感動器官

笑い、涙、鳥肌、私たちの感動を現出させる器官。

2010年07月

交渉人 真下正義

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2時間ドラマとしては面白い。映画だから問題。
 
 
 
『交渉人 真下正義』
2010年7月30日、自宅にて鑑賞。
 
 
 
【あらすじ】
クリスマス・イブの夜、最新鋭の実験地下鉄車両が何者かに乗っ取られる。
「クモ」と名付けられたフリーゲージトレインは、東京の地下を無人のまま自在に走っていた。
混乱する総合司令室に、警視庁交渉課準備室課長の真下がやってくる。
やがて犯人からの電話が入り、真下と姿無き犯人の駆け引きが始まる。
 
 
 
【感想】
「踊る大捜査線」シリーズのスピンオフ作品。フツーに面白い。(少なくとも地上波で見る限りは……)
前にもやはり地上波で見たことがあるので、ストーリーも結末も分かっているのだが、
それでも緊張感を持って見られたし、たまにニヤリとした。
 

地下鉄構内を走り倒すSATがやたらカッコイイが、
この映画の最大の魅力は「メイク・チームワーク」にあると思う。
「チームワーク」ならば、「踊る」本編で何度も目にしているのだが、今回は「メイク・チームワーク」。

交渉人・真下(ユースケ・サンタマリア)は部下を率いてTTR(地下鉄会社)の司令室に乗り込んでいくのだが、司令室を恐怖で統治する指令長・片岡(國村隼)からは邪魔者扱いされてしまう。
しかし、いつしか2人は「クモ」を止めるために共闘するようになる。
「こいつで大丈夫なのか?」と思われていた真下が、終盤、指令長や線引き屋から励まされつつ送り出されるシーンは、やはり良いシーンだ。

または、木島と真下のやり取りは……言うまでもなく面白い。

細かい所を言えば、CSIのメンバーたちのハイテクなやりとりの中に、TTR広報担当(石井正則)が何故か関わっていく(例えば、携帯をパスする・両手で丸を作り合図を出す)シーンは、真剣な捜査の最中なのになにやらほのぼのしていて、「踊る」らしくて楽しめる。
ちなみに石井正則は無類のコーヒー好きだと言う事をTVで見たので、彼がコーヒーを持ってきた瞬間、「飲みてぇ~!」と激しく思った。そこらへんに置いといていいレベルの珈琲では無いよ、あれは、きっと。
 
 
 
「踊る」シリーズにしては珍しく、登場する犯人が一人。
真下vs犯人という構造がはっきりしているが、むしろ犯人よりも、犯行を阻止しようと奮闘する男たちについつい目がいってしまう。
まあ、犯人は「謎の」ままで終わってしまったしな……。犯人像を描けない以上、主人公と仲間の占める割合は増えるよな……。

でも、「犯人がよく分からない」という終わり方は、最初は「ん?」と思うけど、逆にこれでいいのかもしれない。

犯人がオタクだって時点で、犯人役としては役不足なんだよね。
ラスト、真下が車を追いかけるシーンで、車から小太りの男が汗かきながら降りてこられても困るでしょ。
ガリガリのメガネ君でもインパクト無いし。
じゃあ、茶髪のジャニーズ系?ってそれじゃ何を狙ってんのか分からない。

「ひきこもり」や「オタク」に対して世間が思っている「得体の知れない人間」という感じを、
正体を明かさずに終わらせることでよりうまく表現しているっていうか……。
僕は、全然アリだと思った。
 
 
 
というより、何をやっても文句が噴出してくる作品ではないかと。
結局、どこまで行っても「スピンオフ」の枠からは抜け出せず、フジの影響力も拭えない。
 
「踊る」のドラマシリーズからのファンにはやたら叩かれているようだ。そういう方々にとっては、ドラマシリーズはもはやバイブルのような存在で、スピンオフ作品なんて異端なんだろう。
 
この時期に地上波で流れたのも、「踊る3」で金を稼ぎたいフジの思惑だってことは分かる。
あるいは、「踊る3」を観た人すらも視聴者として想定してるのかも。
天下の金曜ロードショーの時間帯に「踊る」映画を被せてくるなんて、フジの天狗っぷりが鼻につく。
 
なので、今回でこの作品は見納め、というか、封印。
たぶん、何かにつけてTVでやるだろうけど、もう見ることはしないと思う。
「シリーズ最低の出来映え」と酷評しながらも「踊る」を見続けるファンとは、ちがうから。
 
