感動器官

笑い、涙、鳥肌、私たちの感動を現出させる器官。

2015年02月

【映画】6才のボクが、大人になるまで。



6才のボクが、大人になるまで。
(2014年、アメリカ)

【監督】
リチャード・リンクレイター
【出演】
エラー・コルトレーン
ローレライ・リンクレイター
パトリシア・アークエット
イーサン・ホーク

感想(2015年2月11日、フォーラム仙台にて鑑賞)

まず触れないわけにいかないのが、「同じ主要キャストで12年間に渡って撮り続けた映画」ということ。
2002年に主役に抜擢された幼いエラー・コルトレーンが、その後成長していく様を追いながら12年間に渡って少しずつ撮り続けた映画で、他の役もずっと同じ役者が演じています。
その画期的な制作スタイルについてはいろんな所で絶賛されていますね。

リンクレイター監督の作品では、同じ男女の偶然の出会い・再会を3つの年代に分けて描いた「ビフォア・サンライズ」に始まるビフォア・シリーズ三部作も代表的ですが、その裏で(?)こんな野心的な企画を進めていたとは……。

この気の遠くなるような制作方法で何ができるのかといえば、やはり役者の自然な成長や老いを目で追えるということ。
ドラマや映画では必須とも言える「子役」を必要とせず、老化メイクも年寄り風な演技も必要としない。

見る側としても、主演と子役が同一人物を演じていると関連付けする必要はないわけです。見たまま成長していくわけですからね。
この作る側・見る側にとってのセオリー・お約束を排除できるというのは地味に大きいと思います。

ただ、この実験的な映画制作が具体的にどんな意味があったのか……、ということになると、私にはよく分からないんですよね(汗;
同じキャストで10年以上に渡って撮り続けるその方法論の凄さは分かるんですが、それが映画的にどんな効果があったのか謎です。

言い方が悪いですが、ゾウが長い鼻を使って描いた抽象絵画が、絵の出来ではなくて「ゾウが描いた」ことによってもてはやされるのと同じように、この映画もその方法論が賞賛されているのではないか、という思いがしたのも事実です。

でも、けしてこの映画が面白くないというわけではないんですよ。
Boyhoodという題のとおり、普通の少年のありきたりな成長の記録を描いたこの映画は、その何でもない日常の一コマの積み重ねが、不思議な感動をもたらしてくれました。

私が言いたいのは、この感動が、この映画のこの制作方法でなければ味わえないものなのか、それとも他のヒューマン・ドラマで味わえる感動と同種のものなのか、その判断がつかなかったということ。
こんな映画の作り方は今までになくて、やはり映画史に残る作品になるだろうけど、果たしてこの作り方がベストなのかということになってくるとそれは別の話なんでしょうね。




「そして父になる」感情を抑えた物語と役者の自然体の演技が光る。


そして父になる
(2013年/日本)

【監督】
是枝裕和
【出演】
福山雅治
尾野真千子
真木よう子
リリー・フランキー

*感想(2015年2月8日、TV録画にて鑑賞)

思っていた通りでもあり、思っていたのと違っていた面もあり。
思っていた通りというのは、是枝裕和監督の作る自然体の雰囲気。
なさそうでけっこうある赤ん坊の取り違え問題を、けしてサスペンスフルにはせずに描き切ったのが是枝監督らしいんじゃないでしょうか。


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【映画】センター・オブ・ジ・アース2 神秘の島


センター・オブ・ジ・アース2 神秘の島
(2012年、アメリカ)

【監督】
ブラッド・ペイトン
【出演】
ドウェイン・ジョンソン
マイケル・ケイン
ジョシュ・ハッチャーソン
ヴァネッサ・ハジェンズ
ルイス・ガスマン
クリスティン・デイヴィス

感想(2015年2月7日、TV録画にて鑑賞)

