感動器官

笑い、涙、鳥肌、私たちの感動を現出させる器官。

2014年03月

【映画】ロボコップ(2014)



ロボコップ(2014年、アメリカ)

【監督】
ジョゼ・パジーリャ
【出演】
ジョエル・キナマン
ゲイリー・オールドマン
マイケル・キートン
アビー・コーニッシュ
ジャッキー・アール・ヘイリー
マイケル・K・ウィリアムズ
ジェニファー・エール
ジェイ・バルシェル
サミュエル・L・ジャクソン
マリアンヌ・ジャン=バプティスト
エイミー・ガルシア
ジョン・ポール・ラッタン
ミゲル・フェラー
ダグラス・アーバンスキ
ザック・グルニエ

あらすじ

2028年、デトロイト。愛する妻子とともに幸せな生活を送っていた正義感あふれる警官アレックス・マーフィーは、ある夜、爆発に巻き込まれ重傷を負う。生死の境を彷徨う彼を救うためには、サイボーグ手術をして生まれ変わるしかなかった。オムニコープ社の最新ロボット技術によって奇跡的に一命を取り留めたマーフィーは、サイボーグ警官<ロボコップ>として街の凶悪犯罪に立ち向かうが……。

感想(2014年3月17日、109シネマズ富谷にて)

1987年に公開されて人気を博したSFアクション映画「ロボコップ」のリメイク作品です。
オリジナルの「ロボコップ」は子供の頃にチラッと見た記憶があるだけで、ほとんど無知に近い状態で観に行きました。

で、有休を使って平日の映画館に行ったら、なんと私以外にロボコップ観る人いませんでした(笑)
人生初の映画館貸し切り状態(((o(*゚▽゚*)o)))
めちゃくちゃ貴重な体験でしたが、個人的にはあまり喜べない面もあります。
どんだけこの映画注目されてないんだって……ね(;´Д`)

別に天気が悪かったとか、レイトショーで行ったとかじゃないんですよ。
この日、私が行った郊外のシネコンはレディースデーで、だからロビーには女性客やカップルは普通にいるんですよね。
でも、そのロビーのお客がすべて他の映画に流れていったというね……。
メンズデーならロボコップだって人が入っていたにちがいない。

そんなわけで大スクリーンを独り占め。
私一人のために上映される映画、私一人のために動く空調、そして上映後、私一人のために清掃に入るスタッフさん……(あの、全然汚れてませんよ~……)
しかも溜まってたポイント使って「無料」で観ちゃいました。私、基本ポップコーンとか買わない派なので、映画館側としては丸々1回分タダで上映したようなもんでしょうね(笑)

……なんかすいません((((;゚Д゚)))))))

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さて、前フリが長くなってしまいましたが映画本編の感想。

オリジナルの方はほとんど分からないんですが、たぶん随所にオリジナルへのオマージュが見受けられますね。
例えば、最初主人公が銀色の機械の体を与えられてなんだかダサくて断るシーン(笑)
それから、二足歩行のドロイドとかはオリジナルでもたしか出てきましたよね。

逆に明らかにオリジナルから進化した部分は、そのスタイリッシュなフォルム。
そして、ネットワークを使ったスピーディな犯罪捜査でしょうか。
ロボコップは過去の防犯ビデオ映像を全て脳内に記録し、現在の防犯ビデオと常に照合しながら犯罪者を追い詰めます。

それから、物語の背景として、軍事ロボットを世界中に輸出するようになったアメリカが、国内へのロボット導入は未だに認められていないという下敷きがあって、それがロボコップ誕生の秘密に関わってきます。
米国内へのロボット導入を進めたい者たちと、反対する者たち、その思惑に利用される面もあるわけですね。
むしろ今作はそういう、主人公を取り巻く人間たちの思惑が濃厚に描かれていて、主人公自身はそんなにクローズアップされてないというか、そんな感じもしましたね。

