感動器官

笑い、涙、鳥肌、私たちの感動を現出させる器官。

2012年06月

【映画】3部作で描かれた許しの物語。「スパイダーマン3」

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スパイダーマン3 (2007年、アメリカ)

【ジャンル】
アクションSF/アメコミ・ヒーロー
【監督】
サム・ライミ
【出演】
トビー・マグワイア(ピーター・パーカー)、キルスティン・ダンスト(MJ)、ジェームズ・フランコ(ハリー・オズボーン)、トーマス・ヘイデン・チャーチ、トファー・グレイス、ブライス・ダラス・ハワード、ジェームズ・クロムウェル、ローズマリー・ハリス、J・K・シモンズ

あらすじ

今やニューヨークのアイコンとして市民に愛される存在となったスパイダーマン。その正体である学生ピーター・パーカーの私生活も順調で、彼は交際中のメリー・ジェーン・ワトソン(MJ)にプロポーズすることを決意する。ある夜、ピーターは最新鋭の戦闘スーツに身を包んだニュー・ゴブリンこと親友ハリー・オズボーンに襲われる。なんとかハリーを退けるが、その時のショックがもとでハリーは記憶の一部を失ってしまう。父親を殺したのがピーターだと思い込んでいたハリーとピーターの間にかつての友情が戻ってくるが、MJとピーターの関係はぎくしゃくしだしていた……。

感想 (2012年6月2日、DVDにて鑑賞)

つい先日、TVで放送してましたが、そのちょっと前にDVD借りて見たので、今回はその感想ということで。
 
サム・ライミ版スパイダーマン・シリーズの事実上の完結編ですね。
1作目では、スパイダー能力に目覚めるピーター・パーカーと、グリーン・ゴブリンの戦いを描き、2作目では暴走するドック・オクとの戦いと、親友ハリーとの仲違い、そしてこの3作目では人間の心の闇と戦うピーターを描きます。
 
このシリーズのテーマが何だったかと考えると、やはり「許し」でしょうね。
3作目まで見てようやく気づきましたが、「許し」がシリーズ通して描かれているかと。
そして「許し」の前段階として「恨み」も必要不可欠なので、「恨み」と「許し」をセットにすると、より明確にテーマ部分が浮き上がってくるかな。

1作目でのベンおじさんの死によって、ピーターの中に犯人と自分に対する「恨み」が湧き上がり、それをようやく3作目ラストに「許す」ことになります。
また、親友ハリーに目を移せば、1作目ラストでハリーはスパイダーマンを憎み、それは2作目でピーターへの恨みに変わり、しかし最終的にはやはり許すことになります。
今作の敵の一人であるヴェノム(黒スパイダーマン)がまさに人間の恨みを取り込み増幅させているようやヤツで、そのヴェノムを倒すということは、憎しみを乗り越え和解のもとに平和を築いていくということを暗示しているのかもしれないですね。
 
そんなわけで、敵が3人も出てくるうえに今まで溜まりに溜まっていた恨みが一気に浄化されていくので、非常にエピソードを盛り込んでしまった感のある3作目。
ただし、そのひとつひとつにきちんと「恨み」「許し」が含まれているので、実はどれひとつ欠けてもダメな作品です。

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役者さんの演技についても、なかなか面白い作品。
特に、ピーター・パーカーを演じたトビー・マグワイアと、ハリー・オズボーンを演じたジェームズ・フランコの演技は注目。

ピーターは途中で黒い液状生命体に寄生されもともと持っていた傲慢さや負の部分が表面化するわけですが、いつものフニャ~とした笑顔から一転、キリッとした余裕のない顔になります。
この豹変っぷりがすごかったですね。さすが役者と思いました。

一方、ハリーは序盤でなんと記憶を失うという展開で、ピーターへの憎しみを忘れてしまいます。
ハリーの父が死ぬ以前の仲の良かった頃のピーターとハリーに戻るのです。
この時のハリーが実に爽やかな好青年で、もともとこんな人だったっけ?ってちょっと初対面な感じもしました(笑)あまりに爽やかなもんでメリー・ジェーンが惚れ直しかけるからね。

