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「ネバーランド」(2004年、アメリカ/イギリス)

原題:Finding Neverland  監督:マーク・フォースター  製作総指揮:ゲイリー・ビンコウ、ニール・イズラエル 他  製作:ネリー・ベルフラワー、リチャード・N・グラッドスタイン  脚本:デヴィッド・マギー  出演者:ジョニー・デップ、ケイト・ウィンスレット、フレディ・ハイモア  音楽:ヤン・A・P・カチュマレク  撮影:ロベルト・シェイファー  編集:マット・チェス配給:東芝エンタテインメント  上映時間:100分

【あらすじ】
ロンドンの劇場で劇作家のジェームズ・バリ(ジョニー・デップ)は新作の舞台『リトル・メアリー』の初日を迎えていた。しかし、観客の反応は芳しくなく、翌日の新聞でも、酷評されてしまう。失意の中で日課の散歩に出かけるバリはそこで無邪気に遊んでいる兄弟を目にする。



【感想】
(2011年3月26日、TV録画にて鑑賞)

「ピーター・パン」の舞台裏。バリが「ピーター・パン」のモデルとなった子供と出会い、その物語を完成させるまでを描いた、実話に基づく物語です。

主演はジョニー・デップ。劇作家という職業病なのか、持って生まれた性格なのか、どこか地に足のつかない――、いつも夢想しているような――、妻のことも忘れがちな男を演じます。
そんな男がある日出会った一人の未亡人(ケイト・ウィンスレット)とその4人の子供たち。
父のいない子供たちの遊び相手を務めるうちに、友人以上の感情が芽生えていきます。


新作の舞台が成功しないバリに、劇場の支配人役のダスティン・ホフマンがこう言います。
「批評家たちが芝居をダメにしてしまった」
この言葉が一番残りましたね。

本来、芝居とは遊び。しかし、遊びに過ぎなかった芝居を商売とし、それを芸術と評価することで、本来の遊びとはかけ離れたつまらないものになってしまっている、ということです。
文化レベルを高めることで、それまで楽しめていたものが楽しめなくなる。あーだこーだ論理的に解釈することで、直感的な感じ方ができなくなっている。
これは映画と映画評論家(およびレビュアー)にも言えることです。もし、大衆が「感動の人間ドラマ」にしか興味を示さず、映画は必ず「泣ける」ものだと思うようになったら映画は死にます。

でも、この作品は「感動の人間ドラマ」のカテゴリになっちゃうんですよね……。
ホフマンのセリフは「低俗な作品を気楽に楽しんで欲しい」という意味だと思うんですが、それを言わせているこの映画はその逆という、なんとも悩ましいセリフです。


僕もどちらかというと、低俗な作品を気楽に楽しみたい派で、あからさまに「泣かせよう」とか、いわゆる「お涙頂戴」とかには、逆に不信を抱くひねくれタイプなんですよ。
基本的にこの作品も、そんなスタンスで見てしまいました……。
楽しいシーンは楽しい、辛いシーンは辛い。でも終盤にそれが感動となって琴線を震わせるまではいきませんでした。

それでも、クライマックスのお庭の風景は凄かったですよ。ネバーランドの具現化。
この映画、この題材ならではの、最高にファンタジーな絵面で、むしろあのシーンで終わってくれたら泣けたのに!