感動器官

笑い、涙、鳥肌、私たちの感動を現出させる器官。

2011年02月

【映画】デイ・アフター 首都水没





「デイ・アフター/首都水没」(2007年、イギリス)

原題:Flood  監督:トニー・ミッチェル  製作総指揮:エヴァ・ラドヴァンスカ  製作:ピーター・マカリーズ、ジャスティン・ボドル、マイケル・プラパス、フィリップ・キー、ジュヌヴィエーヴ・ホフマイア  脚本:ジャスティン・ボドル、マシュー・コープ、リチャード・ドイル(原作)  出演者:ロバート・カーライル、ジェサリン・ギルシグ、デヴィッド・スーシェ  音楽:デビー・ワイズマン  編集:サイモン・ウェッブ  上映時間:110分

【あらすじ】
スコットランドを襲っていた嵐がロンドンに近づき、沿岸部に巨大な高波が押し寄せた。テムズ川の河口に設けられた巨大堤防・テムズバリアもある構造的欠陥から意味をなさず、ロンドン市街は水没してしまう。テムズバリアの責任者サム(ジェサリン・ギルシグ)と夫のロブ(ロバート・カーライル)は、生き残るための道を模索するが……。



【感想】
(2011年1月10日、TV録画にて鑑賞)

ヤフー映画の評価ではある意味驚異の1.75点。五つ星評価を100点満点評価に変換する方程式「x=(y-1)×25」に当てはめると、100点満点中、約19点。うわぁ……。
日本公開がなくて、DVDやTVだけの鑑賞だからこういう低いポイントで安定するんでしょうね。
でも、たしかにつまらない映画でした……。正直言うと、1ヶ月以上経って全部忘れてしまってたんですけどね!wサイトのあらすじを読んで「ああ、そういえば『テムズバリア』!」なんて状態です。


物語は、スコットランドに住む女性が突然の洪水に襲われるところから始まります。
そして、その女性と別居中の夫と、父に会いに来ていた娘のロンドン(?)での被災ストーリーが描かれます。まあ、割とシンプルな話で、混乱の中でパニックになったり、人を助けようとしたり、逆に助けられたりしながらなんとか生き延びる話です。

その話と並行して進むのが前述のテムズバリアの話。むしろこちらが映画の核となる物語です。
テムズバリアの責任者(?)サムが、スーパー堤防の点検のために呼び出したのが、別居中の夫ロブ。
運悪く、ロブが点検作業中に、テムズバリアは高波に襲われます。
そこからはしばらく、押し寄せる水にアップアップしながらなんとか逃げるサムとロブの話。
途中で、さっきの親娘の話を挿入したりしながら映画は続きます。

33a5f782.jpg



最後は、唯一テムズバリアの欠陥を訴え続けていたロブの親父さんが、「アルマゲドン」のブルース・ウィリスのごとく自分の命を投げ出して任務を完遂するのですが、そのシーンがあまりにもストレートに「アルマゲドン」を思い起こさせる、しかも命がけな理由があまりにもお粗末なので、「アルマゲドン」のお涙頂戴にすら到達できなかったハンパなオマージュでした。(なぜこの映画で「アルマゲドン」のオマージュをやるのかも分からないしw)
一番、違和感というか、ツッコミ入れたくなるのがこのエピソードで、本作には他にも「ちょっとな……(;´∀`)」というシーンがたくさんあります。
責任感じたどこかの長官がスーサイドしちゃったり、対策本部に呼び出しておいてヘリの一つもよこさない。徒歩で行けってか!?


結局、ロンドン水没する以前に、映画自体が沈没しています。
見る側にもある程度の覚悟が必要です(笑)

【映画】バベル

90e71503.jpg




「バベル」(2006年、アメリカ)

原題:Babel  監督:アレハンドロ・ゴンサレス・イニャリトゥ  製作:スティーヴ・ゴリン、ジョン・キリク  脚本:ギレルモ・アリアガ  出演者:ブラッド・ピット、ケイト・ブランシェット、ガエル・ガルシア・ベルナル、役所広司、菊地凛子  音楽:グスターボ・サンタオラヤ  撮影:ロドリゴ・プリエト  編集:ダグラス・クライズ、スティーヴン・ミリオン  製作会社:メディア・ライツ・キャピタル  配給:ギャガ・コミュニケーションズ  上映時間:142分

