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WXIII 機動警察パトレイバー(2002年/日本)

【総監督】
高山文彦
【監督】
遠藤卓司
【キャスト】
綿引勝彦
平田広明
田中敦子
穂積隆信
拡森信吾
大林隆介

感想(2015年4月12日、DVDにて鑑賞)

パトレイバーの劇場版第3作目。
タイトルの「WXIII」は「ウェイステッドサーティーン」と読ませる。
「Wasted Thirteen」とは今作で登場する異形の怪物に付けられていたコードネーム「廃棄物13号」のこと。それをさらに略した表記が「WXIII」となるわけだ。
つまり「W - XIII」なんだが、劇場版3作目ということが念頭にあった私は「WX - III」と読んでしまって「WX」って何のことだろうとしばらく悩んでいた(笑)

今作には押井守は関わっていない。しかし、押井守が手がけた劇場版1作目・2作目と比べて劣るということはまったくないように思えた。
1作目ではサイバーテロ、2作目では架空の戦争というテーマを、圧倒的なリアリティを持って描いていたが、今作では突然変異的に現れた怪獣が人々やレイバーを襲うという展開。

これにリアリティが無いと言うのは間違いで、こんなテーマでも2人の刑事の視点からリアリティある怪獣事件捜査を描いていた。
最低限の情報を提示しながら進んでいく雰囲気は2作目を継承していたし、刑事がひたすら歩いて捜査をするシーンは1作目のセルフパロディ的なものだろう。
そして扱っているテーマも、バイオテクノロジーの悪用と人の業についてなのだから、前2作とかけ離れたテーマではないわけだ。

今作は、前作に輪をかけて特車二課やイングラムの出番が少ない。
今作オリジナルのキャラクター、久住と秦というベテランと若手の刑事コンビが、あくまで刑事という立場から奇怪な事件の真相に迫っていく。特車二課みたいな超法規的活動はしたりしない。
だが、あくまで普通の刑事さんが主役であるために、より等身大の人間が描かれていたように思う。

事件の発端となったのも、ある人間の実に不完全な人間らしさであり、劇場版3作の中では一番エモーショナルな作品と言えるだろう。
堅苦しさが前面に出てきている2作目よりも鑑賞しやすい作品かもしれない。