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ニライカナイからの手紙 (2005年、日本)

感想 (2013年4月19日、TV録画にて鑑賞)

監督は、「おと・な・り」「君に届け」などの熊澤尚人。
本作では自身のオリジナル脚本を監督しました。

出演は、この作品が初めて単独での主演となった蒼井優。
共演には、平良進、南果歩、金井勇太、比嘉愛未、前田吟などなど。


沖縄本島の遥か南にある竹富島。
小さな郵便局の局長を務めるオジィと二人で暮らす孫娘の風希。
風希の楽しみは、毎年誕生日に送られてくる東京で闘病生活をおくる母親からの手紙でした。

幼い頃に父親を亡くした風希にとって母からの励ましの手紙はとても大切なもの。
いつか母に会いに行きたいという思いを抱きながら、竹富島で成長していきます。

ある時、「風希が20歳になったらすべてを話す」という内容の手紙が母から届き、風希は高校を卒業したら上京することを決めます。
オジィには猛反対されますが、写真の夢を叶えるため、そして母に会うため、風希は竹富島を出て東京に移り住み、カメラマンのアシスタントをしながら過ごすのですが…。

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ゆけちの中では、この手の作品は苦手分野ですね。いわゆる「感動作」ってやつです。
しかも自ら「この映画は感動作です」って臆面もなく言いながら制作されたような映画。
そういう作品の中にもたまに涙腺崩壊してしまう映画があるので、一応見てしまうんですが、これは思ったとおりの「ダメな感動作」でした…。

まず、タイトルで大事な所をネタバレしてます。
<ニライカナイ>とは沖縄に伝わる理想郷のこと。
海の果て、あるいは海の底にあり、魂が来て帰る場所、だそうです。

他にも様々な意味を持つ言葉のようですが、ザックリ言えば楽園・理想郷・極楽浄土のことなんですね。
そこから届く手紙…もう何を言いたいのか一発で分かります(笑)
「ニライカナイからの手紙」は、「天国からの手紙」と同義なんです。

沖縄の人なら見る前から内容が分かるであろうこの映画、全国向けに冒頭で<ニライカナイ>の意味が説明されます。というか、説明しちゃいます。
なので、沖縄県外の人たちも問題なくネタバレした状態で最初から見れる親切な映画です(笑)




この映画、ユニークなことに、「母親が既に亡くなっている」という事実を主役の風希のみならず観客にも隠したまま、話を進めて行くんですね。
タイトルで察しがついてるにも関わらず、母親が死んだ事実を終盤明かされる「秘密」として取っておくんです。

そして終盤、その秘密が明かされるんですが、やっぱり母親は亡くなってるわけですね。
母親は風希が幼い頃に東京の病院へ入院したまま亡くなっており、存命中に書いた約10年分の手紙を、オジィの友人である都内の郵便局の局長が代わりに差し出していた…。

例えば12歳、15歳、18歳、それぞれの年齢に達した娘がどのようなことに悩んでいるのか真剣に考えながら予め手紙を書く母親の姿は泣かせますし、孫娘を悲しませまいとしていた不器用なオジィも悪くないです。

しかし、既に察しがついていたことをまるで衝撃の事実のように描くのはどうかと。
しかも、その事実だけで感動へ持って行こうとするんです。
この監督が本気なのかちょっと疑いましたね…。いくらなんでも観客はそこまで馬鹿じゃあございません(笑)

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こういう何の工夫もない脚本を、蒼井優ちゃんがその演技力で好演してるわけですが、それは本当に素晴らしかったし、蒼井優を撮ることに全力を傾けてる映画だと思います。
でも、終盤、母親の遺影を前に泣き崩れる姿とかも素晴らしいんですけど、風希は母親の死を薄々感づいていたんじゃないかとか、突然風希が帰省したのでオジィが遺影を隠せなかったとか、展開のお粗末さが微妙な感じにさせます(´・ω・`)

落ち込む風希の所へ励ましに来る突然の隣近所のオバァたち…。
竹富島の風土紹介と観光PR、さらに郵便局のPRも兼ねた、結末すぐに読める映画でした。