そのメリー・ジェーン・ワトソン(MJ)を演じたキルスティン・ダンストは、やっぱり最後まで微妙なヒロインでした。
わりかしゴージャスな見た目なので、ピーターよりもハリーと似合うと思うんだけど。
っていうか、今作ではむしろピーターと対立してないか?
MJもある意味で敵だと気づいた3作目(言い過ぎw)

正直、グウェン役で出ていたブライス・ダラス・ハワードの方がイケてましたが彼女も万人受けしない感じで、やっぱりこのシリーズは脇役含めてヒロインが微妙w
(新作「アメイジング・スパイダーマン」に期待します)

ちなみに、僕がこのシリーズの影のヒロインだと思っているメイおばさんですが、今作でもピーターの心の支えとなってくれます。(このシリーズ、主人公の心の支えは恋人ではなく叔母さんなのですw)
この人はある意味「許し」というテーマを最初から体現しているような人ですね。この人がいなければ、ピーターは自分を許すことができなかったし、犯人を許すこともできなかった。
こういう物語に絶対欠かせない人物をさりげなく配置しているところは素晴らしいですね。
 
 
あと、スパイダーマン嫌いの編集長はいつもコミカルなキャラクターですが、3部作で彼が一番面白いのがこの3作目であることは間違いありません♪

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前作・前々作の記事はコチラ。



【映画】社会という名の厳しい現実。「スパイダーマン2」

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スパイダーマン2 (2004年、アメリカ)

【ジャンル】
SFアクション/アメコミ・ヒーロー
【監督】
サム・ライミ
【出演】
トビー・マグワイア(ピーター・パーカー)、キルスティン・ダンスト(MJ)、ジェームズ・フランコ(ハリー・オズボーン)、アルフレッド・モリーナ(オットー・オクタビアス)、ローズマリー・ハリス、J・K・シモンズ、ダニエル・ギリース、ディラン・ベイカー

あらすじ

グリーン・ゴブリンとの死闘から2年。ピーター・パーカーはスパイダーマンとして日夜悪と闘いながら大学にも通っていた。しかしヒーロー稼業の忙しさゆえに大学は落第寸前。せっかく見つけたピザ屋のバイトもクビになってしまった。そんな中ピーターは、メイおばさんが開いてくれた誕生パーティーでMJとハリーに久々の再会を果たす。しかしゴブリンの一件以来MJとの距離は広がり、スパイダーマンを憎む親友ハリーとの関係も複雑になっていた……。

感想 (2011年2月6日、TV録画にて鑑賞)

スパイダーマン実写映画化2作目。

1作目の魅力に別の視点を与えた感じです。
大学生のピーターは安アパートを借りてバイトをしながら大学に通い、同時にヒーローとして悪人退治もこなさなければなりませんが、両立ができず、次第に生活に支障をきたしていきます。
恋人や友人ともうまくいかない中で、あのメチャクチャな編集長によってスパイダーマンが悪者にされてしまい、大いに悩むピーター。すると不思議なことにスパイダーマンとしての能力が消えていき、普通の人間に戻ってしまいます。
そこで、ピーターがした決断は……。


1作目と同じように“冴えない主人公”をコミカルに描きますが、今回は一人暮らしを始めて社会に出た主人公を描くことで、別の視点からもピーター像を照らし出します。
描かれ方はコミカルですが、それが僕達の実生活に根ざした問題と似ている分、シリアスに切なさが伝わってきて、感情移入度は前作より高いかもしれません。
そして“ヒーロは孤独だ”ということをより味わえる続編だと思います。

そんな中で、ピーターがベンおじさんの死の真相をメイおばさんに打ち明けるシーンは、余計に痛みが伝わってくる良いシーンです。
たしかに「1」ではそこまで話してないんですよね。ピーターはメイおばさんに対してずっと心のなかにわだかまりを残したままだったんですね。
それが、少しでも解消されていくエピソードは良かったと思います。




今回の悪役は“ドック・オク”という科学者、と彼が開発した人工知能アーム。
基本的にスパイダーマンに出てくる悪役はどこか悲哀を抱えているのかもしれないですね。
「1」のグリーン・ゴブリンも、最期のセリフが泣かせますし、このドック・オクもとても哀しい悪役です。人工知能にしたって、生存や実験のために行動していただけですから、その存在理由とか考えると実に切ない。


