今度は逆に本編の方でのデラ&チョイのお情け程度のワンカット登場は別に無くてもいいような気がしてくるんですが。
やっぱり本編でも出さないとチョイちゃんファンから苦情がいったりするんでしょうか?(笑)


【映画】自転車泥棒



自転車泥棒(1948年、イタリア)

【監督】
ヴィットリオ・デ・シーカ
【出演】
ランベルト・マジョラーニ
エンツォ・スタヨーラ
リアネーラ・カレル
ジノ・サルタマレンダ

感想(2014年5月31日、TV録画にて鑑賞)

第二次大戦後のイタリアを舞台に、戦後の貧困と一組の親子の姿を描いたモノクロ映画。
ネオレアリズモ(新写実主義)の名作と言われているそうです。
タイトルくらいは聞いたことがあったのですが、これが初の鑑賞となりました。



主人公は、妻子を持つ無職の男アントニオ。
戦後の不況で2年間職に就けなかったアントニオは、ある日職業安定所の紹介で役所のポスター貼りの仕事を得ます。

意気揚々と自転車に乗って仕事へ出かけたアントニオ。
しかし、街頭でポスターを貼っている最中に、自転車を盗まれてしまいます。
自転車がなければ職を失ってしまう……。
新しい自転車を買うお金もないアントニオは盗まれた自転車を自力で探しだそうとしますが……。



この映画の大半は、ただ盗まれた自転車を探すだけの内容なんですが、何故か心に響くのは、戦後の混乱期に災難にあって懸命に生きようとする親子を映し出しているからでしょう。
とてもシンプルな話ですが、だからこそ誰にでも通ずるものがあります。

質に入れてしまっていた自転車を質から出すためにベッドのシーツを質に入れる……。
盗まれた自転車を探してマーケットを物色する……。
バカにしていた占い師にまで頼ってみる……。
怪しい人物を追いかけて教会の中まで乗り込んでいく……。

アントニオも生きるために必死です。

しかし、それでも自転車は一向に見つかりません。
窮したアントニオの頭に浮かんだ良からぬ考え。
「いっそ誰かの自転車を盗んでしまおうか」

仕方のない展開だと思います。自転車がなければ仕事を失い、生きていけないわけですから。
主人公が過ちを犯す姿に充分に同情できるほど、主人公の苦しさ哀しさ、自転車が見つからない絶望感を描いていると思います。

しかし、主人公が他人の自転車を盗んで、それでハッピーエンドになんてなるわけもなく……。
盗みに失敗し、男たちに追いかけられ、危うく警察に突き出される所までいってしまいます。
幼い息子ブルーノを見た自転車の持ち主が、アントニオを憐れに思い、警察沙汰は避けられましたが……。

ラストの、息子の見ている前で人の道を外れる行いをしてしまった父親と、父親が罪を犯す姿を見てしまった幼い息子の後ろ姿がまたなんとも言えない哀愁を漂わせていますね。
そして、うなだれて歩くアントニオの背中を見て、私は一つの理不尽な結果に気づく……。
アントニオの自転車を盗んだ男は逃げおおせて罰を受けないのに、アントニオが自転車を盗むと途端に捕まってしまう……、こんなに理不尽な話もないのかな、と。

かといって、アントニオが盗みに成功してしまったらなんのドラマもないし、盗みに失敗することこそがアントニオの人生にとっては良い結果を生むのかもしれません。
とにかく、最終盤の展開でいろいろ考えさせられる古典映画でした。




【映画】X-MEN:ファースト・ジェネレーション



X-MEN:ファースト・ジェネレーション
(2011年、アメリカ)

【監督】
マシュー・ヴォーン
【出演】
ジェームズ・マカヴォイ
マイケル・ファスベンダー
ローズ・バーン
ケヴィン・ベーコン
ジャニュアリー・ジョーンズ
オリヴァー・プラット
ジェニファー・ローレンス
ニコラス・ホルト
ゾーイ・クラヴィッツ
ルーカス・ティル
ジェイソン・フレミング
ケイレブ・ランドリー・ジョーンズ
エディ・ガテギ
アレックス・ゴンサレス

感想(2014年5月25日、TV録画にて鑑賞)

