ジャンゴ 繋がれざる者 (2012年、アメリカ)

【監督】
クエンティン・タランティーノ
【出演】
ジェイミー・フォックス (ジャンゴ)
クリストフ・ヴァルツ (キング・シュルツ)
レオナルド・ディカプリオ (カルビン・キャンディ)
ケリー・ワシントン (ブルームヒルダ)
サミュエル・L・ジャクソン (スティーブン)

あらすじ

1958年、アメリカ南部。黒人奴隷ジャンゴは、賞金稼ぎのキング・シュルツと出会い、賞金首を捕まえる事に協力する替わりに鎖から解き放たれ自由人となる。キングとともに南部の指名手配犯を追いながら鍛錬を積んだジャンゴは、奴隷市場で生き別れとなった妻の居場所を見つけ出し、彼女がいるという農園主カルビンの屋敷へ乗り込んでいくが……。

感想 (2013年3月10日、109シネマズ富谷にて鑑賞)

クエンティン・タランティーノ監督が西部劇を舞台にアメリカのかつての奴隷制度にメスを入れた作品。
やはり今作もバイオレンス映画ということで、血はムダに吹き出るし、火薬は多めだし、普通の会話しててもいつ銃撃戦が始まるかと気が気じゃない165分。

そう、165分。3時間弱もあるんです、この映画。
奴隷ジャンゴが賞金首の顔を知っていたことから元歯医者の賞金稼ぎキング・シュルツに救い出され、二人で賞金首を殺しながらジャンゴの妻がいる白人農園主の屋敷へ乗り込む物語。
その間、けっこうダラダラと……いや淡々と描いてましたね。正直、途中で飽きてしまいました(´・ω・`)


個人的にはイマイチな映画でしたね。
西部劇自体、得意分野ではないんですけど、今回はタランティーノ作品ということで脚本に過剰な期待を抱いてしまったかも。

過去作「パルプ・フィクション」や「イングロリアス・バスターズ」のように入り組んだプロットを期待していたんですけどね。
今作では時系列をいじったりはせず、ひたすらジャンゴ視点で描かれますね。
なので、脚本の妙というのは正直感じられませんでした。


キャラクターの個性というのもそんなに印象に残らなかったですね。
特にクリストフ・ヴァルツが演じたキング・シュルツには期待したんですけどね……。

ヴァルツは「イングロリアス~」でランダ大佐という悪役を好演しているんですが、久しぶりにヴァルツを観た僕はやっぱりランダ大佐を重ねてしまいますよね(笑)
でも、どんな嫌なヤツなんだろーと思って見てたらむしろ良いヤツだったし!元歯医者のバウンティーハンターっていう肩書きに「どんなエグい拷問を見せてくれるんだろう?((o(´∀`)o))ワクワク」と勝手に期待した僕が馬鹿でした。
彼は話術ぐらいしか楽しめる部分ないかも。


むしろ嫌なヤツは、サミュエル・L・ジャクソンが演じた、カルビンの奴隷執事スティーブンの方ですね。
黒人でありながら、他の黒人奴隷たちをこき使う立場なんですね。
そして、キング・シュルツと肩を並べて歩くジャンゴに嫉妬し、彼に疑念の目を向けます。
そこから終盤の銃撃戦へと発展していくわけなんですが……。

いつも強くたくましく正義を貫いてるイメージのサミュエルが、今作では同胞を裏切り権力者に媚びる姑息なジジイの役に!
正直サミュエルには見えませんでしたね。顔はたしかに彼なんだけど、腰は曲がってて杖ついてるし、声はしわがれているし……。
体型も全然違うような気がしました。役者ですよね♪

レオ様の悪役初挑戦はどうだったかというと、これは設定が良かったですね。
というか、タランティーノ映画って、出てくる人みんな悪い人に見えるんですけどね……。
失態を犯した奴隷を生きたまま犬の餌にしたり、マンディンゴと呼ばれる奴隷同士の殺し合いを見て愉悦に浸ったり、まあとにかく"下衆の極みッ!"ですよ。

この作品全体に渡って白人による黒人への虐待・迫害が描かれてますね。
ディカプリオが演じた農園主だけでなく、その使用人も、町の保安官も、みんな黒人であるジャンゴが上等な服を着て銃を腰に下げて歩いているのが気に入らないって感じ。
白人だけでなく黒人奴隷たちもジャンゴを奇異の眼差しで眺めます。

黒人差別の歴史を題材に選び、苛烈な虐待をダイレクトに描きつつも、そこはタランティーノ、けっしてお説教臭くなることはなく、あくまでもジャンゴという孤高のガンマンの話で終わらせましたね。
ただやっぱりもう少しエピソードを絞った方が……(;´Д`)
後半の壮絶な銃撃戦にはさすがに燃えましたけど、その後ダラーッと続くのですっかり冷めてしまうというね……。
痛快と感じるか、冗長と感じるか、人それぞれだと思います。

例のごとく監督自身がカメオ出演しているんですが、そのシーンだけ笑いが止まらなかったです。
あそこだけ、無意味にケッサクですねー(爆)