感動器官

笑い、涙、鳥肌、私たちの感動を現出させる器官。

2015年05月

「マッドマックス/サンダードーム」ディズニー映画と言われたら信じる。


マッドマックス/サンダードーム
(1985年/オーストラリア)

【監督】
ジョージ・ミラー
ジョージ・オギルヴィー
【キャスト】
メル・ギブソン
ティナ・ターナー
アンジェロ・ロシット
ポール・ラーソン
ヘレン・バディ
ロッド・ズァニック
フランク・スリング
キャサリン・カレン
ブルース・スペンス

感想(2015年4月13日、DVDにて鑑賞)

シリーズの3作目。
前作「マッドマックス2」の文明崩壊後の世界観を引き継ぎつつ、何故かディズニー・アドベンチャーのような雰囲気も持っている作品。
より大衆向けに、ハリウッド的にしたということなのだろうか?

序盤はまさしくマッドマックス的な終末感漂う荒野での物語。
盗賊に荷物を奪われた主人公マックスがたどり着いたのは、物々交換で成り立つ街・バータータウン。
街の女支配者アウンティに腕前を買われたマックスは、荷物を取り戻す代わりにアウンティに反抗するザ・マスターの右腕ザ・ブラスターと決闘することになる。

その決闘の舞台こそが、鉄の格子で作られた半球状のステージ「サンダードーム」で、この映画のタイトルにもなっているのだが、このサンダードームでの物語はあくまで前半の盛り上がりにすぎない。
後半は、街を追われたマックスが、砂漠のオアシスで孤立している少年たちの集団と出会うというもの。
(ちなみに原題は「Mad Max Beyond Thunderdome」、「サンダードームを越えて」という意味)

古ぼけたジェット機と「機長」の帰還の神話だけを信じ、オアシスの中で原始的な生活を送っている子供たちは、ある意味ネバーランドの子供たちのようでもあった。
ミュージカルを彷彿させる神話のショーもあったし。

しかし、このマックスと子供たちのエピソードは、オイルを求めて殺しあったり、荒野を改造車でチェイスするようなマッドマックスの世界観とはちょっとズレていたように思う。
まさかマックスの父性を描きたかったということでもないだろうし…(笑)
ティナ・ターナーの起用はヒット作の宿命として理解できるが、ディズニーっぽい展開を盛り込んだのもやっぱりそうなのだろうか?

そもそもマッドマックスのシリーズは作品ごとに微妙に印象が違うので、別にこの3作目にディズニーっぽい要素があっても問題ではない。
だが、そこに違和感を感じてしまったのは、やはりそれだけ「2」が偉大ということだろうか。
違和感と言っても「この演出はwww」と思いながらニヤニヤしつつ見れたので、別にこれはこれでいいんだと思う。
 
最新作「怒りのデスロード」には「2」の世界観のみを期待するけど。

WXIII 機動警察パトレイバー

2015-05-01-22-37-47

WXIII 機動警察パトレイバー(2002年/日本)

【総監督】
高山文彦
【監督】
遠藤卓司
【キャスト】
綿引勝彦
平田広明
田中敦子
穂積隆信
拡森信吾
大林隆介

感想(2015年4月12日、DVDにて鑑賞)

パトレイバーの劇場版第3作目。
タイトルの「WXIII」は「ウェイステッドサーティーン」と読ませる。
「Wasted Thirteen」とは今作で登場する異形の怪物に付けられていたコードネーム「廃棄物13号」のこと。それをさらに略した表記が「WXIII」となるわけだ。
つまり「W - XIII」なんだが、劇場版3作目ということが念頭にあった私は「WX - III」と読んでしまって「WX」って何のことだろうとしばらく悩んでいた(笑)

今作には押井守は関わっていない。しかし、押井守が手がけた劇場版1作目・2作目と比べて劣るということはまったくないように思えた。
1作目ではサイバーテロ、2作目では架空の戦争というテーマを、圧倒的なリアリティを持って描いていたが、今作では突然変異的に現れた怪獣が人々やレイバーを襲うという展開。