大人気アメコミ映画X-MENシリーズの5作目で、初期3部作の前日譚にあたる内容。



チャールズ・エグゼビア/プロフェッサーXは強力なテレパシー能力を持つミュータント。
CIAの極秘機関<ディビジョンX>に招かれたチャールズは、そこで様々な能力を持つミュータントたちと出会います。

そんな時に出会ったエリック・レーンシャー/マグニートーはあらゆる金属を磁力によって操る能力を持っていました。
2人は、人類と共存すべきか戦うべきか異なる信念を持ちながらも、次第に友情を深めていきます。

しかし、元ナチスの科学者で、エリックの母親を殺した張本人であるセバスチャン・ショウが、ミュータント集団を率いて恐ろしい計画を実行に移します。
ショウを止めるために出動するチャールズたちでしたが、それはプロフェッサーXとマグニートーの決別の始まりでもありました…。



X-MEN誕生の秘密、プロフェッサーXとマグニートーの過去の因縁、チャールズが車椅子になった理由、ビースト誕生の秘密、ミスティークがマグニートー陣営についた理由などなど…。
今までのX-MENシリーズで語られなかったことがこの前日譚で一気に明かされた感じですね。

映画としてはそんなに面白いとは思えないんですが、それでも「ほう、ほう…」と唸りながら見たのは、そういった設定が色々と明かされたからですかね。
ビーストがどう誕生したかなんて、今まで気にしたこともないんですが、ああいうドラマがあって生まれたとなると、思わず「ほう…♪」なんです(笑)

「映画としてそんなに面白いとは思えない」と書いたのは、X-MENってやっぱりアクション映画のジャンルだと思うんです。
しかしこの作品では主人公チャールズはテレパシー能力の達人、親友でライバルとなるエリックはサイコキネシスの達人ということで、要するに「肉体派」ではないんですよね。

そういう意味で映画として、主人公が肉体を酷使して闘うという描写が少なかったので、迫力に欠ける部分もあるのではないかと…。
肉体派のミュータントも出てきますがそれらは脇役で、主人公2人は顔だけ苦しそうな演技が多かったなあと…。
そもそも初期3部作がウルヴァリンを主人公格にして始まったのも、ヒーローとして分かりやすい面白さがあったからで、当然それを見た私にとってはX-MENのイメージは「ミュータントバトル」なんですよね。

まあ、もちろん今作はそういうスタンスで作られた映画ではなく、チャールズとエリックの友情とその決裂に主軸を置いたドラマなんですが…。
逆に主人公が戦闘タイプでなくても面白いヒーロー映画は作れるという良い手本になってますかね?(笑)




【映画】アメイジング・スパイダーマン2



アメイジング・スパイダーマン2
(2014年、アメリカ)

【監督】
マーク・ウェブ
【出演】
アンドリュー・ガーフィールド
エマ・ストーン
ジェイミー・フォックス
デイン・デハーン
コルム・フィオール
フェリシティ・ジョーンズ
ポール・ジアマッティ
サリー・フィールド
エンベス・デイヴィッツ
キャンベル・スコット
マートン・チョーカシュ
ルイス・キャンセルミ
マックス・チャールズ
B・J・ノヴァク
マイケル・マッシー
クリス・クーパー
デニス・リアリー
スタン・リー(カメオ出演)

感想(2014年5月19日、チネ・ラヴィータにて鑑賞)

前作「アメイジング・スパイダーマン」で新たな物語を始動させたスパイダーマン・シリーズの続編です。



スパイダーマンとしてニューヨークの平和を守るピーター・パーカーは、恋人のグウェンと楽しい日々を送っていましたが、同時に、彼女の亡き父親と交わした「グウェンに近づかない」という約束を果たしていない罪悪感に苦しんでいました。
そんなピーターを見かねたグウェンは……。

一方、オズコープ社で働く電気技師のマックスは、作業中の事故で電気人間となってしまい、その力をコントロールできず街を破壊してしまいます。
電気人間になる前からスパイダーマンを熱狂的に愛していた彼は、やがて心を闇に支配され、エレクトロと名乗りスパイダーマン抹殺を決意します。