なんとかして米国へのロボット導入をクリアして市場を開拓したいオムニコープ社長は、大怪我を負って瀕死の重体である主人公マーフィーを利用することを考え出します。
ロボットを信用できない人たちへの説得の手段として、人とマシンの融合を画策するんですね。
マシンの優秀さと、人の心を併せ持つロボコップ。しかし、それは活躍と同時に悲劇でもあるわけです。

変わり果てた夫をそれでも支えようとする妻は米国人の鑑といった感じですかね。
アメリカには障害を隠さずにむしろ個性と捉える向きがあるらしいです。
五体不満足になったマーフィーが孤独にならずに済んだのは、そういう国民性もあったのかもしれません。
私なんかはいつマーフィーがもっとどん底に落ちるのかと期待半分で待っていたんですが、そういう心の醜さまでは描かれませんでした。

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かっこいいシーンはかっこいいし、悲しい所は悲しいんですが、昨今のバットマン、スーパーマンやスパイダーマンほど深刻に描かれてはいないのかな、と思いました。
オムニコープ社長(マイケル・キートン)と博士(ゲイリー・オールドマン)の問答で何故かニヤニヤしたりしましたし、サミュエル・L・ジャクソン演じるTV司会者も強烈なインパクトがありました。
シリアスな部分はあるけど、気楽に見るべきユーモラスな作品かもしれません。

リメイクとかリブートとか言われると妙に身構えてしまう部分もありますけどね。
でも主演のジョエル・キナマンとか、妻役のアビー・コーニッシュとか、そんなに有名じゃないじゃないですか。監督もブラジル出身の新鋭だし、本当に気楽にかまえて全然OKですね。
サミュエル・L・ジャクソンに至ってはフザケてますし(笑)

逆に、主演とかがパッとしないせいで、平日に行ったら貸し切り状態だったのかな~なんて思いました。
まあ見せ場のシーンでは顔隠れてるわけですし、大スターは出てくれないですよね(´・ω・`)
むしろ博士役のゲイリー・オールドマンの映画だったような気さえします……。



【人形劇】シャーロックホームズ

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シャーロックホームズ

【脚本】
三谷幸喜
【パペットデザイン】
井上文太
【人形美術・製作】
スタジオ・ノーヴァ
【音楽】
平松加奈
【声の出演】
山寺宏一
高木渉
堀内敬子
岸尾だいすけ
浅野和之
梶原善
江原正士
三瓶由布子
妻夫木聡
宮沢りえ
中村梅雀

あらすじ

ロンドン郊外にある全寮制の名門校・ビートン校。この学校にオーストラリアから転校して来たジョン・H・ワトソンは、ベイカー寮221B号室で問題児のシャーロック・ホームズと同室になる。クールで人を寄せ付けない雰囲気を持つホームズだが、初対面のワトソンの経歴を言い当てるなど卓越した観察眼と洞察力の持ち主だった。やがて2人は、学校内で起こる様々な事件に巻き込まれていく……。

感想

NHKで3夜連続で放送された人形劇「シャーロックホームズ」見てみました。
脚本・三谷幸喜、井上文太のデザインした人形と、音楽は平松加奈という、何年か前にNHKで放送された人形劇「新・三銃士」を思い出させる製作陣。

今回放送された3話は、全20回のうちの序章にあたる部分ということで、8月に放送されるという次の3話、そして10月からの本放送が非常に楽しみです。
見る前は3話限りのスペシャル番組だと思ってたんですが、いざ見てみたらたった3話のために作ったにしては大勢の人形たちが登場して、「あ~これは、シリーズなんだな♪」と。
既に10月放送開始のアニメでも気になってるものがあって、映画にアニメに人形劇と忙しいですがこれは見逃したくないですね。

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物語は、三谷幸喜によって大きく脚色されており、なんと、少年探偵ホームズがルームメイトのワトソン少年と共に学園の珍事件を解決していくという内容。
舞台を学園ミステリーに変更したことで、凄惨な殺人事件は起きないそうです。

