『われはロボット[決定版]』

著:アイザック・アシモフ
訳:小尾芙佐
原題:I,ROBOT
ハヤカワ文庫SF

【あらすじ】
「(第一条)ロボットは人間に危害を加えてはならない。また、その危険を看過することによって、人間に危害を及ぼしてはならない」――ロボットの陽電子頭脳に刻みこまれた三原則によって、ロボットは人間の忠実な下僕であるはずだった。
しかし、秘密裏に第一条を改変して製造された一台のロボットが他のロボットに紛れてしまった。事態解決のため派遣されたロボ心理学者スーザン・キャルヴィンは、改造ロボットを見つけ出すために策を練る。(「迷子のロボット」)



【感想】
ロボットをテーマにした短編集。
前後の繋がりがあって、同じ登場人物が出てきます。

伝説のロボット心理学者スーザン・キャルヴィンを中心に、技術者コンビのパウエルとドノヴァンや、様々なロボットが登場します。


ロボットたちが実に“人間くさい”。
首の後ろを掻いたり、身振り手振りで話したり、答えづらい質問には沈黙したり……。
“三原則”という絶対の縛りはあるけれど、とても自由に思えます。

アイザック・アシモフは多分ロボットを人類の友人と捉えていたのでしょうね。悪いロボットなんて出てきません。困ったロボットは出てきますが(笑)……それは人間が原因を作ってるんです。
一見、狂ったように見えるロボットも三原則を忠実に守っていて、むしろ三原則があるせいで狂ったような行動をします。
物語は、キャルヴィンやパウエル&ドノヴァンの視点を通して、その謎解きをしているような感じです。(パウエルとドノヴァン、この技術者コンビはかなりツイてないですね。回が進むにつれだんだんかわいそうになっていきます、汗;)


ちなみに、“三原則”は以下のとおり。

(第一条)ロボットは人間に危害を加えてはならない。また、その危険を見過ごすことによって、人間に危害を及ぼしてはならない。
(第二条)第一条に反しない限り、ロボットは人間の命令に服従しなければならない。
(第三条)第一条、第二条に反しない限り、ロボットは自己を守らなければならない。

この3つのルールがすべてのロボットの頭脳に刻みこまれており、どんなロボットもこれを破ることはできません。
人間に襲いかかるロボットなんて“ありえない”のです。


この三原則を原案にした映画に「アイ、ロボット」がありますが、この本とはまったく違いますね。タイトルは同じですが内容は真逆。
どうも人間はロボットやコンピュータを心の奥では信じてないみたいで……。
思えば、「ターミネーター」も「マトリックス」も機械やコンピュータが反乱を起こす未来を描いてました。

でも、アシモフは人間とロボットの関係をそういう未来では描かなかった。(少なくとも初期の短編では)
この本の最後の短編「災厄のとき」でさえ、ロボットは反乱しないのです。僕はタイトルにある意味期待してたけど、なんと会話と回想だけで物語は解決してしまい、物足りなさを感じたほどでした。

物足りないと感じたということは、僕もロボットの反乱を期待していたわけで、この本に出てくる「人間同盟」(反ロボット主義者)と考え方は同じかもしれないですね。