 
一言:『ポセイドン』はバッチリ録画しますた☆

★★★☆☆
 
『交渉人 真下正義』
英題:NEGOTIATOR
監督:本広克行
出演:ユースケ・サンタマリア、寺島進、國村隼、水野美紀
配給:東宝
2005年、日本

【音楽】月凪 ~the world of eth-musica~ / 東京エスムジカ



東京エスムジカのミニアルバム。
インディーズから7曲を収録して発表されたもの。
平たく言うなら「エスノポップ」な一枚。

まず、ジャケットが良い。
だんだん美人に見えてくる。


『月凪』というタイトルだが、初期の代表曲『月凪』は入っていない……。
再販された「primitive盤」の方には収録されてるみたいだけどね。


#1『紺碧の空を後にして』のイントロから歌い出し(Aメロ)でかなり気分が上がる。エスニックな掛け声(?)と激しいパーカッションが競奏する中で、何よりもボーカル2人の声の伸びと軽快なピアノの音色が心地よい。

面白いのは、#3『陽炎』や#5『雨音がサヨナラのメロディを』などではっきり分かるが、打ち込みのビートを多用していること。ベースラインも電子音だったり。
メンバーの構成上何も不思議はないが(女性ヴォーカル2人、サウンドプロデュース1人)、エスニックとポップスの融合にテクノが関わって来ているのは、いかにも21世紀のアーティストらしい。


最初期の一枚なので「荒削り」って言われるみたいだけど、荒削りだからこその力強さを僕は感じる。全曲に。

#4『綺羅』や#7『ポレポレ』のような、ポップス的な歌も良い。「あ、女の子だったんだよな」と思い出してみたり(笑)
しかしけして、ポップス>エスニックとなっていない所に惚れた。


★★★★☆

月凪 ~the world of eth-musica~
東京エスムジカ
Bug Corp.,2004,Japan

『ジョーカー』第3話

錦戸くん暴走!





さて前回、早くも鑑識の久遠にバレてしまった伊達の秘密ですが…

(え?マスター、なんか知ってるぽい?)

(え?課長、もしかして知ってるぽい?)

(りょうなんて、自力で気付きそうだな…)

(あ?マスター、知ってるどころの騒ぎじゃないじゃん!共犯!)


…なんだ。けっこう皆知ってるぽいじゃあないか(笑)


先週、久遠にバレた衝撃は…やんわりやんわり…受け流された印象が…(笑)

しかししかし、来週こそは、伊達とマスターが久遠を謎の場所へ案内するであろう。たぶん。





■今週の杏ちゃん■

今週は完全に久遠エピソードだったため、ラスト10分出番無し!

この宮城あすかというお人は、伊達の秘密を知った時にどういう行動を取るのだろうか。
伊達&久遠と同じく、悲しい過去を背負っているようですが…。気になる。

伊達のイメージカラーは黒。
宮城が白になったら面白いと思う。





とりあえず、「明日は来ない」という言葉の意味を楽しみに待とう。

来週も、刮目!

ソラリス/SOLARIS

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マイレイア、マイライフ。
 
 
 
『ソラリス』
2010年7月24日、自宅にて鑑賞。
 
 
 
【あらすじ】
心理学者のクリスに、惑星ソラリスを探査中の宇宙ステーションを調査する依頼が舞い込んだ。
ステーション内部で怪現象が起こり、地球との交信も途絶えてしまったのだ。
さっそくステーションに向かったクリスだったが、内部はほぼ無人でいたるところに血痕があった。
ようやく見つけた2人の生き残りは、事の真相を話したがらない。
仕方なく寝床に入ったクリスだが、その夜、死んだはずの妻『レイア』がクリスの前に現れた……。
 
 
 
【感想】
ジョージ・クルーニー演じるクリスが、宇宙を飛び回り、マイレージを溜めていく……という話ではない。
なんかそういう映画あったよなぁ。スーツの代わりに宇宙スーツ着てるしな……(笑)
 
本作は由緒正しき人文系SFで、スタニスワフ・レムの原作を70年代にタルコフスキーという監督が映画化したという経歴を持つ(らしい)。
つまり、その『惑星ソラリス』という映画のリメイクにあたるわけだ。(僕はこの映画も原作も未見)
『惑星ソラリス』を見た人からすれば否定的になってしまうようだが、僕としては面白かった。
 