そしてその頃、オズコープ社の御曹司で、ピーターの幼馴染であるハリー・オズボーンがニューヨークに戻ってきます。
オズコープの新しいCEOに着任したハリーでしたが、彼の体は不治の病に侵されており、その命は残り少ないものでした。
彼は治療のためにスパイダーマンの血液を求めるのですが……。



アメスパ2作目。
敵(ヴィラン)が3体登場するというのでもっと忙しいのかと思いきや、そんな事はなく。
ヴィラン誕生の経緯もグウェンとのイチャイチャもキチンと描かれてました。

2作目の強みというか、いきなり最序盤から咬ませ犬とのバトルだったりするので……。
時間を要する説明は既に前作で語られてますからね。スパイダーマン誕生の秘密とか、各キャラクターの相関関係とか。
1作目見てないと話についていけないかもしれません。

登場するヴィランは、エレクトロ(マックス)、グリーンゴブリン(ハリー・オズボーン)、そして咬ませ犬程度の描写しかなかったですがライノ(アレクセイ)の3体。
実際には、エレクトロとグリーンゴブリンにスポットが当てられましたかね。
物語を盛り上げたエレクトロでしたが、それだけでは話が進展しないので、グリーンゴブリンは物語を進めるための役割だったのかな、と思いました。

物語を進める、とは、まあ言っちゃうと重要なネタバレになっちゃうんですが、まあアレです。
主人公ピーターへの試練ですね。
アメスパはあと2作、制作することが決まっているので、今作でのキツーイ試練をどう乗り越えていくのか興味あります。

あと、前作で解決してなかった問題、両親の失踪の謎ですが、これも冒頭で両親の視点で描かれましたね。
今回はベンおじさんではなく、実父リチャード・パーカーとの対話みたいな感じになっていて、まだ謎のすべては明らかになっていないとはいえ、ピーターにとっては大きな前進だったのではないかと。

ただ、個人的にはパーカー家が巻き込まれた陰謀云々よりも、ピーターが試練をどう乗り越えるか、今後も暗躍するヴィランたちとどういった結末を迎えるのか、そっちの方が気になってますが……。



意外といったらアレですが、前半のエピソードが後半で活きたりするなど、脚本がちゃんと映画していたのが嬉しかったですね。

例えば、「I need you」という言葉の持つ魔力。
スパイダーマンが街で偶然助けた冴えない男マックスに、何の気なしに言う言葉なんですが、命の恩人であるヒーローに「キミが必要だ」なんて言われたもんだから、その日からマックスは熱狂的なスパイディ信者になり、自分がスパイダーマンの友達だという妄想とか始めちゃいます。
その過剰な執着が、エレクトロになったことで逆転しスパイダーマンを激しく憎むようになる。
憎しみがエレクトロの存在の理由にまでなって、やがて肉体をも凌駕して高次の存在へとたどり着いた所でけっこうゾクゾクしましたね。

で、誰かに認められる事で自己実現を図るマックスの人物像は、単に彼が変わり者だからでは済ませられないものがあって。
ネットやってる我々、ブログやツイッターやフェイスブックをやってる我々もどこか「I need you」を求めている所があると思うんですよ。
それは「ふぁぼ」であったり「いいね」であったりブログへの肯定的なコメントだったりするんですが、それらはやはり少ないよりは多い方が嬉しいし、それらを稼ぐためにネット活動しているようなフシもあるわけで(笑)

なので、自分を必要としてくれた相手に逆に依存してしまうマックスの姿は、人間心理を突いてると思うんですよね。
ある意味では前作のリザードと同じく、エレクトロは人間らしい欲求が生み出した怪物でした。

あと、ステイシー警部の幻影の演出も絶妙でしたね。
序盤でピーターを苦しめた後、忘れた頃に再登場するという。あのタイミングはずるい(笑)
何かのフラグとしか思えませんでした。(その前のシーンで主人公自らフラグを立てているんですが……)



それから全体的に暗いだけになってないのも良かったですね。
スパイダーマンスーツの目が大きくなったのもあるし、ピーターがノリノリだったのもあるけど、ヒップホップなヒーローという感じで軽快でした。

ピーターとグウェンのなんかもう痴話げんかに近いやりとりも微笑ましいし、メイおばさんと洗濯機の取り合いも面白かったですね。
そして、ライノという何も考えてない楽しいヴィランも見れましたし。(ちょっとだけですが)