【あらすじ】
モロッコを旅行中のアメリカ人夫婦のリチャード(ブラッド・ピット)とスーザン(ケイト・ブランシェット)が、突然何者かによって銃撃を受け、妻が負傷するという事件が起こる。同じころ、東京に住む聴覚に障害を持った女子高生のチエコ(菊地凛子)は、満たされない日々にいら立ちを感じながら、孤独な日々を過ごしていた……。



【感想】
(2011年1月9日、TV録画にて鑑賞)

お正月からこんなの流すなんてどうなってる!?(笑)
しかも一部の内容がきわどくてカットされてるじゃないか!(怒)


人々が自らの限界を知るため、天まで届く塔を建てようと頑張っていたら、それをよく思わない神様が、人々に別々の言葉を話させるようにして作業を中断に追い込んだ……それがバベルの塔の物語。
いつだって、この世は神様の胸先三寸なんですね。

そんなバベルの塔をタイトルに持ってきた映画「バベル」。
コトバが通じない――転じて「ココロが通じない」世界を4つの視点から捉え、時間をバラバラにしてしまった映画です。

父親から羊を襲うジャッカル退治のために猟銃を手渡されたモロッコ人の兄弟。
モロッコを旅行していた最近うまくいってないアメリカ人夫婦。
アメリカ人夫婦が事件に巻き込まれたために、幼い子供たちから離れられなくなってしまったベビーシッターのメキシコ人。
モロッコ人に猟銃を譲り渡した日本人のハンターと、母親の自殺によって心に大きな穴が開いてしまった聴覚障害をもつ娘。

この4者の視点が、一丁の猟銃によってかろうじて繋がり、独特な寂しさ、孤独感、無力感の中で描かれていきます。

1e26a427.jpg



テーマとかはとても面白く興味深いですけど、とにかく暗い……。
どこにも救いが示されない、とことん登場人物に厳しい映画です。
アメリカ人夫婦を襲った凶弾が、テロリストのものではなく、アメリカと友好関係にあり、治安も経済も安定している日本人が持ち込んだ物だった――というのは皮肉ですね。

どうやらいつものように雰囲気だけを味わうのでは、この映画の良さは分からないみたいで……。
難しい映画です。分かりづらい。
細かいところではモロッコ旅行中に狙撃されてパニック状態に陥るアメリカ人たちに違和感です。瞬時に「これはテロだ!」と断言できるような危険地帯に、なぜに“観光”に来てるのか?


まあ、音楽とかはダイレクトに耳に入ってくるので、この映画を少しでも理解したくて(否、中古で安かったので)サントラを買っちまいました。
音楽監督グスタボ・サンタオライヤの深いギターの音色、メキシコの陽気なラブソング、そして坂本龍一のピアノ曲がやっぱりスンバラシイ。
でも、サントラもなんだか全体的に暗いですね……(笑)

【映画】PLANET OF THE APES / 猿の惑星

7d7bd182.png

PLANET OF THE APES / 猿の惑星
(2001年/アメリカ)
【監督】
ティム・バートン
【キャスト】
マーク・ウォールバーグ
ティム・ロス
ヘレナ・ボナム=カーター
 
【あらすじ】
西暦2029年。調査活動中の巨大宇宙船オベロン号には人間の他に、遺伝子操作と高度な訓練で高知能化した猿達も乗せられていた。あるとき、オベロン号は奇妙な磁気嵐を発見する。チンパンジーのペリグリースが操縦するポッドを調査に向かわせるが、たちまち磁気嵐に吸い込まれ、通信が途絶えてしまう。 宇宙飛行士のレオもポッドで船を飛び出し、ペリグリースを追うが、やはり磁気嵐に吸い込まれ、ある惑星に不時着する。 そこは人間が高度な知能を持つ猿に支配される世界だった。



【感想】
(2011年1月9日、TV録画にて鑑賞)

1968年の名作映画「猿の惑星」のリメイク映画。
「猿の惑星」はTVで見たことがあり、その続編の「続・猿の惑星」だかも見た記憶があります。
(たしか続編では地底人が出てきたような……)
で、この2001年のリメイクは見たことないなぁ、と思って見始めたら、あれ?なんだか見たことあるサル顔だな……。実はこれも一度見たことがある作品でした(笑)

