オオカミは嘘をつく(2013年、イスラエル)

【監督】
アハロン・ケシャレス
ナヴォット・パプシャド
【出演】
リオール・アシュケナズィ
ツァヒ・グラッド
ロテム・ケイナン
ドヴ・グリックマン
メナシェ・ノイ
ドゥヴィール・ベネデック
カイス・ナシェフ
ナティ・クルーゲル

感想 (2015年2月25日、フォーラム仙台にて鑑賞)

クエンティン・タランティーノが絶賛したことで話題となったイスラエルのバイオレンス・スリラー。
少女が何者かに誘拐され惨たらしい姿で発見された殺人事件を追う暴力刑事と、犯人への復讐に燃える被害者の父が、容疑をかけられた善良そうな中年教師を拷問するという物語。(←物語っていうのもなんか違う気がするけどw)

R18指定ということでビクビクしながら観たけどけっこう大丈夫だった。
痛そうな描写も一瞬だけという感じ。
でもさすがにバーナーは衝撃的だったかも…。

むしろ、ユーモラスでさえあった…。「今日からはじめる たのしい拷問」って感じ。
3人の男による極限の心理戦…みたいなのを期待していったら、意外と拷問する方もされる方も素人で、ちょっとおマヌな男たちのおバカな一夜にも思えた。

タランティーノはそんな「バイオレンス映画だけど笑える」部分を評価したのかもしれない。
真面目な場面でも滑稽になってしまう、それもまた人間性だと思うし。
今の時代、携帯電話は鳴る時間を選んではくれない。

でも、少なくとも日本での宣伝の仕方は少し的外れだったかな。
「衝撃の結末」という言葉の力に頼りすぎだと思う。
逆に衝撃でもなんでもない結末に見えてしまった。
(「トラップ・ムービー」なんて言われたら誰だってトラップに気をつけるw)

冒頭のスローモーションの素晴らしさと、終盤でちょっと面白い展開があったこと意外は割と真っ当な一本道で、たぶん誰でも最初に考える2パターンの結末のどちらかは当たるはず(笑)
正直、オチを見ても「これだけ…?」という感じ。
むしろこれなら謎は謎のまま全部投げてしまった方が観客が推理する余地があったように思う。

実は物語そのものよりも、この映画をイスラエル出身の監督たちが撮ったということの方が興味深いことかもしれない。
世界情勢に疎い私でもイスラエル周辺が長らく不安定なことは分かる。
テロや誘拐が頻発し、差別・偏見が身近にある国で育った監督たちが、そういった人間の歪んだ心をこの映画に登場する地下室に集約したということだろうか。

そう考えると、単純にストーリーの先を推測して楽しむ映画ではないのかもしれない。
(でもそういう宣伝してるんだよなあ…)