感動器官

笑い、涙、鳥肌、私たちの感動を現出させる器官。

2013年03月

【映画】シャーロック・ホームズ

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シャーロック・ホームズ (2009年、アメリカ)

感想 (2012年3月24日、TV録画にて鑑賞)

アーサー・コナン・ドイルが生み出したあの名探偵シャーロック・ホームズと助手のワトスンが、難事件に挑むアクション・サスペンスです。

監督はガイ・リッチー。
主演は「アイアンマン」のロバート・ダウニー・Jr.。知的というよりワイルドな名探偵を演じます。
ワトスン役にはジュード・ロウ。こちらも医者のわりにちょいワルな感じ(笑)
ファム・ファタール(主人公を惑わす悪女)のアドラー役にはレイチェル・マクアダムス。


シャーロック・ホームズをよく知らない僕が見ても「あぁこれは、かなり派手に脚色してるな」って分かるくらい羽目をはずしていますね(笑)
ミステリーというよりは痛快アクション映画。
でも、それがダウニー・Jr.の風貌と妙に合っていて、僕は自然と受け入れられました。
良い意味で原作をぶっ壊した作品。でも、原作好きな人の目にはどう映るかわからないですが。


謎解きについてはよく覚えていないですが、殺人犯として絞首刑になったブラックウッド卿が、なんと蘇って暗躍するという、なかなかに興味の湧く展開。
まあ、何かの薬品で仮死状態にあったんだろう、って素人にもだいたいの予想はつくんですが、そのブラックウッド卿の死亡を確認したのが、ホームズの友人であるワトスン博士だという所が、なかなか上手くできていると思いました。

そして、謎解きの合間を繋ぐアクションの数々……。
いやむしろアクションの合間を謎解きで繋いでいるのかも。

とにかく、ミステリーものにしては珍しく、何も考えないで楽しめる映画でした。

【ドラマ】「純と愛」「アテルイ伝」に震災後の世界を思う。

TVドラマあまり見ないんですが……。というか、実はシリーズものが苦手で……。
毎週見逃せなくなる状態に追い込まれるのが怖くてですね(笑)
その点、映画は基本的に2時間で終わるので見易いんですよ。
だからハリポタシリーズとかTVアニメとかは、けっこう勇気出して見てるんです(笑)

当然、朝ドラなんて見るわけもなく……。
ただ、土曜に実家にいると親が見てたりするのでなんとなく雰囲気はつかめるぐらいには分かるんですけどね。

純と愛(最終回)

最終回ということで、見てみました。
実は先週あたりから、母が一日2回見る所を「今日はもういい、見るのツラい」と言ったりしてまして……。
けっこう鬱展開だったみたいですね。
いとし君が眠り続けて純がけなげに介護する姿が、母にとっては見ていてツラかったらしいです。

「でも、最終回には解決して大団円になるんじゃないの?」
「最後の盛り上がりに備えてサゲまくってるだけでしょ?」
ってフォローしても、「う~ん、どうだろうねえ……」ってな感じで。

で、今日の最終回。
始まる前に母から「ちょっと納得いかない」ってハッキリ言われた状態で見ました。
(あ、僕は昼の回で見ました。朝の回は無理w)


うーん、起きそうで、起きなかったなあ……(´・ω・`)
これはたしかに明るく楽しいTV番組が好きな母には受け入れられないだろうなあ。
純といとしのその後については、視聴者の皆さんがお好きな様に想像してくださいって感じ。

でも、まあ、最終回くらいしかまともに見てない僕が言えることではないけど、ああいう終わり方もアリっちゃアリなんじゃないでしょうか?
キレイ事やご都合主義的に終わらせたくない気持ちはなんとなく分かります。そういう朝ドラが多すぎる。
でも、それが朝ドラの伝統でもあり、視聴者はそれを期待していたわけで。


なんつーか、作品の感想を「楽しかった」か「悲しかった」かだけで見るのではなく、もっと別の視点から見れば、あれは立派に最終回だったんじゃないかな?
宮沢賢治ばりの独唱を見せた純の決意が、あのヒロインの本質だと思うんですよね。(←何様w)
あの決意というか覚悟は、いとし君の病気がなければたどり着けなかっただろうし、あの覚悟にたどり着いた直後にいとし君がケロッと回復したら、さっきの決意はなんだったの?ってなるし。

「世の中そんなにうまくいかない」っていう真理と、「それでも人間は前を向いて生きていくしかない」っていう信念が、うまく融合した最終回ではなかったかと。
ほとんどの朝ドラは「世の中そんなにうまくいかない」っていうのを無視する展開ですからね。


それからこういう現実路線の脚本って、3.11以降の世情とか作家さんの想いだとかが多少なりとも含まれてるような気がするんですが。
平たく言えば、あの震災で大きなものを失った人たちがたくさんいて、それを全国民が目にして耳にして、すべての人生がハッピーエンドではないんだ、逃れられない現実というものがあるんだってことを肌で感じたからこそああいう結末が導き出されたんじゃないかと。

その上で、どんなに理不尽なことがあっても前を向いて行かなければ生きてはいけないことを、純というヒロインを使って表現しようとしたんじゃないでしょうか?

でも母の「もって高齢者が見て楽しいのを……」って意見はそれはそのとおりなんですが(笑)


次期朝ドラは楽しいんでしょうか?
橋本愛が出てると知って、急に見たくなってきた……(;´Д`)

火苑・北の英雄 アテルイ伝

これもNHKですね。BSで全4回で放送された歴史ドラマを前後編に分けて地上波で放送してました。
奈良時代の末期、大和朝廷は日本全土を掌握するため、東北に暮らす蝦夷(えみし)という民族を討伐しようとします。
物語は、その蝦夷のある部族の若き長、阿弖流為(アテルイ)の視点から描かれます。

これはけっこう戦シーンとかあって、それなりに盛り上がってて面白かったです。
アテルイの妹を演じた高梨臨がかわいかったですね~(;´Д`)


岩手を舞台にした物語ということは意識せずに見始めたら、けっこう東北スピリットを揺さぶられまして。
例えば、今夜のクライマックスでは「なぜお前たちは我らを憎む?」というアテルイの言葉がありまして。