これにリアリティが無いと言うのは間違いで、こんなテーマでも2人の刑事の視点からリアリティある怪獣事件捜査を描いていた。
最低限の情報を提示しながら進んでいく雰囲気は2作目を継承していたし、刑事がひたすら歩いて捜査をするシーンは1作目のセルフパロディ的なものだろう。
そして扱っているテーマも、バイオテクノロジーの悪用と人の業についてなのだから、前2作とかけ離れたテーマではないわけだ。

今作は、前作に輪をかけて特車二課やイングラムの出番が少ない。
今作オリジナルのキャラクター、久住と秦というベテランと若手の刑事コンビが、あくまで刑事という立場から奇怪な事件の真相に迫っていく。特車二課みたいな超法規的活動はしたりしない。
だが、あくまで普通の刑事さんが主役であるために、より等身大の人間が描かれていたように思う。

事件の発端となったのも、ある人間の実に不完全な人間らしさであり、劇場版3作の中では一番エモーショナルな作品と言えるだろう。
堅苦しさが前面に出てきている2作目よりも鑑賞しやすい作品かもしれない。

シークレット・ウィンドウ


シークレット・ウィンドウ(2004年/アメリカ)

【監督】
デヴィッド・コープ
【キャスト】
ジョニー・デップ
ジョン・タトゥーロ
マリア・ベロ
ティモシー・ハットン
チャールズ・ダットン
レン・キャリオ-

感想(2015年4月12日、TV録画にて鑑賞)

ジョニー・デップの素顔?が見られるミステリー映画。
スランプに悩み山奥の山荘で孤独と闘う作家を、濃いーいメイクやキャラでお馴染みのジョニデが素に近い感じで演じる。
もちろん演技である以上、本当に素のジョニデではないわけだが…。なんて言ったらいいんだろう…。とにかく、白塗りじゃないジョニデが見られるってことだけはどうしても伝えておきたくて…(笑)

監督のデヴィッド・コープは「チャーリー・モルデカイ」でもジョニー・デップとタッグを組んでおり、やはり白塗りはしなかった模様(笑)(あれはティム・バートンの専売特許なのか…)
なお、コープ監督は映画監督よりも脚本の人らしく、ライミ版「スパイダーマン」や「ジュラシック・パーク」「ミッション・インポッシブル」などのヒット作の脚本を手がけた凄い人だった。

たぶん2度目の鑑賞なのでだいたいのオチは憶えてる状態での鑑賞。
それでもやはり、ジョン・タトゥーロ演じる粗暴な男の理不尽な要求は中々にインパクトがあり、実はオチ以外はけっこう忘れてたりもしたので、初回と同じ所でまたハラハラしたりした。



主人公がスランプと謎の男の不当な要求によって追い詰められていくこともそうだが、妻との離婚調停や妻の新しい男とのいがみ合いが、さらに主人公の精神を蝕んでいくのだろうと思った。
アメリカ映画ってむしろ離婚してるのが普通…くらいの勢いでこの設定が出てくるけど、これって流行りなのだろうか?それとも、もはや基本形?
ファミリー映画ですら両親が離婚してたりとかあるわけで…。
そうか、みんな離婚するために結婚するのか…。





※以下の文章はネタバレ含むので、まだ見てない人は閲覧注意です。




















自作自演乙…なオチだったんだけれど、終わり方が面白いと思った。
主人公はいつものように町に買い物に出かけ、町の住人たちと言葉を交わす。
しかし、住人たちは彼を恐れて避ける。彼が殺人者であることをみんな知っているのだ。

老保安官も主人公のもとへやってきて、「今は無理だがいつか必ず捕まえる」と宣告する。
映画の前半ではまるで頼りになりそうもなかった老保安官がなにやらかっこいいのである(笑)

そして映画は主人公が被害者の遺体を埋めたと思われる庭を映して幕を閉じる。
つまり、作品の中で主人公は裁かれることはないのだ。
主人公が妻やその恋人を殺したことは映画を見る者からしたら明白なのに、あえて逮捕されるシーンを描かずにその直前で終わらせたことは、一体何を意味するのか。

私はこれを、「主人公を主人公のまま終わらせたかった」のではないかと勝手に推測してみる。
仮に逮捕される主人公を描くということは、映画の中で主人公の罪を客観的に描写することであり、主人公の膨らみ過ぎた自我がもたらす惨事を描いたこの映画の結末としては合わないような気がする。

