クローン(2001年、アメリカ)

【監督】
ゲイリー・フレダー
【出演】
ゲイリー・シニーズ
マデリーン・ストウ
ヴィンセント・ドノフリオ
トニー・シャルーブ
メキー・ファイファー

感想(2012年9月10日、DVDにて鑑賞)
(2014年10月12日、TV録画にて鑑賞)

西暦2079年、地球は異星人との戦争状態にあり、敵の攻撃を防ぐため、都市の上空にはドーム型の防御壁が展開されている。
軍の極秘プロジェクトの責任者であるスペンサー・オーラムは、ある朝、オフィスに向かう途中で保安局に逮捕されてしまう。

保安局によると、防御壁を突破した異星人によってオーラムはすでに殺され、今いるオーラムは敵が送り込んだクローンで、体内には爆弾が仕掛けられているというのだ。
なんとか保安局から逃げ出したオーラムは、自分が本物であることを証明するため、ある場所を目指すのだが……。



P・K・ディック原作のSFサスペンス。
近未来、主人公がある日突然政府機関に捕まって「お前は異星人が送り込んできたクローン人間だ!腹の中に爆弾が入ってるんだ!」と言われ、「いやいやいや!そんなわけねーし!」と必死に逃げる物語。

CGが拙いとかB級とか言われたりもするようですが、2001年の映画でこのCGの出来なら悪く無いと思うし、そもそもSFというジャンル自体がメインストリームから少し外れたB級のカルチャーですからね。
むしろ逆に、ディック小説の映画化という点では成功例だと思います。

ディック作品の特徴のひとつ、自分自身の存在に対する疑問がこの映画でもテーマになっていて。
つまり、当局から「お前は腹の中に爆弾を抱えたクローン兵器だ」と言われ、葛藤しながら生存のために逃げる主人公というのが、この映画のディック的な部分です。

まあ本当は、もう少し「自分はオリジナルなのか?」という葛藤を分かりやすく描いてほしかった気も。
アイデンティティの揺らぎよりも生存本能の方が勝ってた感は否めません。
自分がオリジナルであるという前提に立った証明のための行動ばかりだったんですよね。
まあ、自分がクローンであることを認めたらそこで終わりですから、とにかく生きようと模索するのは不思議なことではないんですが……。

上映時間のほとんどは主人公と当局の追いかけっこに費やされてますね。
クライマックスでどんでん返しがあり、ラスト10分にすべてが凝縮されてるとも言える映画です。
初見だと、「えっ結局どういうこと?」ってなると思うんですが、その謎をほどよく残した感じが余韻となって良かったと思います。

オリジナルとは、クローンとは……。
もしクローンにオリジナルの記憶が移植されたら、それはオリジナルと何が違うのだろうか?
自分がクローンであることを知らずに生きるなら、それもひとつの幸福なのではないだろうか?
そんなことを思わせる映画でした。