ストーリーは「1」以上に面白いと思います。
ただ、残念だったのが「1」と同じくMJが悪役にさらわれていったこと。あれは「やってること同じ」と言われても仕方なかったかな。

あとやっぱりキルスティン・ダンストは油断していると全然可愛くないのがどうしても残念。ついでにピーターの下宿先の大家の娘さん(マゲイナ・トーヴァ)も、性格いいのは分かるし、背も高くてスレンダーなのも分かるが、どこか素直にカワイイと言えないんですよね。僕、メンクイ?(汗;
安心して癒してもらえる女性キャラがメイおばさんしかいないんだけど……(笑)いや、ホントに。

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※銀行にトースターを貰いにきたメイおばさん。
前作の記事はコチラ。

7月観たい映画いくつか

7月に映画館で観たい映画をピックアップ。
近所の映画館のスケジュールから選んでいるため、すでに公開されているのも含まれます。



「キリング・フィールズ 失踪地帯」(2011年、アメリカ)
【ジャンル】クライム・サスペンス
【監督】アミ・カナーン・マン
【出演】サム・ワーシントン、ジェフリー・ディーン・モーガン、クロエ・グレース・モレッツ
アメリカ・テキサスに実在する犯罪多発地域“キリング・フィールド”。2人の刑事は少女が犠牲となった事件を追っていたが、その矢先、別の少女も失踪してしまう。
7月7日から

クロエ・モレッツ大好きな僕としては「ダーク・シャドウ」よりもこっちが気になってました。全国公開はもっと早かったはずですが、近所の映画館で満を持しての(?)公開。なんとなく、DVDレンタルがもうすぐ始まりそうな気がする……。何気に主演が「アバター」のサム・ワーシントンですので、この映画の印象しだいで彼の最新作「崖っぷちの男」を観るかどうか決まります。(ただ、実際はクロエしか目に入らないと思うが……w)



☆7月はアニメ作品が豊富☆
「グスコーブドリの伝記」
宮沢賢治の児童文学を映画化。7月7日公開

「メリダとおそろしの森」
ディズニー&ピクサーが贈る新たなプリンセスの戦い。7月21日公開

「おおかみこどもの雨と雪」
「時をかける少女」「サマーウォーズ」の監督・細田守、脚本・奥寺佐渡子、キャラクターデザイン・貞本義行が三度集結。7月21日公開

たぶん、観るとしたら「おおかみこどもの雨と雪」。これを観ずして他のアニメ作品には手を出せない感じ。ただし、観たら観たで精神的に不安定になりそうで怖い。(内容が良すぎてw)



「ダークナイト ライジング」(2012年、アメリカ)
【ジャンル】アクション
【監督】クリストファー・ノーラン
【出演】クリスチャン・ベール、マイケル・ケイン、ゲイリー・オールドマン
21世紀にその名を刻んだシリーズの完結編。新ビジュアルのバットマンが繰り広げるアクション、そして謎のキャットウーマンの真実にも注目。
7月28日公開

「バットマン ビギンズ」も「ダークナイト」も復習済みなので、これは劇場へ観に行きます!大画面で観たいですね。





以上、気になってる映画はこんなもんですか。
まず「ダークナイト ライジング」とクロエ出演作は観るとして、問題はアニメ枠ですよ(そんな枠あったのかw)
三者三様の特長がありそうですが、どれも「いま観たい」という感じじゃないんですよね。
細田守監督の最新作も、「子育て」にあまり興味が無いもので……(;^ω^A ァセァセ

Exit Planet Dust / ケミカル・ブラザーズ

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Exit Planet Dust
The Chemical Brothers
Virgin Records, 1995, UK

1. Leave Home
2. In Dust We Trust
3. Song To The Siren
4. Three Little Birdies Down Beats
5. Fuck Up Beats
6. Chemical Beats
7. Chico's Groove
8. One Too Many Mornings
9. Life Is Sweet
10. Playground Of A Wedgeless Firm
11. Alive Alone



ケミカル・ブラザーズの1stアルバム「Exit Planet Dust(さらばダスト惑星)」です。
ブリブリのビッグビートですね。
それもそのはず、ケミカル・ブラザーズのこの一枚によってビッグビートというジャンルが生まれたわけですからね。


