感動器官

笑い、涙、鳥肌、私たちの感動を現出させる器官。

2013年10月

エネミー・オブ・アメリカ

エネミー・オブ・アメリカ (1998年、アメリカ)

【監督】
トニー・スコット
【出演】
ウィル・スミス (ロバート・クレイトン・ディーン)
ジーン・ハックマン (ブリル)
ジョン・ヴォイト (トーマス・ブライアン・レイノルズ)
リサ・ボネー
レジーナ・キング
スチュアート・ウィルソン
ガブリエル・バーン
トム・サイズモア
バリー・ペッパー
イアン・ハート
ジェイク・ビジー
スコット・カーン
ジャック・ブラック

あらすじ

ディーンは腕のいい弁護士。妻子とともに幸福な人生を歩んでいたが、ある日謎のビデオテープを受け取ったために国家安全保障局(NSA)から追われることに…。テープの中身には、NSAに出向中の行政官レイノルズが対立する下院議員を謀殺している様子が映っていたのだ。巨大な管理システムを持つNSAにプライバシーを暴かれ、失職にまで追いつめられたディーンは、元NSAで情報屋のブリルに助けを求めるが…。

感想 (2013年5月15日、地上波にて鑑賞)

なんの罪もない一市民が、ある日突然国家機関から狙われ、監視システムや情報操作によって追い詰められていく、というサスペンス。
明日はあなたの身に起こるかもしれない…、もう既に私たちのプライバシーは政府に監視されているのかもしれない…、そんなことを言いたそうな感じですね(笑)

展開に勢いがありますし、決着も痛快で、まあ普通に面白かったと思います。
なので、今回はツッコミ所を挙げておきますね(笑)


まず、監視カメラはそんなに優秀じゃない。

ディーンが妻への贈り物を買いにとあるランジェリーショップへと入るのですが、なんとそのショップ店員が下着姿で接客!…ではなくてですね、その様子をNSAが店内の監視カメラでチェックするんですが、1台のカメラに写った映像を立体化し、カメラから死角にあるディーンの手荷物をチェックするんですよ…(笑)

で、「よしアイツがブツを持ってる、捕まえろ!」となるわけですが、まずそんな芸当は店内に何台もカメラ仕掛けて死角を無くさなきゃできないし、そもそも「仮想映像出せるか?」とか言ってる時点でそれ仮想なんじゃん想像なんじゃん立証できねえじゃん、というね(笑)

「最新の監視システム風」なのを描こうとして逆に嘘っぱちでやってることが露呈してしまいましたね。


あと、ウィル・スミスはせっかく弁護士というインテリな役で登場したのに、基本的にいつものウィル・スミスがいつものように走り回ってるようにしか見えないのが残念。
口達者な面がクライマックスで役立ちましたが、それ以外は普通のウィル・スミスで、特に弁護士という肩書きもいらなかったような気がしますね。
それとも、弁護士という社会的地位の高い職業の男が政府の陰謀によって簡単に立場を失ってしまうのが面白いのか。

でも、奥さんに尻に敷かれまくりだったり、弁護士っぽさまったく感じなかったんですよね。
さらにラストで唐突に下ネタ繰り出すのやめてほしい…もう台無し(笑)


ちなみに監督の故トニー・スコットは「トップガン」の監督で、近年は「デジャヴ」「サブウェイ123 激突」「アンストッパブル」などを撮ってます。
勢いのある作風ですね。いろいろツッコミ所あっても全部吹っ飛ばすような勢いがあります。

【アニメ】ガリレイドンナ 第二話

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ガリレイドンナ
第二話「メシェ」

感想

ガリドン第2話。
まあ1話が猛烈に突っ走ってたので、2話はその回収的な回になるんだろうなと思っていたら、これはこれで回収もそこそこに突っ走っておりました……。


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↑娘の科学力に突然食いついた技術者の母w
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↑神月の「キモい」発言でちょっとモメます。
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↓そういえばこの金魚(リアルの方の金魚)どうなった?
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実はとっくの昔にフェラーリ一家は四面楚歌だったことが発覚。
前回の空賊は撃退したものの、警察によって身柄を拘束されてしまった一家。
ほっちーこと星月はアンナ・ヘンドリックスの導きで難を逃れます。

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ガリレオマニアを自称するアンナは、ガリレオが描き残した6枚の月のスケッチの他に、まだ知られていない7枚目の月のスケッチがあると言い、ガリレオの発明は誰かが独り占めしてはいけない、と星月に協力を申し出ます。
星月は勇気を出して、家族が囚われている警察へ乗り込むことを決意しますが…。


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↑謎の折り鶴男が登場。
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↑「最近巷ではこんなセリフが流行っているらしいねえ。私も使ってみようかな」いやらしいw
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↑「飴ある?」「ない」のやりとりは後で活きてきます。
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↑「その銃、ちっちゃすぎw」という謎の言葉w
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なんか来たー!?
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大胆にもパワードスーツを装着して警察に乗り込んで来た星月。
パワードスーツはまたも金魚がモチーフ。なんか、可愛いような気持ち悪いような…。夜道で会ったら絶対逃げますね。
てか、歩く金魚って金魚なのか…(笑)

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↑走ってます!こいつ走ってますよ!
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↓「ほっちー!?」そりゃ驚くわ…視聴者もビックリですもの…。
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応戦する警官隊の銃撃がハンパない。笑えるくらい撃ってる。
でも銃撃するしか能がないとかどうなのよ…。
空賊がいる時代なんだからバズーカの一本もあっていいようなものの…。

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とにかく、拘置所から父と姉二人を救出した星月。
しかし、既に母シルヴィアは会社の所長の手によって釈放されていました。
そして、父・夏至生も娘三人を逃がすためにパワードスーツを着込み、敢然と警官隊に立ち向かっていきます。
(夏至生の活躍がこれで終わりじゃないことを祈ります)

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↑「わいや!」とか言ったとか言わなかったとか(笑)
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↑そうそう!そういうの待ってた、ってお前が撃つんかーい!
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↑次女・神月にも見せ場が…!