地底での大冒険から4年。17歳になったショーンは、母親と母親の再婚相手ハンクと共に暮らしていた。
そんなある日、ショーンの祖父で冒険家のアレクサンダーから無線で謎の暗号が届く。
それは、ジュール・ヴェルヌが描いた「神秘の島」を見つけたという驚愕の内容だった。

ショーンはすぐに神秘の島へと行こうとするが、義理の父親のハンクも冒険に同行することに。
二人はガイドのガバチョが操縦するヘリコプターで、ガバチョの娘カイラニと共に島へと出発するが、嵐に遭い謎の島へと墜落してしまう。
そこは小さなゾウや巨大なトカゲが棲息する、神秘の島だった。



前作「センター・オブ・ジ・アース」はけっこう好きで、この続編も気になっていたんですが結局劇場では観れず……。
一度金曜ロードショーで放送される予定だったんですけど、昨年9月の御嶽山噴火の影響で放送中止となったんですよね。
結局、先日再び金ローで放送されたのでようやく見れました。
まあ、レンタルすればいつでも見れたんですけどね。

で、やっぱり期待通りの内容で……といっても、特に深いテーマとかがあるわけじゃなく、「内容」はむしろ薄い部類の映画だと思います。
この手の映画の魅力はやはりアドベンチャーに尽きるんですよね。
そういう意味でとても満足ですよ私は。

細かい所を言うと、神秘の島に着いて早々に観光スポットを全部巡ってしまって、後は急いで帰るだけ……という展開なのがちょっと寂しかったですが、前作も脱出がメインになってましたしね……。
とにかくこのアドベンチャー感がいいんですよ!
鳥と鳥が激突してカラフルな羽根が飛び散るシーンは劇場で観なかったことを後悔させる絵でした。

配役も、逞しい保護者役のドウェイン・ジョンソンが毎度安定のドウェイン・ジョンソンでしたし、前作から成長したジョシュ・ハッチャーソンも良かったですね。
前作のブレンダン・フレイザーは出てませんが、それが不自然じゃないくらいに複雑な家庭環境でしたね。
そういやショーンの実父は1作目で死んでたんだよな……とか思い出しながら鑑賞。

ゆくゆくはジョシュ・ハッチャーソンが父親役などでジュール・ヴェルヌの物語を紡ぐ日も来るのかもしれません。
そう考えるとけっこう夢のあるシリーズだと思うんですよね。

【アニメ】艦隊これくしょん -艦これ- 第7話

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艦隊これくしょん -艦これ-
第7話「一航戦なんて、大ッッキライ!」

感想

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旗艦・吹雪の頑張りもあり、徐々にまとまりを見せてきた第五遊撃部隊。
しかし、相変わらず加賀と瑞鶴の空母ふたりは仲が悪い模様。
そんな中、敵の魚雷攻撃から加賀が瑞鶴を庇って大破してしまいます。

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高速修復材も底を突いたために(赤城さんwwwそして今日の暇潰しはあやとりw)、加賀さんの作戦への復帰は当分無理ということに。
自分を責めない一航戦・加賀にさらに腹が立つ五航戦・瑞鶴。
とりあえず瑞鶴の姉、翔鶴が第五遊撃部隊に加入することに。

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旗艦の重圧に苦しむ吹雪を励ます睦月・夕立。
最近少ない睦月成分を摂取する私なのでした。

提督から極秘情報を伝えられた吹雪。
て、提督の影が動いたぞーッ!!

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加賀さんが入渠してちょっと嬉しそうな赤城さん。
もう!いっそのこと同じ浴槽に入ってしまえばいいんじゃないですか!?(笑)

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翔鶴を加えた6隻でMO作戦へと出撃した第五遊撃部隊。
吹雪はセオリー通りというか、少し慎重すぎるほどの索敵を五航戦の2人に指示します。
発見した敵艦を撃破するためふた手に分かれて別行動。
結局、この判断が裏目に。

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作戦海域への合流を急ぐ五航戦の2人は、待ち伏せていた敵艦(空母ヲ級?)の攻撃を受けます。
翔鶴、中破!ろくに反撃も出来ずに逃げるしかできない!これはピンチです!
第3話のあの悲劇が脳裏をよぎる!