蝦夷を劣等民族と決め付ける大和人は蝦夷の土地に侵攻し、従う者は奴隷にし、逆らう者は容赦なく殺していきます。
蝦夷の族長の中には大和朝廷に寝返る者もいましたが、結局は住む場所を強制的に移され、部族はバラバラになってしまいます。
山河を愛でながら暮らしていたアテルイは、この土地を奪われたくないと最後まで戦います。

ドラマでは桓武天皇や征夷大将軍である坂上田村麻呂らが敵として描かれます。
その田村麻呂にアテルイが言った言葉が「なにゆえなーら(お前たち)は、わーら(俺たち)を憎む?」
なぜ、日本を掌握せねばならないのか、なぜ、そのために蝦夷を排除しなければならないのか?
中央政権から押し付けられた理不尽なやり方に対する不満が現れた言葉です。


で、このセリフ、そして自分たちの里を守るために中央に弓引く姿勢が、僕の東北魂に火をつけるんですよね。
これも3.11の話になってしまうんですが、震災以降の2年間を振り返ってみると、がんばろう東北というスローガンの下で多くの人たちの温かい支援に東北は助けられてきました。
でも、同時にそのスローガンを掲げる一方で、無視されつづけ、見殺しにされてきたものもあるんですよね。

その最たるものが「福島」だと思います。
乱暴な言い方をあえてしますが、この2年間で世の中に浸透したのは、「フクシマや東北の農産物はなんとなく危険」という間違った先入観ではないでしょうか?

いわゆる風評被害です。でも風評被害という言い方は僕はしたくありません。風評被害という言葉を使っていては、どこか他人事に思えてしまう。国民は自分がまさか加害者だとは思わないからです。
実際には、「フクシマの○○が危険だ」とデマを流す人も、それを見て「いやそれはちがう」と否定しないすべての国民も、同じように風評を広めているんです。
デマかもしれない可能性をもった情報を、真偽をハッキリさせないまま心の片隅に留めておく……、これはもう風評を信じているのと同じ事です。

そして、そういう不確定な情報を持った人間がどういう行動をとるか?
例えば東北の米が送られてきたとしても、小さい子供がいるという理由で食べないでしょう。老い先短いからという理由で実家のご両親に転送するかもしれません。
当然、スーパーで東北の米を見かけても買うわけがありません。
すべてはこの2年間で国民の頭にしっかりと刷り込まれた「思い込み」に端を発しています。

そんなわけで、東北以外の地域の人たちは、口では東北の復興を願ってくれたし、実際に様々な形で支援もしてくださいました。
でも、その一方で大事な問題を見てみぬふりをしてきたんじゃないかと、そして無意識のうちに風評を受け入れ、それを武器(あるいは盾)にして間接的に福島や東北を攻撃してきたんじゃないかと。

なんか、そういう疎外感というか、東北と中央の間の温度差みたいなのを感じるこの前の3月11日だったんです。
僕らにとっては「福島」。けれど他の日本人にとっては「フクシマ」なんじゃないかと思うんです。

「風化させない」ということが叫ばれる一方で、「もう忘れてほしい」ということも言われます。
津波の恐ろしさや原発の危険性など風化させてはいけないものも、結局当事者以外は忘れていくんでしょう。
そして後には漠然とした疑いだけが残るんです。それならいっそ忘れてほしい……、「ほっといてほしい」というのも正直な気持ちなのかもしれません。


で、かなり回り道をしてしまいましたが、そういう世間様の身勝手さを感じる中でのさっきのアテルイの言葉。
「なにゆえなーらは、わーらを憎む?」
これがさっきからクドクド書いてる話と妙にリンクしちゃったわけなんです。
はい、これが言いたかったんです。

原作が書かれたのは10年以上前なので、3.11以降の世情を反映してるとは言えないんですが、でも、これは単に見る者の受け取り方なんでしょうけど、僕はそういう風に感じました。
少なくとも、震災以前にこのドラマも見てもこういう気持ちにはならなかったかも。
同じ理由で、「純と愛」が震災以前の朝ドラだったら、今日の最終回について酷評していたかもしれません。

「純と愛」では未曾有の震災を経験して味わった「どうにもならないことはどうにもならない」ことに対する、「それでも生きていく」というアンチテーゼ。
そして「アテルイ伝」では、中央政権の横暴に立ち向かう姿が、結局東京の論理で進められる「復興」に対する僕の不満を代弁してくれているような気がしました。
どちらも「今」を捉えた作品だったと思います。

(これ……ドラマの感想じゃねえな?w)

なんのアニメ見るの? 2013年春アニメ

溜まっていた有休をまとめてもらえたんだけど、逆に年度末の密度が濃くなってしまったYuckeです。
今夜は4月から始まる春アニメの中から気になってるものを簡単に紹k……羅列していきます…。



2013年春アニメいろいろ(独断と偏見)

進撃の巨人




原作漫画が大ヒットして、この春、待望のアニメ化ということですね。
僕自身は少年漫画ということでスルーしてました。(←どういう理由だw)

しかし、PVを見て意見が180度変わりましたね。
めちゃくちゃかっこいいじゃないですか、動きが!
敵である巨人が中肉中背だったりするのはどうかと思うけど、縦横無尽に動き回る主人公を追うあのPVは一見の価値ありだと思います。
PVのクオリティのままなら絶対面白いと思いますね。
(地元で放送するのか不明ですが…)



宇宙戦艦ヤマト2199




宇宙戦艦ヤマト33年ぶりのTVシリーズです。
昨年から劇場で先行上映されていて、そのDVDも出回ってる作品なんですが、春からTVアニメとして日曜夕方5時(日5)に放送されます。

これもPV見るとけっこうかっこよくて、滾ってきますねー。
宇宙戦艦ヤマトの世代じゃないので、キムタク主演の実写映画しか知りませんが、今から楽しみです。
これは、地元でも間違いなく放送されますので見ようかと。
日5だから容量キツキツのHDDレコーダーを圧迫しないのも地味に嬉しいですな。



翠星のガルガンティア

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どういう話なのかよくわかんないけどなんか面白そうな感じですね。(テキトーすぎるw)
宇宙と海が舞台?「船アニメ」だとか?
……ナディアか?