 
とても静かなSFミステリーで、恐怖とやりきれなさを含んだロマンティックな愛の物語でもある。
 
不思議な惑星ソラリスの力によって、クリスの前に現れたレイア。
死んだはずのレイアには、クリスの記憶の中の妻が投影されていた。
幽霊でも幻でもなく、レイアを複製した、実体のある存在。
この複製には自我がある。意思がある。しかし、アイデンティティーにクリスが不可欠という不思議な生命体。
 
クリスは最初、恐怖し、やがてこの複製を愛していくようになるが、
果たしてそれは、「亡き妻への愛」なのか「新たに生み出されたレイア」への愛なのか。
人は、愛する人の何を愛しているのだろうかと、そんなことを考えさせられる作品。
 
 
 
『記憶の棘』でも同じような局面に遭遇する。
亡き夫の生まれ変わりを名乗る少年は、たとえ記憶と人格が夫だとしても、肉体は絶対に夫ではない。
しかしそれでも30代の未亡人が10歳の少年に翻弄されてしまうのは、人は肉体ではなく魂で認識しあっている、ということなのだろう。
 
『ソラリス』に当てはめれば、宇宙ステーション内に現れたレイアの肉体は、死んだ妻とは絶対に違うものだ。
しかしレイアはクリスの記憶を基に複製され、レイアを識別できる者がクリスしかいない以上、その人格・魂は、絶対的にレイアなのである。
 
 
うわー、わけわからん。(自分で言ってて……)
わけわからんが、ソラリスがとにかく神秘的で不思議な惑星で、優しいようでいて狡猾なようでいて、
その実、何も考えてないんじゃないかっていう未知数っぷり。この未知っぷりだけで、ステキかもしれない。
 
 
一言:コクピットから見るソラリスが一番綺麗だった。
 
★★★☆☆
 
『ソラリス』
原題:SOLARIS
監督・脚本:スティーヴン・ソダーバーグ
原作:スタニスワフ・レム
出演:ジョージ・クルーニー、ナターシャ・マケルホーン、ジェレミーデイヴィス、ヴィオラ・デイヴィス
配給:20世紀フォックス
2002年、アメリカ

記憶の棘/Birth

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入浴シーンにヴェネチアっ子がブーイングした映画。
 
 
 
『記憶の棘』(以下ネタバレあり)
2010年7月24日、自宅にて鑑賞。
 
 
 
【あらすじ】
アナの愛する夫ショーンはジョギングの途中で突然に病死する。
10年後、アナは新たな夫を持つことを決意し婚約するが、そんな彼女の前に見知らぬ10歳の少年が現れる。
「僕はショーンだ」と告げる少年の言葉にアナは困惑する。
そしてアナは、亡き夫と自分しか知らない事実を話すこの少年を、夫の生まれ変わりではないかと考え始める。
 
 
 
【感想】
「一度見ただけでは分からない映画」というジャンルの映画だ(笑)
ある意味ではリバース・ムービーとも呼べるだろう。
(原題は『Birth』だけれど、内容は明らかに『ReBirth』……)
 
ニコール・キッドマン演じる未亡人が、死んだ夫の生まれ変わりを自称する少年を、
最初は嘘だと決めつけながらも、徐々に愛していくという話。
しかし、真実が観客に明かされた時、そこには黒い『現実』があって、ちょっと哀しい終わり方をする。
 
……と、思っていたら、実はそうではなくて、やっぱりファンタジーらしい。(どっちだよ……)
で、ちょっと哀しい終わり方をする。(←これは間違いない)
 
「見る人によって解釈が異なる映画」というカテゴリの映画だ(笑)
だが、解釈は異なってもイメージはあまり変わらないかも。
 
 
 
結局は、『生まれ変わり』という話を信じるか信じないかで解釈が変わってくる。
言い方を変えれば、この作品をサスペンスと見るかファンタジーと見るか……。
 
冒頭で死ぬ直前のショーンが声だけの出演でこう語っている。
「もし、妻が死んで、翌日、窓辺に一羽の鳥がやってきて『ショーン、私はアナよ』と言ったら、
僕はその鳥を妻と思って一緒に暮らすでしょう。
しかし、僕は科学者ですから、『生まれ変わり』というのは信じていません……」
 
矛盾しているように聞こえるが、妙に納得できるセリフだ。
つまり、社会的にはそんな超常現象は起こることを認められないが、
もし自分が当事者だったときにそれを否定できるかどうかは、別の問題なのだ。
 
 
 
物語には、一つの『現実的』な誰もが認められるような答えが示されている。これで、大方の問題は片付く。
しかし、アン・ヘッシュ演じるクララがその答えに深く関与した時点で、一つの疑問が沸き起こる。
「本当にアナとショーンは愛し合っていたのか?」「それはアナの一方的な『思い込み』ではなかったか?」
 
婚約者のジョセフに対する謝罪で見せた、アナの、当初、自分を擁護し現実を直視しようとしない姿勢や、
その直後、ジョセフにすがるように嘆願したシーンは、アナの精神が追い詰められていることを想像させるし、
ラストシーンで見せるアナの茫然自失とした姿は、彼女の精神が常に不安定な状態にあることの示唆では?
 