これ、吹雪は提督から暗号通信が敵に筒抜けかもしれない懸念を伝えられていたんですよね。
その上で無線封鎖して別行動をとった。
しかし、それが仇となって五航戦2人が標的になってしまった……。

ということは、索敵で発見した最初の敵艦は囮部隊だったということですよね。
遠方の敵艦に対して第五遊撃部隊はふた手に分かれるだろうと予測していたからこそのヲ級の待ちぶせなわけですよね。
これはけっこう知能戦なんじゃないですか?

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で、決死の反撃を試みる瑞鶴。
そこに敵の真意を察した吹雪たちも駆けつけて……。

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最後の加賀さんのセリフが良かったですね。
今まで原作ゲームのセリフをそのまま言うので微妙な違和感あったりしたんですけど、今回の加賀さんのセリフは自然でしたし、原作を超える意味を持っていて、おっ、と思いました。



今回、ヲ級が意外にも頭良くて、ちょっとこれからの戦いはより熾烈を極めるのかも、なんて思いましたね。
あと、鎮守府は一つだけじゃなくて、各地に存在し、大規模作戦になれば複数の鎮守府から大勢の艦娘が集まることも分かりました。
祥鳳の扱いは微妙でしたね……。




【映画】嗤う分身


嗤う分身
(2013年/イギリス)

【監督】
リチャード・アイオアディ
【出演】
ジェシー・アイゼンバーグ
ミア・ワシコウスカ
ウォーレス・ショーン
ヤスミン・ペイジ
ノア・テイラー
キャシー・モリアーティ

*感想(2015年2月4日、チネ・ラヴィータにて鑑賞)

内向的で存在感の薄い男サイモン・ジェームズ。
会社の上司にも同僚にもバカにされ冴えない毎日を送っている彼の楽しみは、アパートの向かいの部屋に住む同僚ハナを望遠鏡で覗くこと。
しかし、職場ではまともに話しかけることもできずにいた。

そんなある日、上司が紹介した「期待の新人」を見てサイモンは驚愕する。
驚くべきことに彼はサイモンとまったく同じ容姿を持つジェームズ・サイモンという男で、不可解なことに周囲は二人が瓜二つだということにまったく疑問を抱かない。
何一つ冴えないサイモンと正反対の、モテ男ジェームズの登場によって、サイモンは次第に追い詰められていく。



ドストエフスキーの「分身」を元にした不条理劇。
監督は英国の新鋭リチャード・アイオアディ。
レトロな世界観と独特の陰影がこの映画では見られました。

主演は「ソーシャル・ネットワーク」のジェシー・アイゼンバーグ。
共演に「アリス・イン・ワンダーランド」のミア・ワシコウスカ。
この2人たしかリアルでも付き合ってたはず。というか、「映画での共演がきっかけ」って、嗤う分身のことかー!嗤う分身のことかー!!(謎の怒り)

まあとにかく独特な映画で、レトロな造形、不思議な世界観が裸電球で照らし出されるような感じですね。
一見無意味そうに見える入力作業を、大した機能も無いだろう無駄にデカい機械に打ち込む人々。
なんとなく、星新一の描くレトロなSF世界といった感じがしました。

BGMも独特で、なんと、坂本九の「上を向いて歩こう」や「ブルー・シャトウ」(ジャッキー吉川とブルーコメッツ)などの昭和歌謡が平然と流れてくるんですね!
英国の映画なのに、ですよ!