以前見たときよりは、映画に詳しくなっていますので、ティム・バートン監督作品の中では僕好みだということや、ゴリラ軍人を演じたマイケル・クラーク・ダンカンが顔そのまんまだったり(失礼;)、本編と違うところでも楽しめました。


全体的には、なんかつまんない感じも漂っているんですけど……、でも、まあ、SFだし、戦いもあるし、往年の名作を踏襲して無駄に美女とか出てくるし、いろいろ大目に見てあげたい作品。ゴールデンラズベリー賞の最低リメイク賞を受賞しちゃってるんですよね……。
ただ、「猿の惑星」と比べたら、技術的な部分では進歩してますし、ストーリーも分かりやすくていいのでは。入門編としては最適かも。

僕としては、オベロン号の小型ポッドの形状とか、頭隠して尻隠さずなオベロン号の"尻"の形状とか、そういう"物"に惹かれる作品ですね。宇宙服を着せられたチンパンジーもカワイイ♪


ラストはお決まりとも言える、バッドな結末。
なるほど、ティム・バートン監督らしいんじゃないですか?
砂に埋もれた自由の女神は人間社会の崩壊・滅亡のみを表していたけれど、今作のリンカーン像は新たなサル文明の創造・発展の意味があって、よくよく考えると「猿の惑星」よりもパンチの効いたラストだったかも。
主人公的には、今度こそ駄目だと思うけど……(苦笑)

【映画】キック・アス

58bb9e47.jpg

観客全員、ヒット・ガールの餌食に!?

キック・アス(2010年、アメリカ/イギリス)

【監督】
マシュー・ヴォーン
【出演】
アーロン・ジョンソン
クリストファー・ミンツ=プラッセ
クロエ・グレース・モレッツ
ニコラス・ケイジ
マーク・ストロング

あらすじ

コミックオタクでスーパーヒーローにあこがれる高校生デイヴは、ある日、インターネットで買ったスーツとマスクで、ヒーローとして街で活動を始める。何の能力も持たない彼はあっさり犯罪者にやられるも、捨て身の活動がネット上に動画で流され、<キック・アス>の名で一躍有名になってしまう。

感想 (2011年2月16日、フォーラム仙台にて鑑賞)

「マチェーテ」を超える作品に早くも出会ってしまった!(笑)


史上最弱のダメヒーロー“キック・アス”に笑い、倫理を超越した残虐少女ヒーロー“ヒット・ガール”に萌える、そんなヒーロー映画です。

特にヒット・ガール(クロエ・グレース・モレッツ)、ヤバ過ぎです。ちっさな体で跳ね回り、敵の体に容赦なく刃を突き立てる!笑いながら!!Σ(´∀`;)
当然、「子供になんてことさせるんだ!」ということになり、R15+指定です。
でも僕は、「よくぞ、こんなに可愛くてヤバいヒーローを生み出してくれた!」と原作者と監督に拍手を贈りたいです。ヒット・ガールを前にしたらダニー・トレホだって「マチェーテ、子供には勝てない」と逃げ出すはずです。

ヒット・ガールと、そのパパ(ニコラス・ケイジ)が扮する“ビッグ・ダディ”。
この親子ヒーローの存在は、ヒーローというより、むしろ復讐に燃える殺し屋に近いです。何故って、一般人を救うシーンが無い。もっぱらマフィアのダミーコ一家を狩って“ヤク”をパクる日々です。


それとは対照的なのが、冴えない高校生が扮する“キック・アス”。
デイヴは、悪事を見ても何も出来ない、カツアゲされても反抗できない自分に嫌気が差し、ヒーローになることを決心します。全身緑のスーツで街を歩く姿は、他人から見れば「クスリでイカれた野郎」にしか見えません。

でも彼の心にあるのは、「正しいことをしたい」ということ。これが親子ヒーローとは明らかに違うところです。
そして多分、このデイヴの思いが、この映画の裏の魅力として観客を惹きつけるんだと思います。

キック・アスが言います。「悪事を黙って見ているだけなんて、許せないんだ!」これは、誰の心にもある思いのはずです。でも、実際には目の前で交通事故が起これば、携帯を取り出して写メしたり動画を撮ったりする人が多いのではないでしょうか。
キック・アスの言葉は悪人に放たれたと同時に、現代を覆う“無関係・無関心”に対しての憤りなんです。