でもこれたぶん放送されないんだろうなあ……(´・ω・`)
あ、そうそうこれ虚淵玄がシナリオ構成らしいです。だから気になるんです(笑)



銀河機攻隊マジェスティックプリンス

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ロボットアニメですねー。
キャラデザはガンダムSEEDの人。
内容は「ザンネン5」とバカにされる5人組がロボットに乗って地球を守るらしいです。
けっこうお気楽な作品かもしれない……。

ED曲に石川智晶の名が……。OPも石川智晶の作みたいですね。
放送あるかなあ……(´・ω・`)



革命機ヴァルヴレイヴ

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こちらもロボットアニメ。
これも少年がロボットに乗って云々。
PVの感じだとやや真面目か?(どんな紹介だw)

気になるっちゃーなるんですが、マジェスティックプリンスのロボットと激しく被ってるんですよね…。紅白のツートンカラーって…。
どっちも放送されると逆に困るかも(笑)
まあたぶん放送ないけど。



刀語

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ノイタミナ枠では刀語の再放送だそうです。
以前、一月に一話ずつ一年かけて放送した12話分を、春から12週連続でやるんだとか。
一話60分枠の「大河アニメ」だそうですね。

なんか独特な絵だけど面白そうです。
これは放送あるので見てみます。







以上が気になってる春アニメ。
宮城というアニメ僻地で、かつBSもない環境なので、実際このうちの何作品を見れるのか…。

いや、上の作品全部見る時間もないんだった…。
攻殻機動隊も6月の劇場版の前にひととおり見ておこうと思ってますし…。

で、上の中からひとつだけレビュー書いて行こうと思ってます。
2つはキツい(笑)サイコパスとロボノでよく分かりました…。
果たして、ヤマトになるか、刀語になるか、それとも…。

いつの間にかアニオタ街道まっしぐらなYuckeなのでした(・ω<)

【アニメ】Robotics;Notes #22(最終話)

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Robotics;Notes ロボティクス・ノーツ
#22「ここからは、俺たちのゲームだ」

あらすじ

決戦の時――。海翔が操縦するスーパーガンつくとロボ部の面々は、みさ希の乗ったSUMERAGIが待ち構えるJAXAロケット発射場に乗り込む。海翔とあき穂の想いは、みさ希に届くのか……。

感想

おい、海翔のスローモー連発しすぎだろ。ずるいだろ。
あき穂の発作は全編通して何の役にも立たなかったし……。

全体的にも、最終話としても尺が足りなかったねえ……(;´Д`)
そして展開も今ひとつでした。
前々回の感動はどこいった……?最終回に期待しすぎなのかな、僕が?


まあ、少し前から予想できてた展開で、精神を操られているみさ姉にあき穂や海翔が呼びかけて意識を取り戻させるという展開は王道ですよね。
そして、君島コウは消滅して平和が戻ってくるというね……。
しかし、澤田キュンは終盤役に立ってるので言いたかないけど、エグゾ社長でありながら、可変機構まで備えてたSUMERAGIについて何も知らないというね……。知ってりゃ海翔たちにリークするはずだよね。

ってか、いろんな所で描写不足な部分があって、なんか破綻してる気もしないでもないんですが。
君島コウが消滅したわけだけど、彼は何のために行動していたのか?300人委員会という存在自体が君島のでっち上げたものならば、彼が災厄を引き起こそうと決意するに至る経緯が詳しく語られないと……。

そして、300人委員会の存在が架空のものならば、みさ姉が率いていた特殊部隊ってどこの組織だったのよ、という……。
彼らも君島に洗脳された者たちなんだろうか?ってか、そういえば君島はなんでわざわざアニメ制作会社を洗脳してまでガンヴァレル最終話で自分の計画を知らしめようとしたんだろう?
「?」ばっかりですよ……(;´Д`)


そして、一番めちゃくちゃだったのが、空から降ってくるモノポール……!(いや、しつこいとは思うけど、だってこれアニメ本編で本当にまったく理由が語られてないし……!)
なんか、原作ゲームではAR愛理が管理してたピーガー音が作用してモノポールを作り出したみたいですが……。
そんなのアニメしか知らない視聴者的には認めらんないねッ!(笑)

つーか、ピーガー音でモノポールが作れるかどうか科学的な問題は置いといても、愛理がそんなことする動機付けもないですし?まるで、巨大ロボットの動力で大量に必要になることが最初から分かってたみたいだ(笑)
なんか、もういろいろとやっつけじゃないか?全体的に時間が足りなすぎるのか?

アドベンチャー・ゲームだと注釈が付いたりして分からないことはいつでも用語辞典で調べられるんでしょうけどね。
アニメでは納得いく描き方が必要になりますね。ましてモノポールなんてお助けアイテムを登場させるならそれなりの理由が必須。
むしろモノポールなんてなくても、危機的状況に本気で協力するJAXA他・日本の技術力と海翔の根性でなんとかなりました~♪の方が素直に理解できるんですけどね……。

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そんなわけで一応ハッピーエンドだったのですが、第1話冒頭のガンつく起動シーンからしたら、こんなもんでは終われないレベルの内容でした。絵は気合入っていてもシナリオがね……。
これからはゲーム原作アニメを見る時はちょっと考えます。

あと、ラストで宇宙に行っちゃった海翔とか、ほんともうわけわからない展開の連続で……(笑)
海翔の夢は宇宙飛行士になることでしたっけ???
スローモーの発作ある人が宇宙飛行士になれますかね……???
そのへんの描写カモン……_| ̄|○



PSYCHO-PASS 第22話(最終話)

PSYCHO-PASS サイコパス
第22話「完璧な世界」

あらすじ

純粋な殺意に導かれ死闘を繰り広げる狡噛と槇島。法を守ることを正義とする朱は、狡噛に再びドミネーターを手渡すが……。果たして、狡噛と槇島、二人の逸脱者の結末は……。

感想

……うーん、こんなもんですかねー?
正直、モヤッとする終わり方だったなあ……(´・ω・`)

ついに最終回というわけですが、いろいろと終わってない終わり方。
一応、狡噛と槇島の物語には決着がついたけど、それはあくまでも既存のシステムの中での話。
第1話と世界の状況はほとんど変わってない中での解決だったので、槇島のノナ・タワー襲撃や、狡噛の公安との決別ってなんだったの?って感じですね。
この結末、第1話の時点で予想できる人にはできたんじゃないか?