しかも、日本の歌謡曲が流れても、全然違和感ないというか、むしろ見事にハマっていた気さえするんですよね(笑)
あれ意外の挿入歌は思い浮かばないってくらいに……。
そんな所も、私が星新一を連想する理由の一つなのかもしれないですね。

もちろんスコアの方もとても独創的で面白いですね。
テーマ曲が焦燥を掻き立てます。
で、そんなダークな劇伴の合間に昭和歌謡が挟まれる、と。
このサントラにハマっちゃった人が何名かいるようなんで、私も機会があったらゲットしたいですね。

ちなみにストーリーについては、結局何がどうなって最後どうだったのかよく分かっていません(笑)
まあ「不条理劇」ということで無理に考える必要もないのかな、と。

ただ、冴えないサイモンと要領のいいジェームズのやりとりを見ていて思ったのは、これは別に自分の分身じゃなくて赤の他人同士でも、こういう手柄の横取りみたいなことや、周囲に比較されたりだとかは現実でもあるよってこと。

あからさまに手柄の横取りはなくとも、例えば雑用処理に追われてなかなか結果を出せないとか、でも雑用を押し付けてきたやつは浮いた時間で結果を出して評価を上げていく……みたいな。
子供同士のサッカーでも、上手い子はFWで要領よくやって、下手な子は守備に回されミスって得点され、だから冴えない……みたいな。

そういう人間社会の縮図みたいなのもありましたので、分身の存在が不思議でしょうがないというよりは、あるある、あるよねそういうコト……ってむしろ腑に落ちる内容だった気がします。

 
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【アニメ】艦隊これくしょん -艦これ- 第6話

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艦隊これくしょん -艦これ-
第6話「第六駆逐隊、カレー洋作戦!」

感想

第六駆逐隊の活躍が見れるのかと思いきや、ロリ娘たちの日常回でした。
もともとこのアニメに艦娘たちのキャッキャウフフを期待していた視聴者にとっては神回と称されているようですね。

シリアスな展開を求めてる私にとっても良い息抜きになりましたよ。
というか、作品に何を求めてたとしても、今回は誰もが純粋に楽しめる回でしょう。

ネタがテンポ良く次々と投入されるため、ツッコミが追いつかないという状況でした。
少し精神的に幼い第六駆逐隊の「はじめてのカレー」を見てるとジワジワとこみ上げてくるものがありましたね。
有り体に言えば「萌え」です。



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・シャンプーハット標準装備の自称レディー。
・ボーキサイト入荷にときめいてしまう大食い赤城さん。
・エレガントをエレファントと言ってしまう小学生。
・小学生の心をがっちり掴んでる愛宕。

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・「嗜み」を噛んでしまう小学生。
・雷(いかずち)の頼られたがりは異常。
・雷電ってまとめないで!
・提督のハートを掴むのは、私デース!
・不敵な笑みを浮かべる足柄。
・第六駆逐隊のカレー大会参加を知った秘書艦・長門。

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・喧嘩はやめるのですー!
・ぺちっ、ぺちっ、ぺちっ、落ち着け。

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・ちなみに私の地元で放送されたのは13日の金曜日でした。(夕張狙った?)
・鍋作る時のカンッ、カンッ、カンッ!が艦娘解体する時のSE。
・隠し味は愛とか、そういうのいいんで…。
・幻のボーキサイトを使って最高のカレーを作ろう!(どういうことだってばよ…)

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・ゲーム画面!
・長門さんが発破かけにきた。
・当日。キャラ壊れ気味の司会・霧島と、ツッコミに追われる那珂ちゃん。
・食べる方を頑張っちゃう赤城さん。(///▽///)テレッ
・那珂ちゃんが結婚できない足柄さんに暴言。
・「肉じゃがと言えば良妻賢母」「じゃあ今度食べさせてよ」「はい、幸せにします…///」この飛躍w

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・赤城さんのほっぺw
・「赤城さんはちょっと補給がだいじなだけだよ」(←フォロー)
・「食べさせてあげたいなあー…///」(←欲望)
・翔鶴姉のスカートネタ。島風のレトルトは、だって速いもん!

