嗤う分身
(2013年/イギリス)
【監督】
リチャード・アイオアディ
【出演】
ジェシー・アイゼンバーグ
ミア・ワシコウスカ
ウォーレス・ショーン
ヤスミン・ペイジ
ノア・テイラー
キャシー・モリアーティ
*感想(2015年2月4日、チネ・ラヴィータにて鑑賞)
内向的で存在感の薄い男サイモン・ジェームズ。会社の上司にも同僚にもバカにされ冴えない毎日を送っている彼の楽しみは、アパートの向かいの部屋に住む同僚ハナを望遠鏡で覗くこと。
しかし、職場ではまともに話しかけることもできずにいた。
そんなある日、上司が紹介した「期待の新人」を見てサイモンは驚愕する。
驚くべきことに彼はサイモンとまったく同じ容姿を持つジェームズ・サイモンという男で、不可解なことに周囲は二人が瓜二つだということにまったく疑問を抱かない。
何一つ冴えないサイモンと正反対の、モテ男ジェームズの登場によって、サイモンは次第に追い詰められていく。
ドストエフスキーの「分身」を元にした不条理劇。
監督は英国の新鋭リチャード・アイオアディ。
レトロな世界観と独特の陰影がこの映画では見られました。
主演は「ソーシャル・ネットワーク」のジェシー・アイゼンバーグ。
共演に「アリス・イン・ワンダーランド」のミア・ワシコウスカ。
この2人たしかリアルでも付き合ってたはず。というか、「映画での共演がきっかけ」って、嗤う分身のことかー!嗤う分身のことかー!!(謎の怒り)
まあとにかく独特な映画で、レトロな造形、不思議な世界観が裸電球で照らし出されるような感じですね。
一見無意味そうに見える入力作業を、大した機能も無いだろう無駄にデカい機械に打ち込む人々。
なんとなく、星新一の描くレトロなSF世界といった感じがしました。
BGMも独特で、なんと、坂本九の「上を向いて歩こう」や「ブルー・シャトウ」(ジャッキー吉川とブルーコメッツ)などの昭和歌謡が平然と流れてくるんですね!
英国の映画なのに、ですよ!
しかも、日本の歌謡曲が流れても、全然違和感ないというか、むしろ見事にハマっていた気さえするんですよね(笑)
あれ意外の挿入歌は思い浮かばないってくらいに……。
そんな所も、私が星新一を連想する理由の一つなのかもしれないですね。
もちろんスコアの方もとても独創的で面白いですね。
テーマ曲が焦燥を掻き立てます。
で、そんなダークな劇伴の合間に昭和歌謡が挟まれる、と。
このサントラにハマっちゃった人が何名かいるようなんで、私も機会があったらゲットしたいですね。
ちなみにストーリーについては、結局何がどうなって最後どうだったのかよく分かっていません(笑)
まあ「不条理劇」ということで無理に考える必要もないのかな、と。
ただ、冴えないサイモンと要領のいいジェームズのやりとりを見ていて思ったのは、これは別に自分の分身じゃなくて赤の他人同士でも、こういう手柄の横取りみたいなことや、周囲に比較されたりだとかは現実でもあるよってこと。
あからさまに手柄の横取りはなくとも、例えば雑用処理に追われてなかなか結果を出せないとか、でも雑用を押し付けてきたやつは浮いた時間で結果を出して評価を上げていく……みたいな。
子供同士のサッカーでも、上手い子はFWで要領よくやって、下手な子は守備に回されミスって得点され、だから冴えない……みたいな。
そういう人間社会の縮図みたいなのもありましたので、分身の存在が不思議でしょうがないというよりは、あるある、あるよねそういうコト……ってむしろ腑に落ちる内容だった気がします。
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