感動器官

笑い、涙、鳥肌、私たちの感動を現出させる器官。

2014年09月

「ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー」色褪せない70年代ヒット曲にのせて贈るお気楽スペース・オペラ。


ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー
(2014年/アメリカ)
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「るろうに剣心 伝説の最期編」もうムリです、さすがにムリです…。原作ファンとしても映画ファンとしても残念すぎる完結編。

るろ剣伝説の最期編 佐藤健

るろうに剣心 伝説の最期編
(2014年/日本)
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【アニメ】ジョジョの奇妙な冒険 スターダストクルセイダース 第1話~第24話




ジョジョの奇妙な冒険 スターダストクルセイダース

【原作】
荒木飛呂彦
【監督】
津田尚克
【アニメーション制作】
david production
【声の出演】
小野大輔
石塚運昇
三宅健太
平川大輔
小松史法
釘宮理恵
鈴木れい子
高木礼子
子安武人
大川透

あらすじ

1987年、日本。およそ半世紀前、<柱の男>たちと死闘を演じたジョセフ・ジョースターは、悪霊に取り憑かれたという孫・空条承太郎に会うため、日本を訪れる。そして承太郎に対し、悪霊の正体である<幽波紋>(スタンド)が突如発現した原因を語る。それは、100年の眠りから目覚めた吸血鬼・DIOと、ジョースター家の忌まわしき因縁によるものだった。さらに、DIOの忌まわしき力によって承太郎の母・ホリィが倒れてしまう。50日以内にDIOを倒さなければ、ホリィの命が危ない…。承太郎とジョセフは、エジプトに潜伏しているとされるDIOを打倒するため仲間と共に旅に出るが、行く手にはDIOの放った刺客が待ち受けているのだった…。

感想

荒木飛呂彦原作の大人気漫画「ジョジョの奇妙な冒険」のTVアニメ化作品。
「スターダストクルセイダース」は原作での第3部にあたり、第1部・第2部をアニメ化したTVアニメ第1シリーズに続いての第2シリーズになるそうです。
私はこれまで「ジョジョ3部」と何気なく言ってましたが、TVアニメとしては第2シリーズというわけです。

ネット上では「漫画読むならジョジョは必修科目」とまで言われる人気作品ですが、実はこれまで漫画を読んだことはなく…。
アニメの方も、第1シリーズはスルーしてしまいました。
でもまあ、妹も見てるというので第2シリーズを試しに見てみたら、面白くて結局最後まで見てしまいましたね。

最後まで…といっても4クールあるうちの半分の所で一旦お休み。
年明けから後半戦となる「エジプト編」が放送されるそうです。
誰ですか、1年連続で放送するとか言った人は!←私です

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■王道を行く物語と意外な知能戦ーッ!

あの少年ジャンプ作品である「ジョジョ」。
当然、アクションやバトルが目白押しの内容だと思っていたんですが、振り返ってみると、アクションらしいアクションシーンは少なかった印象があります。

というのも、「ジョジョ」の特徴は、<スタンド>と呼ばれる特殊能力を持つスタンド使い同士のバトルであって、直接的な肉弾戦とは違うんですよね。
スタンドはスタンドでなければ倒せない、というルールがあり、スタンドが受けたダメージは術者のダメージとなります。

そして、スタンドもさまざまな形状、能力があり、単純な肉弾戦をしかけてくるスタンドはほんの一部。
まずは潜む敵のスタンド能力を見抜き、それに見合った解決策を講じる…。
それが毎度起きる戦いの段取りになっていた気がします。

なので、基本的に知能戦なんですよね。
攻略不可能に思える敵スタンドを、意外な方法で撃破するのが中々に痛快です。
「実はあの時スタンドを潜り込ませておいたんだ」とかはさすがにズルイと思ったりもしましたが(笑)

けっこう血が出たりグロテスクな描写も多い作品ですが、行われていることは知能戦で、ゲーム的な楽しさもちょっとあると思います。



■OP曲かっこいィーッ!