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・お料理No.1の称号が(婚活に)必要な足柄さん。
・ガチで勝ちに来てる足柄と、ガチで泣きに入った羽黒。
・足柄の執念に押しつぶされそうになる第六駆逐隊。

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・しかし、再び長門が発破かける。練習の日々を思い出せ。
・どうやら食材育てるとこからやってた模様。
・出来レースの結果は…!「第六駆逐隊!」しれっ。

かくして第六駆逐隊のカレーが優勝し、彼女たちの甘口カレーレシピが一年間カレー曜日に採用されることになったのであった!
めでたし!めでたし!
(そもそもこの話、何が発端なんだっけ?)



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まあ、全体のストーリーには関係しない回でしたけど、テンポが良かったし、第六の子たちが可愛らしかったし、言うことないですね。
本来、艦これのアニメ化は、こういう日常回を毎回続けるギャグ路線もあったんだろうなー、と思いました。

それから、これまで毎回3Dモデルを使った描写がありましたけど、今回は海上に出て戦闘するシーンがありませんでしたので、すべて手描きだったと思います。
そのへんが面白さに関係してるのかは分かりませんが、艦これにしては技術的にも珍しい回だったのは確かではないでしょうか。

手描きと3Dモデル、どちらが手間がかかるんでしょうね?

【映画】ダイ・ハード ラスト・デイ



ダイ・ハード ラスト・デイ(2013年、アメリカ)

【監督】
ジョン・ムーア
【出演】
ブルース・ウィリス
ジェイ・コートニー
セバスチャン・コッホ
ラシャ・ブコヴィッチ
コール・ハウザー
ユーリヤ・スニギル
セルゲイ・コルスニコフ
アマウリー・ノラスコ
メアリー・エリザベス・ウィンステッド

感想(2015年2月1日、地上波にて鑑賞)

ニューヨーク市警のジョン・マクレーンは、長らく音信不通だった息子のジャックが、ロシアで警察沙汰を起こして拘束されたことを知る。
身柄を引き取るためにモスクワを訪れたマクレーン。
ところが、ジャックが出廷するはずだった裁判所は突如爆破されてしまう。

大混乱の中でジャックと再会したマクレーンだったが、ジャックにはある秘密があった。
マクレーンはジャックと行動を共にするうち、大物政治家や大富豪らが複雑に絡む陰謀の渦中へと引きずり込まれていく。



世間の評価は低いみたいですが個人的にはまあアリなんじゃないかと思います。
と言っても傑作アクションとは言い難いけど。
暇潰しに見ても損はしないかと。

ロシアの善良な市民に酷いことして悪びれない主人公マクレーンや、チェルノブイリの扱いが3.11以降の日本人にはハラハラするなどのマイナス要素はあるものの、とにかく派手なアクションは楽しめましたね。
序盤のカーチェイスもやり過ぎなくらいでしたし、後半は何故か普通にマクレーンが銃乱射してるのを見て「そういえば彼はNY市警の刑事だよな、そしてここはモスクワだよな?」と自問自答している自分が面白かったり。

数々のテロ事件を腕力で解決してきた主人公は、もう銃を乱射することもためらわないし、異国の地であってもひるまない。
なにか、「恐怖」の感情が欠落してるんじゃないかと思うくらい潔い。
食事をするくらい自然な感じで銃撃戦を繰り広げているのがこの映画笑えると思うんですよね。

5作目にして、主人公は戦闘マシーンになってしまったかのよう。
それはもしかしすると「老害」としての主人公描写なんじゃないかと考えました。
本来はヒーローたるべき主人公ですが、数々の死線をくぐり抜けた末に、心に修復不能な傷を負ってしまったんじゃないかと。

もちろんこれは私の勝手な妄想に過ぎませんが、仕事一筋で生きてきたオジサンが定年後は偏屈なジイサンになって周りが手を焼くというのはあることで。
年寄りの身勝手さをマクレーンも身につけ始めたのかな、なんてことを思ったりしました。