私はシャーロック・ホームズについてはまったく無知で、ロバート・ダウニー・Jr主演のハリウッド映画くらいしか知らないんですけども、ハドソン夫人が寮母になっていたり、モリアーティ教授がモリアーティ教頭先生、アイリーン・アドラーが保健室の先生になってたりしてなんだかニヤニヤ。
モリアーティ教頭との因縁はこれから描かれる感じですけども、殺人事件を起こさないでどうライバル化させていくのか興味深いですね。

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1、2話は原作「緋色の研究」を元に、ホームズとワトソンの出会い、カバの石膏像が壊される謎の事件と、富裕層の生徒が食中毒になって病院に運ばれるという事件の謎解きが描かれます。
「どうやって腐った卵を選ばせたのか?」という謎で悩ませておいて、実は一か八かだったというのがある意味凄いですね。賭博黙示録だよそんなの……(笑)

3話は校長の浮気心と美人保健医が起こすトラブルに巻き込まれるホームズ。「ボヘミアの醜聞」が元になってます。
アドラーをホームズより一枚上手の大人の女として描いており、ヤバいです、人形と分かっていてもアドラー先生美人です(*・ω・*)ポッ
最初見た時は「新・三銃士」のミレディそのままと思いましたが、目も大きいし髪の毛も薄い赤だし、もしかしてミレディとコンスタンスを足して割ったらちょうどこんな感じじゃないですか……?

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やはり三谷幸喜が書いてるということもあって、随所に笑いが散りばめられていますね。

あと、主題歌がめちゃくちゃカッコイイですよね。
人形劇のオープニングじゃないよこれ……(笑)
主題歌を歌うナノという歌手は中高生に大人気ということで、ちょうど劇中のホームズたちの年齢と符号するのかな、なんて思いました。

とにかく秋からの本放送が楽しみです♪




【映画】銀の匙 Silver Spoon



銀の匙 Silver Spoon(2014年、日本)

【監督】
吉田恵輔
【出演】
中島健人
広瀬アリス
市川知宏
黒木華
上島竜兵
吹石一恵
西田尚美
吹越満
哀川翔
竹内力
石橋蓮司
中村獅童

あらすじ

札幌の進学校で挫折を味わった八軒勇吾は、実家から出られるという理由だけで寮のある大蝦夷農業高校へと入学する。しかし、農業とは縁のない家庭に育った八軒は、ブタや牛を育てる酪農の実習に悪戦苦闘。また、御影アキや駒場一郎ら農家に育ったクラスメイトたちが具体的な目標や夢を語る姿に劣等感を感じてしまう……。

感想(2014年3月10日、チネ・ラヴィータにて鑑賞)

荒川弘の人気漫画「銀の匙 Silver Spoon」の実写化映画。
TVアニメ2期も最終回を迎え?(←仙台ではこれからw)まさに人気絶頂での実写映画公開となりました。

個人的には、この実写映画の企画→アニメ2期との相乗効果狙い→「ガリレイドンナ」が1クールに短縮→ガリドン不完全燃焼……。
そんな経緯だったんじゃないかと勝手に推察してるんですが……ちがいますか?
(まあ余計なことは考えないでおこう、もう終わったことだ……)



私は原作漫画の方は5巻までしか読んでおらず、TVアニメ2期も7話くらいまで見たあたりでこの実写映画を観に行きました。
2時間でお話を終わらせなければならず、原作やアニメとの相違点もありましたが、うまくまとまっていて普通に楽しめました。
SF好き、トンデモ展開好きを公言している私がこの手の映画で普通に楽しんだのだからきっと良作なはず(笑)

展開で魅せる作品ではない(というかアニメ勢にとってはだいたいの展開は分かっててそのリミックス的なもの)のだけど、何故か涙が出てきました。
原作で先生たちが手伝ったシーンで生徒たちが出てくるのズルい(笑)

この「銀の匙 Silver Spoon」という作品の魅力は、北海道の農業高校ならではの驚きや農家の現実を下敷きにしながら、将来について真摯に悩む主人公たちの青春を描いていることだと思うんですね。
偽善だと言われても自分で答えを見つけようとする姿勢。
答えがなくても探し続けようとする真摯な姿勢が見所です。