しかし、物語はあくまで滑稽です(笑)そして過激すぎるほどに激しい。


けっこう悪趣味な描写もあるので、気分を害する人も中にはいるかもしれません。
脚本もよく出来ているのかなんなのかよく分かりません(笑)
でも、高校では友達になりたくてもなれなかった2人が、なりきりヒーローとして友情を育んでいくのとか、そうと見せかけて決定的な亀裂を用意してたりとか、巧いのか、なんなのか(笑)
恋人とのことも、あまり一生懸命描かずにサラリと流してくれる感じが、僕には合いました♪

ちなみに、中盤でアクション控えめになったとき、「もうヒット・ガールのアクションないのかな~」と彼女の再登場を切望している自分がいました。そして期待を裏切らない終盤の大立ち回り!Moeeeeeee!!!!!!!!(爆)
やはりメインは“笑い”とヒット・ガールのバイオレンスなのでしょう。

26d03725.jpg



とにかく、ハマリ度MAXの作品です。これは。
ヒット・ガールをもっと見たい!もっと殺ってほしい!!ヾ(゚Д゚ )ォィォィ
でも、クロエ・モレッツは売れっ子で今後も出演作目白押しで忙しいみたいです。
(「ぼくのエリ 200歳の少女」のハリウッド・リメイクへの出演もあるらしい!ヴァンパイアのクロエ・モレッツ!?っくあぁぁぁぁ~っ♪)←僕、もう自我を保てない!!
そうなると、次作でヒット・ガールは成長した“女”になってしまうのか!?“ガール”は卒業してヒット・ウーマンなのか!?それは、ちょっと……。なんか、「ヒーロー」よりも「ヒットマン(殺し屋)」に近づいてる……。

出涸らしの薄いお茶を長く味わうよりは、役者・物語・時間がうまく噛み合ってものすごい衝撃(笑撃)を与えてくれた今作をずっと思い出としていきたい、そんな気持ちです。

今年も残り約10ヶ月……。果たして、僕はヒット・ガールを超えるヒロインと出会えるのだろうか!?







音楽がナイスな選曲でしたので、覚書き。

(サントラ情報)
Stand Up/プロディジー
Kick Ass (Radio Edit)/Mika vs. RedOne
Can't Go Back/プライマル・スクリーム
There's a Pot Brewin'/The Little Ones
Omen/プロディジー
Make Me Wanna Die/The Pretty Reckless
Banana Splits (Kick-Ass Film Version)/The Dickies
Starry Eyed/Ellie Goulding
This Town Ain't Big Enough For The Both Of Us/スパークス
We're All In Love/ニューヨーク・ドールズ
Bongo Song/Zongamin
Per Qualche Dollaro in Pi? (夕陽のガンマン)/エンニオ・モリコーネ
Bad Reputation/Joan Jett and The Blackhearts
An American Trilogy/エルヴィス・プレスリー


けっこう懐かしめの曲が多い?
サントラ欲しい~~。

【名セリフ】「あの答えは美しくない」

名セリフ#253


湯川「四色問題は既に証明されたはずでは?」

石神「いや、あの答えは美しくない……」

――石神哲哉
(映画「容疑者Xの献身」より)

【名台詞】「海が……」

名セリフ#252


「海が、あんまりにもキレイでよぉ……」

――剛田武(ジャイアン)
(映画「ドラえもん のび太の人魚大海戦」より)





ラストでのセリフ。泣きながら。

かろうじて、存在感を示せた感のある今回のジャイアン……。

【アニメ映画】ドラえもん のび太の人魚大海戦

f816c5b2.jpg

ドラえもん のび太の人魚大海戦
(2010年/日本)
【監督】
楠葉宏三
【キャスト】
水田わさび
大原めぐみ
かかずゆみ
木村昴
関智一

【あらすじ】
"架空水"という道具を使って、町を海にして遊んでいたドラえもんたち。そこに、5000年前にアクア星から地球にやって来た人魚族の王女・ソフィアが現れる。人魚スーツを着て海底冒険に繰り出したドラえもんたちだったが、しずかちゃんが何者かにさらわれてしまう。そして、伝説の"人魚の剣"をめぐる人魚族と怪魚族の戦いが始まり……。