あくまでも主人公の主観で物語が語られるから、見る者が騙されるのであり、主人公と一緒になって状況の理解に苦しむことができる。
仮に結末で主人公が逮捕されると、主人公が主人公の座から引きずり下ろされる形になる。
そうなると主観を引き継ぐのは誰か?
謎の男は実在しない、妻ももう既にいない、残っているのは保安官や警護を依頼した友人くらいで、主人公を交代するには少し不足である。

そもそももう描くべきものは描き切っており、今後逮捕されるかもしれないという示唆もあるから、物語は決着してるのである。
だから主人公がいまさら退場する必要はない。
彼はもしかしたら裁かれないのかもしれないという一抹の不安を残したまま終わった方が、印象に残るということなのだろうと思った。

フィリップ、きみを愛してる!


フィリップ、きみを愛してる!(2009年/フランス)

【監督】
グレン・フィカーラ
ジョン・レクア
【キャスト】
ジム・キャリー
ユアン・マクレガー
レスリー・マン
ロドリゴ・サントロ
アントニー・コローネ
ブレナン・ブラウン

感想(2015年4月11日、TV録画にて鑑賞)

ジム・キャリー主演のコメディ映画。
インパクトがありつつも軽快な映画だった。
要するに(主人公に呆れつつも)楽しく鑑賞できた。

ゲイの主人公が詐欺の快感に目覚め、幾度も詐欺と収監と脱獄を繰り返し、最終的に150年以上の懲役を言い渡されたという嘘みたいなホントの話。
会計士を騙って大手企業の経理部長の椅子に座ったり、弁護士を騙って恋人の釈放の書類を通したり、極めつけは牢屋の中から自分の釈放命令書を偽造するという神業としか思えないことをやってのける…。

主人公は実在の天才詐欺師スティーヴン・ラッセル。
IQ169で、4回も脱獄に成功した脱獄王でもあるけれど、テーマがテーマだけにネットに書かれたこの情報そのものがウソということも考えられる(笑)
どこまで信じていいものか…?

映画自体も、実話と思わせようということを完全に諦めてるような破天荒な描写や展開の連続。
まるで呼吸をするのと同じように自然体でウソをつく主人公が巻き起こす騒動をコミカルに描いている。

そして面白いのは、主人公は権力や富のために詐欺を働くのではなく、刑務所で出会った運命の恋人と幸せになりたい一心でウソをつくこと。
詐欺の被害に遭った者からすればどうしようもなくはた迷惑である。
この恋人役がユアン・マクレガーで、つまりジム・キャリーとユアン・マクレガーの同性愛が描かれるわけだが、このキャスティングも良かったと思う。

ちなみに主人公はゲイであることを隠しながら女性と結婚し子供までもうけたのだが、ゲイとして自由に生きようと決意し詐欺師としてのキャリアをスタートさせた後も、妻と電話で普通に話したりする。
妻からしてみれば、夫が突然男のケツを追いかけて家を出て、しかも犯罪者にまでなってしまったわけだが、そのことを詰る様子は一切なく、むしろ彼の理解者的な振る舞いすらしていることが興味深かった。

男と女ではうまくいかない夫婦生活も、ゲイと女なら案外うまくいくのかもしれない。
(それを夫婦と呼べるのかは知らないが)

僕らのミライへ逆回転


僕らのミライへ逆回転(2008年/アメリカ)

【監督】
ミシェル・ゴンドリー
【キャスト】
ジャック・ブラック
モス・デフ
ダニー・グローヴァー
ミア・ファロー
メロニー・ディアス
シガニー・ウィーバー

感想(2015年4月9日、DVDにて鑑賞)

取り壊しが迫っているレンタルビデオ店。
数日店を空ける店長に留守を任されたマイクだったが、トラブルメイカーのジェリーのせいで店のVHSビデオがすべてダメになってしまう。
困った2人は客の見たがる映画を自分たちで勝手に撮影しリメイクと称して貸し出す。
あまりにもチープな出来の「ゴーストバスターズ」や「ロボコップ」が生まれたが、いつしかそれが評判を呼び、店は連日大盛況になってしまう。

ジャック・ブラック主演の映画なんだけどあまりバカすぎることもなく、ミシェル・ゴンドリーの語り口なのでいろんな人に受け入れられるハートウォーミングなコメディなんじゃないだろうか。
特に映画好きにとってはこのテーマはたまらないだろう。