つまりは、「アナは、夫が自分を愛していないことに薄々気付いていたが、表面上は良妻を演じ、夫が自分を愛していると自分に思い込ませ続けていた。そこへ、夫の急死。極度のストレスの中でアナは、自分の結婚生活が素晴らしいものだったと記憶を改竄し、やがて本当にそう信じるようになっていった。
10年後に現れたショーンを名乗る少年は、『ショーンと愛し合っていた』と信じ込みたいアナの深層意識にとっては格好の相手だった。しかし、婚約者の存在、年齢差、そしてそもそも『生まれ変わり』なんて無いという理性が、アナを苦しめる。だが、やがてそういったものが崩れ去っていく、アナとショーンの行動によって……。そうなった時初めてアナは、少年への愛を見せ始める。
しかし、クララによって少年は嘘を見抜かれ、アナに事実を打ち明けざるを得なくなる。少年の嘘から解放されたアナだが、それでも彼女の心は癒えることは無かった。なぜなら、アナの改竄された記憶はそのままであったし、『生まれ変わり』という都合の良い解答を忘れることができなかったからだ……」
 
これが、最も『現実的』な解釈の一つだろうか。
なんだか、とてもやりきれない……(笑)
 
 
しかし、もう一つの解釈ではもっとやりきれないかもしれない。
「『前世』と『来世』があり、『生まれ変わり』はある(少なくとも映画の中では……)」という考え方だ。
 
ほとんどすべて上の解釈と同じだが、「ショーン少年の前世は本当にショーンだった」とする解釈である。
クララの隠した手紙を読むことで前世の記憶を断片的に取り戻した少年。
そんな設定でも全然成り立つストーリーで、どうやらそちらが監督の意図したものらしい。
 
 
 
なかなかに難解な映画だけど、『ドニー・ダーコ』よりは解釈しやすいというか、標識があって分かりやすいかな。
間の長いカットやアップも、クラシカルな音楽と相まって良かったし。
禁断の愛という側面もあって、ちょっと危うさを感じるところもある。そういうところは結構好きだ。(←不謹慎)
ただ、絶対にハッピーエンドではないし、いろいろ謎を残す終わり方なので、万人受けはしないだろうね。
 
何が一番やりきれないって、クララがあの秘密を一生隠していくことかもしれない。
 
 
一言:真実はいつも女が隠し持っている。
 
★★★☆☆
 
『記憶の棘』
原題:Birth
監督:ジョナサン・グレイザー
出演:ニコール・キッドマン、キャメロン・ブライト、ダニー・ヒューストン
配給:東芝エンタテインメント
2004年、アメリカ

『ジョーカー』第2話

ジョーカー2回目。



まずは、『今週の杏ちゃん』から。


うーん、初回ほどのインパクトは無かったかな……。

というより、先週絶賛し過ぎて僕の中でハードル上げてしまったかもしらん。

まぁ、存在感は放ってますよ。

『静』の伊達と、『動』の宮城だよね。このコンビ。

今週も上司に噛み付いてたし。
思わず、「もっといけ、いけ!」と応援してしまった(笑)

被疑者にも噛み付いてしまって後悔する場面もあったっすな。

物語通して主人公が実は被疑者というヤバイ話なので、終盤で伊達と宮城がどう対峙するかは見物ですな。





今週の見所は、伊達刑事の『取調べ』だったね。

丸二日間、あの人に見つめられたら吐きそうになりますな。粘菌系の取調べ。

で、伊達が自分の取調べのことを「暴力を振るってしまった」って表現するのね……。
たしかに、目に見えない暴力というか、拷問というか……。

ふだん仲間から軽く見られてる伊達の、真の実力が見れたね。



だぁがしかし!
第2話にして正体がバレるというマヌケさは…(笑)

初回からして、物的証拠を現場に落としてたけど、まさかの急展開。

そして次回予告での、錦戸くんのセリフ!
な、なんと!そういう方向へ行ってまう!?