#1「Leave Home」からブレイクビーツとロックを融合した特徴的なサウンドを展開します。

彼らの曲は大袈裟なギミック・効果音も魅力の一つ。#3「Song To The Siren」を始めほとんどすべての曲で巧みなギミックが聴けます。#4「Three Little Birdies Down Beats」などはギミックだけでできてるような曲(笑)
一番インパクトあるのは、イントロからブリブリいってる#6「Chemical Beats」ですね。


ケミカルのソングライティングの素晴らしさも1stアルバムから発揮されています。
#7「Chico's Groove」のアンビエントなエレクトロから、歌声に癒されまくりの#8「One Too Many Mornings」へと続く流れが特に好きです。
ケミカルは必ずこういう癒し系の楽曲も入れてくるんですよね。しかも毎回すごい秀逸なのを。

癒し系のあとは再びビートがうねりまくってる#9「Life Is Sweet」
これはなかなか軽快で楽しげな曲です。

ラストは#11「Alive Alone」で#8とはまた違った歌ものを投入。
歌ものといっても、なんだかため息っぽいですが、まあ、合うんですよ、これが、エレクトロに。

【音楽】EXPOSED / BOOM BOOM SATELLITES

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EXPOSED
Boom Boom Satellites
gr8! Records, 2007, Japan

1. UPSIDE DOWN
2. WHAT GOES ROUND COMES AROUND
3. MORNING AFTER
4. SHUT UP AND EXPLODE
5. BRING IT ON DOWN
6. INTERGALACTIC
7. SIX FORTY FIVE
8. FIENDS
9. ENTERING ORBIT
10. EASY ACTION
11. CLUSTER
12. GET BACK IN MY HOUSE



ブンブンサテライツの6thアルバム「EXPOSED」!
彼らのデビュー10周年を記念したアルバムでもあります。


もう5年くらい前の作品なのにいまだに興奮度MAXで聴いてます。(7thをまだ聴いてないというのもあるけどね^^;)

このバンドの現在の方向性は、4thあたりから出始めていて、5th「ON」で開花。
この6thではさらに攻撃性を増した感じで、#1「UPSIDE DOWN」からもうニヤニヤしてしまいます。
とにかくそれまでのアルバムの中で最もキャッチーでエキサイティングとなった集大成的(?)アルバムです。


バンドの勢いを表すかのようにタイアップ曲も豊富ですね。
#2「WHAT GOES ROUND COMES AROUND」はクライスラー車のCMで、#3「MORNING AFTER」はホンダのCMで使われました。

アニメ界からの評価も高く、#4「SHUT UP AND EXPLODE」はアニメ「忘念のザムド」のオープニング曲ですし、#8「FIENDS」と#10「EASY ACTION」はどちらもアニメ映画「ベクシル 2077日本鎖国」の劇中歌です。
一番有名な曲は「EASY ACTION」なのかな。

上に挙げた曲は全部オススメですね。
特に#3の高速シークエンスがたまらない…。
その他、#1のインパクトが凄いし、#9「ENTERING ORBIT」のスペーシーなインスト曲も好きです。

全体的にダンス・フロアにロック持ち込んでテクノで味付けした感じです。
全英語詞ですが、もともと逆輸入アーティストなだけあって自然でかっこいい。それをハイテンションに歌ってますから余計にかっこいい。

彼らのアルバムの中では……一二を争う……。
いや、ブンブンのアルバムはどれもよくて順位なんて付けられないです。

【映画】豪華キャストが歌い踊る!前半は珠玉のエンタメ!「愛と誠」

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愛と誠 (2012年、日本)

【ジャンル】
アクション/コメディ/ミュージカル
【監督】
三池崇史
【出演】
妻夫木聡 (太賀誠)、武井咲 (早乙女愛)、斎藤工 (岩清水)、大野いと、安藤サクラ、前田健、加藤清史郎、余貴美子、伊原剛志、市村正親、一青窈