すごいなーと思ったのは、ジェリーとマイクの発想力の豊かさだ。(つまりゴンドリー監督の発想力だが)
ダンボールや廃材や何やらでチープでありながらも名作映画のワンシーンを再現してしまう。
一瞬だったが「メン・イン・ブラック」を撮ってた様子なんか一番すごいと思った。本物のメン・イン・ブラックも実はあーやって撮ってたんじゃないかと思うくらい(笑)

監督の映画愛ゆえの作品だと思うが、それが見事に主人公たちに憑依し、見る者に伝えることに成功している。

また、もう一つの側面として「夢のあるウソ」をつく物語でもある。
当然、リメイクと謳った手作り映画のことでもあるが、もう一つ、この映画にはウソが出てくる。
そして最後にはその大ウソを町民みんなで作り上げていくことになる。

何故、町民たちはそんな与太話に付き合ったのか。
何故ならそのウソには夢があるからだ。
小さな町の住民たちが誇りを持って暮らしていけるウソだからだ。

「嘘から出た誠」とは本来こういう意味ではないが、一つのウソによって町民が一つになり、同じ喜びを共有したことは紛れもない真実だ。
映画愛ゆえのこの作品は、愛ゆえのウソを描いていたとも言えるんじゃないだろうか?

パンチライン 第5話

パンチライン
第5話「愛、死す」

*感想

いくら物理干渉を受けない霊体であっても、過去にいつでもどこでも戻れるわけではない。
時空バレーの望んだ地点に着地するためには、それなりの霊力レベルと誰かを想う強い気持ちが必要。
もしも時空の曲面にはじかれたら、二度とこの世界には戻って来られない。(時空をさまよう?)
遊太は何者かに殺されてしまった愛(いと)を救うため、過去へと戻り愛の運命を変えようと奮闘する。



今回も相変わらずよく分からないままだ…。(つらたん)
ただ、霊体の遊太はこれまでの経験を活かしてうまく現世の人間に干渉することができてた。
図らずも、みかたんが遊太と一緒になって愛を説得してるようなシーンになってたり…。
みかたんの正義感が今回は地味に効いていた。

気になるのは例の研究施設の思い出。
みかたんの口から語られた遺伝子研究の施設「ユーバラボ」。
ぐりこはみかたんということでいいのかやっぱり?

問題はその記憶を遊太が思い出しているような描写だったこと。
ならば怒りによって特殊能力を発動させたパインは幼い頃の遊太?
そういえば主人公・遊太についてはウブな少年で世界滅亡の鍵を握っているということぐらいしか語られてない。
自分自身で自分のことを平凡な高校生と思っているのかどうかについては明らかになってない気がする。

ただ、この手の謎解きで主人公が視聴者に対して確信犯的に過去や特殊能力を隠されたりするともはや何をどう推理しても無意味な気がするので、それはないと思う。
主人公は我々視聴者と同じ平凡で無力な少年で、特殊能力や過去の秘密も知らない、もしくは忘れていてくれないとフェアじゃない。

遊太には姉がいたはず。
ちよこが実は遊太の姉で、遊太は姉からユーバラボの話を聞いていただけ…、ということも考えられるか…。
そうすると第1話のラボの児童2人は誰だったのかという問題がまた湧いてくるな…(笑)


で、その遊太の特殊な身体の秘密や世界滅亡といった謎と結びつくのかどうか分からなくてモヤモヤするのが、愛の抱えていた問題。
今回、愛の口からひきこもりになった原因が語られたが、いやいやむしろ謎が増えたぞこれは…。

大好きな担任教師との交流の逆恨みとしていじめがあり、いじめに対する仕返しとしてあの動画があり、しかしそれを利用して同級生の命を奪う亀男の存在があり、最終的に愛が命を落としてしまうというルートがあり、今回はそのフラグを遊太が折ったわけだが…。

しかし、亀男はそれ以前にムヒを連れ去ろうとしており、それと愛のいじめがどう関係するのかが謎。
しかも今回はムヒを連れ去っておきながらそれを餌に愛をおびき出そうとしていて、目的が変わっているようにも見える。
最初の亀男と今回のは中身が違う人物なのか?

