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コクリコ坂から (2011年、日本)

感想 (2013年1月13日、TV録画にて鑑賞)

スタジオジブリの劇場用アニメーション「コクリコ坂から」です。
このブログで紹介するジブリアニメはこれで2本目になりますね。意外にジブリ映画のレビューは書いてないんですよ……。
ちなみに1本目は「ゲド戦記」を酷評したんでしたっけ……。何故か宮崎吾朗作品だけレビュー書いてて、宮崎駿作品は敬遠している僕です(笑)

監督は、これが「ゲド戦記」に続いて2作目の監督作品となった宮崎吾朗。
脚本は父である宮崎駿。
原作は80年代に描かれた少女漫画で、高橋千鶴(作画)・佐山哲郎(原作)によるもの。
原作漫画になかったカルチェラタンが登場するなど、他のジブリ作品の例に漏れず、大幅に脚色されているようです。

長澤まさみと岡田准一が恋に落ちる二人の学生の声を演じます。
その他の役も、俳優が多めで竹下景子、風吹ジュン、大森南朋、石田ゆり子、風間俊介、香川照之などなど。
最初チラッと見た時、決意の表情のヒロインから発せられる長澤まさみの声が低音すぎて、「なにをこの子は怒ってるんだ」と思いましたが、録画して最初から見たらそんなに気になりませんでした。
劇場用アニメって、よくプロの声優以外の芸能人を起用して批判を浴びることがありますが、個人的には見てる間に慣れてしまって最後の方では違和感なく見れちゃうタイプです(笑)


ただ物語の方はちょっとだけ違和感を感じる出来でした。
「ゲド戦記」の時と同じく説明不足な部分がいくつかあったように思いますね。
(とはいえ、公開当時に放送されたNHKの関連ドキュメントを見てしまったので、知恵熱出しながら絵コンテ頑張ってた吾朗監督を批判できないのですけど……)

まず小さな所を挙げれば、ヒロインの松崎海が何故か友人たちから「メル」と呼ばれている件。
本編中にはたしかこのあだ名についての説明がなく、むしろ「海」よりも「メル」と呼ばれることの方が多い感じで、見終わった時にどっちが名前であだ名なのか一瞬迷いました(笑)
結局、ツイッターの方で仕入れた情報で「メルはフランス語で海を意味している」ということを知ったわけですが、ツイッターやってなかったら今も知らなかったに違いない……。

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次に気になった部分は、メルが夕飯の買い出しに慌てて出かけた時に、偶然家の前で風間俊と出会うシーン。
事情を知った風間は自転車の後ろにメルを乗せて商店街へ向かおうとするのですが、この時、自転車をくるりと反転させてメルを乗せるんです。
つまり、来た道を戻るわけです。

その後は、下り坂を自転車で疾走する少年と少女というベタですが良いシーンなんですが、目的を達成したのち、風間はまた別方向へ帰ってしまうんですよね。
風間の通学路って結局どの道なのか。商店街から行ける場所なのに、何故わざわざ坂を上ってメルの家の前を通りかかったのか。何故メルと共に坂を上って帰らないのか。

個人的には、風間は意識していた女子の家の前を通りたくて、わざわざ坂を上ったら、偶然その女子が出てきて驚いた!……だと思いたいんですが、そう断言するだけの要素はないんですよねー。


あと、一番説明不足だったのが、メルと風間の気持ちの描写ですよね。
メルはいつ風間を意識し始めたのか、いつそれが恋だと知ったのか……。メルが風間に惹かれていく経緯をもっと描いてほしかったです。

さらに二人の前に立ち塞がったある「恋の障害」とそれに対する葛藤とかも希薄なんですよね。
全体的に淡々としています。
もっと悩んで思いつめないとラストに感動は得られないと思います。


しかし、ジブリアニメとしての面白さを感じる部分もあって、そういう所は面白かったですね。
文化部がひしめき合う魔窟・カルチェラタン。そしてそこに棲む我が道を行く男たち。
学校側が進める取り壊し計画に反対する学生たちがとった行動は、女子を巻き込んでの大掃除!
このカルチェラタンのゴチャゴチャした感じは、「千と千尋の神隠し」の湯屋のようであり、今にも崩壊しそうな点で「ハウルの動く城」のようでもあり……。

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あと、一人強烈なカリスマを放つ脇役がいましたよね。
メガネの生徒会長。ヤバい。ヤバいです。カリスマです。
風間なんかより全然キャラ立ってる(笑)

「諸君、時間だ!」

もう、痺れますね。


全体的に淡々と描かれているけど、そういった魅力あるシーンもあるし、昭和60年代の空気感を感じることもできます。
しかし、その設定や脇役たちの姿は良かったけど、肝心の主人公たちの恋愛がなりをひそめてしまった感じはしますね。
なんというか、とても素直で良い作品なんだけど、素直すぎると面白味に欠けるんですよね。もっとはっちゃけてほしかった作品でした。