あらすじ

1972年、新宿――。ある復讐のために単身上京してきた札付きの不良少年・太賀誠は、早速、地下街にたむろする不良グループと大乱闘を繰り広げる。警察に捕まり、少年院送りとなった誠だったが、その乱闘をブルジョワのお嬢様・早乙女愛が偶然目撃していた。早乙女財閥の力によって誠は釈放され、名門・青葉台学園に強引に編入させられる。住む場所も与えられ、最低限の生活費も得た誠。すべては、誠をまっとうな人間に更正しようという愛の一途な思いからだった。しかし、誠はここでもまたトラブルを起こし……。

感想 (2012年6月20日、チネ・ラヴィータにて鑑賞)

予告編で突然歌いだす武井咲を見て、「( ゚д゚)なんだコレは!」と思って鑑賞。
直前に「週末興行成績が初登場11位」という不穏な情報を得るも、「あの『十三人の刺客』と同じく三池作品」というネームバリューで観に行った感じです。初日・2日目の動員数なんて注目度しか表してないしね。
 
でも、はっきり言って失敗しました。同じ三池作品でも、「十三人の刺客」よりも「ヤッターマン」寄りの作品。
笑えないコメディ、盛り上がらないシリアス……。
やっぱり興収のスロースタートも納得、というか妥当だと思いました。
 
 
70年代に人気を博した同名漫画が原作。
悪魔のような不良少年・太賀誠と、彼に恋をした天使のような良家のお嬢様・愛、そして彼女を慕う優等生や、太賀を狙う不良たちなどが織りなすエンタメ・ムービー!……ということになってます。
 
確かに、序盤から中盤辺りまでは(かなりテンポが悪いけど)それなりに面白く見れました。
「愛とは、武器であり、戦いである!」みたいな冒頭のメッセージには正直「純愛エンタメ」以上のものを期待したし、幼年時代のある事故をアニメで描いたことも特に文句はないです。
 
そして、この映画のトーンが掴み切れないうちに、さっそく始まってしまう太賀と不良グループのバトル。
いきなり歌いだす太賀と、一緒に踊ってくれる不良たち(笑)
何なんだこの映画は!どう観れば!?( ゚д゚)えと、とにかく、妻夫木カックイイ!
たしかに、これはエンタメだ。エンタメ以外のなにものでもない……。

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でも、肝心なのはまとめ方です。
後半は、ハッキリ言ってどうでもいい話が小ネタとともにダラダラと続く印象。
そしてあの衝撃も笑撃もないラスト。まとまってないんですよ、ラスト。モヤッとなんですよ。

結局、愛の献身は太賀を変えてないですからね。
心に秘めていた復讐が決着をみた途端、フラフラと歩き出す太賀。
そして、フラフラとラストシーンへ。こっちはモヤモヤですよ。
さらに、最後に幼年時代の事故の続きを再びアニメで描いた意図が分かんないし。


個性的な登場人物たちについても、脇役(ガム子・権太・高原由紀)があまりに目立ってしまい、主人公たちの心情の変化が描ききれてない感じです。というか、三池監督はそういうものを描くつもりがあるのかしら?

一番目立っていたのは、愛を猛烈に慕う優等生の岩清水。
太賀はひねくれ者、愛は天然ボケなので、観客が誰の視点で物語を見るかといったら、岩清水です。
まあ、このキャラも「きみのためなら死ねる!」と連発するギャグキャラなんですが、一方で彼なりの哲学で己の愛を貫き通した感じ。少なくとも一番筋が通っていたのは彼でしょう。

だからこそ、逆に主人公・太賀の説明ナッシングな行動が際立つというか。

高原由紀を演じた大野いとは、演技はともかく、なかなか薄くていい顔だな~と思いました。
経歴見たらモデル出身の人らしい。16歳て、若~。
ただ、個人的にはこの映画好きじゃないので、彼女の次回出演作に「共演は、『愛と誠』の大野いと……」とか書かれるのかと思うと、ちょっと微妙な気持ちです(笑)


三池崇史のネームバリュー以外に気になっていたネーム、「音楽:小林武史」「振付:パパイヤ鈴木」の件ですが、フタを開けたら昭和の歌謡曲を現代風にアレンジした懐メロミュージカルって感じでした。
歌も踊りも面白かったですが、登場人物一人につき持ち歌一曲という楽曲の少なさが残念。
後半はそれが祟り、ほとんど歌が披露されない状況に。終盤近くで一曲流れた時は、「なんで今さらガム子の歌なの?」と思いましたし。
やっぱり、どう考えても前半にブッコミすぎてますよ。