原作にも詳しい解説サイトを見てみたら、ハリーの秘書に抜擢されたフェリシアは原作では<ブラックキャット>という女怪盗なんだそうですね。
そして、マックスの嫌味な上司アリスター・スマイスも、原作でスパイダーマンに敵対する者の名前を冠しているそうです。

さらにアメスパ・シリーズのスピンオフとして2作品が製作決定していて、そのうちの一つは6体のヴィランが登場するかもしれないとかなんとか……。
今後このシリーズがどれほどの規模になるのか分かりませんが、かなり気になりますね。




【アニメ】ピンポン 第11話(最終話)

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ピンポン THE ANIMATION
第11話「血は鉄の味がする」

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【映画】ミリオンダラー・ベイビー



ミリオンダラー・ベイビー(2004年、アメリカ)

【監督】
クリント・イーストウッド
【出演】
クリント・イーストウッド
ヒラリー・スワンク
モーガン・フリーマン
アンソニー・マッキー
ジェイ・バルチェル
マイク・コルター
ブライアン・F・オバーン
マーゴ・マーティンデイル
ネッド・エイゼンバーグ
ブルース・マクヴィッティ
ルシア・ライカー

感想(2014年5月18日、TV録画にて鑑賞)

クリント・イーストウッド監督主演作品。



小さなボクシングジムを経営する名トレーナーのフランキーの下へ、ある日マギーという31歳のプロ志望の女性が転がり込んできます。
女性ボクサーは取らないと断るフランキーでしたが、彼女の真剣さに心を打たれ、ついにトレーナーを引き受けます。

フランキーの指導のもとでめきめきと腕を上げたマギーは、連勝を重ね、瞬く間にチャンピオンの座を狙うまでに成長。
<モ・クシュラ>という愛称で絶大な人気を得たマギー。しかし一方では家族からの愛に恵まれないままでした。
そして不器用な男フランキーもまた家族への愛を素直に表現できず、そんな2人の間には師弟関係を超えた深い絆が芽生えます。

そしてついに、マギーの人生を決定づける運命のタイトルマッチの日がやってきます……。



良い悪いを言っても仕方ないので(評価高い作品ですので)、好き嫌いを言わせてもらうと、うーん……(´・ω・`)な内容でした。
中盤までは小気味良いサクセスストーリーで、面白く見れたんですが……。
やはり終盤の内容がネックになってるというか……。

終盤は意外にも尊厳死を扱ってるわけですが(監督が意図したかは分からないけど)、そこがちょっと物語的すぎるというか。
要するに美化しすぎというか。イーストウッドの描く「死」があまり好きになれない自分がいるんですよね。

イーストウッドが監督した「スペース・カウボーイ」でも登場人物がラストに自己犠牲の精神を発揮するし、同じく監督主演した「グラン・トリノ」でも老人が命の使い道を知って自ら死んでいきます。
多作の人なので似たような展開になるのは仕方ないのかもしれないですし、そもそも私自身イーストウッド作品を数作しか見ていないわけですが、2000年代に発表された10作品のうち3つで美しい死生観が描かれるというのは、イーストウッド個人の考え方を反映したものだからだと言えるんじゃないでしょうか。

別に尊厳死についてあれこれ言いたいわけじゃないですし、こういう映画ももちろんあっていいと思います。
むしろ、この映画はボクシングでの成功と病院での鬱々としたパートの落差が激しいからこそ、記憶に残るし、他のボクシング映画の中に埋もれないわけですが……。

ただ、個人的にはうーん……(´・ω・`)だったんですよね(笑)
私は尊厳死について何か思想を持ってるわけじゃないんですが、「なんか前にもこんなの見たよな……」とちょっと思ってしまったのが残念だったんですよね。




【映画】シェルブールの雨傘



シェルブールの雨傘(1964年、フランス)

【監督】
ジャック・ドゥミ
【出演】
カトリーヌ・ドヌーヴ
ニーノ・カステルヌオーボ
マルク・ミシェル
アンヌ・ヴェルノン
エレン・ファルナー
ミレーユ・ペレー
アンドレ・ウォルフ

