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ロード・オブ・ザ・リング/二つの塔 (2002年、アメリカ)

【ジャンル】
ファンタジー/アドベンチャー
【監督】
ピーター・ジャクソン
【出演】
イライジャ・ウッド (フロド)
ショーン・アスティン (サム)
イアン・マッケラン (ガンダルフ)
ヴィゴ・モーテンセン (アラゴルン)
オーランド・ブルーム (レゴラス)
ジョン・リス・デイヴィス (ギムリ)
ドミニク・モナハン (メリー)
ビリー・ボイド (ピピン)
リヴ・タイラー (アルウェン)
ケイト・ブランシェット (ガラドリエル)
ヒューゴ・ウィーヴィング (エルロンド)
クレイグ・パーカー (ハルディア)
バーナード・ヒル (セオデン)
ミランダ・オットー (エオウィン)
カール・アーバン (エオメル)
デイヴィッド・ウェンハム (ファラミア)
ブラッド・ドゥーリフ (グリマ)
クリストファー・リー (サルマン)
アンディ・サーキス (ゴラム)

あらすじ

冥王サウロンの指輪を葬る旅の途中で、三手に分かれてしまった仲間たち。フロドとサムは、かつて指輪の持ち主であり今も執拗に指輪を狙うゴラムを捕らえ、モルドールへの道案内をさせる。さらわれたメリーとピピンを救うためオークの一団を追うアラゴルン、レゴラス、ギムリの3名は、ガンダルフと再会し、サルマンの軍団から攻撃を受けている人間の国ローハンへと救援に駆けつけるが……。

感想 (2012年12月18日、DVDのSEEにて鑑賞)

J・R・R・トールキン「指輪物語」の実写映画「ロード・オブ・ザ・リング」の2作目、「二つの塔」です。
これもスペシャル・エクステンデッド・エディションで鑑賞。223分というほぼ4時間に迫る勢いだったけど、2日に分けて見ることはせず頑張って一晩で一気に見ました。でもさすがに日付は変わってしまったけど(笑)


魔法の指輪の誘惑に負けずに旅を続けるフロド。前作で人間を信じられなくなっていた彼は、お供のサムと二人だけで、冥王サウロンのお膝元モルドールを目指します。
ホビット2人だけの旅というのはなんとも心細い……(-_-;)
そんな彼らの前に現れた、異形の者ゴラム。彼は指輪に完全に魅入られた醜い小人で、フロドから指輪を取り返すためにモルドールへの道案内を申し出ます。
フロドたちはゴラムを連れ、モルドールへと向かうことに……。

このことでフロド班に三角関係が生まれるんですよね。
指輪を狙うゴラム、ゴラムに頼らざるをえないフロド、フロドに重用されるゴラムに嫉妬するサム……。
前作の「冒険」とはまた違った、サスペンス的なドキドキ感があります。

さらにゴラムそのものも実に面白い(興味深い)描き方をされていて……。
ゴラムの中では常に「善いゴラム」と「悪いゴラム」が主導権争いをしているんですよね。
「善いゴラム」というのも厳密に言うと違うんだけど、まあとにかく二つの人格が一つの身体の中でせめぎ合っている状態。
ゴラムの精神分裂っぷりを見ていると、トールキンの時代にも心の病ってあったのかな~、あったんだろうな~、なんて思いました。

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一方、アラゴルン班は人間の国ローハンへ。そこでサルマンの作った闇の軍団との戦いに挑みます。
多分、「二つの塔」が面白いとされているのは、このローハンの要塞での防衛戦があるからですよね。

圧倒的な物量をもって攻めこんでくるオークの軍団、それに対抗するローハンは子どもにまで剣を持たせて戦わなければならない状況。エルフのハルディア率いる弓部隊が応援に駆けつけてくれますが、それでも戦況は不利。
この状況からの奇跡的な逆転勝利は何度見ても面白いですね。押されっぱなしのツラいシーンがずっと続くから余計に解放感があります。
この戦闘シーンは見応えあり。


さらに、ローハンで新たに登場する人物たちもそれぞれ魅力的。
サルマンの弟子<蛇の舌>グリマによって操り人形とされていたセオデン王がみるみる若返っていくシーンは面白かったし、彼の甥エオメルは騎士としての立場に悩まされ遠く離れた戦場へ送られてしまうというドラマ要素もあります。見た目もアラゴルンより好きかもしれない。

そして、セオデンの姪エオウィンもとても魅力的な人物。
この2作目でのマイ・ベスト・キャラクターはエオウィンにしようかな。

当初は、アルウェンと別れたアラゴルンのための代行ヒロインかな、と思ってましたが、いや実際代行ヒロインなんですが、代行ヒロインってとっても大事なんだよってことを知らしめました(笑)
チャーミングな感じなのに剣持って戦おうとするから驚き。「ローハンの盾持つ乙女」なんて異名をとるほどの剣の腕前らしいですね。エオメル兄さんより強そう。

ミランダ・オットーに罪はないですが、美しさではやはりエルフ役を演じたリヴ・タイラーやケイト・ブランシェットに劣るかな……と。
しかしエルフ勢はその気高すぎる美しさとしとやかさで相手を屈服させ時に劣等感すら与えるのに対し、エオウィンの可愛らしさは相手にストレスを与えない献身的なものでしたね。
(スーパーモデルと同級生の女子だったら、どっちが気楽に付き合えるかという話)(←同級生女子は美しくないと言ってるわけではないですよ、念のため汗)
女性らしさという意味では彼女の方が数枚上手だったかな……と。

さらに献身ぶりが行き過ぎて自分も戦おうとするとか健気で可愛いじゃないですか♪戦う女性というのは現代らしくていいと思うし。
嫁にするなら、いざという時には一緒に戦ってくれるこういう子だと思いました。(なのにアラゴルンは……んもうっ!)(いろんな女性を惹きつけてしまうのはアラゴルンの王者の資質なのだろうかw

ここまで脇役を掘り下げてるこのシリーズは、本当に叙事詩、エピック・ファンタジーと呼ぶにふさわしいでしょうね。(僕の勝手な妄想も含まれていますがw)

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「二つの塔」ではユーモアを織り交ぜる余裕が出てきたのか、全体に渡って笑いを誘うシーンがチラホラあったのも良かったですね。
ドワーフのギムリ、ホビットのメリー&ピピンはお笑い要員と言っても過言じゃないですね。

メリー&ピピンのエピソード自体、森の牧人エントとの永い話し合いとかユーモアに溢れたストーリーになってますよね。
アイゼンガルドでの戦いでは、画面の端で燃え盛るエントが洪水で自分の頭を消火してたりとか、細かい所でいい意味での「おふざけ」が盛り込まれているな~と♪

対照的にまったく笑えないのがフロド班。
イライジャ・ウッドの困り顔のせいだと思うんですが、ゴラムと指輪に常に警戒している状況で、何もなくても見入ってしまうんですよね。


やっぱり物語の本筋は、フロドの探索の旅。
心細くとも勇気を出して進むフロドとサム。しかしどんどん指輪の思惑にハマっていきます。親友サムとの軋轢とゴラムの陰謀……。フロドとサムの心が徐々に離れ始めるのも見所ですね。
そしてスペクタクルの部分ではアラゴルンたちの活躍や、ホビットとエントたちのユーモラスな戦いが楽しめる作品になってますね。