OP曲は橋本仁が歌う「STAND PROUD」。
カッコイイの一言ですね。
独りカラオケ行くと何度も歌ってしまいます(笑)

神風動画?(オラオラ動画?w)が手がけるオープニング映像もとてもカッコイイですよね。
毎回オープニングでテンション上がるというのは凄い。

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一方、ED曲は80年代に活躍したアメリカのガールズバンド「バングルス」の曲「Walk Like An Egyptian」。
物語の舞台である1987年と同年代に実際にヒットした曲で、さらに主人公たちが目指すエジプトがタイトルに入ってるんですね。
こういう選曲も、とても良いですね。



■セリフの妙と声優陣の熱演ーッ!

一見して感じる「ジョジョ」の魅力の一つだと思いますが、ちょっとくどいくらいに感じる説明気味の台詞回しが独自の世界観を表現してると思います。
そこへきて、声優陣のアツい演技が言葉に魂を吹き込んでいるわけで、「力説」ってこういうことかと。

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特に主要キャラを担当した小野大輔、石塚運昇、三宅健太、平川大輔、小松史法の5人の声優さんには、とりあえず前半戦お疲れ様でしたと言いたいですね(笑)
そして敵のスタンド使いを演じた方々も、下衆な演技が素晴らしいですよね。「ゲェヘヘヘヘ!」とか「ブヘェーーーッ!」とか。
敵のスタンド使いにはロクな奴がいないんだな、ということがよく分かりました。

この、ジョジョにおける「言霊」の魅力については、シリーズ後半でももちろん楽しませてもらえると思うので、後半戦を見終わった時に改めてまとめようと思います。



■私の好きなキャラ、発表ッ!

もちろんみんな魅力的ですが、しいて順位を決めるなら…、

1. モハメド・アヴドゥル
2. ジョセフ・ジョースター
3. ジャン・ピエール・ポルナレフ
4. 花京院典明
5. 空条承太郎

…という、主人公一番下になってしまうんですが実際そんな感じです。

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アヴドゥルは見聞が広くて頼れるところがいいですよね。
スタンドのマジシャンズ・レッドも含めて好きです。
一時、戦列を離れていましたが、めでたく復帰したので一安心です。

ジョセフおじいちゃんは「オー、ノーッ!」とか叫ぶのがなんか可愛いです。
年の功でいろいろ詳しいけれど、けっこう慌てる時は慌てるし(笑)

ポルナレフは思慮のない行動が時にトラブルを生み出しますが、逆に裏表のない性格で好感が持てます。
この前半戦では、妹を殺したスタンド使いへの復讐や、妹の死を受け入れるというようなエピソードも多かったですね。

花京院はチームを冷静沈着にまとめる役の時もあれば、ポルナレフと一緒にふざける時もあるし…(笑)
ジョジョについてはいざという時のスタープラチナって感じになっちゃってますね。
ジョジョが驚いてるかどうかで、その後の展開が読めるような読めないような(笑)

あと、この順位と関係なく、花京院のパジャマ姿は最強だと思ってます。

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まあ、まだ物語の半分終わったところですし、上のランキングとかもたぶん変動するでしょう。
今はとにかく年明けの後半戦(2期と言っていいのか悩むw)が楽しみです。
原作知らないので本当に今後の展開が分かりません。

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第1シリーズは26話なので、今年の残り3ヶ月は第1部・第2部を見て過ごすという手もありますね。
もしかしたら、もしかしたら、年明け頃に第1シリーズの感想書いてるかも…。




【映画】エスケイプ・フロム・トゥモロー

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エスケイプ・フロム・トゥモロー
(2013年、アメリカ)

【監督】
ランディ・ムーア
【出演】
ロイ・エイブラムソン
エレナ・シューバー
ケイトリン・ロドリゲス
ジャック・ダルトン
ダニエル・サファディ
アネット・マヘンドリュ
アリソン・リーズ=テイラー
スタッス・クラッセン
エイミー・ルーカス

