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ロボット (2010年、インド)

【ジャンル】
SFアクション/大暴走ロボット映画
【監督】
シャンカール
【出演】
ラジニカーント(バシーガラン博士/チッティ)、アイシュワリヤー・ラーイ(サナ)、ダニー・デンゾンパ、サンターナム、カルナース

あらすじ

ロボット工学のバシーガラン博士は、10年の研究の集大成として自分そっくりのロボット「チッティ」を開発する。しかし、善悪の判断や人間社会の常識が分からないチッティは、町に出るとトラブルばかり起こす。博士はチッティに感情を与えるが、感情を知ったチッティは博士の恋人・サナに恋をし、彼女につきまとうように……。怒った博士によって解体され廃棄されたチッティだったが、バシーガラン博士に恨みを持つボラ博士の手によって改造され、冷酷な殺人マシンとなって復活する……。

感想 (2012年5月12日、109シネマズ富谷にて鑑賞)

いろんな意味で「超絶」な映画。
インド映画界がハリウッドのVFX技術を駆使して生み出したSF超大作。

主演はインドのスーパースター、ラジニカーント。この「スーパースター」ってお世辞でも誇張でもないらしい。オープニング・クレジットで彼の名前がでかでかと……。通称は「スーパースター・ラジニ」だそうです。
今作では、ロボット工学博士のバシーガランと、彼が自分そっくりに作り上げたロボット・チッティの一人二役です。
でも演じ分けという点では、後半チッティが悪いロボットに豹変するので、一人三役と言ってもいいと思う。
アクションもダンスもバリバリこなしてましたが、実はなんと還暦すぎてるオジサン。でも、映画見ただけではギリギリ40代くらいに見えるかな~?

ヒロイン役には、かつてミス・ワールドに輝いたアイシュワリヤー・ラーイ。
博士の年の離れた恋人役で登場します。医学を学ぶ学生という設定ですが、女子大生にしては若干色気がありすぎる感じが……。この人も実はアラフォー女性という、なんだか役柄に対して実年齢が高すぎないか、インド映画?(笑)

いや、でもダンスシーンでの彼女は本当にステキ♪
特にショートカットのロボット風美女に扮して踊ってたのが一番好きです。

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内容についてはとにかくいろんな要素がてんこ盛りで、一言で言い表せません。
コメディ、アクション、ダンス、恋、陰謀、そして思わずホロリとくるラスト。
特にコメディ、この映画はロボットの超絶意味不明アクションが最大の見所なんですが、それ以外の部分でもユーモアたっぷりに描かれていました。

前半は、チッティの巻き起こす騒動が中心。
バシー博士は、戦争で人間の代わりに戦う兵器としてロボットを造っており、その根底には人間の血を流したくないという博愛精神があるんですが、そのためにチッティを町に連れ出すも基本的な会話も正しく理解できないためにトラブルが多発します。

一番ロボットの不完全さを描いていたシーンがアパート火災のシーン。
博士はチッティに燃え盛るアパートの中から生存者を救い出せと命じ、チッティは火の中に飛び込んでいきます。
博士そっくりに造られた外装が燃え落ちて、本来のメタリックなボディ(この状態での顔が素朴すぎて笑える)になっても、次々に人々を救出していくチッティ。

しかし、最後に助けに向かったのは、入浴中に火事にあった若い娘の所でした。
浴槽の中から「わたし裸なのよ!」と訴える女性。
チッティは一言「ダイジョウブ。私も裸です」何が大丈夫なんだか(笑)
結局、その女性は全裸の状態で野次馬や報道陣の前に連れだされてしまいます。

ロボットが人間の尊厳を理解していないことに気づいた博士は、チッティに人間について、感情について教え込みますが……。


後半は、感情を持ったチッティが博士の恋人サナに恋をしてしまう、という展開。
その結果、怒ったバシー博士に解体されてしまいますが、そのチッティをゴミ捨て場で拾ったのが、バシー博士を妬むボラ博士。
彼によって破壊プログラムなるチップを埋め込まれたチッティは、力づくでサナを手に入れようとやってきます。

ここからが、怒涛のトンデモアクション!
銃を数十丁同時に乱射したり、車の後部からフロントへ突き抜けたり。
極めつけは、数十体のチッティによる華麗でかつまったく無意味なフォーメーション!
球体になって転がり回ったり、蛇の姿になったり!