そう考えると愛が死んだ原因と同級生が死んだ原因も必ずしも同じ理由じゃない可能性出てくる。
というか、何一つ確定できないまま物語が進んできている。
パンチラで覚醒した宮沢賢治は、やはり遊太ということで確定っぽいが…。

公式サイトでも次回6話から物語が核心に触れていくと書いているので、とにかく後はピースがハマっていくのを気持ちよく見れるかどうか。
「お待たせしましたのら!」って…、自覚あるんだね…。

アンケート:週末公開映画で気になるのは?5月第3週

個人的には「シグナル」と「ゼロの未来」がSF好きとして気になってるけどこちらでは上映あるんだろうか?
「駆け込み女と~」や「Zアイランド」も気になってはいます。

良かったら気になる映画を教えてください。
年齢性別地域等の情報は入力せずとも投票できます。

ログ・ホライズン 第2シリーズ

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ログ・ホライズン 第2シリーズ

【監督】
石平信司
【キャスト】
寺島拓篤
前野智昭
加藤英美里
中田譲治
山下大輝
田村奈央
松井恵理子
柿原徹也
藤井ゆきよ
原由実
高垣彩陽
久野美咲
村川梨衣
中村悠一
伊瀬茉莉也
藤原啓治
代永翼

感想

橙乃ままれ原作のWEB小説のTVアニメ化作品。
2013年の9月から第1シリーズ(以下、1期)が始まり、第2シリーズ(以下、2期)は昨年9月から今年3月まで半年間放送された。
1期が面白かったので2期をとても楽しみにしていた。

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監督やキャストは1期から続投だが、アニメーション制作がサテライトからスタジオディーンに変更。
制作スタッフの名前も監督以外ほぼ一新されている。

個人的にはキャラクターデザインの変更が大きなネックになった。
監督インタビューによれば、2期は戦闘シーンが多めになることを考慮したデザインにしたとのこと。
しかし、私個人は1期の柔らかく可愛らしい描写に惹かれて見ていた部分が大きかったので、2期のやや硬質というかエッジの効いたデザインは少し残念であり、最終話になっても結局慣れることはなかった。
制作プロダクションの変更はするもんじゃねえな、というのが私の視聴者としての結論だ。

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ストーリーの方は、1期と同じくスローテンポだったが、1期のようなジワジワと面白くなっていく感覚はあまり感じられなかった。
そもそも1期が、シロエ無双・アカツキ萌え・ミノリの成長(・セララ萌え)で盛り上げてはいたものの、終盤になるとあまり大きなイベントは起きず「2期につづく!」みたいな終わり方だったのだが、この2期も25話通しての大きなイベントというものは描かれず、やはり終盤2話でイベントをザクッと描いて「続編につづく!」みたいな終わり方になってしまっている。

原作10巻に追いついてしまってアニメが先行する状態にも最後なってしまったようだが、そのことが終盤のドタバタ感につながっているんじゃないかと勝手に考えてしまう。
原作者との打ち合わせで先の展開を知っていたとしても、やはりアニメ版スタッフは発表された作品を見て読んでからじゃないとその作品の面白さを客観的に評価できないのではないだろうか?
あるいは原作を新解釈で描くことも、原作者からの口伝で得た情報だけでは無理なことだと思う。

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1期ほどのアツい気持ちでは見られなかったが、各話、あるいは部分的に見ていけば面白いエピソードの連続でもあった。
前半は同時期に起こったシロエとアカツキをそれぞれ主観としたエピソードを集中して放送。
第4話~8話は、アカツキを主人公にアキバで起こった事件とアカツキの精神的成長を描いた。
このパートで、死んだ冒険者がどんな体験をするのかも描かれ、それが後半のエピソードにも活きてくる。

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第9話~12話は、シロエを主人公にMMORPGの花形でもある壮絶なレイドバトルを描いた。
ここでは戦闘系ギルド「シルバーソード」や1期で悪役として登場したデミクァスと共に、シロエのある遠大な計画のためにダンジョンを攻略する。
廃人ゲーマーであるウィリアム=マサチューセッツの廃人としての矜持や、シロエと相容れることのないデミクァスの流儀が描かれ、それなりにアツい回だった。
ただし戦闘そのものの面白さは描かれなかった気がするが。