感想(2014年9月10日、チネ・ラヴィータにて鑑賞)

冴えない中年男性のジムは、口うるさい妻と言うことをきかない子供たちを連れて、世界的に有名なテーマパークへ泊まりがけで遊びに来た。
しかし、最終日の朝、ジムは会社からの電話でクビを言い渡されてしまう。

せめて夢と魔法の国と謳うテーマパークで現実逃避をしようと考えたジムは、クビのことを伏せたまま家族を連れてパークへと向かう。
しかし、彼は幻想と妄想に溢れた世界へと入り込んでしまい、楽しいはずの家族旅行は悪夢へと変貌していくのだった……。



アメリカ・カリフォルニアのディズニーリゾート内で無許可でゲリラ撮影した映像を使って作られた映画。
そうです。「世界的に有名なテーマパーク」とはディズニーランドのことです。
あくまでも劇中ではディズニーという名称は出てこないので、あらすじにもディズニーとは書きませんでしたが…。

しかし、観てる限りはディズニーランド以外の場所には思えないくらいディズニーを出してます。
ミッキーマウスやドナルドダックが映るカットもありますし、パーク内のアトラクションの名称なども実在のものなんですかね?
要するに、隠す気がないんですね。訴えるなら訴えてみろよ、という姿勢。(昨年の作品ですが、実際まだ訴えられてないようです)



ストーリーを楽しむ映画ではなくて、雰囲気を楽しむ映画になりますね。
ストーリーを説明するとあまり魅力的ではないかもしれません。
子持ちの男性が、若いギャルたちとお近づきになりたくて、子供を連れてパーク内を行ったり来たりする話ですからね(笑)

結婚してても恋はしたい、子供がいても若い女性とお話ししたい…。
そんな中年男の煩悩(ファンタジー)を描いており、端から見てるとなにやってるんだという感じもしますが(笑)
その合間に、魔女が登場したり、謎の施設に囚われたりと、だんだんと妄想/幻想が混迷を深めていきます。

白黒映画という選択はゲリラ撮影での制限が反映されたのかもしれませんが、結果として、白黒の世界がとてもファンタジックに感じられて良かったですね。
私はカラーテレビの世代なので、白黒映画を見て「古さ」を感じません。
他の白黒作品もそうですが、どこかお伽話的な印象を受けるんですよね。

ストーリーを楽しむ映画ではないと書きましたが、この映画が伝えようとしてることはすごく共感できる気がします。
ラストでは、壮大な劇伴が流れる中、開園と同時にパーク内に吸い込まれるように入場する群衆の姿が映し出されますが、つまりはその奇妙さを切り取った映画だと思います。

「夢と魔法の国」「悩みなんてすべて忘れてしまえ」「みんな楽しく笑ってる」
そんなことが本当にあるのだろうか?と、そこまでは言いませんが、「夢と魔法」が本当にあるなら、不気味で怖いことも起こってるかもしれないよね…と、ダークファンタジーの方から切り込んでいった感じですね。

で、これ最後まで見ると単に大衆娯楽を皮肉ってるわけじゃない、というのも分かると思うんです。
主人公のラストシーンとか見ると、まさにダークファンタジー、ブラックユーモアという感じなんですよ。
つまり「夢と魔法の国」に乗っかったラストになってます。

たぶん監督はディズニーランドが大好きなんでしょうね。
ディズニーへのリスペクトをなんとなく感じられる作品です。
そのうえで、監督なりにダークに味付けしたディズニーランド像を描いたということでしょうかね。

※ちなみに大人向けですので、ご家族での鑑賞はオススメしません。





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先着順でうちわ貰えたんですけど、9月で全然涼しいという…。
仙台の秋の訪れは東京より早いというのに、上映は東京の後ですからね…(苦笑)

【映画】ハイスクール白書 優等生ギャルに気をつけろ!