【感想】
(2011年2月12日、地上波にて鑑賞)

しばらくドラえもん見てなかったけど(TVも映画も)、なんだかイマイチでしたね……。
いい年してドラえもん映画見て「いまいち」とか感想述べるのもどうかと思うけど(笑)
少なくとも、若かりし頃に見たドラえもん映画はもっと感動できて、その感動を期待して今回見てしまいました。


まず先に僕の勝手な期待をあげさせてもらうと……。
・ドラえもんのひみつ道具が何かの理由で使用不可でなければ、ドラえもん映画じゃない。
・ジャイアンが仲間のために男気あふれる闘いをしなければ、ドラえもん映画じゃ(ry
・のび太がボロボロになりながら何度も立ち上がらなければ(ry
この3つを勝手に劇場版の「お約束」と考えていて、当然今回の「人魚大海戦」にもそれがあるんだろうと思っていました。これなくして、果たして「映画ドラえもん」と呼べるのか……?それぐらい僕にとっては重要な問題です。

正直、過去に見たのはシリーズのどれかと問われれば、まったく思い出せません。恐竜は見てないな……、雲の上の王国に行きましたっけ?そんなうろ覚えの状態です。
でも、上にあげた3つの要素だけは、漠然と、しかし確信を持って「覚えている」と言えます。
例えれば、老舗料理屋の「変わらない味」。いつも同じだけど、また食べたくなる味なんです。

しかし、今回はお約束の味がいつもとちょっと違う。何か物足りない。昔の味を知ってる客としては、「二代目が継いで、味も変わっちまったな……」と言わざるを得ないです。

ドラえもんの四次元ポケットが使えなくなれば、自然とのび太たちは徹底的に追い詰められるんです。追い詰められた状況で、のび太たちが自分たちの知恵と勇気で闘うという構図が出てきます。そこに映画ならではの緊張と感動が生まれるんですが、でも今回はポケットがいつも以上に便利でした。(なんとドラミちゃんの輸送という新たな使い道が発覚します!w)
ジャイアンの男気はほとんど描写なし。むしろ、初めから"イイヤツ"でした。「あのジャイアンが……ウルウル」という感動はありませんね。のび太にいたっては、ラストは傍観者でした?うーん、やっぱりのび太が人一倍活躍してこその「ドラえもん のび太の××」だと思います。それとも最近の子供たちはもう、のび太になんか感情移入しないのかな?

細かい点へのツッコミは我慢しますが、この3点だけはちょっとがっかりな点でした。


割と良かったというか「お?」と思った点。
・架空水で海面上昇。
・架空水で一件落着。

「架空水面シミュレーター・ポンプ」というひみつ道具の説明で、ドラえもんがサラリと「海面上昇の影響を調査するために作られた」とか言っていたのが、目下地球温暖化中の現実にリンクしてるじゃないか!そして架空水で家の2階部分まで水没した町の風景なんて、まさしく「来てほしくない未来」の姿じゃないか!wでも、のび太は楽しく魚と泳いでてゾッとするじゃないかwww
たぶん、何かを訴えたいわけではないんだろうけど(伝えたい事がよく分かりません)、偶然にも訴えるべきこととリンクしていて、大人だけ勝手に好きなように受け取れる微妙なメッセージになっていました。

怪魚族によって海が汚染される話もあったし、もっと海の環境について警鐘を鳴らすような展開・セリフがあってもよかったのでは。ベタだけど、ドラえもんでベタなことしてくれないと、どこでやるのって話です。


絵の感じは、映画独自の書き方で、輪郭が筆ペンで書いたように緩急自在でした。
あの手作り感はいいですね( ´∀`)bグッ!
ぬくもりがあるし、動きを見てると、ただ機械的に少しづつセル画をずらしただけという感じがしないんですね。
絵が動いてる感じがするんですね。絵が、自分の意志で。
けっこう絵は面白いと思いました。



