秘密 THE SECRET
(2007年/フランス)
【監督】
ヴァンサン・ペレーズ
【キャスト】
デイヴィッド・ドゥカヴニー
オリヴィア・サールビー
リリ・テイラー

*感想

東野圭吾の出世作と言われる小説「秘密」が原作のファンタジー・ドラマ。
原作は1999年に広末涼子出演で映画化されており、そのリメイクでもあるようだ。
邦画版と違ってフランス版はあまり有名ではないみたいだ。

たしかに内容もあまりパッとしない感じはあった。
主演も「Xファイル」のモルダーこと、デイヴィッド・ドゥカヴニーだし。
見たのが7月で、これ12月に書いてるんだけど結末憶えてないですし。

眼科医として順調な人生を送っているベン・マリスには、愛する妻サムと娘ハンナがいた。
しかしある日車に乗って出かけたサムとハンナは事故を起こし、妻サムが亡くなってしまう。
娘ハンナは一命を取りとめたものの、意識が戻った彼女は自分は妻のサムだとベンに告白するのだった。



何かのきっかけでお互いの心が入れ替わってしまうという物語は実はけっこうあるような気がする。
入れ替わってしまったために(そしてそれを隠し通すために)、お互いのコミュニティでお互いのフリをして過ごすわけだが、そこで生まれる摩擦とかをユーモア交えてやってる作品は割とあるような。

ただ、本作はそれをとてもシリアスに深刻にやっていて、ありえない話ではあるけれどリアリズムのある話になってた。
なにせ本作の場合、入れ替わった心が還るべき肉体が無いのだから笑えない(笑)
娘の肉体に母親の精神が入ったことで、娘の精神はどこかに消えてしまった。
では、母親の精神が出て行けば娘は元に戻るのか。その時母親の精神はどこに向かうのか。

そんな大問題を抱えつつ、娘ハンナとして過ごす母サムの心痛や、夫ベンの葛藤などが深刻に深刻に描かれている。
どこか寒々しい画面が余計に問題の手詰まり感を際立たせる。

こういう事例って、心の病として科学的に片付けることもできるし、スピリチュアルな超常現象として受け止めることもできると思う。
というか、実際には同じ現象なのだが、解釈によって心の病気だったり奇跡だったり。
本作は、奇跡と結論づけることができそうな結末だったけど、心の病という解釈をしたければできなくもないような。
人間の脳はまだまだ未解明で、それがどんな(奇跡的な)不具合を起こしてもおかしくないような気がする。