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39 刑法第三十九条
(1999年/日本)

【監督】
森田芳光
【出演】
鈴木京香
堤真一
岸部一徳
吉田日出子
山本未來
勝村政信
國村隼
樹木希林
江守徹
杉浦直樹

*あらすじ

ある凄惨な殺人事件の犯人として逮捕された柴田真樹。裁判中に突然豹変し、意味不明な言葉を発する彼を、弁護側は「心神喪失状態にあり、責任能力が無い」と主張する。もし心神喪失が認められれば、柴田は無罪となる。精神鑑定の結果、柴田は多重人格者と認定されるが、精神鑑定に助手として立ち会った小川香深は、柴田の精神疾患は詐病ではないかと直感し、独自に調査を始める……。

*感想(2011年11月12日、TV録画にて鑑賞)

「模倣犯」のせいで良い印象のない森田芳光監督の作品。
この方、先月20日に亡くなられたようです。病名は、急性肝不全。
61歳という年齢は、映画監督としては早すぎる死でした……。

今回はたまたま森田監督の作品を紹介しますが、「追悼企画」ではないのであしからず。
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刑法第39条をめぐる、シリアスなサスペンスです。
犯行時に心神喪失状態だったことが認められれば罪には問えない、という法律がもたらす問題点にスポットを当てた作品です。

主演は、鈴木京香。精神鑑定人の助手・小川香深(おがわ かふか)を演じます。
被告人・柴田の精神鑑定に立会い、多重人格者である柴田のもう一つの人格と対峙しますが、それは「詐病」(≒仮病)なのではないかと疑念を抱きます。

とにかく、鈴木京香と、多重人格者を演じた堤真一の演技力に、まず圧倒されます。
蚊の鳴くような声で話す鈴木京香。あんなに自信なさそうな鈴木京香は初めてです(笑)

そして、こんなに気持ち悪い堤真一を見たのも初めてです。もう一つの人格が気持ち悪い(笑)
「容疑者Xの献身」で犯人役を演じた時もちょっと気持ち悪かったけど、この作品の比ではない!
(褒めてますからね?)
こういうのを役者魂っていうのかな?ストイックな演技に驚きました。
ちなみに、柴田の職業が劇団員(役者)というのも、見る側を途中まで上手く混乱させる要因ですね。

樹木希林の弁護士役も良かったです。書類の読み上げ方とか、決まりきっている文章をボソボソと早口で……。
なんだこのリアリティ、本当に森田作品か?(笑)

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演出とか、作品全体の色彩とかは、暗めです。ってか、暗い。
一方で、唐突にクラシック流れてたり……。やっぱり演出が不思議な監督。
多分、これをやり過ぎちゃったのが、「模倣犯」だったんじゃないかな、と。

ラストの法廷での精神鑑定の実演(?)シーンは面白かったです。
結局、柴田が本当に多重人格だったかどうかはここでは伏せておきますが、ラストの対決は妙な爽快感がありました♪

作品のテイストは渋めですが、役者の演技に魅入ってしまう映画でした。
森田監督の作品の中では良作と言っていいんではないかと♪
別に、ご本人が亡くなったから手の平返したわけではなく、役者の演技は見る価値あると思います。

でも、タイトルの「39」はいらないと思うんだよなぁ……。
やっぱり、どこかひっかかってしまう監督なのでした^^;