そこへ、不確定要素として絡んでくるのが、朱という存在であり、シビュラという謎のシステムだったわけですが、これが狡噛VS槇島と絡んでるようで、実は絡んでなかったような気がする……。
シビュラの真相を知ってるのは朱だけですからね。狡噛の行動原理にシビュラどうこうは関係なくて、ただ純粋に槇島という悪を抹殺しなければという使命感で動いてる。
そこを真実を知ってる朱が引っ掻き回してくれることを期待したんですが、朱はシビュラによって事実上の封殺。
よって狡噛さんは最初から最後までまったくブレなかったという……。

あの決着には朱が不在に思えるし、でもやはり成長した朱はこの作品でもっとも感情移入しやすいキャラだったし……。

槇島という悪役を買いかぶっていた……なんて思ってしまうようなあっさりした終わり方で。
結局は「孤独」な男たちの闘いだったとは……ちょっとね。
ノナ・タワーの一件が一番輝いていたよ、槇島は。後はずっと落ち目だったような……(笑)
最後に華々しく散る……ような展開でもなく……。

最期の言葉は、唯一分かり合えた狡噛に対する情のようなものを感じました。
しかし、刑事と犯人の奇妙な信頼関係ていうのは、いろんな物語で描かれてきてるし、そんなにグッとくるセリフではなかったです。

むしろ、近未来ディストピアという仮のSF世界を造ったのならば、やはり普通の刑事ものではできない展開(システムの崩壊・社会の変容)を描くべきだったかな……。ノナ・タワー襲撃では物足りない(笑)
SF設定なんだけど、ストーリー自体は極めて現代的というか……。現代にだってサイコパスはいるわけだし。
(……これ以上書くとSF否定になりそうだからやめますw)


シビュラについては、まあいろいろ面白い考え方を提示してたと思います。
真実を知った者を軒並み排除するわけじゃなく、法の力を信頼している者には「社会秩序の安定」を盾に協力をさせる。
システムから逸脱した者には、システムの運営をさせる。
そして、やがてはシステムの真実を人々が許容できるように、人の心を作り変えていく。
シビュラを感情的に否定し、論理的に肯定する朱は、そのための貴重なサンプルだとか。

まあ、視聴者である僕自身、大量の脳ミソを行ったり来たりさせてるようなシステムを、感情的に認められないから「システムの崩壊」をこのアニメに期待していたのかもしれません。
(脳ミソってことが知れる前から、システムに管理統制される社会を諸刃の剣と思ってましたし)

だからある意味では、シビュラを受け入れがたいけど受け入れて「ぐぬぬ……」となってる朱と同じように、視聴者もこの展開を受け入れがたいけど受け入れるしかなくて「ぐぬぬ……」となってるんですよね(笑)

正義(システム)の連鎖は、終わらない―― SIByL still continues......

続編を期待させるような最後の一文……。
そして公式サイトでの総監督・監督らの意味深なコメント……。
そしてなにより、これで終わりじゃねえだろ……という視聴者の気持ち。

少し僕の私情も混じってますが、やっぱり何かの形で続編はあるのかな、と。


「その後」で描かれた新たな新人監視官、第1話の朱とダブらせてきましたね。
そして、朱は第1話のギノとダブらせるという……ね。
ただ、朱の言葉は「奴らを人間と思うな」というギノの言葉そのままではなく、彼女なりの少し柔らかい言い方に。

ただ、正直、あの少女と朱・ギノ・六合塚・唐之杜、そこに何人か執行官を補充したところで、あの一係は戻ってこないような気もします。
やはり狡噛という存在は大きいですね。

そして、なんとあの少女、学園編で登場した脇役のポニーテールの子だそうです。なんだ、この無茶な設定は……!
事件に巻き込まれてから数ヶ月で公安局に配属って……。
年齢を考えれば朱と対等以上の適性の持ち主なわけで……。
もしかして朱と同じく色相濁りにくい体質ってことが事件をきっかけに分かって、シビュラの第2の駒として用意されたのか……とかいろいろ勘ぐりたくなりますが……。
(あと、被害者が警察側に採用される展開は「踊る大捜査線」の雪乃さん思い出した。本広克行・総監督だし)

とにかく、このメンツで続編ができるのか、素直に心配です。
野に下った狡噛の存在があるので、彼がどう出るかでまたドラマが展開しそうですね。
というか、狡噛を無視した新しい展開は望めそうにないですね。
やっぱり朱一人では物語は成り立たなくて、狡噛という主人公があってこその朱だったのかな、と。

狡噛自身の決着をつけさせてあげられるようなエピソードが今後あるのかもしれませんが、いろいろ期待するよりもマイルドな展開になるんでしょうね、きっと。
まあ、それでも最後まで付き合っちゃいそうですが。(←続編ありきの言葉w)

というか、続きが見たいというよりも、ここで終わっちゃったら微妙なアニメで終わっちゃう……!
それだけ、いろいろと腑に落ちないまま終了してしまった最終話ということです(;´Д`)

【アニメ】新世紀エヴァンゲリオン (第壱話~第拾六話)

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新世紀エヴァンゲリオン

【ジャンル】
TVアニメ/ロボットアニメ
【監督】
庵野秀明
【声の出演】
緒方恵美 (碇シンジ)
三石琴乃 (葛城ミサト)
林原めぐみ (綾波レイ)
宮村優子 (惣流・アスカ・ラングレー)
立木文彦 (碇ゲンドウ)

あらすじ

セカンドインパクトと呼ばれる大災厄は地殻変動や海面上昇を引き起こし、その後の混乱の中で人類の半数の命が奪われた。西暦2015年、14歳の少年・碇シンジは父親に呼び出され、謎の組織・特務機関NERV(ネルフ)へと向かう。NERVの司令である父・碇ゲンドウから謎の生命体・使徒と戦うよう命令されたシンジは、迷いながらも汎用人型決戦兵器・人造人間エヴァンゲリオンに乗り込む。それは、14歳の少年少女たちの過酷な戦いの始まりでもあった……。

感想 (第壱話~第拾六話)

ようやく昨年からやるやると言っていたエヴァレビュー始めます。
まあ、なんかタイミングつかめなくていつまでもだらだらと延ばし延ばしになってました。
でも、いいかげん「逃げちゃダメだ!(byシンジ)」ってことになりまして(笑)