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後半は、ログホラの年少メンバーたちの遠征の旅を描きつつ、変わり始めたエルダー・テイルの世界を描写していた。
生きることに絶望したオデュッセイア騎士団、プラントフロウデン内部の力関係や策謀、謎のお姉さん・ロエ2も登場。
さらに五十鈴のライブを通してエルダー・テイルには音楽が数十曲しか存在しないことを知る、という場面も。
基本的に年少メンバーたちの話になると何故か楽しくなる。

終盤はロエ2と月の関係性、そして現実世界に戻るためのヒントが提示され、そのためのレイドバトルが最終2話で描かれる。
ログホラの高レベル組と年少メンバーがおそらく初めて共同で大規模戦闘に参加し、その他お馴染みのメンバーも参戦した集大成的なバトル回。
ただ個人的にはこの時間制限付きのミッションこそもっと時間をかけて描いてほしかった。

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そんなわけで概ね楽しんだわけだが、1期のように手放しで絶賛できる内容ではなかった。
1期がアキバや円卓会議を創造する物語ならば、2期はそれを護る物語だった。
そして最後には「革新」の訪れを期待させる終わり方。
第3期をどれほど待つことになるのか分からないが(なんか原作者さん先月脱税で告発されたらしいし…)、おそらく冒険者たちとエルダー・テイルの関係性も決着するんじゃないだろうか?(その前に脱税の件を決着させねばだけど…)

はじまりのうた

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はじまりのうた(2013年/アメリカ)

【監督】
ジョン・カーニー
【キャスト】
キーラ・ナイトレイ
マーク・ラファロ
アダム・レヴィーン
ヘイリー・スタインフェルド
ジェームズ・コーデン
ヤシーン・ベイ
シーロー・グリーン
キャサリン・キーナー

感想(2015年4月8日、チネ・ラヴィータにて鑑賞)

最高に良かった。終始、多幸感に包まれている映画。

落ち目の音楽プロデューサー・ダンと、メジャー歌手の彼氏と渡米した先でケンカ別れした女性グレタが出会い、奇跡のアルバム制作を始める物語。
キーラ・ナイトレイはもともと好きな女優だから、彼女が輝きまくっているこの映画は本当に見てるだけで幸せだった。
今回のナイトレイさんはナイトレイ史上最もキュートかもしれない。

街角で路地裏でビルの屋上で勝手にレコーディングを始めた彼ら。
寄せ集めのバンドメンバー、一発録り、街の雑音も気にしないその制作姿勢は、音楽業界の色んなしがらみや、ポピュラーミュージックの在り方についてライトに批判してるようなものだと思う。

サントラがグラミー賞にノミネートされたというのもなんとなくそこらへんの反骨精神が共感を得たんじゃないかと勝手に推察してみる。
単に「良い曲」ばかりだったから評価されたわけではないと思うのだ。
これはポピュラーミュージックにして、アンチ・ポピュラーミュージックなのだ。

そしてその反骨っぷりがこの映画の場合はライトな印象なのだ。「FLANK」ほどひねくれてはいない(笑)
ぶっちゃけそんな反骨精神なんて感じずに観ることもできる。
「この業界はクソだ!」と声高に叫ぶのではなく、「ちょっと冒険してみようよ♪」と手を引いて連れて行ってくれる感じ。
その絶妙なバランス感覚が作品の多幸感につながっているんだと思う。



録音シーンなどはその多幸感が絶頂に達する瞬間だった。
寄せ集めのバンドメンバーが路地裏に集まりいきなりセッション。それがもう完成された音楽になっている。
作曲の過程やバンドとの音合せを一発録りに凝縮したようなシーンで、これはもう歓喜に震えながら聴いた。
このブログのタイトルどおり、感動する器官が活発に動いてしまった。

細かい所を挙げると、曲の最後の最後で、ヘイリー・スタインフェルドのギターとマーク・ラファロのベースだけになる瞬間があった。
曲のエンディングのギターソロに、ベンボンベンボンいうベースラインが最後まで付き合った形だが、これヘイリーとラファロの役柄の関係性は娘と父なのだ。
娘のギターソロをやさしく見守る父のベースライン。親心である。

アルバム制作後の「祭りの後」っぽさも含めてとても良い映画だった。
あーもう終わってしまうのかー終わらないでくれーと思いながら見ていた。
そしてエンドロールでのあの展開。最高かよ…。
メッセージ性云々などは置いといて、とにかく観ていて気持ちのよい映画だった。 

パンチライン 第4話

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パンチライン
第4話「取り憑くシマ模様」

感想

物語が少しづつ動き始めたか…?