感想(2014年5月17日、TV録画にて鑑賞)

半世紀前、カンヌ映画祭でグランプリに輝いた傑作ミュージカル映画。
近年もリマスターされて上映したりしてるみたいですね。



主演はカトリーヌ・ドヌーブ。シェルブールの町のある傘屋の娘ジュヌヴィエーヴを演じます。
美しい17歳の娘ジュヌヴィエーヴには、自動車整備工の若者・ギィという恋人がいました。
ジュヌヴィエーヴの母は2人の結婚には反対していましたが、2人は幸せな将来を夢見ていました。

そんなある日、ギィに召集令状が届き、2年間の兵役に就くことに。
2人は結婚を誓って別れますが…。



セリフのすべてが歌の一部になっている形態のミュージカル映画で、それが最初はなんだか可笑しかったけど、だんだんと気にならなくなるから不思議です。
ミュージカルと一言で言ってもいろいろありますよね。
ミュージカルの度合い(笑)を表す用語とかないんですかね?

この映画は悲恋を描いたもので、ままならぬ人生を切り取った作品です。
戦争によって引き裂かれた恋人たち、恋人の帰りを待つ女のもとに起きる金銭面の問題と彼女に好意を寄せる別の男の存在、恋人との遠すぎる距離が生む不信や戸惑い…。
うーん、ままならないですね…( ;´Д`)

そして、悲しみの中で諦めを受け入れ、選択できる現実を選択するという…。
なんか難しい文章になってるかもですがネタバレ避けようとした結果です。
内容はいたってシンプルな悲恋物語。

ただ、悲恋とは言いつつ、2人ともそれぞれに幸福な家庭を築くわけで、だからこそラストでの再会があっさりとして美しいやりとりになるわけで…。
付き合っていた最中は「これが最後で最高の恋」「この人と幸せな家庭を築くほかに未来なんて考えられない」と信じて疑わなかったわけですが、実際に辿った道はまったく違う。
ある意味では「恋」や「若さ」というものの滑稽さ・愚かさ(ただしそれは罪ではありません)も含ませて描いた作品なのかもしれません。




【映画】荒野の一つ星



荒野の一つ星(1967年、イタリア)

【監督】
カルヴィン・J・パジェット
【出演】
ジュリアーノ・ジェンマ
テレサ・ジンペラ
ジャーマン・コボス
セルジュ・マルカン
ジア・サンドリ

感想(2014年5月11日、TV録画にて鑑賞)

イタリア発の西部劇。
マカロニ・ウェスタンってやつですかね?



主人公ゲイリーは、グリーンフィールド市に新たに配属された保安官。
その町は市長が牛耳っていましたが、表向きは平和な場所でした。
しかし、市長の息のかかった者を差し置いて保安官になったゲイリーは、市長とその手下から反感を買ってしまいます。

初仕事の馬車の護衛を成功させたゲイリーでしたが、市長たちの罠にハマり、殺人犯として牢に囚われてしまいます。
市長たちが裏で行っている悪事を暴くためゲイリーは脱獄し、証人となる男を探して荒野を駆けるのですが…。



まあ、シンプルな演出でしたが面白かったですね。
昔の映画って、脚本とかテーマ性以前に、パワーがありますよね。
この作品もそんなパワーで押し切った(と言ったら失礼か)作品です。

主演はジュリアーノ・ジェンマ。
マカロニ・ウェスタンのトップスターなんだそうです。

市長たちの悪事というのが、農場の牛を騙し取るというものでした。
どうでもいいことですが他に語れることもないのでちょっと解説…というかネタバレ。

農場の牛には、どこの農場の牛なのか見分けるための焼印が付けられているんですが、その焼印を偽装して自分たちの物にしてしまうのが市長たちの手口。
焼印は農場ごとに当然違うんですが、すべての焼印の形を含む焼印を悪党たちは開発。
既に押されている焼印に別の形を追加で押すことで、自分たちの焼印にしてしまうというセコいけどずる賢い手でした。
(例えば、「日」の刻印には「月」を付け足して、「月」の刻印には「日」を付け足して、私の刻印は「明」だと主張すれば両方自分のものに…)

悪知恵って、ずいぶんと働くもんですよね…( ;´Д`)




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