ef5897e6.jpg

歩いても 歩いても
(2008年/日本)

【監督】
是枝裕和
【キャスト】
阿部寛
夏川結衣
YOU
高橋和也
田中祥平
樹木希林
原田芳雄

*あらすじ

夏のある日、横山良多(阿部寛)は妻のゆかり(夏川結衣)と妻の連れ子のあつし(田中祥平)とともに実家に帰省した。この日は、15年前に他界した兄の命日。しかし、失業していることを口に出せない良多にとって、両親(原田芳雄、樹木希林)との再会は苦痛でしかなかった。

*感想(2011年1月10日、TV録画にて鑑賞)


タイトルから受ける印象ほど歩いてはいません(笑)

歩くという行動そのものもそうですが、人生を歩むという意味でも、それほど苦しみながら歩いている感じはしませんね。主役を阿部寛だと思うと。
いや、ストーリーが分かってくるにつれて「歩いても 歩いても」の意味は判明しますが、それが主人公であるはずの阿部寛ではなく、樹木希林にぴったりハマる。
どちらかと言えば、阿部寛演じる次男坊は「逃げても逃げても……」という感じでした。

特に何も起こらないので、ツッコミどころも何も無い映画です。苦手なタイプかもしれない(笑)
次男坊とその家族、長女とその家族が、夏休みに入った孫たちを祖父母に会わせるという名目で実家に集まり、数日を一緒に過ごす物語です。

どこの家にでもありそうな会話・人間関係をそのまま切り取ってきたかのような生々しい感触。
父親の娘婿に対する感情とか、嫁の姑に対する気苦労とか、リアルすぎます。
ドラマとかでよくある、華麗な一族の骨肉の争いみたいな過剰な演出ではなくて、本当に誰でも感じているような、リアルな家族内の些細な不和。フィクションと思えないから、あぁなんかイヤです……。



そんな映画にも一応、見せ場というか、"他の家族にはない展開"があって、それが時たま挿入されるので、なんだか気になります。
例えば、次男が初めて連れてきたバツイチの妻とその連れ子の男の子。その男の子と初対面のじいちゃんのやりとり……これはすぐにオチがつきますが。

ばあちゃんが蝶々を長男の名前で呼ぶ。ファンタジーな感じでした(笑)え?何が起こるの?みたいな。そして、この老婆が15年間引きずり続けている哀しい過去と暗く陰湿な感情が明らかになります。
はっきり言って、あれは"呪い"です。いやあ、コワイですねぇ、オソロシイですねぇ。
普通の家族に見えながら、実は普通ではなかったという、いろいろ隠し持ってた!という映画ですね。

やっぱり、樹木希林の存在が大きかったのかな~。何も無いと言いながらも、ばあちゃんを中心にいろいろあったような気がします。まあ、母親はある意味家族の"核"ですからね。
YOUの演技も割と好きでしたかね……。あの人、普段から飾らない面白いお母さんみたいな雰囲気だけど、映画でもそのYOUのスタイルそのままで、それが逆に実在感を伴っていました。



もうすぐ僕も28。そろそろ劇中の阿部寛のように、両親から疎まれるようになるのだろうか。早く結婚しろとか、ちゃんとした職に就けとか。
しかし、結婚したらしたで、母は嫁を疎ましく思い、嫁は母への気苦労で疲れた顔するんだろうな~。
いやだな。そんなの見るくらいなら結婚なんてしなくていいや、と独り身の言い訳を一つ手に入れた気分になれる映画でした。(そんな感想か!)

「逃げても逃げても……」なのは、僕にこそ言えるのかもしれない…(苦笑)