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キャストについてはよく分かりませんが、役者さんの年相応に無難な演技でした。
実写だとアニメよりも抑えた演技が求められますので、そういう点ではリアルな演出で良かったです。
漫画のキャラを引きずっていた吹石一恵とかは逆に浮いてしまってましたからね。

主演がアイドルグループ<Sexy Zone>の中島健人ということで、女性客が多めでした実際。
私はSexy Zoneとかよく知りませんが、ちゃんと「八軒」していたので演技に文句はありません。
むしろ、上映前に中学生くらいのSexy Zoneファン女子が、他の女性客に「Sexy Zoneのファンですか?」って勇気を出して聞いて否定されるっていう微笑ましい光景を見れました。
その様子のツイートがこちら → https://twitter.com/yucke_super_dry/status/442820323948240896

竹内力と哀川翔の兄弟っぷりに笑ってしまったし、駒場やタマコの再現度にも満足。
ヒロイン御影アキを演じた広瀬アリスは、劇中で無自覚に魅力振りまく感じが良いですね。
ただ、漫画やアニメのシュッとしたアキの印象と違って、ぷにぷにしたくなる子ですが……。黒木華に「あんた太った?」って言われて「うんたしかにちょっとな……」って見ているこっちが思ってしまう(笑)「ぽちゃ」ってほどでもないんですが、キレイ系ではなくて、めんこい子です。

他の脇役たちはどうしても原作の強烈な個性ありきで見てしまうため、物足りなさもありますね。
八軒の父親については、言動もマイルドになってましたね。これも2時間で完結させるために必要だったと思いますけど、物足りなさも少し感じました。



とはいえ、「コミックの人気に便乗したアイドル映画」という最初の失礼な認識は改めなければならない出来でした。
吉田恵輔監督の映画ってこれまで見たことなかったので、これから勉強していきたいと思います。



【映画】ストレンジャー・ザン・パラダイス



ストレンジャー・ザン・パラダイス
(1984年、アメリカ/西ドイツ)

【監督】
ジム・ジャームッシュ
【出演】
ジョン・ルーリー
エスター・バリント
リチャード・エドソン
セシリア・スターク
ダニー・ローゼン

感想(2014年2月20日、DVDにて鑑賞)

ジム・ジャームッシュ監督の長編映画2作目。3つのチャプターからなるモノクロ作品。
ウィキペディアによると「不条理・デッドパン(無表情)喜劇」だそうです。

ニューヨークでイカサマ博打などをして食いつないでいるハンガリー出身の男ウィリー。
彼の下に、16歳のいとこのエヴァがブダペストからやってきます。
クリーヴランドに住む伯母の家で暮らす予定のエヴァでしたが、伯母が入院することになったためウィリーが10日間だけ預かることに……。
最初はエヴァのお守りをすることを嫌がっていたウィリーでしたが、やがてエヴァにドレスを贈るほどに好意を持つようになるのでした。

エヴァが去ったあと、イカサマで大儲けしたウィリーと悪友のエディーは、エヴァに会うためにクリーヴランドへと出かけます。



「喜劇」と言ってもクスクス笑えるようなわかりやすいものじゃなく、ウィリーとエヴァの親しくない様子や、楽しい旅行だと思ったら楽しくなかったとか、そういう噛み合わない感じですね。
少なくとも私はこの映画を見て「喜劇」とは感じませんでした。

「不条理」というとトンデモ展開が待ってるみたいですが、特に不条理な展開もなく(笑)
不良の男ウィリーとエディーが妹分エヴァを誘ってフロリダ旅行へと出かける内容。
特に驚くような内容もないですね。

ただ、結末についてだけは、ささやかな驚きとユーモアがあって、そこだけは不条理な面もあるし喜劇です。
全編モノクロなんですが、余計な色彩を排除することでかっこいい映像になってたと思います。
結末までは酷く退屈な映画ではありましたが……。




【映画】感染列島



感染列島(2008年、日本)

