スパイダーマン3 (2007年、アメリカ)
【ジャンル】
アクションSF/アメコミ・ヒーロー
【監督】
サム・ライミ
【出演】
トビー・マグワイア(ピーター・パーカー)、キルスティン・ダンスト(MJ)、ジェームズ・フランコ(ハリー・オズボーン)、トーマス・ヘイデン・チャーチ、トファー・グレイス、ブライス・ダラス・ハワード、ジェームズ・クロムウェル、ローズマリー・ハリス、J・K・シモンズ
あらすじ
今やニューヨークのアイコンとして市民に愛される存在となったスパイダーマン。その正体である学生ピーター・パーカーの私生活も順調で、彼は交際中のメリー・ジェーン・ワトソン(MJ)にプロポーズすることを決意する。ある夜、ピーターは最新鋭の戦闘スーツに身を包んだニュー・ゴブリンこと親友ハリー・オズボーンに襲われる。なんとかハリーを退けるが、その時のショックがもとでハリーは記憶の一部を失ってしまう。父親を殺したのがピーターだと思い込んでいたハリーとピーターの間にかつての友情が戻ってくるが、MJとピーターの関係はぎくしゃくしだしていた……。
感想 (2012年6月2日、DVDにて鑑賞)
つい先日、TVで放送してましたが、そのちょっと前にDVD借りて見たので、今回はその感想ということで。
サム・ライミ版スパイダーマン・シリーズの事実上の完結編ですね。
1作目では、スパイダー能力に目覚めるピーター・パーカーと、グリーン・ゴブリンの戦いを描き、2作目では暴走するドック・オクとの戦いと、親友ハリーとの仲違い、そしてこの3作目では人間の心の闇と戦うピーターを描きます。
このシリーズのテーマが何だったかと考えると、やはり「許し」でしょうね。
3作目まで見てようやく気づきましたが、「許し」がシリーズ通して描かれているかと。
そして「許し」の前段階として「恨み」も必要不可欠なので、「恨み」と「許し」をセットにすると、より明確にテーマ部分が浮き上がってくるかな。
1作目でのベンおじさんの死によって、ピーターの中に犯人と自分に対する「恨み」が湧き上がり、それをようやく3作目ラストに「許す」ことになります。
また、親友ハリーに目を移せば、1作目ラストでハリーはスパイダーマンを憎み、それは2作目でピーターへの恨みに変わり、しかし最終的にはやはり許すことになります。
今作の敵の一人であるヴェノム(黒スパイダーマン)がまさに人間の恨みを取り込み増幅させているようやヤツで、そのヴェノムを倒すということは、憎しみを乗り越え和解のもとに平和を築いていくということを暗示しているのかもしれないですね。
そんなわけで、敵が3人も出てくるうえに今まで溜まりに溜まっていた恨みが一気に浄化されていくので、非常にエピソードを盛り込んでしまった感のある3作目。
ただし、そのひとつひとつにきちんと「恨み」「許し」が含まれているので、実はどれひとつ欠けてもダメな作品です。
役者さんの演技についても、なかなか面白い作品。
特に、ピーター・パーカーを演じたトビー・マグワイアと、ハリー・オズボーンを演じたジェームズ・フランコの演技は注目。
ピーターは途中で黒い液状生命体に寄生されもともと持っていた傲慢さや負の部分が表面化するわけですが、いつものフニャ~とした笑顔から一転、キリッとした余裕のない顔になります。
この豹変っぷりがすごかったですね。さすが役者と思いました。
一方、ハリーは序盤でなんと記憶を失うという展開で、ピーターへの憎しみを忘れてしまいます。
ハリーの父が死ぬ以前の仲の良かった頃のピーターとハリーに戻るのです。
この時のハリーが実に爽やかな好青年で、もともとこんな人だったっけ?ってちょっと初対面な感じもしました(笑)あまりに爽やかなもんでメリー・ジェーンが惚れ直しかけるからね。
そのメリー・ジェーン・ワトソン(MJ)を演じたキルスティン・ダンストは、やっぱり最後まで微妙なヒロインでした。
わりかしゴージャスな見た目なので、ピーターよりもハリーと似合うと思うんだけど。
っていうか、今作ではむしろピーターと対立してないか?
MJもある意味で敵だと気づいた3作目(言い過ぎw)
正直、グウェン役で出ていたブライス・ダラス・ハワードの方がイケてましたが彼女も万人受けしない感じで、やっぱりこのシリーズは脇役含めてヒロインが微妙w
(新作「アメイジング・スパイダーマン」に期待します)
ちなみに、僕がこのシリーズの影のヒロインだと思っているメイおばさんですが、今作でもピーターの心の支えとなってくれます。(このシリーズ、主人公の心の支えは恋人ではなく叔母さんなのですw)
この人はある意味「許し」というテーマを最初から体現しているような人ですね。この人がいなければ、ピーターは自分を許すことができなかったし、犯人を許すこともできなかった。
こういう物語に絶対欠かせない人物をさりげなく配置しているところは素晴らしいですね。
あと、スパイダーマン嫌いの編集長はいつもコミカルなキャラクターですが、3部作で彼が一番面白いのがこの3作目であることは間違いありません♪
前作・前々作の記事はコチラ。