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そんなわけで、僕としてはいろいろ文句を言いたくなる映画でした。
三池崇史監督の持ち味であるヴァイオレンスも、途中から一辺倒で飽きてきますし。
平面的な乱闘だけじゃなくて、もっと上下に動きのある立ち回りや、武器も必要でしたね。
鬼才、天才と言われているけど、この映画を観て感じたことは、「この監督ってちょっと、うさんく才」

(加藤清史郎くんが一番かっこよかったなぁ……)



【音楽】ENO / POLYSICS

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ENO
POLYSICS

Ki/oon Records, 2001, Japan

曲目

WAKE UP, POLYSICS!
NEW WAVE JACKET (reform)
WEAK POINT
KASUGAI
COMMODOLL
BYE BYE RED SNEAKER
KI.KA.I.DA!
ENO
1&I
H MAJOR
HIGHWAY RULE
AT-AT

感想

エレクトロなサウンドと過激なパフォーマンスが面白いロックバンド、ポリシックスの4thアルバム「ENO」です。
パンキッシュだった前作「NEU」と比べていきなりエレクトロでポップになった一枚。このアルバムから日本語の歌詞も歌うようになりましたが、ほとんどは英詞ですね。
逆にさかのぼって聴いてみると、エレクトロ・サウンドと、英詞の組み合わせがかっこいいです。日本語の歌詞だとふざけすぎているというか……。
なので、個人的にはかなりお気に入りの一枚。


まず、聴いてほしいのは#2「NEW WAVE JACKET」。このバンドがどういうバンドなのかが、一瞬で分かるはず。
ポップな電子音と、わけわからない歌詞と、ギュインギュイン鳴ってるギター。ウケ狙いの歌詞と気持ちのいいギターが両方楽しめます。

#3「WEAK POINT」や#4「KASUGAI」もバンド・サウンドが最高にかっこいい、というのが前提にあって、その味付けとして、電子音やトンでるヴォーカルがある。

どの曲もいい曲ばっかりなんだけど、その中で一際輝いているのが、#7「KI.KA.I.DA!」ですね。
かなりカオスな曲だけど、すごくハイテンションでかっこいいです。
それから、初期のライブの定番曲だったという#12「AT-AT」も、カオスな中でバンドの気持ちよさを忘れてない曲。


ポリシックスのアホみたいな歌詞がどうも……という人は、英詞で歌ってるこのアルバムがオススメです。
ポリシックスの歌詞ウケる~っていう人は、このアルバムで「かっこいいポリシックス」を再発見してもいいかも♪

【音楽】EAT THE ROCKIN' / THE JENI JENI

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EAT THE ROCKIN'
THE JENI JENI

Rock & Hill Records, 2000, Japan

曲目

NO MORE REASONS ~theme of THE JENI JENI~
ボクノココロ
PARTY A GO GO!
スーパーゼロ
フリーター2001
FLASH BACK
夜海紅涙
BAN! BAN! BAN! BAN! ~一発録りVersion~
ロックンロールおもちゃ
あたしのうた ~Studio Live Version~
I ❤ R&R!
CONTROL
Jenny
遮二無二
あたしの左手 ~一発録りVersion~
壊れた秘密

感想

ヴォーカルのジェニ子と4人の男どもによるインディーズ・ロックバンド、ジェニジェニのアルバム「イート・ザ・ロッキン」です。
たしかこれが1stフルアルバムですが、詳しくは知りません。電器屋で買った覚えがあります(笑)


バリバリのロックバンドです。細かいジャンルは特になく、いろんなジャンルのロックがごっちゃになってる一枚ですね。
リバイバル・ロックみたいな感じもしますね。(単に10年前のアルバムだから懐かしく聴こえるだけかな?w)

基本的にライブをかなり意識した高速テンポでハイテンションな曲が多め。
#1「NO MORE REASONS」から#4「フリーター2001」まではあっという間。シンプルな歌詞で、明るめな印象。ブルーハーツとかにもちょっと似てる印象。
#5「FLASH BACK」でちょっとダークに。久しぶりに聴いたらけっこう好きになってて驚きました。