ハイスクール白書 優等生ギャルに気をつけろ!
(1999年、アメリカ)

【監督】
アレクサンダー・ペイン
【出演】
マシュー・ブロデリック
リース・ウィザースプーン
クリス・クライン
ジェシカ・キャンベル
マーク・ハレリック
モリー・ヘイガン
デラニー・ドリスコル
フィル・リーヴス
コリーン・キャンプ

感想(2014年9月8日、DVDにて鑑賞)

ある高校で教鞭をとるジムには、一人だけ苦手とする生徒がいた。
それは優等生の女生徒トレイシー。
学業も生活態度も模範的な生徒だったが、キャリアのために一番になろうと執着する彼女を、ジムは好きになれなかった。

そんな優秀だがいけ好かないトレイシーが生徒会長選挙に立候補してきた。
生徒会顧問として選挙を管理するジムは、キャリアのためだけに会長の座を狙っているトレイシーの当選を阻止しようとする。
ジムは、人気者のアメフト部員・ポールをそそのかして対立候補に祭り上げるが……。



これは映画ファンのブロ友さんが褒めていた作品で、タイトルに反して面白そうなので見てみました。
まあ、まず邦題テキトーすぎでしょう…。
「ハイスクール白書」って…(笑)「優等生ギャル」って…(笑)

邦題からは軽ーい感じを受けるんですが、まあ実際軽めのブラックコメディなんですが、ただ軽いだけじゃなく、人間心理や人生の真理を突いてくるような作品です。

教師って優秀な生徒と赤点取ってる生徒、どちらが好きなんでしょう。
やはり授業内容を熱心に聞いて努力する優等生でしょうか、それとも手のかかる劣等生の方がやりがいを感じるでしょうか?

それぞれ好き嫌いあるでしょうから一概には言えませんが、優等生だからといって必ずしも教師から好かれるわけではない。
むしろ、優等生であろうと努力する姿が鼻について仕方がない時もあるんですよね。

この映画に出てくる女生徒トレイシー(邦題でいうところの優等生ギャル)は、どうしようもなく鼻につく女なんですね。
例えば、様々な校内活動に参加するのは内申のためにやってるとしか思えない、授業中積極的に手を挙げるが、指そうものなら得意気に知識をひけらかす、生徒会長への立候補も学校改革のためではなく、将来履歴書に書く項目を増やすためなんですよね。

行動のみを評価すればとても素晴らしいことをしているし、そのための努力もしている。
しかし、動機が不純だとどんなに善行をしても評価されない、それどころか逆に嫌われてしまうというのが面白いところです。

あるいは、既に調子に乗っているやつをそれ以上調子づかせまいという心理でしょうか。
ラストの、積極的に挙手する女の子を頑なに無視する様子は、この場はお前のためにあるわけじゃないんだ、という風にも見えました。
ジムの気持ちはなんかすごいよく分かります(笑)

ただ、社会的には推奨されていたり模範とされているものが、個人レベルだと嫌悪の対象になり得るというものすごい皮肉でもあります。
むしろ、エリートになるために努力しちゃダメだ、とまでは言ってませんが、じゃあどんな風にエリート目指せばいいの?ってとこまでは描いてなかったんで、ただムカつく生徒がいた、いるいるーこういう子いるよねーって感じの内容なのかもしれません。

とにかく、教師の包み隠さない人間性と、調子乗ってるムカつく女の攻防が面白かったです。
逆に、女生徒のスキャンダルや、教師の不倫や、対立候補のレズビアン設定や、蜂に刺される…などのシーンがムダな肉付けに思えました(笑)




【映画】複製された男




複製された男(2013年、カナダ/スペイン)

【監督】
ドゥニ・ヴィルヌーヴ
【出演】
ジェイク・ギレンホール
メラニー・ロラン
サラ・ガドン
イザベラ・ロッセリーニ
ジョシュア・ピース
ティム・ポスト
ケダー・ブラウン

感想(2014年9月3日、フォーラム仙台にて鑑賞)

大学で歴史を教えているアダム・ベルは、恋人とのセックスにさえ楽しみを見いだせず、何の刺激もない日々に虚しさを感じていた。
ある日、何気なく映画のDVDを見ていた彼は、劇中に脇役として出てくる無名の俳優が自分と瓜二つであることに驚く。

