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きみに読む物語 (2004年、アメリカ)

感想 (2012年4月15日、TV録画にて鑑賞)

身分違いの恋人たちの純愛を描いたラブストーリーです。
主演は、演技に定評のあるライアン・ゴズリングと、映画「シャーロック・ホームズ」シリーズでファムファタールとしても活躍しているレイチェル・マクアダムス。
その脇を「X-MEN」シリーズのジェームズ・マースデンや、ジェームズ・ガーナー、ジーナ・ローランズが固めます。

物語は、認知症で過去を忘れてしまった初老の女性に、ある男が物語を読み聞かせるというもの。
その物語とは、良家の娘アリーと木材工場の労働者ノアのひと夏の恋の物語でした。


で、その過去の恋バナが、映画のメインとなるわけですが、これがとても良かったです。
特別珍しい恋愛でも何でもないんですが、とにかく良い(笑)

身分違いの恋に立ちはだかる障害、夏の終わりと同時に引き裂かれる恋人たち、アリーを愛する二人目の男の登場と、かつて愛した男との再会…。
ベタです。ベタベタなんです!でもこのベタさ加減が僕みたいなのにはちょうどいい?

例えば後半、アリーがノアを選ぶか、弁護士のロンを選ぶか、真剣に悩む展開があります。
この展開、見る者としても非常に悩ましい部分でした。
というのも、アリーは本当にどちらの男のことも愛しているようだし、ノアとロンのアリーへの愛の大きさにもまったく違いがないんですよね。

いわゆる三角関係ってやつですが、アリーが誰と結ばれても、残された方が不幸になる…。
「でも、誰も不幸になってほしくない…!」と見る者に思わせる映画なんですよ。
後から出てきたロンが、けして悪い奴として描かれてないせいだと思うんですが、本当に難しい選択を迫られます。アリーも、観客・視聴者も。

そこまで一緒になって悩めるくらい感情移入してたんでしょうね。ヒロインに(笑)


で、その若かりし頃の大恋愛があまりにも良いので、それだけで満足しちゃう映画です。
「きみに読む物語」ということで、お爺さんが物忘れの酷いお婆さんに昔の話を語って聞かせるのが、この映画でやりたかったことだと思うんですが、むしろこの設定は蛇足じゃなかろうか?…と(笑)
はっきり言って、現代のパートはいらなかったと思います。

ラストカットは現代パートなんですが、ちょっと夢見がちというか出来すぎな終わり方。
世の中そんなにうまくいかないよ、何十年も変わらず居続けるなんて無理だよ、ってつい思ってしまいますね。
せっかく過去パートで恋と現実、選択とそれに伴う責任や犠牲をしっかり描いていたのに、ラストのお爺さんお婆さんが悪い意味でファンタジーにしちゃってお茶を濁した感のある結末。

過去パートが良作だっただけに、この現代パートの腑に落ちない感じが、なんかねえ…。
そして、タイトル「きみに読む物語」や原題「THE NOTEBOOK」からも分かるように、その腑に落ちない現代パートこそがこの作品の見所だというのが、非常に残念な映画なのでした。