アバンにいきなり登場した子供たち、「ぐりこ」「ちよこ」「ぱいん」。(←ぐりこジャンケンか…)
パインと呼ばれた白髪の少年は第1話のQ-may会の白髪の青年と同一人物かな。
何かの研究施設に軟禁されており、そこからの脱出を決意する。

この手の怪しげな研究施設ってたいてい政府が極秘裏に進めている非人道的な人体実験が行われていたりするものだけど…。
昨年のノイタミナアニメ「残響のテロル」もそんな過去があってテロルに走る物語だったな。
幼少期のつらい体験によって世界に憎しみを抱くようになった…、そんな人物設定ってけっこう多い気がする。



ラブラが自宅に招いた男・グリーゼは、NSA(アメリカ国家安全保障局)のエージェントだった。
古来館での出来事がようやく世界との接点を持ったような感じか。

グリーゼがいろいろと状況説明してたのでまとめてみる。
  • 小惑星VR1に対処するため米国政府は「インターセプト作戦」を極秘裏に進めている。
  • インターセプト作戦は軍事衛星に搭載された核ミサイルでVR1を破壊するというもの。
  • しかし、軍事衛星を管轄する組織「AFSpaC(アフスパック)」のシステムがQ-may会のクラッキングによって乗っ取られた。
  • Q-may会に対抗できるのは世界随一のハッキング能力を持つ台初明香しかいない。

グリーゼの言葉が全部真実だとすると、Q-may会の行動に疑問が生じてくる。
NSAはQ-may会の目的を人類の根絶だとしているが、それならばVR1の衝突を待たずとも、AFSpaCを乗っ取った時点で目的はほぼ果たされるのではないだろうか?
Q-may会は、乗っ取った軍事衛星の核ミサイルを地上に向けて発射する、あるいは軍事衛星ごと墜落させるなどすれば、人類滅亡を自分たちで演出できるはずだ。にも関わらず、政府の欺瞞を大衆に訴え続けるのは意味がないように思える。

人類の切り札ともいえるAFSpaCを手に入れてそのカードを切らないのは、単に技術的な問題か、それともQ-may会の思想がそれを許さないのか…。
どちらにせよ、NSAとQ-may会がVR1の衝突を巡って対立していることは間違いなさそうであり、VR1はやはりこのままでは地球に衝突する運命のようである。

あるいは、ひねくれた見方をすれば、VR1衝突もQ-may会やNSAがでっち上げた「架空の切り札」にすぎないのかもしれない。
Q-may会はVR1衝突のデマで混乱を演出し何らかのメリットを得て、NSAはQ-may会のせいにして第三者に乗っ取られたAFSpaCをどうにかしたいのかもしれない。
少なくともNSAにとってメカえもんの助力を仰ぐほどの脅威が迫っていることは間違いないわけだが、それが人類の平和や古来館の面々の運命と直結するのかどうかはまだ断定できない。

2015-05-05-14-12-57

なんてことを書いてるとすごくマジメな作品に思えてしまうが、やってることはカメの餌を食べたり、女子らがお池でキャッキャウフフしたりといつもどおり。
前回に続いて正義のお助けヒーロー宮沢賢治も登場したが、このキャラについてはどんな反則でもアリな気がするので考えるのやめた。

女子四人の関係がちょっと悪化したのが気になるが…。
そしてCパートで突然の悲劇シーン…。
いよいよ次回からは話がつながり始めるんだろうな、そうに違いないと祈るしかない。

世間的にはこのアニメけっこう見放されてるみたいだけど、個人的には今回とか、女子三人の謎の「どうしよっか」会話と謎の「ラブラへの質問タイム」が、後にグリーゼの仕掛けたものだったことが判明したり、訳の分からぬまま適当に答えた憑依中の遊太の言葉が、ラブラを追い詰めるものになったりと、わかりやすくはないけど分かった時に「なるほど」と思える脚本だったと思う。
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