とりあえず、今回は1995年にテレビ放送されたTVシリーズの1話から16話まで通しての感想を書きます。
次回以降、TVシリーズ終盤、旧劇場版、新劇場版……という風に、順番にレビューしていこうかと。


謎めいていたり意味深だったりする設定や、少年少女に振りかかる過酷な試練、本放送は夕方という時間帯だったにも関わらずグロテスクだったりエロティックだったりする内容が人気を集め、社会現象を巻き起こした「新世紀エヴァンゲリオン」。
そのカルト的な人気は今も衰えず、新たな劇場用シリーズである「新劇場版」も大ヒットを飛ばしていますね。

ただ、僕は新劇からエヴァに入った人なので(っていうか昨年秋に初めてエヴァを見ました;)、TVシリーズを見てもそれほどの驚きはなかったですね。
まず画面サイズが4:3って時点から「ふ、古いッ」って思ってしまうんですが、昔はアニメもドラマもみんなこうですからねえ(笑)
オープニング映像についても、BGMに合わせて絵がリズミカルに切り替わるフラッシュカットっていう当時としては斬新な手法を用いているんですけど、今では普通に使われる手法なので、特に珍しくもなかったり……。

むしろ、OP曲が「残酷な天使のテーゼ」固定で、現在のアニメみたく1クール毎にOP曲変わらないことの方が珍しかったり(笑)
いや、「残酷な天使のテーゼ」好きですけどね?(逆にED曲はジャズの定番「Fly Me To The Moon」が何パターンも用意されていて聴き逃せなかったり)
あと、海青かったりとか、使徒が普通に爆発したりとか、第壱話で赤木博士が水着の上に白衣着て登場したりとか……。新劇と違う所は目につくんですが(笑)


まあでもやっぱり社会現象になるほどの「何かもってる」アニメではあるんですよね。
特にTVシリーズで気になった演出は、無駄に長い溜めのシーン。
シンジとミサトが線路挟んで向かい合って見つめ合うシーンとか、綾波とアスカがエレベーターに乗り合わせるシーンだとか、拾六話以降の展開になりますけど、カヲルの最期のシーンなど、微動だにせずセリフもない映像が延々と続くという演出がけっこうあるんですね。

実際そんなに長くもない時間なのかもしれないけど、視聴者は次のセリフ・行動を緊張状態で待たされるのでとても長く感じる。
狙ってやってるのか、そもそも功を奏しているのかもよく分からない演出ですが、そういう大胆な試みもしていますね。
少なくとも最近の展開早いアニメでは真似できないんじゃないかと。

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ストーリーについては、新劇で扱われなかったエピソードがけっこうあるんだなーと思いました。
第壱話~第六話は「ヱヴァンゲリヲン新劇場版:序」でリメイク、第八話以降も要所要所で「新劇場版:破」のベースとしてリメイクまたは再構成されてるんですが、まったく新劇で扱われていない回も当然あるわけで。

例えば、第七話は外部組織がエヴァに対抗して造った巨大人型兵器が暴走し、ミサトがそれを止めようと奮闘する話。
第九話は、来日したばかりのアスカとシンジが息をぴったりと合わせて戦うために猛特訓する話。非常にコミカルに描かれた回で、エヴァがクルクルと……踊っている!?
第拾話はマグマの中で発見された使徒を捕獲するためにアスカが耐圧装備で溶岩の中へ潜る話。アスカのまんまるに膨らんだプラグスーツ……。来日早々遊ばれてんなあ(笑)

その他にも、NERV本部の高性能コンピューターMAGIと赤木博士の意外な関係が分かる回があったり、戦いを離れてミサトと加持の親しい関係を描く回もあったり……。
オペレーターの一人が出勤前にコインランドリーに立ち寄るなんていう日常の一コマもありましたね。

まあ、「エヴァンゲリオンとはなんだったのか?」を語る時にはあまり重要じゃない回もけっこうありましたけど、TVアニメってそういうものだし、エヴァ世界を補完する意味では戦い意外にもいろんな描写があった方が良いですし楽しいですよね。


ただし、新劇で分からなかった部分をTVシリーズ見れば分かるのかというと、けっしてそうではないと断言しておきます(笑)
庵野監督の「サービス精神」によって生み出された何か意味ありげな設定・展開の数々は、今でも議論が尽きないものであり、むしろ難解にして視聴者の興味を引くこと自体が監督の意図だったのではないかと、僕は思います。

なので、新劇の解答がもしあるとしたらそれは新劇にしかない。
TVシリーズで補完できるのは、各キャラクターの人となりと、彼らへの愛着ぐらいでしょう。
ただ、次回レビューで触れる最終2話という切り札があるからなあ、TVシリーズは……(;´Д`)新劇見てれば見る価値ないですとは言えないよなあ(笑)



ちなみにこのシリーズには、無口でミステリアスな綾波レイと、勝気でプライドが高い惣流・アスカ・ラングレーという二大ヒロインがいるわけですが、僕は先に「破」でアスカの魅力にやられてしまったため、TVシリーズもやっぱりアスカ寄りです。
むしろアスカの人格的な魅力ならTVシリーズからの旧劇という流れがオススメ(笑)強気な女の子がズタボロになってく様子がすごいです!(ってどんな趣味だよ、おれ)
絵的な魅力なら新劇なんですけどね。やっぱりカワイイので。ただ、今の所(Qの時点で)、アスカの人物像をしっかり描き切ってはいないのかなーと。(そもそもあの子は式波・アスカ・ラングレーだというご指摘はさておき)

あ、ミサトさんも含めて三大ヒロインだったっけ!?