【監督】
瀬々敬久
【出演】
妻夫木聡
檀れい
国仲涼子
田中裕二
池脇千鶴
竹山隆範
金田明夫
光石研
キムラ緑子
嶋田久作
正名僕蔵
ダンテ・カーヴァー
馬渕英俚可
小松彩夏
三浦アキフミ
夏緒
太賀
藤竜也
佐藤浩市

感想(2014年2月19日、地上波にて鑑賞)

医療パニックムービー。
強い感染力と死に至る症状を引き起こす未知のウィルスによって日本中が混乱する…という内容です。

主人公の松岡は、市立病院の救急救命医。
ある日、新型のインフルエンザとも別の新種のウィルスとも判断がつかない謎のウィルスに感染した急患が、松岡の元に運び込まれてきます。
謎のウィルスは感染力が高く、他の患者や医師までもがウィルスの犠牲となり、院内はあっという間に戦場と化してしまいます。

数日後、松岡のかつての恋人であり、WHOのメディカルオフィサーである小林栄子が病院に派遣されて来ます。
栄子は病棟を隔離し、未知のウィルスに対抗するための最前線としますが、ウィルスの勢いは留まることを知らず、やがて日本中がウィルスの恐怖に晒されていきます…。



つまらないこともないんですけど、なんとなくツッコミ入れたくなってしまう作品です(^^;;
ちょっと簡単に突っ込んでみたいと思います(笑)

まず、主演の妻夫木聡と檀れいの演技は問題ないのですが、この2人が元恋人という設定からしてなんか解せませんね~。
役者の実年齢が離れているし、劇中でも「年上の彼女」という設定があったと思いますが、その設定が活かされていたとは思えないんですよね。

さらに妻夫木くんは髪型が若者スタイルだったりして…。
「奮闘する若い医師」を描きたかったのは分かるけど、30代後半のWHOの女医さんとくっつけるのはムリがあるんじゃないかと…。まあ、ムリだったから「元恋人」なわけですが。
でもやっぱり妻夫木聡が檀れいを「栄子、栄子」と呼ぶのは違和感…。



それから終盤のクライマックスで「明日世界が滅ぶとも、今日きみはリンゴの木を植える」という名言が飛び出しますが、これ唐突だったような気が…。

言いたいことは分かりますが、少なくとも序盤で一度はこのテーマに触れとかないといけない気がします。
妻夫木聡が木を見て「そうだったのかあ~…」と感嘆の声を上げるのを見て、「なんだったの~…?」ってなってしまったので。
それとも地上波だったからカットされてしまったとかですかね?

他には、どうやってウィルスに対抗するかを檀れいが病院のスタッフを前に丁寧に説明するシーンなど、丁寧すぎる描写が気になりました。
時間をたっぷりとるために、絶望感がより引き立つ演出ですかね?
もっとテンポよくメリハリつけて進んでいってもいいと思うんですが、それは邦画に求めてはいけないことなのかも(笑)



良かった点は、様々な立場の人物が登場していて、いろんな俳優が素晴らしい演技を披露していること。

光石研が演じた養鶏場を営む男性がマスコミに叩かれ苦悩する姿、そんな父の姿を見て世を怨むような目をする少女。
藤竜也が演じた獣医学の教授は、松岡を導く立場のようで背中を押すぐらいしかしない絶妙さ。

カンニング竹山が演じたウィルス研究者の記者会見での呟きなども、人間の心理を端的に表してていいと思います。
それから婚約者をウィルスで失った女性の役を演じた池脇千鶴の蒼白な表情とかクドイくらいに蒼白ですし、嶋田久作演じる医師も、誰も知らないうちに海外の寒村で美談を作ってましたし…。

この映画、エピソード多すぎですよね(笑)
その全てに首突っ込んでる主人公・松岡…、ヒマすぎですよね!(笑)

でも、ある意味群像劇であるこの作品、不思議とエピソードの切り替わりを意識することはなかったんですよね。
松岡の目を通して自然に入ってきたというか。
いろんなエピソードが盛り込まれてるんですが、キレイにまとまってるぽいのは凄いんじゃないかと。

