フューリー(2014年、アメリカ)
【監督】デヴィッド・エアー
【出演】
ブラッド・ピット
シャイア・ラブーフ
ローガン・ラーマン
マイケル・ペーニャ
ジョン・バーンサル
ジェイソン・アイザックス
スコット・イーストウッド
ゼイヴィア・サミュエル
ブラッド・ウィリアム・ヘンケ
アナマリア・マリンカ
アリシア・フォン・リットベルク
感想(2014年12月17日、フォーラム仙台にて鑑賞)
1945年4月、第二次大戦下のドイツ。連合軍はベルリンに集結したナチスに総攻撃を仕掛けようとしていた。アメリカ人の戦車乗り<ウォーダディー>ことドン・コリアーは、部下の砲手<バイブル>、装填手<クーンアス>、操縦手<ゴルド>らと幾度も戦場を生き延び、シャーマン戦車<フューリー号>を駆る彼らは歴戦の猛者であった。
そんなフューリー号に新顔がやってくる。
戦死した副操縦手の代わりに配属されたのは戦車の中を見たこともない新兵ノーマンだった。
ドンは、厄介な新米兵士にうんざりしながらも行軍を開始する……。
ブラッド・ピット主演の戦争映画。
第二次世界大戦下のドイツを舞台に、5人の戦車乗りの戦いを描いた作品。
日本の近年の戦争映画とちがって、説教臭くないんですよね。
死への恐怖や、むごたらしい戦場の姿をダイレクトに表現している印象があります。
それでいて、「反戦」などという使い古されたテーマに帰結しないところが好感もてます。
日本の戦争映画だと、「愛する者を守るために散っていった男たち」というのが一つのテンプレになっていると思うんですが、それはしばしば死を美化してしまうんですよね。
国のために死ぬことが美談になってしまう。映画的に感動のシーンにしてしまう。
それはまさしく戦時中の日本のプロパガンダそのものなんですが……。
この「フューリー」についてはそういう感動路線は抑え目で、あくまでも「戦場のリアル」を描写しようとしていますね。
戦場でどうやって性欲を発散させていたのか……。意外にもタバコなどのささやかな物資と引き換えに合意の下でだったり……。
ただ、そこで娼婦とやったクーンアスやゴルドではなくて、童貞のノーマンを持ってきてロマンチックに演出したのはズルかったかもしれませんが(笑)
見所のひとつは5人の男たちの人間ドラマ……いやキャラクター性と言った方がいいかもしれません。
ヒトラーの親衛隊を異常に憎むリーダーのドン、信仰に厚いバイブル、粗野な振る舞いが目に余るクーンアスやゴルド、甘っちょろい新人ノーマン。
この5人が一つの戦車に乗り込み、ナチスに立ち向かっていくわけですから自然とドラマになりますよね。
もう一つの見所は戦車アクションですね。
個人的には人間ドラマは割りと薄味で、戦車によるバトルの見応えの方が魅力を感じました。
「宇宙戦艦ヤマト2199」とか好きなことが、この映画でも良い面に働いたと思います。
戦車をクローズアップした作品は初めてだったんですが、ヤバいです。戦車アツいですね。
今まで戦車に対して鈍足で小回りが利かない鉄の塊みたいなイメージしかなかったですが、「フューリー」見たら絶対戦車好きになりますよ。
(※異論は認めない)
特にティーガーI戦車との一騎討ちとかアツかったですね。
ほとんどゼロ距離での撃ち合い。(いやもうほんとヤマト2199……)
またティーガーIがいかにも「最強戦車」って感じで登場するんですよ。正直「勝てねえ……」と思いましたもん。
終盤も機転を利かした戦法で無類の強さを発揮するフューリー。
また劇伴はドイツ語の勇ましいコーラスなんかが流れたりして、男子が燃える要素が詰まってますよね。
戦争映画って2つの側面を持っていると思うんです。
一つは戦争の悲惨さを描いて反戦を訴えるヒューマンドラマとしての側面。
もう一つはミリタリーのかっこよさを描いて見る者をワクワクさせる側面。
明らかに矛盾する要素が混在してるんですよね。平和の尊さを訴えながら兵器のかっこよさを広めているわけですから。
「フューリー」については、特に後者の方に比重をおいている映画です。
比重どころか、最低限のドラマと最大限のミリタリーかもしれません。
ありきたりな反戦論や、愛や平和の賛美はとりあえず置いといて、戦車のかっこよさを、それを駆る男たちの生き様を楽しむ映画だったと思います。
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