今回の盗聴・盗撮の件といい、……あなた本当に警察学校出てます?(笑)
まさか、本当に部外者なんじゃ……。



リップスライムの主題歌は、サビだけ印象が違いすぎるね。

ザ・コーヴ/The Cove

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ドキュメンタリー映画の皮をかぶった、ネガティブ・キャンペーンだ。
 
 
 
『ザ・コーヴ』
2010年7月12日、仙台フォーラムにて鑑賞。
 
 
 
【内容】
和歌山県太地町で毎年行われているイルカ漁を題材にしたドキュメンタリー映画。
撮影隊は立ち入り禁止区域に無許可で入り込み、『入り江』の中で行われていたことをカメラに収めた。
 
 
 
【感想】
上映中止騒動などで話題にならなければ絶対に見ることは無かっただろう。
 
イルカ漁というものを、欧米人のイルカ保護活動家の視点で一方的に否定・非難している映画だ。
巷では「プロパガンダ映画」とも言われている。
 
 
見たあとで、「つまらなかった」と思った映画はたくさんあるけど、
「しまった。この映画に金を払ってしまった……」と後悔したのは初めてだ。
できれば多くの人が、この映画に金を払わずに(つまり見ないで)毎日を過ごしてほしいと思う。
 
それというのも、内容や監督を含む出演者たちに、まったく好感が持てないのだ。
僕が払ったお金を、あの人たちはいったい何のために使うのだろうと思うと、すごく失敗した気持ちになる。
(実際には、ポイントが溜まった無料鑑賞券で見たんだけど、……同じことだろう)
 
 
結局は、捕鯨に反対する人たち(シーシェパード含む)の、一方的な主張でしかなく、
明示されているデータや映像が「本当に本物なのか」という疑念が残る、およそ『公平性』に欠けた作品だ。
 
イルカがたくさん食用にされる、海が赤く染まる、イルカは魚と違って「鳴く」ので余計にかわいそう。
それだけ分かってれば、見る必要は無い。わけの分からない団体の資金源になるだけだ。
 
 
 
それよりも興味をひくのは、この映画をめぐるいろんな『反応』だ。
 
血で染まった海のことを、友達は「CGだ」とネットの情報から断言していた。
映画を見た僕は、「嘘みたいに赤いな」くらいには思ったが、まさかCGとは思わなかったので、驚いた。
しかし、今日ネットを検索してみると、「CGは使ってない」と断言しているサイトもある。
僕は、何を信じればいいのだろうか??
 
 
上映中止になった映画館は、右派団体からの強い抗議活動でそれを余儀なくされたそうだ。
そのことに対して、今度はジャーナリストなどの著名人が「表現の自由」を訴え、
「上映中止に反対する」声明をだしたらしい。ややこしい話だ。
 
しかし、「表現の自由」を訴えた一人の田原総一朗は、その時点でこの映画を見ていたのだろうか。
 
たしかに「表現の自由」は大切だが、少なくとも『ザ・コーヴ』は、
「表現の自由を法律で認めているから、見る権利がある!」なんて声高に叫ぶほど良質な映画ではなかった。
映画より、ウィキペディアで「ザ・コーヴ」の項目を読んだ方が、よっぽど面白い。
 
 
 
ただし、ウィキペディアに掲載されている情報も、その出典元となっている雑誌やTV番組で語られた内容も、
本当に、本当にすべてが本物かどうかは、僕には判断ができない。
 
結局、人間に認識できるものなんて自分の周りの触れられるもので精一杯だし、それで充分なのだ。
だから、一度も食べたことのないイルカやクジラに同情を覚える必要もないし、
目の前に出てきたお肉に対して、罪の意識を感じる必要もないのだ。
 
 
一言:イルカの血で赤く染まる入り江の映像に、
制作サイドのどす黒い腹のうちが垣間見える。
 
★☆☆☆☆
 
『ザ・コーヴ』
原題:The Cove
監督:ルイ・シホヨス
出演:リック・オバリー、ルイ・シホヨス
配給:アンプラグド
2009年、アメリカ

【映画】炎のメモリアル

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燃え盛る炎の中で語られる、一つの人生。
 
 
 
『炎のメモリアル』
2010年7月11日、自宅にて鑑賞。
 
 
 
