乱歩奇譚 Game of Laplace
#11「白昼夢」
*感想
ついに最終回。アケチとナミコシの戦いに決着が。
コバヤシ少年の運命は。世界の行く末は。
とても微妙な落とし所に着地した印象。
これが上手いまとめ方なのかどうかは判断はつきにくいが…。
少なくとも、安易に2期を匂わすような結末ではなかったと思う。
*以下、ネタバレにつき閲覧注意。
前回ナミコシにさらわれ、怪人二十面相誕生の秘密を知ったコバヤシ少年。
もともと現世に執着のなかったコバヤシ少年は、ナミコシに感化され彼の計画の最終段階の生け贄となることを受け入れる。
ナミコシの創り出したラプラスの悪魔「暗黒星」の生け贄、ナミコシや彼のシンパと共に投身自殺をすることで社会にインパクトを与え人々の心を変容させる。
それを阻止しようと走るアケチ。しかし、彼の行く手はナミコシのシンパによって阻まれる。
今やマスコミや警察、民衆の中にも大勢ナミコシのシンパ(=フォロワー)がおり、計画を止めようとするものを排除する。
社会は既に大部分が変容していたのではないだろうか。
昼間は普通の生活を送っている者も、ナミコシが死をもって伝説となるこの夜だけは破滅的な本性をさらけ出す。
うつし世はゆめ、夜の夢こそまこと。人々の夜の本性が社会を破滅へと向かわせる。
そんなアケチをサポートする面々。
背徳アドバイザーの黒蜥蜴、アケチの身代わりとなった影男、親友コバヤシのために盗んだバイクで走り出すハシバ。
なんと黒蜥蜴の奴隷A・Bも駆けつけアケチの進む道を切り拓く!さすがにこれには笑うしかない…。初めて存在感を出してるくせにめちゃくちゃオイシイ役を持っていくっていう…(笑)
なんだかんだでナミコシの下へとたどり着いたアケチ。
アケチの説得に応じずに身を投げようとするコバヤシ。
ナミコシとコバヤシを同時に救うことはできない。アケチが手を伸ばしたのはナミコシだった…。
その様子を横目に見ながらどこか安堵するコバヤシ。
現世に未練などないこの少年は、ナミコシの計画成就のために死ぬことがもっとも自分の命を効果的に使えるとおこがましくも判断しそれを受け入れた。
しかし、飛び出してきたハシバはコバヤシの身体をしっかりと抱き止める。いつかのフラグが回収された形だ。
かくして事件は終焉を迎える。
コバヤシは自分を心から大切に思ってくれる親友の存在に涙し、ナミコシは法則を証明しアケチに認めてもらうためにその手を振りほどく。
ナミコシの死で怪人二十面相は伝説となった…。そして伝説はすぐに風化していってしまう。
しかし、それは終焉とは程遠いものだった。
暗黒星の予測通り、人々は自分の正義を掲げて二十面相に扮し悪を断罪していった。
ナミコシの計画はやはり成就したのだ。
アケチはナミコシに言った。「数式なんていくらでも書き換えてやる」
その言葉がどこまで本当かは分からない。
そもそも暗黒星は本当に覆すことのできないものなのか。
数式によって未来を予測することは出来ても、私たちは今起こっていることしか認知できない。
だとすれば二十面相が蔓延る現在はそれが何であれ「運命」なのではないだろうか。
気になるのはナミコシの暗黒星がもたらす未来予想図はどんなものなのか、である。
おそらくアケチはそれを覆すためにこれからも闘い続けるのだろうし、その傍らにはコバヤシとハシバがいるのだろう。
惜しむらくは、アケチの推理力ではなく、体術と走るシーンばかり印象に残っていること、そして暗黒星という神の領域に触れる要素を出しながら、その辺についてはあまり深く描かれなかったことだろうか。
最後には以前よりも他者を認識するようになったコバヤシ少年だが、視聴者が見たかったのはそういうことではなかったような気もする。
明らかに怪しいナカムラ刑事もただの良い人で終わってしまったし、解剖実験ギャグや萌えな担任教師などいろいろちぐはぐだ。(そういえば先生の手首の傷痕はなんだったんだろう)
そういうギャップやブラックなユーモアをやるには江戸川乱歩へのオマージュという企画は堅苦しすぎたように思う。
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