飛行機の中で娘が迷子。
 
 
 
金曜夜にTVで放送してたのを本日視聴。
けっこう普通に面白かったな~と思ってYahoo!映画をチェックしたら、ありゃ?意外と評価が低い……。
どうやら僕はプロットのアラも矛盾も気づかずに見終わっていたようだ……。
 
まあ、サスペンスなのに矛盾があるってどうなのだろう、と思うけど、
でも、僕のような人にはアラを気づかれずに最後までとおしたのだから、そういう意味ではすごい映画(?)。
でも、お金出してはりきって見た人は不満感じるのかも……;
 
 
 
個人的には、子供の存在の有無について大いに悩まされたし、
子供の安否が分かってからは、……もうひたすら見てるしかなかったw
 
導入部の夫とのやりとりと死体安置所のどちらが現在で過去なのか非常に興味を持ったし、
娘の子供らしくない態度も父親を失ったショックなのか、それとも……と悩む材料になる。
(あのシックス・センスの子供と雰囲気が似ている。)
 
途中まではどう見ても母親の気がおかしくなったようにしか見えない。
あれ?でも、このまま終わったら「フライト・プラン」の意味と違ってくるよな?と思うと、異様にワクワク。
 
秀逸だったのは、窓に描かれたハートを母親が見つけるシーン。
ここで母親は決心するが、それでも観客にはそれが母親の見た幻なのか、それとも現実に娘がいたという証拠なのか、判断がつけられないのである。
 
 
人間心理の描写も面白かった。
当然の事だが、誰もヒステリックな母親の言う事を信じられない。
状況のすべてが、彼女の言い分を否定しているのでそれは仕方ないのだが、
しかし論理的思考が真実を覆い隠すこともあるのか……。
 
細かいシーンにも良い描写が。
突然、酸素マスクが降りてきて取り乱す乗客たち。実際には誤作動で、酸素マスクが必要となる状態ではないのだが、中にはパニクってしまって本当に呼吸困難になってるような人もいた。実におもしろい。
 
アラブ人に疑いの目が向けられたシーンも、9.11以降の欧米人の心理を見事に突いている、と思った。
ラストの母親がアラブ人に対してとった態度が、レビュアーには評判が悪いみたいだが、
事件をたった一人で解決して、誰からも信じてもらえなかった母親としては、アラブ人に対してだけでなく他のすべてに対して怒りを覚えていたのかも知れない。
事件後、しばらくは疑心暗鬼になるだろうな。
 
想像力を働かせて楽しむ要素もあった。
母親を一瞬でも救おうと考えたセラピストが、母親に裏切られた時にどう感じたか。
そして、自分が差し出した「救いの手」が、思い込みからした「偽善の救い」だと知った時、何を感じたか。
多分、落ち込むだろうな、と思うと実におもしろい。(僕は性格悪いかも知れないw)
 
 
 
見る人が見れば、アラが目立つ作品であるけれども、
そんなの忘れさせてしまうのは、ジョディ・フォスターの演技がウザイくらい素晴らしいということだろうか。
 
 
一言:同じ子供を探すでも、「チェンジリング」のアンジェリーナ・ジョリーは「母の愛」で、「フライト・プラン」のジョディ・フォスターは「ヒステリー」と言われてしまうのは、あまりにもジョディ・フォスターが不憫でなりません。
器物損壊までやってしまったら、そう言われてもしかたないのかな……;
 
★★★☆☆
 
フライト・プラン/FLIGHTPLAN
監督:ロベルト・シュヴェンケ
出演:ジョディ・フォスター、ピーター・サースガード、ショーン・ビーン
配給:タッチストーン・ピクチャーズ
2005年、アメリカ