【映画】「クラウド アトラス」東洋思想というよりニーチェです。

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クラウド アトラス (2012年、アメリカ)

【ジャンル】
ノンジャンル/ドラマ/SF/ファンタジー
【監督】
ラナ・ウォシャウスキー
トム・ティクヴァ
アンディ・ウォシャウスキー
【出演】
トム・ハンクス (ヘンリー・グース医師、アイザック・サックス、ザックリー、他)
ハル・ベリー (ルイサ・レイ、メロニム、他)
ジム・ブロードベント (ビビアン・エアズ、ティモシー・キャヴェンディッシュ、他)
ヒューゴ・ウィーヴィング (殺し屋ビル・スモーク、女看護師ノークス、オールド・ジョージー、他)
ジム・スタージェス (アダム・ユーイング、ヘジュ・チャン、他)
ペ・ドゥナ (ティルダ、ソンミ451、他)
ベン・ウィショー (ロバート・フロビシャー、デニーの妻、他)
ジェームズ・ダーシー (ルーファス・シックススミス、他)
ジョウ・シュン (ユナ939、ザックリーの妹、他)
キース・デビッド (ジョー・ネピア、アピス将軍、他)
デビッド・ギヤスィ (オトゥア、他)
スーザン・サランドン (アーシュラ、アベス、他)
ヒュー・グラント (ロイド・フックス、デニー・キャヴェンディッシュ、リー師、他)

あらすじ

満天の星の下である老人は、時空を超えたいくつもの物語を語りだす。1849年、奴隷売買の契約を終えた弁護士ユーイングは、船旅での帰路の途中、脱走して密航していた黒人奴隷オトゥアに助けを求められる。1936年、無名の若き音楽家フロビシャーは、恋人のもとを離れて作曲家ビビアンの家へ押し掛け、ある曲を書き上げる。1973年、物理学者シックススミスは、原発に関わる陰謀を暴くため、女性記者レイに報告書を託そうとするが……。2012年、作家のスキャンダルで突然大金持ちになった編集者キャヴェンディッシュは、兄に騙され、老人介護施設に監禁されてしまう。2144年、労働力として造られた複製種ソンミ451は、ある日革命家ヘジュ・チャンによって救出され、生まれて初めて外の世界へ出ることに……。そして、地球崩壊後106度目の冬、悪魔の囁きに悩まされ続けるザックリーは、人喰い種族に襲われた義弟を見殺しにしてしまい……。

感想 (2013年3月21日、109シネマズ富谷にて鑑賞)

6つの異なるストーリーが同時進行する複雑な物語。
さらには主要キャストのすべてが複数の役をこなす(一人二役以上)という、大胆な映画的実験もなされた本作。
一見の価値はあると思います。


監督はウォシャウスキー姉弟とトム・ティクヴァの3人による合同監督。
主演にはトム・ハンクス、ハル・ベリー。その脇をジム・ブロードベント、ヒューゴ・ウィーヴィング、ベン・ウィショーなどが固めます。

ただし、この映画の構成からいって、「主演」とか「脇役」という言葉は不適当かも。
6つの物語すべてで主役は別の人が演じています。
そして1849年の物語で主役だった俳優が、1936年の物語ではエキストラ同然の端役だったりというように、物語によってその俳優の扱われ方も様々。

で、さらに、男性俳優が女性の役で登場したり、特殊メイクでまったく別人になってたりするので、見る方はもう大混乱。
エンド・クレジットで主要キャストの変装っぷりが披露されるんですが、それを見ても「えっ……」っていう(笑)


物語は6つのオムニバス映画を並べて細切れにした後、上手くつなげて1本のフィルムにしたような感じ。
一つのシーンが終わると違う時代のシーンが始まるんです。

一つ鑑賞のための予備知識として、「流れ星のアザ」というのがあります。
各ストーリーの主人公の体のどこかにこのアザが付いていて、それが一つの目安になってます。
流れ星のアザが付いてる人は同じ魂を受け継いでいるって感じでしょうか?
ただ、それがベン・ウィショーだったりペ・ドゥナだったりトム・ハンクスだったりして混乱するわけです(笑)

物語の内容もそれぞれ様々で、白人と黒人奴隷の交流を扱った話、ある若き音楽家の悲恋、原発の陰謀に関わるサスペンス、老人ホームから脱走を企てるちょっと愉快な話、見せかけのユートピアに革命をもたらそうとするSFストーリー、そして誇りを失った村の男が悪魔の山を目指す物語……。
いろんなジャンルの話がミックスされているんですよね。ジャンルを飛び越えた映画です。
(生まれ変わりという点でファンタジーっぽいかなあ、と思ってファンタジー映画の書庫に入れときました)

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生まれ変わり(=輪廻思想)や前世や来世といったセリフがあるので、手塚治虫の「火の鳥」シリーズを思い起こす人も多いみたいです。
でも、個人的には「火の鳥」よりも難解だと思うんですよね。

6つの話が同時進行しているといっても、物語自体はけして難解なわけじゃないんです。
物語が切り替わっても焦燥感や緊張感が途切れないように、6つのストーリーを巧く編集していますし。
終盤の見せ場では、物語が切り替わりながらだんだん盛り上がっていくという場面がありました。

なので、けして脳ミソフル回転じゃないと楽しめないわけではないんです。
感覚に訴えるエンタメとしては充分機能していますので。

でも、それがセリフや行動の「意味」となってくると、かなり難解になってきます。
この物語が「火の鳥」のような輪廻転生と因果律を扱っているとすると、セリフや行動が後の時代の主人公たちのセリフや行動に関わってくるはずなんですが、そこまで読み解くのは一回の鑑賞ではちょっと無理ではないかと……。

まして、役者が同じならその因果も分かりやすいんですが、流れ星のアザを持った主人公たちのように役者が変わってるわけですからね……。
例えば、崩壊後の世界でザックリー(トム・ハンクス)が悪魔に悩まされるというのが、1849年に医師グース(ハンクス)が酷い悪事を働いた事とリンクして、観てる間は「前世の過ちを来世で償ってる」ように見えます。
けれど、流れ星のアザを持っているザックリーの前世はグースではなく別の人物です。
つまり、1849年と崩壊後の世界で登場する2人のトム・ハンクスは、関係の無い(薄い)存在ということになります。

これがこの映画をややこしくしている要因で……。
どうやら一つの魂を継承しているらしい主人公は、それぞれの時代でまったく違う役者が演じている。
それに加えて、ある時代で主人公を演じた役者が別の時代では主人公の周りにいる脇役として登場してしまう。

よって、雰囲気としては何か感じるものがあっても、実際それぞれの時代の言葉や行動がどのように他の時代に作用していったのかを考えると、全然わけがわからないんですよ。
どこかで詳しくネタバレしてる所ないかしら?(笑)(相関図的なものを)

