感想
展開早いですねー。なんとなく勇み足な感じもします。欲を言えばインハイ直前の高揚感みたいなのも描いてほしかったです。
いきなりインハイ始まった感じ。
とはいえ、ペコとチャイナの一戦は期待以上の出来でしたね。
今回もいろいろ詰め込まれていましたが、一番盛り上がったのはやっぱり卓球のシーンですよ。
チャイナが原作より何倍も人間として描かれていて、彼が日本に慣れ親しみ仲間たちと居心地の良い場所を構築しているのが、見ていて何故か嬉しいんですね。
アニメで追加された母親の存在も吉と出て、今回の決着のシーンで映る母親のワンカット、もう少しで涙出ちゃうとこでした。
母親を登場させることで、チャイナこと孔文革が母親を恋しがる「少年」であることを表してますよね。
母親についての描写が無い原作漫画では、チャイナから少年らしさは伝わってきません。
顔がおっさん臭いこともあって高校生に見えないんですよね(笑)
母親の登場によって、独り異国で暮らす寂しさ、母親の姿と共に胸にこみ上げる郷愁、そんなものがより際立ちます。
「ホームシックか?」と問われて鼻で笑うような少年・文革。
しかし、本当にホームシックにかかった夜もあったんじゃないかな…なんて想像したりして。
それだけ人間性を深く掘り下げる描写だったんだと思います。
また、敗北と共に飛び立った飛行機の描写。
あれも、アニメだと原作よりも意味深いものに思えました。
離陸する飛行機が示すもの…それは「帰国」です。
中国のナショナルリーグから日本に飛ばされたチャイナの目標は、日本で再起し、本国へと復帰すること。
島国日本に追放されたチャイナにとって、「飛行機」は中国へ帰るための手段の象徴なんです。
その帰国の象徴である飛行機が、チャイナの敗北と共に飛び立った…?
日本で結果を残せなければ本国でプレーすることは絶望的なのに…?
これはつまり、選手としての帰国を表現したものではないんでしょうね。
追放の地・日本で負け、完全に夢破れたチャイナですが、それはつまり一個の人間・孔文革としていつでも故郷に帰ることができるということ。
夢を諦めることで、ようやく母親の待つ場所へと帰れるということ。そして母親も「おかえり」と優しく迎えてくれるだろうこと。
「勝つための卓球」を強いられていた男が、敗北することで競争原理から外れ、「自由」を手に入れた…。
その象徴としての飛行機だったのではないかと思います。
そして、おそらくしばらくは日本に残るだろうチャイナ。
日本でも、勝つための卓球をしなくとも、彼の居場所というのはあるんですね。
同じ辻堂卓球部の仲間たち。
それがチャイナが日本に来て勝ち得たものなのだと思います。
「おかえり、ヒーロー」
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- 2014年度アニメ