取り憑かれたようにその俳優アンソニー・クレアのことを調べたアダムは、さまざまな手を尽くしてついに彼との面会を果たす。
顔の作りのみならず、声や体格、生年月日、さらには後天的な傷痕までもが同じ位置にあることを知り、アダムとアンソニーは戦慄するが……。



ツイッターの方では映画ファンからけっこう好評だったみたいで気になっていた映画。
遅れて仙台でも上映されたので観てきました。

評判のとおり、初見ではわけのわからない映画です。
瓜二つの二人の男が出てきて、果たしてドッペルゲンガーか、クローンか、と悩んだのも束の間、意外な展開へと突き進んで行き、もしかしてこれで謎が解けるか?と思った所で暗転。
「あっ…この間はまさかラストカット?」と察した瞬間終わりました(笑)

エンドロールが始まって、ナニコレわけわかんない…とニヤニヤしてたら原題「ENEMY」がドーンときて益々わけわかんない(*´ ω `* )ウフフ
良い意味で観客は置き去りにされます。

終始漂う不穏な空気…、ごく自然に挿入される奇妙なカット…、さらけ出された人間の精神の暗部…。
ストーリー演出も見事で、時にスリリング、時にハラハラ…。(←同じかw)

そして、さまざまな解釈が鑑賞後の客席から沸き起こってくる類の映画ですね。
公式サイトにはネタバレレビューや、監督・出演者の公式見解的なコメントもありますが、それを読んでもなお、腑に落ちない点もあったりして…。
上映期間終わってしまいましたが、是非また見たい映画です。





以下、ネタバレありの内容になりますので、映画を未見の方はここまで!





もしかしたらループしてる話かもしれない、などと鑑賞直後に妄想しました。
冒頭のエロルームと、ラストカットは繋がっていて、アダムがアンソニーの代役になり、やがてアンソニー代役がまた別のアダムと出会いすり替わる…なんて。
まあ死と生という時の流れ・変化の要素があるのでループはないにしても、ある意味時間の止まっているような作品。
荒唐無稽なSFを純文学で語ったようなそんな感じの映画。

公式ネタバレを読むと、一人の精神世界を描いた物語ということで、精神世界って時間の概念ないですからループっぽく見えても不思議じゃないなーと(笑)
ただ、まったくSFではなくて、男の社会性についての誰にでも通ずる話でした。
それだけの話をよくもこんなにややこしく書いたものだと感心しました。

で、ネタバレ読んでもまだモヤモヤしてるのは、アンソニーの妻ヘレンの視点で描かれてるシーンのせい。
ヘレンはアダムに会いに大学へと行き、そこで夫アンソニーと瓜二つの男と言葉を交わします。
そして、アダムが去っていく背中を見ながらアンソニーに電話をかけ、すぐにアンソニーが応答しますがその時アダムが電話とった素振りはない…。

これはアダムがアンソニーの演技ではなく、二人の男が別の場所に同時に存在する別の人間であることを、ヘレンに確認させるシーンでした。
これがあったからこそ、私も、アダムとアンソニーは別の人間であるという前提で映画を観たんですよね…。

「学校どうだった?」というヘレンのセリフが、夫の本当の職業を言ってるという部分は、直前の表情からカマをかけたように思いました。(表情から何を考えてるかなんて分からないですけどね)
そして、やはりアンソニーと違うと知っててなお、したたかな女は、男を受け入れるんじゃないかな…なんてこんなこと書いたら女性を敵に回しそうですけど(笑)

蜘蛛と妊婦はお腹が似てる、ということもあるし、やはり妊娠中の妻から逃げたかった男の話なんだろうし、その解釈に異論はないけど、私の中ではヘレン視点で描かれた大学でのシーンがどうしても引っかかるんですよね…。




【映画】ウォンテッド




ウォンテッド(2008年、アメリカ)