あと、白戸家のお兄ちゃんことダンテ・カーヴァーの、国連の医師役が似合いすぎですね(笑)




【映画】タッチ・オブ・スパイス



タッチ・オブ・スパイス(2003年、ギリシャ)

【監督】
タソス・ブルメティス
【出演】
ジョージ・コラフェイス
タソス・バンディス
マルコス・オッセ
バサク・コクルカヤ
イエロクリス・ミハイリディス
レニア・ルイジドゥ
タマール・カラダリ
ステリオス・マイナス

感想(2013年7月14日、TV録画にて鑑賞)

ギリシャに住む天文学者の男ファニスが、トルコ・コンスタンチノープルに住んでいた幼き日々を思い起こすという物語。
香辛料で商いする祖父との思い出が描かれ、祖父に教わった宇宙とスパイスの関係性などが語られます。

しかし、コンスタンチノープル(限イスタンブール)での楽しい日々は、トルコ・ギリシャの政治対立によって終わりを告げ、ファニス少年の一家はトルコに祖父を残したままギリシャへと帰国しますが…。



「ギリシャのニュー・シネマ・パラダイス」とか言われてたようでなんだか納得しました。
少年の初恋や家族親戚を描いたドラマです。

ほとんどが少年時代の回想で進みます。
特に印象に残ったのは、ファニス少年ではなく、ファニスの父親でした。
トルコでは「ギリシャ国籍だから出て行け」と言われ、ギリシャでは「トルコに来て何年だ?」と問われ続けた父親。
その表情がなんともツラそうで素晴らしいです。

最終盤は現代に戻ってきて、中年になったファニスと初恋の相手のエピソードが少々。
さしずめ初恋の清算といったところで、特に劇的な結末は無い映画でした。

まあ悪くない映画ですが、私は「ニュー・シネマ・パラダイス」がそもそもそんなに感動しなかったクチなので…(^^;;




【映画】パイレーツ・オブ・カリビアン 呪われた海賊たち



パイレーツ・オブ・カリビアン 呪われた海賊たち
(2003年、アメリカ)

【監督】
ゴア・ヴァービンスキー
【出演】
ジョニー・デップ
オーランド・ブルーム
キーラ・ナイトレイ
ジェフリー・ラッシュ
ジョナサン・プライス
ジャック・デヴェンポート
リー・アレンバーグ
ブライ・クーパー

感想(2012年5月12日、TV録画にて鑑賞)

<パイレーツ・オブ・カリビアン>シリーズの1作目。
実は未だにレビューしてなかったんですこのシリーズ(笑)

元はディズニーランドのアトラクション「カリブの海賊」なんですが、映画ではジョニー・デップ演じるキャプテン・ジャック・スパロウが大当たりし、逆に映画のキャラクターをアトラクションに取り込むことになったとか。



18世紀、カリブ海の港町ポートロイヤルで捕らえられた、船を持たない海賊キャプテン・ジャック・スパロウ。
ジャックはかつて部下に海賊船ブラックパール号を奪われており、その復讐の時を待っていました。

そんな時、復讐の相手キャプテン・バルボッサがブラックパール号に乗って現れ、ポートロイヤル総督の娘エリザベスをさらっていってしまいます。
混乱に乗じて牢から逃げ出したジャックは、エリザベスに想いを寄せる鍛冶屋の青年ウィルと共に、バルボッサを追って旅に出ます…。



まあ説明不要の娯楽映画ですよね。
ドタバタチャンバラとユーモア、むしろユーモア、主人公がユーモア、その存在自体がユーモアな映画です。

ジョニー・デップ演じるジャック・スパロウが魅力的なキャラクターで…。
常に酔っ払っているかのような手ぶりで話し相手を煙に巻き、ピンチの時でも冗談を言い続ける、とにかく頭と口がよく回る男です。
口癖というか決め台詞の「お分かり?」はもちろんお分かりですよね(笑)