#6「夜海紅涙」のミディアムテンポで一休みの後は(スローテンポじゃなくて、ミディアムで一休みw)、再びハイテンションに戻って#7「BAN! BAN! BAN! BAN!」、#8「ロックンロールおもちゃ」、そして#9「あたしのうた」。
この「あたしのうた」も好きだったな~。なんとなく「学祭!」って感じがするバンドです。でも、演奏が拙いという意味じゃなく。

後半もハイテンション。アプローチが陰だったり、陽だったりするけれど。
一応、#13「遮二無二」が夢追い人のバラードって感じで、アルバムのまとめみたいなものになるんでしょうか?まだ終わりませんけどね。
#15「壊れた秘密」は、一番ポップな曲ですね。この曲も好きでした。


しかし、このレビューは……。これ読んで「ふむふむなるほど」って言う人いるのかな?
自分で書いてて何も伝えられてないのが分かる。

とにかく、ハイテンションなロックバンドということです。(投げたw)

【映画】ラストでとんでもない秘密が!「メン・イン・ブラック3」

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メン・イン・ブラック3 (2012年、アメリカ)

【ジャンル】
SFコメディ
【監督】
バリー・ソネンフェルド
【出演】
ウィル・スミス(エージェントJ)、トミー・リー・ジョーンズ(エージェントK)、ジョシュ・ブローリン(若き日のK)、エマ・トンプソン(エージェントO)、アリス・イヴ(若き日のO)、ジェマイン・クレメント(ボリス)、マイケル・スタールバーグ、ビル・ヘイダー、マイク・コルター、キーオン・ヤン

あらすじ

コンビを組んで14年になるエージェントJとKは、今日も地球で暮らすエイリアンたちを監視し、その暴走を取り締まるべく奔走していた。ある日、月面刑務所から脱獄した凶悪エイリアン・ボリスが地球に逃げ込んだことを知ったKは、一人ボリスを追う。単独行動をとるKを不審に思ったJは、その理由を問い詰めるが全く取り合ってもらえない。そしてその日を最後にKは姿を消してしまう。翌日、上司Oから「Kは40年前に亡くなっている」という不可解な言葉を聞いたJは、Kを恨むボリスによって過去が書き換えられたことを知り、Kと地球の危機を救うために40年前のNYへタイムジャンプする……。

感想

(2012年6月13日、チネ・ラヴィータにて鑑賞)

10年ぶりのシリーズ最新作を映画館で観てきました。
3Dでの鑑賞でした。3Dの出来は、「う~ん……」でした。

というか、もう特に3D映画についてあーだこーだ言う時代ではないのかもしれない。
2D映画に、映像が特に素晴らしい作品とそこまでじゃない作品があるように、3D映画にも没入感味わえる作品とそこまでじゃない作品があるだけの話で、3D作品だから没入感なくちゃダメって決めつけることもないですよね。
しかも、伝説と化してる「アバター」とかを3Dの基準にしてしまったら、そりゃ満足することはできないわけで……。


話がいきなり逸れましたが、「メン・イン・ブラック3」の話。
うーんやはりストーリー単純だけど、時間移動の分だけわかりづらくなってはいるかな。
でも、時間移動についての小難しいルールなどはなし。SFファンには物足りないくらい(笑)
ルール無用だからこそ成り立つ話です。

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キャスティングには文句なし……と言いたいけど、若干の文句あり。
今回の悪役エイリアン・ボリスが正直、役不足だったかな~と思います。
1のバグや2のサーリーナと比べるとどうしても三流エイリアンに見えてしまう(笑)サーリーナに金で雇われて使われていたとしてもおかしくない。
せめて最後に変形とか巨大化してくれれば……。

あと、1作目からの脇役たちが軒並み登板しなかったのも地味に痛いです。
エージェントZと犬のフランク、そして質屋のジーブス。おなじみの面々が出てこなかったのは少し残念。ワームたちも影が薄い。
Zとフランクは出てこない理由がネタになっていて笑えたけど、両方とも同じ理由にする必要あったのかな?(いや、まだフランクの近況は確定じゃないのか……?)