【監督】
ティムール・ベクマンベトフ
【出演】
ジェームズ・マカヴォイ
モーガン・フリーマン
アンジェリーナ・ジョリー
テレンス・スタンプ
トーマス・クレッチマン
コモン
クリステン・ヘイガー
マーク・ウォーレン
デヴィッド・オハラ
コンスタンチン・ハベンスキー
ダト・バフタゼ
クリス・プラット
ローナ・スコット
ソフィヤ・ハキュエ

感想(2014年9月1日、DVDにて鑑賞)

冴えない毎日にウンザリしているウェスリー・ギブソンは、ある夜、セクシーで謎めいた女フォックスと出会う。
謎の暗殺者クロスからウェスリーを守ったフォックスは、千年前から神に代わって<運命の意志>を実践してきた秘密の暗殺組織<フラタニティ>のメンバーだった。
ウェスリーは、組織のボスであるスローンから、ウェスリーの父が組織一の殺し屋であったこと、組織を裏切ったクロスが父を殺したことを聞かされる。

クロスへの復讐を胸に組織に参加したウェスリーは、過酷な訓練を耐え抜き、父から受け継いだ超人的能力を開花させる。
組織の暗殺者として次々にターゲットを暗殺していく彼は、ついに父を殺した暗殺者に戦いを挑むが……。



こないだ地上波でやってましたね。
ツイッターの方で、主人公の吹き替えを担当したDAIGOの演技が酷いと聞いていたのであまり期待はしてなかったんですが、チラッと見たら本当に酷くて(笑)
録画していたんですがそれは削除して、改めてDVD借りてきて見ました。もちろん字幕の方で。

そしたらこれけっこう面白いじゃないですか(笑)
ほんとDAIGOの吹き替えで損をしてますね。

奇想天外、荒唐無稽なアサシン・ムービーといったところでしょうか。
超長距離からの精密射撃、超人的な身体能力、どんな傷も癒してしまうお風呂、そして極めつけは思い通りに曲がる銃弾。

なんかここまで来ると、ヒーローものって感じですね。
冴えない男が復讐に燃えるダークヒーローに…。
ヒーロー映画の要素はクリアしてると思うんですよね。

まあとにかく映像が面白いです。
車が宙を舞ったりとか、殴りつけたPCのキーボードからFワードが飛び出したりとか…。
言葉では表現しづらいですね。



反面、ストーリーの方は粗かったですね。
基本の筋書きは面白いんですが、ひとつだけ、アンジーが演じた女暗殺者フォックスの描かれ方だけ気になりました。

フォックスは謎の美女として登場し、当然主人公に好意を抱かれるわけですが、そこから先への進展はなかったんですよね。
アンジーを起用しておきながら、ロマンス要素が薄いんですよ。
私は別にそれでもいいんですが、ハリウッド的にそれでいいの?ってちょっと思いました(笑)

で、またこれフォックスが終盤で意外な決断を下したりするんですけど…。
要するに、愛よりも保身よりも、運命を受け入れる真のフラタニティだったということですが、それを裏付ける描写が乏しくて説得力が弱いのが残念です。(ポスターではアンジーの方が大きいのにね…)
まあその分、意外性は充分なんですけど…。

全体的には割とコミカルな雰囲気も漂ってたりして、だからストーリーの粗さもあまり気にならないですけどね。
最終決戦の作戦にネズミですからね…。
頭カラッポで見て、革命的な映像をただ驚くべき作品です。



「ルパン三世」実写版は予想通りのビミョーな出来。でも小栗旬のルパンはこれはこれでルパンだった…。

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ルパン三世
(2014年/日本)
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【小説】PSYCHO-PASS 0 名前のない怪物

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PSYCHO-PASS 0 名前のない怪物

高羽彩
マッグガーデン(2013)

感想

西暦2109年。人間の精神を数値化し、最大多数の最大幸福が実現できるようになった未来。
システムの導き出した<犯罪係数>をもとに、犯罪者とその予備軍<潜在犯>を取り締まる厚生省公安局刑事課は、後に<標本事件>と呼ばれることになる連続猟奇殺人事件に総力をもって当たっていた。