また、姑息で悪どい海賊らしい海賊バルボッサや、海賊と対照的に純粋で正しい心を持った若者ウィルもキャラが立っていていいですよ。
そしてキーラ・ナイトレイ演じるエリザベスもヒロインとして申し分なし。
(エリザベスは3作目まで見た後で見ると余計にいいですね)



まあ娯楽作品として一級品なのは記録を残した興収からも分かりますね。

今作では、バルボッサ一味にかけられた呪いの内容が驚きでした。
その呪いを解いてやっつけるというのが物語の展開。
1作目だけでも楽しめる内容になってますし、これで楽しめたなら2作目3作目も絶対楽しめる優良なシリーズです(笑)




【アニメ映画】雲のむこう、約束の場所



雲のむこう、約束の場所(2004年、日本)

【監督】
新海誠
【声の出演】
吉岡秀隆
萩原聖人
南里侑香
石塚運昇
井上和彦
水野理紗
木内秀信

感想(2014年2月18日、DVDにて鑑賞)

新海誠のSF青春アニメーション。
初長編監督作品ですが、短編「ほしのこえ」よりもクオリティが格段に上がっていて、普通に面白かったです。



架空の日本。北海道がユニオン軍に侵攻され本州と津軽海峡を挟んで分断されたというちょっと未来が舞台です。

北海道の地にそびえ立つ、ユニオンが建設した謎の白い塔に憧れを抱く青森の中学生・浩紀と拓也は、いつか自作の飛行機で海峡を横断し、<ユニオンの塔>まで行くことを夢見ていました。
そして、2人が恋心を寄せる少女・佐由理も飛行機作りに興味を持ち、3人はいつか自作の飛行機で佐由理を塔まで連れて行くことを約束します。

しかし、ある日佐由理は突然2人の前から姿を消し、飛行機作りをやめてしまった浩紀は東京の高校へ、拓也は地元の高校へ進学します。
3年後、ユニオンとアメリカの緊張が高まり、開戦が近くなった時、佐由理と塔の秘密が明かされるのですが…。



夢に溢れていた時期の淡い初恋や、自作飛行機といった青春要素…、そして無垢な夢から覚め、現実に苦しむ少年が味わう喪失感…。
そういうのがたっぷりと描かれてる青春アニメです。

2人の男子の声優には、吉岡秀隆と萩原聖人。
特に吉岡秀隆のモノローグが作品の雰囲気を決定してると思います。
<新海節>とでもいうか、かなりセンチな文章で、心情の説明はほとんどモノローグで言ってます。

新海作品これまで見てきて、基本的にモノローグは多いです。
ただ、それ自体が新海誠のカラーであり、長所であるような気がします。
独自の表現方法と言っても過言ではないかも。



あらすじから受ける印象からすると、かなりぶっ飛んでいるSF設定も見所です。
蝦夷の地に建てられた天まで伸びる白い巨塔、その秘密…。

ちょっとぶっ飛びすぎの気もしないでもないですけど(メインは主人公たちの心情描写ですからね)、でも単純に設定だけでワクワクしましたねユニオンの塔。

「蝦夷が飲み込まれていきます!」
サード・インパクトみたいなことになってませんか…。




【映画】THX-1138



THX-1138(1971年、アメリカ)

【監督】
ジョージ・ルーカス
【出演】
ロバート・デュヴァル
マギー・マコーミー
ドナルド・プレザンス
イアン・ウルフ

感想(2013年7月14日、DVDにて鑑賞)

ジョージ・ルーカスの処女作。
1971年の作品ですが、2004年に新作カットや修正で手を加えられたものです。
なのでCGとか普通にありました。

効率を最重視し、人間が徹底的に管理・監視されている地下世界が舞台です。
人は番号で呼ばれ、危険な仕事をシフト制でこなす毎日。
娯楽は無く、当局から支給される精神安定剤で感情を抑え込むことで平静を保っている社会です。

