森博嗣のミステリー小説のテレビアニメ化作品。
ノイタミナ枠で2015年の秋クール・全11話が放送された。
私は原作小説を直前に読んでからの鑑賞となった。

個人的な好き嫌いの話になるが、あまり楽しめなかったかな。
原作を読んで事件の真相を既に知っている、つまりネタバレ状態で見たわけで、それが一番のネックだったかもしれない。
原作に忠実な展開と結末だったので…。

ただ、普通こういう映像化作品って、原作読んでネタバレしてても楽しめるように作られるのがほとんどだと思う。
というか、そうでなければ原作ファンが見る価値がない。
原作知らずに見た人は、どれくらい興味と衝撃をもって見れたのか少し気になるけど、でもこの内容はネタバレしてるしてないとは関係ないような気がする。

浅野いにおのキャラクターデザインは良いと思うのだが、キービジュアルのみで、それが実際アニメに落とし込まれると魅力がなくなっていたのが残念だった。
単純に絵柄が好きじゃなかったともいう。
他のアニメなら、つまらない作品でもたいてい萌え要素はあるので、「ヒロインは可愛かった」とかなんとか言えるんだけど、この作品はそこで勝負してないのがつらかった。
犀川先生大好きな西之園くんの一方通行な想いは面白いのだが、毎週続くので少々飽きた。

原作「すべてがFになる」の他に「四季」シリーズの要素も含めて描かれる。
つまり物語の最重要人物・真賀田四季の幼い頃の出来事が彼女の叔父の語りで描かれる。

これが「四季」を読んでない私にとっては新しい要素だったのだが、毎回ラスト付近で唐突に挿入される回想シーンはなんとなく違和感があった。
本筋の物語の進行と無関係な「真賀田四季とは?」エピソード。既に死んでいる人物による回想がどうしても違和感だった。
たぶん、現在時点の事件の進展と、過去の回想がやがてリンクしつつ真相を解き明かしていく、ということをやりたかったんだと思う。

良かったと言える要素はオープニングとエンディング映像。
KANA-BOONのノリの良い「talking」に合わせて、犀川、萌絵、真賀田四季が踊るオープニングが面白かった。
「この映像、そのまま実写で踊れそうだよな…」なんて思いながら見てたのだが、調べてみたら「ロトスコープ」という実写映像をトレースしてアニメーションにする手法で作られているそうだ(笑)

エンディング映像はプログラミングによってグラフィックを生成する「ジェネレイティブ・アート」という手法が用いられている。
こちらはシナリオアートの「ナナヒツジ」という曲が、時に7拍子(?)を刻みつつの叫ぶ曲だ。
二つの主題歌は、違うアーティストの楽曲だが、一枚のシングルに収められた。こういうのをスプリット・シングルと呼ぶらしい。

あらすじについてまったく書いてなかったが、天才科学者・真賀田四季が孤島の研究所で無残な姿で発見される。
真賀田四季博士は研究所内の居住スペースに「隔離」されており、15年間誰も出入りはしていない。
いったい誰が彼女を殺したのか?
島にキャンプに訪れていた大学教授・犀川創平と教え子・西之園萌絵は、この不可解な事件に挑む。



すべてがFになる THE PERFECT INSIDER
【監督】
神戸守
【キャスト】
加瀬康之
種崎敦美
木戸衣吹
鈴木達央
佐々木敏
伊藤健太郎
日笠陽子
甲斐田裕子
桑島法子
堀江由衣