ある夜、刑事課一係所属の<監視官>狡噛慎也は、潜在犯でありながら犯罪捜査の実働を担う<執行官>の一人、佐々山光留と共に、廃棄区画で発生した騒ぎの鎮静に向かう。
そこで彼らは、私立女子の名門<桜霜学園>の生徒・桐野瞳子を保護するが……。



TVアニメ「PSYCHO-PASS サイコパス」のスピンオフ・ノベル。
主人公・狡噛慎也が監視官から執行官に「堕ちる」きっかけとなった3年前の未解決事件、通称<標本事件>を描いた内容。
TVシリーズ本編では名前くらいしか出てこなかった執行官・佐々山光留が活躍する物語です。

執筆はTVシリーズ第12話(六合塚の過去話の回ね)の脚本を手がけた劇作家でもある高羽彩(たかは あや)。
最初、文章がけっこう淡白に感じられて読みづらかったんですが、次第に入り込めました。
PSYCHO-PASSの世界観は見事に表現されており、特に残酷描写とかが容赦なくて恐かったです。
「眼球破裂」とか出てきますのでそれなりに覚悟して読んだほうがいいかと。

連続猟奇殺人事件の犯人を追う中で、刑事課内部の軋轢、猟犬・佐々山とお嬢様学校の生徒・瞳子の出会い、事件の首謀者・藤間幸三郎とそれに協力する槙島聖護の存在……などが描かれます。
メインとなるのは、監視官としてまだ頭ガチガチの狡噛と、潜在犯である佐々山が、どのようにして信頼関係を築いていったか、ということでしょうか。
この2人の友情物語(と呼ぶような薄っぺらいものではないけど)にけっこうページを割いていた印象です。

事件自体は未解決のまま終了したのが残念ですが、よく考えればアニメ本編でも未解決事件となっている標本事件の話なんだからそりゃあ未解決ですよね(笑)
佐々山光留という男について、狡噛の成長・変化について、あくまでもアニメ本編を補完する立場の作品です。

補完ということでいえば、最近、新たなシーンを追加して放送された「新編集版」を見る上でこの本が一助となるのは間違いないですね。
本放送当時は「藤間幸三郎ダレソレ?」状態だったのが、槇島と禾生局長の難解な会話も分かりやすくなったり、モブでしかなかった二係の監視官・青柳の存在感が増したり。
逆に、新編集版で追加された青柳と神月の対峙シーンは、このスピンオフ・ノベルを受けてのものかもしれないですね。

そんなわけで、アニメ本編を見てない人にはわけの分からない内容だと思いますが、本編を楽しんだ人は一応読んでおけば新編集版の助けになるはず。
あと、執行官たちが集まって麻雀したりとか、「日常」が描かれてるのも貴重ですね。




【映画】LUCY ルーシー




LUCY ルーシー(2014年、フランス)

【監督】
リュック・ベッソン
【出演】
スカーレット・ヨハンソン
モーガン・フリーマン
チェ・ミンシク
アムール・ワケド
アナリー・ティプトン
ジュリアン・リンド=タット
ピルウ・アスベック

感想(2014年8月30日、109シネマズ富谷にて鑑賞)

ごく普通の女性ルーシーは、ある日マフィアの闇取引に巻き込まれ、運び屋として新種の薬物が入った袋を腹部に埋め込まれる。
しかし、アクシデントで体内の薬物が漏れ出し、ルーシーの身体は異常をきたし始める。
それは脳の覚醒と呼べるものだった。

通常10%しか機能していない脳が、20%、40%と覚醒していくにつれ、ルーシーは超人的な能力を発揮していく。
脳科学者のノーマンは彼女の驚異的な覚醒に驚き、脳の100%覚醒を見届けようとするが…。