そんな社会からはみ出してしまったTHX-1138が主人公。
ルームメイトのLUH-3417という女性(感情は無いという前提なので恋人でも夫婦でも無い他人同士の男女が同じ部屋で暮らしています)と恋に落ち、薬の服用を止めたTHXは、ある夜、感情のままにLUHと禁じられている肉体関係をもってしまいます。

反体制分子として当局に拘束されたTHXは、自由を求めて地下都市からの脱出を試みますが…。



「効率」というのが一つのテーマになっています。
どこまでも効率を追求していったその先にあるような未来が皮肉を込めて描かれていました。

逃げ出したTHXを捕まえるためにロボット警官を送り込む当局。
しかし、追走劇にもコストがかかるわけで、当局の司令センターで気にしているのは、どれだけの費用が今かかっているのかということ(笑)
THXという人間の価値と、逮捕にかかる費用を天秤にかけているわけです。

そして、これネタバレしちゃいますが、最後には「費用がかかりすぎる」という理由で、THXの逮捕を諦めます。
反体制分子は逮捕しなければならないという「法の正義」よりも、「費用対効果」が優先される社会…。
究極の効率社会っぽくて面白かったです。



スーパーカーで逃げるクライマックスは普通にかっこよかったですし(2004年の修正部分だと思います)、何よりラストシーンが感動的ですね。
ただディストピアから逃げるだけの話なんですが、とてもインパクトのある終わり方になってます。

何よりも、ジョージ・ルーカスって「スターウォーズ」のイメージしかなかったので、こういうちょっと考えさせられるようなSFを若い時に作ってたというのが驚きでした。




【映画】相棒 -劇場版II- 警視庁占拠!特命係の一番長い夜



相棒 -劇場版II-
警視庁占拠!特命係の一番長い夜
(2010年、日本)

【監督】
和泉聖治
【出演】
水谷豊
及川光博
小西真奈美
小澤征悦
宇津井健
國村隼
石倉三郎
葛山信吾
平岳大
品川徹
江波杏子
川原和久
大谷亮介
山中崇史
山西惇
六角精児
神保悟志
小野了
片桐竜次
原田龍二
益戸育江
岸部一徳

感想(2012年5月6日、地上波にて鑑賞)

官房長ォォォォォォォッ!!!!

水谷豊主演の人気刑事ドラマの劇場版第2弾。
警視庁本部で起こった人質籠城事件を発端として、警察内部の腐敗や社会の矛盾を、特命係の杉下右京と神戸尊のコンビが暴くという内容。
「特命係の一番長い夜」というタイトルが一番長いんじゃないかと…(笑)



最初に叫んでしまいましたが、岸部一徳演じる官房長の最期を右京さんの叫びで共有するというのがツイッターの行事になってる映画(笑)
私も当時ツイートしてましたね。こういうのは地上波放送をリアルタイムで見てないと参加できません。

さて、内容の方ですが、すっかり忘れてしまいましたー(笑)
小澤征悦が警視庁幹部を人質に立て籠もるという序盤の内容。
意外とあっさり立て籠もり事件は解決するのですが、その解決に疑問を持った右京たち特命係が捜査を開始。
やがて警察上層部の腐敗にたどり着くという硬派な展開です。

同じ劇場版なら、マラソン大会での爆破テロを扱った1作目よりも<相棒>シリーズらしい内容でしたし、単純に面白さでも上回っていたと思います。

ただ、ドラマでずっと名脇役として登場していた官房長が、劇場版で引退してしまうというのはどうなんでしょうね?
(映画を観に行かないウチの親父がボヤいてました笑)

昔はTVシリーズの内容に差し障りの無い範囲で劇場版を作るのが暗黙の了解だと思っていたんですが。
アニメとかね。ドラゴンボールとか、TVシリーズの進行と関係ない所で地球救ってたじゃないですか。まあ、アニメの話ですが。

結局、「劇場版」といえども1年経てば地上波で流されますしね……。
むしろ最近はTVで流すことを目的としてドラマの劇場版作ってるんじゃないかという疑念も。
(すいません、相棒の話から逸れました…)




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