最後に、映画の話じゃなくなりますが(笑)、TV放送で映画の前に流れた「ドラえもんだらけ」という短編。
すごい面白かったんですけど!タイムマシンを使って2時間おきの未来の自分を連れてきて仕事させるという!!そして2時間経つと今度は自分のところに過去の自分がやって来て2時間前に連れ去られるという!!w
昔、「違う時間の同じ人物が出会うと世界が爆発する」みたいな説を聞いた覚えがありますが(ドラえもんで)、
まあとにかくドラえもん、SFしてました!( ´∀`)bグッ!
こういう話は本当に好きだな、僕は。

【映画】容疑者Xの献身

627812b0.jpg

容疑者Xの献身 (2008年、日本)

【ジャンル】
ミステリー
【監督】
西谷弘
【出演】
福山雅治 (湯川学)
柴咲コウ(内海薫)
北村一輝(草薙俊平)
ダンカン(工藤邦明)
長塚圭史(富樫慎二)
金澤美穂(花岡美里)
益岡徹(葛城修二郎)
林泰文(柿本純一)
渡辺いっけい(栗林宏美)
品川祐(弓削志郎)
真矢みき(城ノ内桜子)
松雪泰子(花岡靖子)
堤真一(石神哲哉)

あらすじ

惨殺死体が発見され、新人女性刑事・内海は先輩と事件の捜査に乗り出す。捜査を進めていくうちに、被害者の元妻の隣人である石神が、ガリレオこと物理学者・湯川の大学時代の友人であることが判明。内海から事件の相談を受けた湯川は、石神が事件の裏にいるのではないかと推理するが……。

感想 (2010年1月8日、地上波にて鑑賞)

TVドラマはまったく見なかった僕ですが、タイトルがいいので見てみました。
いやあ、献身的でしたね~容疑者エックス(笑)

なんか、ドラマじゃなく本格ミステリーを映画化しました!って感じが伝わってきました。暗いですけどね。
いっそのこと、「ガリレオ」とは別のパラレルワールドで描いてくれると、ドラマ見てない人にとっては嬉しかったですが……。石神があくまでガリレオの旧友だったから物語になった感じが残念ですね。今回は物理学者じゃなくても解決できませんでした?まあ、いろんなミステリーに言えることですけどね。2時間サスペンスではタクシー運転手やら心理学者やらバンバン事件解決しますし(笑)


堤真一の演技が怖くて良かったですね♪厳密には、“怖い男を装う男”の演技。
そして被っていた仮面を外されてしまったときの演技が、また怖かった。
想いを抱く隣人(命の恩人)を救うために、人の道を簡単に踏み外してしまうことも、怖かったですね。

松雪泰子は本作では弁当屋の女主人ですが、たしか「クヒオ大佐」でも弁当屋の女社長でした(笑)
巧みな嘘で金をせしめるクヒオ大佐と、自らを犠牲にしてまで勝手に自分を守ろうとする隣人・石神。
いやあ、男ってコワイですねぇ……((((;゚Д゚))))

e69a1d36.jpg



犯人は目星が付いているけど、果たしてどうやって殺したのか?という線で話が進みます。
そこの部分は本当に途中まで分からないので、なかなか面白い映画だと言えると思います。

その謎が解けても、まだ堤真一の迫真の演技が楽しめたので、全体的に暗く欝な雰囲気でしたが、好感触の映画でした。
事件自体には、まったく共感できませんが。

天井に映し出される四色問題とか、美しいシーンもいいんですが、推理するだけでしっかりと描かれていない「犯行」についてはまったく共感できず、人間の心の不完全さ、脆さを感じて薄ら寒い思いがします。
「愛すべき人への献身」は確かに美しかったですが、「そうでない他者」への仕打ちはあまりにも酷かった。

堤真一が演じた石神という男。哀しみからくる優しさを持ち合わせながら、自分の命も他者の命もゴミのように扱ってしまった彼の「怖さ」が面白かったです。



【読書】アンドロイドは電気羊の夢を見るか?


