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攻殻機動隊 S.A.C. 2nd GIG

【監督】
神山健治
【声の出演】
田中敦子 (草薙素子)
大塚明夫 (バトー)
山寺宏一 (トグサ)
仲野裕 (イシカワ)
大川透 (サイトー)
山口太郎 (ボーマ)
小野塚貴志 (パズ)
阪脩 (荒巻大輔)
玉川紗己子 (タチコマ)
西田健 (合田一人)
小山力也 (クゼ)
榊原良子 (茅葺よう子)

*あらすじ

西暦2032年、「個別の11人」を名乗るテロリストの事件がきっかけで再編することとなった公安9課、通称<攻殻機動隊>。個別の11人事件と謎の男クゼの登場、そして内閣情報庁の合田との対立によって、事件は混迷を増していくが……。
 
*感想
TVアニメ「攻殻機動隊 STAND ALONE COMPLEX」の第2シリーズ「攻殻機動隊 S.A.C. 2nd GIG」。
原作は士郎正宗、監督は前シリーズ同様に神山健治、そして今シリーズではストーリーコンセプトとして「GHOST IN THE SHELL/攻殻機動隊」の監督・押井守が参加しています。



前シリーズでは薬害事件に端を発する「笑い男事件」を描いていました。
今シリーズでは、難民問題が浮上してきます。
第4次非核大戦の結果として、多数のアジア難民を受け入れてきた日本政府。
しかし、難民への差別などから難民の間では解放を望む声が上がってきます。

そこへ現れたのが「個別の11人」という特定のリーダーを持たないテロ集団。
彼らは難民を差別する側。難民への攻撃によって難民の蜂起を促し、政府による制裁を仕向けようと企むわけですね。
そして、そのメンバーの一人だったのがクゼ。彼は「個別の11人」の行動に疑問を感じ、集団自決の際に一人だけ自殺を思いとどまります。
その後、クゼは難民を守るために行動していくようになります。

そして、「個別の11人」を生み出した黒幕が、内閣情報庁の合田一人(ごうだ かずんど)。
実は、彼の作り出した電脳ウィルスを発症した者が「個別の11人」を名乗ることになるというカラクリ。
難民と国民の対立を深めるために「個別の11人」を生み出した合田にとって、クゼの存在はイレギュラーでしたが予想の範囲内で、結局クゼが難民の指導者となって独立を画策することで、合田の計画は進んでいきます。

攻殻機動隊は、難民受け入れに積極的な茅葺(かやぶき)総理の下、合田の思惑に翻弄されながらクゼの足取りを追います。

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うーん、相変わらず難しい話ですよね……。見てる間もよく分からんまま見てましたよ……。
セリフが内輪でしか分からない専門用語満載だったりするのでね……。
まあその難解さがなければ、「攻殻」とは言えないんですけどね。

今シリーズも1話完結でスタンド・アローン(=独立)な回とコンプレックス(=複合)な回に別れる感じ。
ただ、前シリーズよりもコンプレックスが幅を利かせていて、一つの難事件を追いかける全26話としてはこっちの方がまとまりがよかったですね。

スタンド・アローンと思いきやコンプレックスの伏線になってる回だったり、「個別の11人事件」と純粋に無関係な回は少なかったんじゃないでしょうか?(サイトーのポーカー回とかね)
逆にコンプレックスだと思いきやパズが昔の女と痴話喧嘩(ハードボイルドに命懸けw)するスタンド・アローンがありましたね(笑)

全ての話数が一つの事件に集束されていくような構成の妙がありますね。
ただ、最終回というか後日談・事件解決の面白さはあまりなかったですね。
最終回が時間足りなくなってしまったみたいな印象でした。

あれだけ嫌われた合田があっさり始末されてしまうし……。
ラストで素子が黄昏れてしまうのもなんだかなあ。
攻殻の代名詞でもあるビルから夜の闇へと吸い込まれていくシーンで終わってほしかったですね。散る桜の美しさ云々ではなくて……。



ただやっぱりサイバーパンクなカッコよさは随所にあって。
難民たちが拠り所とする<HUB電脳>というものが出てきたんですけど、それを電脳空間で調査するシーンとかカッコ良かったですね。
菅野よう子の音楽もそうですけど、SFに期待しているものをちゃんと見せてくれます。

OPもカッコイイですね。第1シリーズでは3DCGでなんだか微妙な素子を再現してましたけど、2ndGIGの2DアニメのOPは文句なしにカッコイイです。

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全体的なテーマ……?
まあ、この「個別の11人事件」も、再編集されたDVDがあるようなのでいつか借りて見ようと思います。

難民問題というテーマを描いてはいるけれど、結局は「GHOST IN THE SHELL」から続く、人間のアイデンティティについての話だった気も。
「水は低きに流れる。人も同じ」そんな憂いを持ったクゼは、社会から疎外されそれ故に暴発しかねない弱者たちをHUB電脳で導き、<新たなステージ>を目指します。
肉体を捨て、意識を複合体としても、個を保つことはできるのか?そんな問いが提示されます。

HUB電脳についても、けしてSFの世界だけの話ではないような気も。
一つの意見に共感する者たちが特定の主張をネットですることでそれが巨大なムーブメントとなっていく、これは今まさにいろんなジャンルやレベルで起こっていることですよね。



また、素子の過去についても明示はされないけれど語られた感じ。
素子とクゼを恋愛的な視点から描いたりもしてるので、まあいろいろつめ込まれた作品でした。

恋愛で思い出しましたが、女性総理大臣の茅葺と荒巻課長の関係も見所。
荒巻にとっては茅葺総理は「なにかほっておけない」「守ってあげたい」女性のようで、恋愛感情に発展することは無いからこその一本線を引いた共闘関係が良かったですね。

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