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そんなわけで、来世信仰や輪廻思想といった東洋的な題材だと紹介されがちですが、これって作中で言われているとおり「永劫回帰」について描かれた、むしろ西洋で生まれた思想に基づいた作品なのかも。
永劫回帰とはドイツの哲学者ニーチェの思想の一つで、「無限の時間の中で有限の物質を組み合わせて世界が作られるならば、無限の時間が過ぎる中でまったく同じ事象が起こってもおかしくないよね?」っていう考え方らしいです。

それに基づいて考えると、確かにこの映画は6つの時代・6人の主人公のてんでバラバラの物語を描いていますが、どこかそれぞれの時代には共通する想いであったり、何かとの闘いというものが描かれているような気がします。(それを言葉で説明しようとするとまったくできないわけですがw)
それはニーチェの永劫回帰のように「まったく同じ出来事」ではないですけれど、いつの時代でも人間が繰り返してきた想い・闘いなのかもしれません。

それを裏付けるシーンとして、未来世界の登場人物が語った言葉がまるで過去の別の人物に影響を与えたかのような描写があります。
前世の経験が来世に影響するとするならこの描写はおかしいですね。
輪廻転生は前世の行いが来世に影響するという考え方。
永劫回帰はたとえ生まれ変わっても同じ行いをするという考え方。
この二つは似て非なるものなんですね。


まあとにかく難解なので、一回の鑑賞ではどの役者がどの役を演じているかだけで頭がいっぱいになります。
二回三回と見ることで各登場人物に与えられた「意味」についても分かってくるんでしょうね。
数度の鑑賞に耐えうる哲学的な大作映画だと思います。





鑑賞の参考になりそうな画像を見つけたので貼っときます。
横軸が時代、縦軸が善人か悪人かを表してるみたいですね。
どの役者がいつの時代で誰を演じているかが一目瞭然!
でも、何故かベン・ウィショーだけいないけど……。

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【映画】「ジャンゴ 繋がれざる者」見所はタランティーノ監督。


ジャンゴ 繋がれざる者 (2012年、アメリカ)

【監督】
クエンティン・タランティーノ
【出演】
ジェイミー・フォックス (ジャンゴ)
クリストフ・ヴァルツ (キング・シュルツ)
レオナルド・ディカプリオ (カルビン・キャンディ)
ケリー・ワシントン (ブルームヒルダ)
サミュエル・L・ジャクソン (スティーブン)

あらすじ

1958年、アメリカ南部。黒人奴隷ジャンゴは、賞金稼ぎのキング・シュルツと出会い、賞金首を捕まえる事に協力する替わりに鎖から解き放たれ自由人となる。キングとともに南部の指名手配犯を追いながら鍛錬を積んだジャンゴは、奴隷市場で生き別れとなった妻の居場所を見つけ出し、彼女がいるという農園主カルビンの屋敷へ乗り込んでいくが……。

感想 (2013年3月10日、109シネマズ富谷にて鑑賞)

クエンティン・タランティーノ監督が西部劇を舞台にアメリカのかつての奴隷制度にメスを入れた作品。
やはり今作もバイオレンス映画ということで、血はムダに吹き出るし、火薬は多めだし、普通の会話しててもいつ銃撃戦が始まるかと気が気じゃない165分。

そう、165分。3時間弱もあるんです、この映画。
奴隷ジャンゴが賞金首の顔を知っていたことから元歯医者の賞金稼ぎキング・シュルツに救い出され、二人で賞金首を殺しながらジャンゴの妻がいる白人農園主の屋敷へ乗り込む物語。
その間、けっこうダラダラと……いや淡々と描いてましたね。正直、途中で飽きてしまいました(´・ω・`)


個人的にはイマイチな映画でしたね。
西部劇自体、得意分野ではないんですけど、今回はタランティーノ作品ということで脚本に過剰な期待を抱いてしまったかも。

過去作「パルプ・フィクション」や「イングロリアス・バスターズ」のように入り組んだプロットを期待していたんですけどね。
今作では時系列をいじったりはせず、ひたすらジャンゴ視点で描かれますね。
なので、脚本の妙というのは正直感じられませんでした。


キャラクターの個性というのもそんなに印象に残らなかったですね。
特にクリストフ・ヴァルツが演じたキング・シュルツには期待したんですけどね……。

ヴァルツは「イングロリアス~」でランダ大佐という悪役を好演しているんですが、久しぶりにヴァルツを観た僕はやっぱりランダ大佐を重ねてしまいますよね(笑)
でも、どんな嫌なヤツなんだろーと思って見てたらむしろ良いヤツだったし!元歯医者のバウンティーハンターっていう肩書きに「どんなエグい拷問を見せてくれるんだろう?((o(´∀`)o))ワクワク」と勝手に期待した僕が馬鹿でした。
彼は話術ぐらいしか楽しめる部分ないかも。


むしろ嫌なヤツは、サミュエル・L・ジャクソンが演じた、カルビンの奴隷執事スティーブンの方ですね。
黒人でありながら、他の黒人奴隷たちをこき使う立場なんですね。
そして、キング・シュルツと肩を並べて歩くジャンゴに嫉妬し、彼に疑念の目を向けます。
そこから終盤の銃撃戦へと発展していくわけなんですが……。

いつも強くたくましく正義を貫いてるイメージのサミュエルが、今作では同胞を裏切り権力者に媚びる姑息なジジイの役に!
正直サミュエルには見えませんでしたね。顔はたしかに彼なんだけど、腰は曲がってて杖ついてるし、声はしわがれているし……。
体型も全然違うような気がしました。役者ですよね♪

レオ様の悪役初挑戦はどうだったかというと、これは設定が良かったですね。
というか、タランティーノ映画って、出てくる人みんな悪い人に見えるんですけどね……。
失態を犯した奴隷を生きたまま犬の餌にしたり、マンディンゴと呼ばれる奴隷同士の殺し合いを見て愉悦に浸ったり、まあとにかく"下衆の極みッ!"ですよ。

この作品全体に渡って白人による黒人への虐待・迫害が描かれてますね。
ディカプリオが演じた農園主だけでなく、その使用人も、町の保安官も、みんな黒人であるジャンゴが上等な服を着て銃を腰に下げて歩いているのが気に入らないって感じ。
白人だけでなく黒人奴隷たちもジャンゴを奇異の眼差しで眺めます。