「アンドロイドは電気羊の夢を見るか?」

著:フィリップ・K・ディック
訳:浅倉久志
ハヤカワ文庫SF

【あらすじ】
核戦争後の世界。人類の多くは宇宙へと移住し、アンドロイドを労働力として使役させていた。しかし、一部の人間たちは荒廃した地球にとどまり、降りしきる灰の中で生活していた。生き物はほとんど死に絶え、いつしか地球では「本物の生きた動物」を飼うことがステータスになっていた。
“バウンティ・ハンター”のリックは本物の動物が欲しかったが、彼が持っているのは電気で動くニセモノの羊だった。生きた本物を手に入れるためには莫大な金が必要になる。リックは賞金を稼ぐため、火星から脱走してきたアンドロイドたちを始末する任務を受けるが……。



【感想】
ディックの傑作長編として有名な――、映画「ブレイドランナー」の原作として有名な――、そして「○○は××の夢を見るか?」という類の言葉の元ネタとして有名な――「アンドロイドは電気羊の夢を見るか?」です。
ようやく読む機会がありました。タイトルの意味はそういうことだったのね♪


アンドロイド狩りの男が、人間と見分けのつかないアンドロイドたちを相手に、検査したり、レーザー銃を撃ったり、ベッドに入ってみたり、というお話です。(いつものようにふざけて書いてますので、真に受けないでくださいね♪……嘘はついてませんがw)
外見的にはまったく人間にしか見えず、仮初の感情も備わっているアンドロイドが登場します。例えば、レーザー銃で撃ち殺しても、死体を検査にかけなければ確証が得られないほどの、人間っぷり。

それを主人公リックは感情を検査する検査法で暴こうとしますが、その検査法も100%間違いない……かもしれないという、テキトーな設定から始まります。
こいつは本当にアンドロイドなのか、アンドロイドを冷酷に殺すことは正しいのか、俺は正常な人間なのか……、リックは悩みながら脱走アンドロイドを処理していきます。


文章はかなり簡潔に書かれていて、次々と先に進みます。が、少しあっさりしすぎる書き方かな?もうちょっと言葉を繰り返してじっくり読ませてほしいと感じる箇所がありました。
なんというか、題材は深読みに適したものなのに、文章が深読みするヒマを与えてくれない、そんな感じでした。


“マーサー教”や“キップル化”などの概念や、電気動物たちが登場するのは面白かったです。
僕が特に気に入った言葉は“キップル”。キップル化とは早い話、部屋などがゴミや埃に浸食されることだそうです。
使い方の例、「Yuckeの部屋はかなりキップル化が進んでいる」。早速明日から使ってください(笑)

【映画】ソフィアの夜明け

357143e7.jpg




「ソフィアの夜明け」(2009年、ブルガリア)

原題:Eastern Plays  監督・脚本:カメン・カレフ  制作:カメン・カレフ、ステファン・ピリョフ、フレデリク・ザンダー  出演:フリスト・フリストフ、オヴァネス・ドゥロシャン、サーデット・ウシュル・アクソイ  撮影:ユリアン・アタナソフ  音楽:ジャン=ポール・ウォール  編集:カメン・カレフ、ステファン・ピリョフ、ヨハネス・ピンター  配給:紀伊國屋書店、マーメイドフィルム  上映時間:89分

【あらすじ】
ブルガリアの首都ソフィア。38歳のイツォはドラッグ中毒を克服すべくメタドン治療を続けている。仕事は木工技師だ。恋人ニキの誕生日の晩、レストランに出かけるが、そっけない態度をとって喧嘩別れになってしまう。帰り道、観光客のトルコ人一家がネオナチの集団に襲われている現場に遭遇し、スキンヘッドの弟ゲオルギの姿を見つける。助けに入って怪我をしたイツォは一家の美しい娘ウシュルと親しくなるのだった。



【感想】
(2011年2月2日、チネ・ラヴィータにて鑑賞)

第22回東京国際映画祭で三冠(グランプリ、最優秀監督賞、最優秀男優賞)を達成した本作。
いい映画だということは納得出来るんだけど、ひとつだけ文句を言いたいことが(-_-メ)

それは、多くの観客が事前に目にするであろう予告編やあらすじでの些細な“ネタバレ”。
イツォがメサドン治療中だとか、イツォとゲオルギが兄弟だとか、あのギャングがネオナチだとか。
その中でも、イツォとゲオルギが兄弟だという事実は伏せておいて欲しかったです。

映画の中では、途中までイツォとゲオルギはなんの接点もなく過ごしています。それがある事件の最中に出会い、その後、兄弟だったということが初めて明かされるんです。
この小さな驚きを本来なら味わえるはずなのに――もしかしたら映画祭の審査員たちは味わったのかもしれない――あらすじを読んでしまったために接点の無い2人を兄弟として見てしまいます。

