ポテチ 
(2011年/日本)
【監督】
中村義洋

【出演】
濱田岳(今村)、木村文乃(若菜)、大森南朋(黒澤)、石田えり(今村の母)、中村義洋(専務)

【あらすじ】
同じ日、同じ場所に生まれた2人。片方は地元の星としてプロ野球選手になり、もう片方はごくごく普通の凡人へと育って……今は空き巣家業をしていた。ある日、恋人から「働いてる姿を見たい」と言われた空き巣の今村は、尾崎という野球選手の部屋に忍び込む。だが、今村は何も盗まず悠然とくつろいでいる。そこへ、尾崎に助けを求める女性からの電話がかかってくる。何かを感じた今村は、尾崎の代わりに電話の相手のもとへ向かうが……。



【感想】
(2012年4月7日、フォーラム仙台にて鑑賞)

終始クスクス。ラストでは思わず涙。エンドロールの途中に爆笑が待ち受けている映画。

恒例?の「伊坂幸太郎×中村義洋」映画です。
原作は伊坂の中短篇集「フィッシュストーリー」所収の一編「ポテチ」。
そう、この本は映画「フィッシュストーリー」を見た時に買ったんですが、その後、妹に東京に持っていかれてしまい、今回の映画公開に合わせて再読することはできませんでした。貸したことも忘れてたからなぁ……。

本を読んだことは読んだんですが、その時はそんな面白い話だとは思わなかったんですよね……^^;
実は、最初に「ポテチ」をやると聞いた時、伊坂幸太郎の最新作かと思いましたし(笑)
あらすじ見てから、「あぁ、読んだことあるなぁ」とぼんやり思い出したくらい。

そんな申し訳ない気持ちしか原作には抱いてないんですが、映画化したものを観てみたら、すごい化けてました。
正直「なんでこんなに面白くなった?」ですよ。
68分という掌編ですが、意外にしっかり映画してる映画。

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※今明かされる、三角形の秘密!


主人公・今村のとぼけた魅力、ヒロインを演じた木村文乃という新しい才能、謎多き男・黒澤の後部座席への溶け込みっぷり(笑)
短い時間で、各キャラクターの個性・魅力をきちんと描いていました。

特に木村文乃(きむら ふみの)については、なんかもう別格の高評価をしたい!
この一作だけで充分世の男性を虜にできるだけの魅力を発揮していたと思います。
なんとなく「小・松下奈緒」って感じ♪(顔が似てる気がする)ちょっと今後に注目してみます。

あと、空き巣の親分「専務」を監督本人が演じていたのもよかった!
なんかすごい自然体なのに空き巣に見えるっていう……(爆)
他の座席からも気づいた人のクスクス笑いが聞こえてきました♪
そして最後は監督がオイシイところを持っていきます。このシーンのために見てもいいと思う、この映画。


ストーリー自体は、自らの出生の秘密に悩む若者の話。
ただ、これについてはネタバレになるので語りません。
伊坂作品ですので、思わぬ伏線が絡みあって物語の全容が見えてきます。
そして、今回は、誰がどこまで知っていて、誰が真実に気づいていないか、この辺のところを注意してみるとドラマにグッと深みが出て、とても思いやりに溢れた物語だということが分かるはず。

どうしてタイトルが「ポテチ」なのか、その辺も謎って言えば謎ですが、一つだけヒントを挙げるなら、ポテチそのものじゃなく、ポテチを食べるシーンのやりとりに物語のキーワードが隠されています。

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今明かされる、万有引力の秘密!


僕は、普段絶対に「心が暖かくなる映画でした♪」なんて言わないんですが(柄じゃないのでw)、こういうの観ると、やっぱり……心がhotになりますねえ……。
あ、主題歌は、これもいつもの斉藤和義♪

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