一体何のために!?
いや、意味など考えてはいけないんだ!!
ラスト40分はこれでもか、これでもかと襲い来るチッティをひたすら描いてますね。
いい意味でクドいアクションの連続!いい意味でしつこい悪チッティ!いい意味でひどい!
よくアイディアが枯渇しなかったよな……!!

そしてラストはまさかのとっても泣かせる演出!!
真面目に作ってるんだよね、これ(爆)


総評してみると、VFXは力はいってる所とそうでない所で若干のムラ。
ストーリーは意外にシンプルだけど、いろんなエピソードてんこ盛りで飽きさせない。
メッセージ性は皆無に等しいが、ラストで何故か泣けてしまう。
ダンスシーンの絢爛豪華さは、NHK紅白も見習うべき。
娯楽映画としては傑作に値する映画だと思います。

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実は、2010年に3時間を超える大長編として発表された作品を、今回の日本公開では2時間ちょっとに編集して上映してるそうです。
特にマサラムービー特有のダンスシーンを中心にカットされてるらしく、観ていても「あぁ、こういう流れで踊りだすんだな」と思った途端に場面が替わったりとかけっこう大胆な切られ方してました。

これはぜひ完全版で見たい!
完全版を公開しようという動きがあって公式サイトで投票できますので、このレビューを見て、見たいな~と思った人はぜひ投票してみてください!

完全版公開されたなら、僕はもう一度観に行くつもりです!!

感想(完全版) (2012年6月23日、チネ・ラヴィータにて鑑賞)

(2012年6月24日追記)

……てなわけで、完全版も観てきました!(爆)
意外と早かったです!完全版公開にこぎつけるのが!(笑)
5月に短縮版を観たばっかりですが、1ヶ月ちょいで完全版を観ることができるとは思いませんでした。

今回は、友だちも巻き込んでの鑑賞。
やはり、友だちの目から見てもストーリー展開や終盤のアクションについていろいろツッコミどころがあったようですが、しかしそこがむしろこの映画の魅力なんですよね♪


短縮版ではカットされていたダンスシーンも観ることができました♪
白い砂漠で2人きり踊るバシーとサナ、そしてマチュピチュで豪華衣装で踊るバシーとサナ!
思うに、前半はバシー博士とサナの痴話喧嘩をたっぷり描いていますね(笑)

それによって、サナを奪おうとするチッティの想いに深みが出るのかどうかは分かりませんが。

ダンスシーン以外にもシーンが追加されてまして、チッティが破壊の女神っぽくなったシーンはツボでした。

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上映時間はほぼ3時間!長かった……。
5月に観た時は、特に前半を中心にカットされてたので、チッティが解体されるまでがとても長く感じました。
いろいろエピソードを盛り込み過ぎなのかもしれないね~。
モスキートとのやり取りとか本当にどうでもいいわけだし(笑)
まあ、楽しませようとして作ってらっしゃるのはわかるので、別に苦痛ではないんですよね、これが。


スーパースター・ラジニについては、改めて考えると、この方は本当にアジアを代表する役者です。
と言うのは、今回バシー博士とチッティの一人二役(チッティVer2.0も含めると三役)だったわけですが、その演じ分けが完璧だったんですよ。

登場人物がそんなに多い映画ではないので、ほとんどのシーンにバシーかチッティが出ているんですね。
つまり観客はずっとラジニカーントばかり観ていることになる。にも関わらず、そのことをまったく意識させなかったのは、やはりラジニがスーパースターと呼ばれるゆえんかと。
(チッティのサングラスのせいじゃね?っていうツッコミはなしでお願いしますw)


音楽についてもやっぱり何度聴いても良かったですね~。
これはぜひサントラも手に入れたいです♪