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マイウェイ 12,000キロの真実 (2011年、韓国)

【ジャンル】
戦争映画/3つの軍を渡り歩いた戦争映画

【監督】
カン・ジェギュ

【出演】
チャン・ドンゴン(キム・ジュンシク)、オダギリジョー(長谷川辰雄)、ファン・ビンビン(シュエライ)、キム・イングォン(ジョンテ)、夏八木勲、鶴見辰吾、山本太郎、佐野史郎、浜田学、イ・ヨニ、ト・ジハン

【あらすじ】
1928年、日本占領時代の朝鮮。憲兵隊司令官の長谷川の使用人として働いていたまだ幼いキム・ジュンシクは、日本からやって来た長谷川の孫・辰雄と出会う。互いに走ることが好きな2人は、良きライバルとしてマラソンでのオリンピック出場を目指していた。しかし、代表選考会で事件が起こり、民族の違いから2人は憎みあうようになる。この事件をきっかけに日本軍に強制徴用されたジュンシクは、心にオリンピックへの夢を抱き続けながら、日本兵として戦うことに……。そしてある日、ジュンシクの前に上官として現れた辰雄は、すっかり冷酷な軍人に変わっていた。やがて2人は運命のいたずらによって、日本・ソ連・ドイツの軍服を着て戦う1万2千キロの過酷な旅に出る……。



【感想】
(2012年1月20日、109シネマズ富谷にて鑑賞)

ノルマンディーで敗れたドイツ軍捕虜の中に、一人の東洋人の姿があった……。
その写真を元にして監督がイメージを膨らまして作ったストーリーが、この「マイウェイ」という映画になります。

日韓の関係って水面下ではけっして良くない状況にあるわけで、その影響でこの映画も(戦争っていう最も遺恨を残しやすい題材なだけに)さまざまな評価をされてるわけですね。
反日映画であるという批判に始まり、パクリ疑惑まで。
ただ、その真実については僕は知りたくないし、考えたくもない。

ひとつ言えるのは、戦争を題材にした映画で自国民を悪者にしてるものはあまり見たことがないということ。
日本でも、韓国でも、アメリカでも、どこの国でも愛国心を仕事にしてる人たちっていますから、自国(とりわけ兵士)を悪者に描けば監督が叩かれるのは目に見えています。

だから、この映画の中で「あ、これって反日感情なのかな」と思えるシーンがいくつかあるんですけど、僕はそれが監督の意図かどうかはどうでもよくて、「こういう作り方にしなければ韓国国内で受け入れられないんだろうな」と思うことにしました。
まぁ、むしろ他国の反日勢力に頑張ってもらったほうが、日本の反“反日”の皆さんにとっては追求のネタが尽きなくて喜ばしいことなんでしょうけど。


映画の内容ですが、戦闘シーンはすごいですね、血だらけ泥だらけ爆発だらけって感じで、このレベルの映像を邦画でもぜひやってほしいですね。ジュンシクと辰雄が国を超えたライバルであったように、韓国映画と日本映画も良きライバルと言える関係になってほしいです。がんばろうニッポン!(←久しぶりに言ったw)
大規模な戦闘が3度あり、さすがに3度目のノルマンディーの攻防では若干飽きた感じもしてくるんですが、多分、序盤の戦闘からお金とアイディアを惜しみなく出している結果ですよね、これは。

で、ドラマの方はどうだったかというと、さすが韓流、面白かったですね。
2人の男がある事件によって仲違いし、それに国同士の思惑が拍車をかける。
いきなり殺し合いが始まってしまうのは、ちょっとついていけなくて驚いたけど、とにかくチャン・ドンゴンとオダギリジョーの熱いバトル(演技という意味で)が良かったです。

個人的には、人として正しい心を持ち続けたジュンシクよりも、冷酷な指揮官から死にかけの捕虜まで転落しっぱなしだった辰雄の方が、不完全な人間性に心惹かれます。
指揮官時代のオダギリはマジカッコイイ。もう一度、今度はダークヒーローとして仮面ライダー出てくんないかな(笑)

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ジュンシクの親友ジョンデを演じたキム・イングォン、辰雄の部下・野田を演じた山本太郎、この2人の脇役の存在も大きかったです。
ジョンデは捕虜になった後、うまく立ち回って収容所内で権力を得ますが、その結果、仲間よりも保身を優先するようになってしまう役。正しい心を失わないジュンシクの代わりに、その役を引き受けてるんだと思います。
そして、山本太郎演じる野田は、日本人が見ても腹立つほどの差別主義。ジュンシクと固い絆で結ばれている辰雄の代わりに、韓国人から見た日本人としての嫌われ役を一手に引き受けた感じがしますね。
この脇役2人も大いにドラマを盛り上げていたと思います。

あと、ファン・ビンビン……。まぁ、出てたね、くらいの印象しかないですが、彼女のエピソードがジュンシクの人間性に深みを持たせます。
それが必須だったかどうかは分かりませんが。でも、やっぱり映画には華がないとね♪(笑)


ドラマ部分は面白かったんですが、全体としての出来はどうかというと、まあそんなに……な内容。
なんででしょうね?
役者の演技は良かったって語れるのに、もう一度見たいとかオススメしたいとか思いません^^;
やっぱり、戦争映画ってメッセージ性を持たせても結局、主張が似通ってくるからかな?
主人公たちが3度も軍服を着替える展開はこの映画だけのものですけどね。

あと、受付で配られた「ぴあ」編集のフリーペーパーの最後に、「『マイウェイ』をあの映画と比較する!」と題して、「ショーシャンクの空に」「フォレスト・ガンプ」などにこの映画をなぞらえていたんですが、上映前に「あの名作と似てる」なんて情報は仕入れるもんじゃないです。
そこは、観た人がそれぞれ「あれのオマージュだな♪」とか気づいて楽しむべきところで、先に言われてしまうとつまらないです(-_-;)

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