あとは、マクレーン親子とロシア人親子が対比になってるんですかね、この映画。
反目し合ってるが徐々に長年の溝を埋めていく親子と、それとはまた違う親子。(ネタバレになりそうなので……)
ただどちらもハチャメチャな親子像で、共感できるかどうかは謎。

でも、マクレーンが吐露した悩みがとても普通の父親っぽかったのは、やはり共感を狙ったのかな。
「仕事ばかりで家族を顧みなかった……」
いやいやマクレーン、まずこの国際問題に発展しかねない騒動について悩もうよ、と(笑)

オジサンが超強いという点で、同じブルース・ウィリス主演の「RED」ぽいなとも思いました。
ダイ・ハード1作目や2作目とは比べちゃダメな感じですね。
4作目の方向性を引き継いだ5作目と言えるでしょう。




「私のココロはそう言ってない / 石川智晶」表現力豊かな歌声と攻めのコーラスが良い。

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私のココロはそう言ってない
石川智晶続きを読む

【小説】シオンシステム[完全版]

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シオンシステム[完全版]
三島浩司

ハヤカワ文庫JA 早川書房(2012)

感想

新種の原虫「アイメリア・シオン」を体内に取り込むことで免疫力を大幅に向上させる「虫寄生医療」。
この医療の登場によって一部の者は病気知らずの「センテナリアン」として人生を謳歌できるようになったが、それは研究所と医師会の政争の始まりでもあった。
さらに、アイメリア・シオンから生み出した生命体「シオンシステム」の研究に没頭する新海英知は、過去にある過ちを犯していた。

一方、全国に自然発生した「イナホ」と呼ばれる無気力化した人々。
常和峰はイナホを保護するセトゥルメントで働きながら、師である中條の鳩舎でレース鳩の世話をしていた。
しかし、常和峰にはある秘密があった。彼には3年前より以前の記憶がなく、さらに記録よりも若返ってしまっていたのだ…。



んー、あらすじ書いたけど下手くそですいません(笑)
とても面白い本だったんだけど、簡潔に説明することができません…。

まず舞台は、「虫寄生医療」という新医療が実用化されて間もない頃。
未来的な描写はなく、あくまで現代社会を下敷きにしていますね。

前半では虫寄生医療を巡る医学界の揉めっぷりが丁寧に描かれ、社会派サスペンスといった雰囲気。
医師の団体からすれば、国民が虫寄生医療によって医者いらずになれば商売にならないわけで、その辺の政治的な駆け引きが面白かったですね。
医師会の会長とか、厚生省の事務次官とかが出てきて、難しいですがリアルでした。

一方、アイメリア・シオンを作った研究所側も、問題が山積みの状態。
例えばセンテナリアン化できるのは今のところ男性のみに限られていて、何故ならアイメリア・シオンは母体から胎児に感染することが分かっており、倫理的な観点からその垂直感染を防げなければ本格的な実用化はできないわけです。
その問題に立ち向かうのが若く優秀な女性研究員。

また、アイメリア・シオンとは別に、極秘でシオンシステムの研究が進められており、こちらは巨大な蓄音機のような蜂の巣のような構造体シオンシステムに「人間を寄生させる」ことで、どんな病気も治してしまうという夢のような話。
ですが、ただ病気を治すだけではなくやっかいな副作用・副産物があり、その問題に頭を悩ませているのが主人公の一人・新海英知(しんかい えいち)。

もう一人の主人公・常和峰(ときわ みね)に対してかつて罪を犯した新海は、今も峰のことが忘れられないハルカの夢を叶え、ハルカを自分のものとするために、生命の禁忌に触れるシオンシステムの研究を盲目的に進めていきます。

そんな研究所に入り込んでくるのが、最後の主人公で医者の名護屋。
研究所の常駐の医師である彼は、医師会がシオンの弱みを掴むために送り込んだスパイ。
最終盤では彼が主人公となって、シオンシステムの物語を締めくくります。