【あらすじ】
炎の燃え盛る建物に飛び込み人命を救助する消防士の物語。
ジャック・モリソンは火災現場から逃げ遅れた者を救出するが、
突如床が崩れ落ち、ジャックは転落、怪我を負ってしまう。
遠ざかる意識の中で彼が見たものは、懐かしい新人時代の思い出だった。
 
 
 
【感想】
けっこう面白いんじゃないだろうか。
 
コテコテの熱血消防士ものを想像しながら見たけれど、やはりコテコテだった。
初出動、仲間との死別、妻との不仲、いろんな要素が詰め込まれて、とてもコテコテ(笑)
しかし、飽きが来そうで来ないのは、物語の構成がちょっと凝っているからかな。

序盤の迫力ある火災現場の救出劇。しかし、運悪く建物が崩れ転落、主人公は絶体絶命のピンチ。
だが、突然の場面転換で、主人公ジャックが『ラダー49』に配属された日が描き出される。
 
ジョン・トラヴォルタ演じる隊長との出会い、初出動で何とか任務を果たし、さらには生涯のパートナーとの出会い。ジャックの消防士人生はまずまず幸福な出だしだった。
しかしそこで、場面は火災現場に戻ってくる。身動きの取れない体、不安、恐怖。
ジャック救出作戦が始まるが、その間もジャックの過去の回想は続く。
なるほど確かに『炎(の中)のメモリアル』……。
 
この、過去の回想を挟みこむという手法が、序盤で起こった絶体絶命の状況を、うまいこと最後まで緊張感を保ったまま繋いでいる。
ジャックは助かるのか、助からないのかということを、およそ2時間に渡って心配させ続けるのだ。
これって面白い構成だと思う。
 
 
 
何よりも「火事」がものすごい。その量も、勢いも。CGはまったくと言っていいほど使ってないようだ。
鈍感な僕でさえ、「燃やしすぎじゃないか?」ってくらい火事のシーンが多い。
いろんな建物が、飽きるくらい火事になる。その度にジャックたちは火の海に飛び込んでいく。
 
なにか、アメリカ映画の底力を見せつけられた思いだ。
 

さらに、欧米的なムードを感じたのは、仲間の消防士が死んでしまったエピソード。
葬儀のシーンで同業の消防士たちが整列して敬礼をするシーンなどは、戦争映画や刑事ドラマなどでよくあるシーンで、誇り高い、勇敢な男だった、と言って死者を弔う。
アメリカは、『誇り』というものをとても大事にする国だな、ということを改めて感じた。
 

消防隊が、ホース持って火を消す班と、酸素ボンベ背負って生存者を探す班に分かれてるっていうのも、今まで意識したことなかったし、なかなか見るべきもののある映画だった。
 

一言:とにかく火の用心の心がけ。
 
★★★☆☆
 
『炎のメモリアル』
原題:LADDER 49
監督:ジョイ・ラッセル
出演:ホアキン・フェニックス、ジョン・トラヴォルタ、ジャシンダ・バレット
配給:タッチストーン・ピクチャーズ、東宝東和
2004年、アメリカ

「エアベンダー」

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エアベンダー
(2010年/アメリカ)
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【音楽】レミングス / ジン



ロックバンド、ジンの1stフルアルバム。
2007年2月の発売なのに、毎年夏が近付くとふと思い出す一枚。(ロックフェスが夏にあるせいで、ロックが聴きたくなるだけかもしれないが……)

アニメの主題歌として#10『雷音』を聴き、少年のような声と、怒涛の如き言葉に惚れ込み購入。


このバンドの最大の特徴は、Vo.ひぃたんの『声』。
少年のようなかすれた声質、これが受け入れられるかどうかで評価が分かれそうなバンド。

詞世界も独特で、人生につきまとう葛藤を独自の言葉で表現している。
なにより、この島国特有の蒸し暑さを内包している音楽で、どこか自然への尊崇が現れているような、…そんなヴァイブス。


しかし、一聴しただけでは全体的に似通った曲が多く感じる。
アップテンポな曲の#4『トーン・ジギ』、#7『解読不能』、#10『雷音』と、「それ以外」……という分別になりかねない構成。
もしも、#1『レミングス』のようなアルバムのための曲が後半にもう一つと、アップテンポな曲がもう一つあったとしたら、アルバムとしてかなりの名盤だったかもしれない。

もちろん、このままでとても良いけれどね。
ミディアムテンポの楽曲群が逐一秀逸で、ジンの魅力はそこにこそあるんではないかと。



★★★☆☆

レミングス
ジン(Jinn)
Palm Beach,2007,Japan

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