リュック・ベッソン監督とスカーレット・ヨハンソンがタッグを組んだサイキック・アクション。
巷ではけっこうこき下ろされてますが、私は価値ある映画だと思います。スカヨハの美しさとかを抜きにしても。

この映画を否定する意見の半分くらいは、「脳が100%覚醒する話なのに、この程度のアイディアしかないのか」みたいな感じなんですが、それってもう予告編やあらすじの時点でなんとなく察しがつくじゃないですか(笑)
脳が10%しか機能していない人間が書いた脚本が、100%機能する人間の行動を語ってるわけですから、そりゃ表現としてはどうしても10%の範囲内になりますよ。

だからそこに期待して観に行くのが間違ってるし(つまり宣伝の仕方も…そもそもこういう話作ること自体が無謀なんですね)、実際そこに期待して行った人は少ないんじゃないかな…と思います。
誰しも、少し不安を感じながら観に行ったはずですよ。

要するに、アレです。映画「プロメテウス」が、人類の起源が云々~という宣伝で、実際観てみたら結局起源の話は先延ばしにされてしまったというアレです。
もっと言うなら、宇宙が生まれる前はどんなだった?という話と同じくらい答えがない問題。

誰も知らないことは、ウソでもついて誤魔化すか、先延ばしにするしかない。
こんな無謀な勝負に、ベッソン監督は正々堂々と大ウソをぶち上げてきました(笑)

ただ、その大ウソのおかげでLUCYは行くとこまで行ったんですね。これは評価できます。
上半期に、似た映画で「トランセンデンス」がありました。あれも主人公が「超越=トランセンデンス」して全知全能の存在になる内容でしたが、終着点は「愛」という、10%どころか5%も脳みそ使ってないんじゃないの?という残念な内容でした。
LUCYはこの「トランセンデンス」は超越してますね。



アジアの怖ーいマフィアや、スカヨハが無表情で制圧していく痛快さ、ベッソン監督お得意のカーアクションなどなど、アクション映画としての魅力を存分に見せてくれますが、秀逸なのは最終盤。
それまでまるで漫画みたいだった、中二病的な物語が突然哲学始めるんですね。

ルーシー曰く、「1+1は2ではない。それは10%脳でも理解できるレベルで計算しているだけであり、数字は物事を単純化するためにある」
「人間の独自性なんてない」
「存在を立証するのは時間のみ」

ちょっと私の10%脳もだいぶ機能不全なので、理解が間違ってる可能性もありますが、終盤、ルーシーはこんな理論というか話を脳科学者たちに向けてするんですよね。

つまりこれって何なのかというと、私は「科学の否定」だと思いました。
自然界には数式は無いんだ、自然を理解するために10%脳の人類は数字や言葉が必要だった、しかしそれは単純化してるだけで森羅万象そのものではないんだ、と。
そういう意味では人間の社会生活自体も単純化にすぎないわけで…。

結局、何が言いたかったのかは分からないんですが、とにかくルーシーがすべてをあるがままに知覚し、あるがままに表現し始めたわけですね。
神の領域へと足を踏み入れたわけです。

私はルーシーのこのセリフについてもっとみんな語るべきだと思うんですよね。
意外にも人間の存在・社会・科学について考えさせられる良いシーンでした。
映画自体は大ウソを貫き通してますが、この考え方自体は間違ってはいないですよね。

また、脳の覚醒の原因となった薬物の成分、あれがなんだったか考えると、けしてデタラメな話にも思えなくて。
母体から出た物質が人間にさらなる進化を促したわけですから…。
そしてルーシーが最後に会ったのは人類すべての母…かもしれない存在なわけで。

序盤のアニマルプラネット的な表現も、人間の独自性の否定と捉えれば意味があるし。
そういう所とかけっこう面白いと思うんですよね。
かなりブッとんだ映画ですけど、哲学って時にブッとんだことになり得ますからね。
フィロソフィカル・アクションと言っても良いんじゃ…とか私は思ってますが…。

でも、まあ世間的にはこのまま二流の映画として埋れていくんだろうなあ…(´・ω・`)




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