【監督】
神山健治
【声の出演】
田中敦子 (草薙素子)
大塚明夫 (バトー)
山寺宏一 (トグサ/笑い男)
仲野裕 (イシカワ)
大川透 (サイトー)
山口太郎 (ボーマ)
小野塚貴志 (パズ)
阪脩 (荒巻大輔)
玉川紗己子 (タチコマ)
中嶋聡彦 (アーネスト・瀬良野)
*あらすじ
あらゆるネットが眼根を巡らせ、光や電子となった意思をある一方向に向かわせたとしても、"孤人"が複合体としての"個"になる程には情報化されていない時代……。西暦2030年、電脳化が一般化され情報ネットワークが高度化する中で、複雑化する犯罪に対抗するため、内務省直属の独立部隊として設立された<公安9課>、通称<攻殻機動隊>。課長・荒巻とチーフ・草薙素子の下で、サイバー犯罪の捜査やテロリズムの抑止・検挙、要人警護、汚職摘発など極秘裏な任務にあたる彼ら。やがて薬害事件に端を発する一つの事件が浮かび上がってくる。
*感想
士郎正宗原作漫画をアニメ監督の神山健治がテレビアニメ化した2002年のSFアクションアニメ。
10年前なんですねこのアニメ。その割に絵が綺麗だったので数年前かと勝手に思ってました。
言うまでもなく「攻殻機動隊」シリーズの一つです。
劇場版「GHOST IN THE SHELL/攻殻機動隊」とは設定などの点で相違があって、<第三の攻殻>とも呼ばれます。
まあ、このシリーズ自体がスタンド・アローン・コンプレックスな状態になっていますよね。
独立した個々のそれぞれの展開が、複合して「攻殻」というイメージを作り上げています。
この「攻殻機動隊 STAND ALONE COMPLEX」(以下、攻殻SAC)は、TVアニメということもあって1話完結形式で進んでいきます。
初回は公安9課の顔見せ&お仕事紹介的な内容、2話は多脚戦車の暴走を止めるためにタチコマ大活躍の巻、3話は人間とロボットの恋の物語……といった風に、TVアニメ版ならではのエピソードが続きます。
4話でようやく攻殻SACの主要な事件となる「笑い男事件」に触れられますが、その後も単発エピソード(スタンド・アローン=独立)の合間に笑い男事件(コンプレックス=複合)を挟んでくる感じで、終盤までは盛り上がらない印象でした。
そもそもですね、劇場版にも言えることですが、説明なしで突っ走る作品ですねやっぱり攻殻は(笑)
初回からして、電脳積み替えなんていうトリックを持ってきますからね。全身義体っていう設定を理解してないと「は?」ですよね。
その他にも視覚を乗っ取られる<インターセプター>や、電脳時代ならではの<外部記憶>、<ゴースト・ダビング>、<電脳硬化症>などなど……。
逆に、この視聴者に優しくないスタイルが魅力でもありますね。硬派なSFって感じで。
劇場版には出てなかったタチコマたちが意外に重要な役どころで驚きました。
思考戦車、並列AIなんですけど、すぐにみんなで集まって議論が始まっちゃう(笑)
しかもその内容がこれまた難しい。
蓄積した経験を共有するはずのタチコマが何故か「個性」を獲得していく展開も面白いですね。
それによって素子に怒られたりして、研究所に戻されてしまうんですが、そこからの最終回直前での返り咲き!
すごく泣ける展開……。いやもうタチコマのためのシリーズじゃんすかこれ……(笑)
全体的なテーマはなんだったのか……?
攻殻SACのうち「笑い男事件」の部分を再編集したDVDもレンタルされてるようなので、いつか改めて見てみようと思いますが……。
薬害事件への義憤に溢れる若者<笑い男>と、その存在を利用する第二第三の<笑い男>たち。
オリジナルの不在がオリジナルなきコピーを作り出し、それぞれの独立したコピーがオリジナルの存在を作り替えていきます。
それがスタンド・アローン・コンプレックス。そしてそれを生み出すのはネットワーク化された社会システム。
本来「個」であるはずの人々が、情報の共有によって複合体となっていく……。それは「個」の喪失?
しかし、タチコマが示したのは、情報の並列化の果てに個を取り戻す方法。
それを成せるのは「好奇心」ということでしたが……。
まあ、やっぱり難しいですね。
単純に特殊部隊としてのアクションが面白い回もたくさんありましたが、この難解さがファンを惹きつけていることは間違いなさそうです。
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