とにかく、ウィル・スミスとトミー・リー・ジョーンズ以外のキャストが一新されていて、MIBなんだけどなんとなくMIBじゃないような感じでした。
中年太りのヒゲ親父ZがいてこそのMIB本部でしょ?エマ・トンプソンが仕切るMIB本部はなんだかスタイリッシュだった……(笑)


キャストで良かった点は、40年前のKを演じたジョシュ・ブローリン。
最初は似てるかぁ~?と思ったんだけど、途中、ふとした仕草がトミー・リー・ジョーンズそっくりだと気づいてからは顔もセリフもジョーンズにしか見えませんでした。
ブローリンはジョーンズの演技をかなり勉強したんでしょうね……。似てました♪

今作は若き日のKが登場するということで、逆にトミー・リー・ジョーンズの出番は少なめかな~と思ってたんですが、少ないなりにも存在感ある演技でしたね。
でも、やっぱり老けたな~。ラストの秘密が明かされた後は余計に老けて見える……。


今作はラスト前にある秘密が明かされます。(まだ観てない人のために、どんな秘密だったかは書きません。このブログにはピカッとする機能はありませんので……)
気づいた時には鳥肌もんでしたが、正直、MIBシリーズには必要ない要素だったかも。
だって、JとKはもとから名コンビじゃないですか♪

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※この一輪車ほしい~!


前作・前々作のレビューはこちら。



【映画】MIB本部、占拠されました!「メン・イン・ブラック2」

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メン・イン・ブラック2 (2002年、アメリカ)

【ジャンル】
SFコメディ
【監督】
バリー・ソネンフェルド
【出演】
トミー・リー・ジョーンズ (エージェントK)、ウィル・スミス (エージェントJ)、ララ・フリン・ボイル (サーリーナ)、ロザリオ・ドーソン (ローラ)、ジョニー・ノックスヴィル、トニー・シャルーブ、リップ・トーン

あらすじ

MIBのエージェントKとJが地球を救ってから5年――。今やJはトップ・エージェントとして活躍していたが、Kの引退以来パートナーが見つからず、ついには上司Zからパグ犬エイリアンのフランクを相棒に任命される始末。そんなある日、凶悪なエイリアン・サーリーナが強大な力を秘めた「ザルタの光」を探し地球にたどり着き、MIB本部を占拠してしまう。難を逃れたJはザルタの光と因縁のあるKを訪ねるが、記憶を消されたKは今は片田舎の郵便局で働いていた……。

感想

(2012年6月10日、TV録画にて鑑賞)

「メン・イン・ブラック」の続編は、やはり単純。分かりすぎるくらいに、分かりやすい展開。

またもや凶悪なエイリアンが襲来。人間の姿に化け、強大な力を持つお宝を狙って暗躍します。
このサーリーナ、セクシーなのが売りでしたが、実はシリーズ3作の中で一番の強敵っぽいエイリアンなんですよね。
まず第一に、冒頭のシーンでの惑星を次々と破壊していく様子で、なんだか見境のないエイリアンだな~と分かるし(その後地球に着陸した宇宙船のサイズにはププッ(〃゚艸゚〃)oO○(ゥケル)となりましたが♪)、そしてなにより、サーリーナは手下を連れている!
手下をこき使ってMIBと戦ったエイリアンは彼女だけです。

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※MIB本部は俺達が取り戻すぜ!的な意気込みのワームたち。

では、主人公JたちのMIB側はどうかというと、こちらも3作中で最も豪華な布陣。
JやK、Zはもちろん、1で登場したワームたちも活躍。質屋のジーブスも相変わらず頭を吹っ飛ばされてるし。
さらに今回はJの新相棒として犬のフランクがエージェントFに昇格。ツボを抑えたキャスティングが見事です。それから、マイケル・ジャクソンがエージェントになりたがっていたのもいい思い出(笑)


今回はロザリオ・ドーソンがヒロインとして登場。
気に入らない相棒にはすぐピカピカやっていたJが、彼女にはニューラライザーを使えないとかロマンス要素も折り込みつつ、しかも、ラストでその淡い恋心を切ない別れに昇華させたのはうまい展開だったかな。

アクションの方も、銃撃戦やカーチェイスなど前作とは違ったバトルが用意されていて、まずまず面白い内容。
でも、すごい単純でのんびりした映画に感じるのは何故でしょうね。

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※こういうのをブサカワイイと言うんだね!


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