もちろん、あらすじや予告編がなければ、この映画を観ることもなかったでしょう。
ただ、あの構成を見れば、監督がイツォとゲオルギの関係を途中まで伏せておきたかったのは明白で、どうして“あらすじ書く人”や“予告編作る人は”はその点を考慮してくれなかったんだろうと、不思議に思います。

ひとつ言えることは、“情報を仕入れずに観たほうが絶対面白い”ということです。
……って、もうすでにいろいろ無駄な情報を書いてしまいましたがね(m´・ω・`)m ゴメン…


ウシュルの登場に小さな希望を見いだし、イツォの孤独と人類に覆いかぶさる閉塞感に絶望を味わう映画です。
大げさな演技はしてくれないので、観る者を選ぶ映画かもしれません。

ギャングが出てきます。ネオナチという設定みたいですが、そんなことはけっこうどうでもいいのかも。
結局、どこの国の若者も、社会から抑圧されていると思い込み不満を抱き、それを理不尽な方法で発散する。
ゲオルギの姿は、「闇の列車、光の旅」のカスペルと重なりました。
冒頭のゲオルギのアップは凄まじいインパクトです。(惜しむらくは、観客は既にソイツがゲオルギでネオナチでイツォというヤク中の兄がいるって知ってしまっていることです……)

また、アンダーグラウンドを描くシーンが多いので、自然とそういったブルガリアの現代のミュージックシーンも垣間見れます。イランのミュージックシーンを描いた「ペルシャ猫を誰も知らない」と同じように、東欧ブルガリアにも様々な音楽が溢れています。
特に、この映画で2曲ほど使用されたnasekomixというバンドが好きかもしれません。“Adam's Bushes, Eva's Deep”というアルバムからダンサブルな“Inject Love Song”とアコーディオンの奇妙なメロディが面白い“Lady Song”が使われていたみたいです。っが、日本では流通してないみたいですね~(´・ω・`)ショボーン

5d3762bb.jpg



主演俳優が撮影終了直後に事故にあって亡くなっていることや、登場人物が演じている役者の芸名で呼ばれいたり、ブルガリアの灰色の街の景色とか、とても興味を持てる映画です。
一年に7,8本しか映画が作られないブルガリアの、貴重な一本ですが、言ってることは全人類に共通する、先行きの不透明さによる不安や、人類が“善”になれないことに対する苦悩だったり、“孤独”に対する恐怖だったり、とても大きな、でも身近なテーマを描いていました。

監督が主人公イツォのモデルとし、主演としたフリスト・フリストフの言葉が、どこから演技でどこから本気なのか考えながら観るのも面白いと思います。
劇中何度も「フリスト」と名乗り、そう呼ばれるイツォ。劇中なのに!
どうやら、木工アートも本当にフリストの作品みたいですね。監督はモデルというより、等身大のフリストを撮りたかったのかも。実はフィクションの皮を被ったドキュメンタリーなのかもしれません。

当ブログのやる気スイッチ
ブログランキングならblogram
ブログ内記事検索
タグ
ギャラリー
  • 「ちはやふる 上の句」広瀬すず演じるヒロインの魅力が作品に説得力を持たせる。
  • 「ちはやふる 上の句」広瀬すず演じるヒロインの魅力が作品に説得力を持たせる。
  • NEXT ネクスト
  • 精霊の守り人
  • ホワイトハウス・ダウン
  • ホワイトハウス・ダウン
  • 映画 ふたりはプリキュア Max Heart 2 雪空のともだち
  • ダイヤモンドの犬たち
  • 「ハッカドール ハッカソング0号」カップリング「恋のアルゴリズム」が神曲!
  • 誘拐ラプソディー
  • 4DXでパンツァー、フォー♪「ガールズ&パンツァー 劇場版」
  • 4DXでパンツァー、フォー♪「ガールズ&パンツァー 劇場版」
  • 4DXで「マッドマックス 怒りのデス・ロード」(ネタバレ)
  • シュトヘル 第2集
  • アレックス・ライダー
  • 映画ドラえもん 新・のび太の日本誕生
管理人のつぶやき
管理人プロフィール

ゆけち。

映画やアニメを見る側の人。

最新コメント