黒人差別の歴史を題材に選び、苛烈な虐待をダイレクトに描きつつも、そこはタランティーノ、けっしてお説教臭くなることはなく、あくまでもジャンゴという孤高のガンマンの話で終わらせましたね。
ただやっぱりもう少しエピソードを絞った方が……(;´Д`)
後半の壮絶な銃撃戦にはさすがに燃えましたけど、その後ダラーッと続くのですっかり冷めてしまうというね……。
痛快と感じるか、冗長と感じるか、人それぞれだと思います。

例のごとく監督自身がカメオ出演しているんですが、そのシーンだけ笑いが止まらなかったです。
あそこだけ、無意味にケッサクですねー(爆)

【アニメ】Robotics;Notes #21

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Robotics;Notes ロボティクス・ノーツ
#21「ガンヴァレル発進!」

あらすじ

ロボ部はドクやJAXA、島民の協力を得て急ピッチでガンつく1の改良を進めていた。一方、海翔はARアノテーションを肉眼で見せられるという電磁波照射装置について調べるために、君島コウに関わりの深い旧郷土館へ向かう。そこで装置の起動スイッチを押すとスローモーの発作が起こってしまい……。

感想

爆ぜろリア充ッ!

やはり正ヒロインは正ヒロインだったんですよ……!


でも、あれだよな……、このアニメ、オタクを主人公に設定しといて、オタクにはありえないモテ方をさせるよね(´・ω・`)
そもそも幼馴染っていう設定からして恵まれ過ぎてる……('A`)
ま、アニメだからいいか。

自分の危険を顧みず戦場に向かう少年と、それを止めようとする少女。
んー♪アニメっぽくていいじゃないですか~♪

そして、海翔も、幼馴染とその姉を仲直りさせたいという個人的な願いからの行動だったわけで。
「姉を超えたい」と言ったあき穂のエゴに対しての海翔のエゴですよね。
ただし、それが男の子の言うべきこと・やるべきことなので、すんなりと受け入れられるんですけどね。


君島コウの最低っぷりについては、人間だった時の彼を知る三次元愛理からフォローがあった形。
人間だった時の君島には人としての優しさ・甘さもあったようで。
しかし、ネット上の生命体へと変わった時に感情は継承できずに、合理的な思考のみ残った感じですかね。

つまり、ロリコンって人間らしい部分ということですね!(笑)

愛理とゲジ姉の件は必要だったのか謎ですけど、とりあえず愛理エピソードはすべて回収できたという解釈でいいんでしょうか?
それとも君島との決着に愛理のロリ属性が必要になるんでしょうか?(笑)

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何はともあれ、ようやく第1話の冒頭へと話が戻って来ましたね。
このアニメが始まった時は、まさかたった一度の決戦のためにロボット造って乗り込む話とは思いませんでしたが(もっとたくさん乗ってバトルするんだと思ってた)、なかなか最終回に期待できる展開でした。
AR機能付けっぱなしみたいだし、かっこいいバトルになるといいんですが。



【アニメ】PSYCHO-PASS 第21話

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PSYCHO-PASS サイコパス
第21話「血の褒賞」

あらすじ

槇島を追い巨大穀倉地帯へと足を踏み入れた狡噛。そして狡噛のすぐ後を追う朱たち一係。狡噛、槇島、朱、三者の思惑が交錯する中、朱は槇島を捕らえ、狡噛を止めることができるのか……!?

感想

とっつぁああああああーーーーーんッ!!。・゚・(ノД`)・゚・。

ヤバいそう来たかー!残り2話のタイミングでそれを入れてくるかー!
ギノがますますダメな子になっちゃうじゃないかあ!残り1話でどうやって処理するんだー!?


でも、なんか思ってたよりもすんなりと終わりそうな気配がする……。
首都圏ではもう最終回放送したわけですけど、ネタバレに慎重になってるとはいえ、最終回の熱があまり伝わって来ない。
「続編もありうる」みたいな評もあったし……、もしかして完全解決にまでは至らないまま終わった??

ああッ!いま「槇島は姿を消した……」ってのが頭に浮かんだ!!(笑)
それは困る!それはちょっと困るよ、それは!(←妄想ですw)

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監視官としての力量は既にギノを超えてしまった朱。
刑事としての能力も狡噛とは別の理由で動いてるために、ある点では狡噛を超えてると思います。
シビュラの真実を知った上で、彼らと取引まで……。
その状態でもサイコパスが正常値とかって……(笑)
最近の朱は急にたくましく成長したので、最終話は朱に任せておけばうまく収拾してくれそうだけど……。


しかし、ギノととっつぁんのエピソードをここで投入してくるとは……。
しかも、色相の濁りをセラピストに指摘されていたギノが、その衝撃によってどうなるかは描かないで最終話に持ち越し。
次回、ギノがどんな行動を取るかは重要ですよね……。

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そして、狡噛と槇島のバトルに朱が首を突っ込み、三者の思惑が現実にぶつかり合うわけか……。
今回、朱はドミネーターに常時パラライザー・モードで撃てることを承諾させてましたが、そのパラライザーで先に撃つのは狡噛か槇島か……?
槇島を無力化すれば狡噛がトドメを刺すという朱もシビュラも望まない結果になるし、かといって先に狡噛を沈黙させると朱が槇島の脅威にさらされやしないか……?
槇島ならドミネーターの射撃を避けそう(笑)

それに、槇島を拘束してシビュラに引き渡してそれでハッピーエンドという感じにもっていけるのかな?
このアニメのどこに燃えながら見ればいいのか、ちょっと分からなくなってきているここ数話です。

最終ミッションのはずなのにここまで唐之杜が空気……というのもいただけない。ノナ・タワーでの活躍以上のものがないと最終回には物足りないでしょう。
六合塚についても、ラストダンジョンで朱に置き去りにされるくらいなら、最初からいなくてもよかったような?
何か、監視官2人に対して執行官がとっつぁんだけではバランス悪いから生かされてる気もしないでもない。
過去回で登場したレジスタンスの友達も結局出て来なかったなあ……。

まさかここにきてツッコミ入れまくるとは思いませんでしたが、んーとにかく最終回に期待!



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