まあ、こんな風に、シオンシステムって何なんだ?っていう大きな謎があり、その周りに新海の過去の罪や、常和峰の記憶喪失・若返りの秘密などが付随してくる感じ。
舞台が現代ということもあって、SFというよりはミステリーのような読み応えでした。

常和峰のパートでは、鳩のレース(遠方から放鳩してそれぞれの鳩舎に戻るまでのタイムを競う)について詳しく書かれていたし、表紙絵にもあるとおり、鳩が物語のキーになっていますね。

さらに、イナホと呼ばれる謎の抑鬱症状の人々の謎や、マグリナントパスという正体不明の生物も登場して、それらが様々な立場の登場人物たちと絡み合い、一つの重厚な群像劇を成していきます。
そう、このマグリナントパスが登場して、「あっそういえばこれSFだったな…」って思い出しました(笑)

後半は、それらの様々な思惑や事象が、ラストに向けてだんだんと加速しながら収束されていくのが快感です。
厚めの本だし、文字もびっしり書いてあってなかなか読み進められないんですけど、面白い面白いと思いながら読み終わりました。

SF作品ですが、描かれるのは人間の感情、とりわけ「愛」が大きなテーマになっていますので、普段SF小説を読まない人にもこれはオススメ。
そしてSFファンでも、このだんだんとエスカレートしていく感覚が盛り上がるのではないかと思いました。




【映画】フィラデルフィア・エクスペリメント



フィラデルフィア・エクスペリメント
(1984年、アメリカ)

【監督】
スチュワート・ラフィル
【出演】
マイケル・パレ
ナンシー・アレン
ボビー・ディ・シッコ
エリック・クリスマス
ルイーズ・ラサム
スティーヴン・トボロウスキー
キーン・ホリデイ
ジョー・ドーシー
マイケル・カリー

感想(2015年1月31日、TV録画にて鑑賞)

1943年、第二次世界大戦中のフィラデルフィアで、アメリカ海軍によるある極秘実験が行われていた。
フィラデルフィア計画と呼ばれるその実験は、友軍の艦艇を敵のレーダーから消し、探知されないようにするというもの。
この実験が成功すれば、アメリカ海軍は敵国に対して優位に立てるはずだった。

しかし、実験は失敗に終わり、駆逐艦エルドリッジは無惨な状態となり、艦内から2人の水兵が姿を消していた。
その水兵、デビッドとジムは、奇妙な空間を通ってある荒野に放り出されていた。
ここがどこなのかも分からずさまよううちに、2人は今が1984年の未来だという驚愕の真実を知る…。



80年代のSF映画。普通に面白かったですね。
昨日紹介した同じ80年代のタイムスリップ映画「ファイナル・カウントダウン」と、いろいろ比較したくなる内容でした。

「ファイナル・カウントダウン」は80年代の原子力空母が過去である1941年の真珠湾攻撃前日にタイムスリップするというSF作品でしたが、この「フィラデルフィア・エクスペリメント」はちょうどその逆で、1943年の海兵が未来である80年代にタイムスリップするという内容。
海兵がタイムスリップという部分が共通していて、いつの時代からいつへ、という部分は真逆になってます。

で、私、この二つの映画を同じ日に見たんですよ。ややこしいったらないですよね(笑)
案の定、記憶があやふやで、この「フィラデルフィア・エクスペリメント」のラストを憶えてないですね(笑)

まあ、途中までは憶えています。
物語の大半は、1943年の過去から突然80年代へやってきた主人公が、見るもの触れるもの全てに警戒しながらも、元の時代へ戻る方法を求めて必死に駆けずり回るというもの。
巻き込まれるヒロインや、当局から追われる身になったりなど、逃走劇サスペンスとして普通に面白かったと思います。

思えば「ファイナル・カウントダウン」はSF描写よりもミリタリー描写が楽しめましたし、この「フィラデルフィア・エクスペリメント」もSFよりはサスペンス要素を楽しむ感じ。
両方とも大衆向けのSFエンターテイメントという感じなのかもしれませんね。




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