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↑このシーン、葉月に取られないうちに星月に飴を渡す神月。妹想いだな~。もしかして序盤の「キモい」発言の謝罪の意味も込めて?そして神月の中の葉月ってそんな食いしん坊キャラかw
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ガリレオ号(金魚型の飛行艇)に乗った三姉妹は、アンナと共にガリレオの遺産を探す旅に出た…ような雰囲気でしたが…。


まとめると、ガリレオの遺産を狙う勢力は二つ。
前回登場のシシーニョ率いる空賊と、警察を利用するマテラッツィ親子。
あと、アンナ・ヘンドリックスも遺産目当てで星月に接触してきたわけで、まだ完全に信用できるわけじゃない。でも前回葉月を助けてるので空賊やマテラッツィのスパイではなさそう。

まあ、普通に今後の展開に期待ですが、取り敢えずシルヴィーお母さんの生死と夏至生の安否と、飼ってた金魚がどうなっちゃったのか非常に気になります。

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【アニメ】魔法少女まどか☆マギカ

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魔法少女まどか☆マギカ

【監督】
新房昭之
【声の出演】
悠木碧 (鹿目まどか)
斎藤千和 (暁美ほむら)
喜多村英梨 (美樹さやか)
水橋かおり (巴マミ)
野中藍 (佐倉杏子)
加藤英美里 (キュゥべえ)
新谷良子 (志筑仁美)
後藤邑子 (鹿目詢子)
岩男潤子 (早乙女和子)

あらすじ

温かな家族や親友の美樹さやかに囲まれて、平穏な日々を送る中学生の鹿目まどか。ある日彼女のクラスに転校してきた暁美ほむらは、まどかがとある晩に見た奇妙な夢の中で出会った少女だった。ほむらから謎の問いを投げかけられ困惑するまどか。そんなある日、ほむらが奇妙な生物<キュゥべえ>を襲う現場に出くわしたまどかは、ほむらを止めようとするうちに異様な空間へと迷い込んでしまう。その時、まどかの前に<魔法少女>を名乗る巴マミが現れるが……。

感想

ゆけちが「まどマギ」好きなのはこのブログをよく見る人ならお分かりでしょうが、そうです、好きです!
今日、2013年10月26日は新作映画である「[新編]叛逆の物語」の公開ということで、この1ヶ月くらいは、TVシリーズのDVDをチェックして待機してました。そうです、全裸待機です!

実は、まどマギは1年ほど前の劇場版[前編][後編]が初めてで、2011年に放送されたTV版は未見だったんですよね。
新作映画を劇場で観るにあたって復習をするならどうせなら見てないTV版にしようということです。

ただこれ、既に[前編][後編]でだいたいのことは記事にしてしまったし、何を書こうか非常に悩むところです。
ただ「神アニメ!神アニメ!」って連呼しても伝わりませんよね?(笑)
さらにキャプ画を漁っていたら「あぁんっ……これもカワィィ……こっちもステキ……///」と、収集がつかなくなってしまいまして、そんなわけで、こんな新作公開直後の更新となってしまいました。

とりあえずいくつかの項目ごとに分けて書いていきますね。

※以下、激しくネタバレになりますので未見の方はご注意ください。
※つーか、未見の方はこんな駄文読むより「まどマギ」見た方が楽しいです。


■視聴者を騙す構成

キュゥべえに騙されて魔法少女になってしまった少女たちの苦悩を描いているこの物語。
でも、騙されたのは少女たちだけじゃないんです。
僕ら視聴者も騙されたんです!

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TV版の1・2話というのは、ちょっとイミフすぎる転校生(ほむほむ)が不穏な空気をまき散らしてはいますが、基本的に普通の魔法少女物語として楽しめます。
魔女の結界の映像がかなりキテいてコワイですが、それでもマミさんという先輩魔法少女のキラキラした戦いを見せつけられ、そこには魔法少女の伝統みたいなものも見て取ることができますね。
まどかとさやかも「自分も魔法少女になれる」というキラキラした未来を提示されて舞い上がるわけです。

しかし第3話……、マミさんがマミるんですね!(笑)←いや、(笑)じゃないけどね。
第2話まで続いたキラキラした魔法少女物語、女の子なら誰でも一度は憧れるようなキラキラした魔法少女像が、あまりにあっさりと絶望へと一転してしまいます。
そこにあったのは、血みどろの現実だったわけです。
この第3話の出来事を境に、まどかの魔法少女への憧れはまったくなくなります。

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この1話2話とわりと明るく描いておいて、3話で奈落へ突き落とすという構成……。
TV版を見ることで、最初から仕組まれた(笑)ことだったとハッキリ分かりました。
1,2話のエンディング曲はほのぼのしたキャラクターソングなのですが、3話の終盤の展開を経て流れだしたED曲はKalafinaの「Magia」!
一気にダーク・ファンタジーへと変貌を遂げるこのED変更!これは確信犯にして完全犯罪、鳥肌モノ!

ちなみに劇場版[前編]では、総集編的な内容であることから当然1話2話のEDもないため、そんなに騙されたという感じはしないんですよ。
マミさんがマミるシーンまでの時間もあまりなくて、序盤でマミってた気がするし。
もちろんマミることを知った上で見ているのですが……。
それでもやはりTV版第3話の展開とED変更にはやられました。


■少女たちの等身大の感情

魔法少女という題材ながら、少女たちのリアルな感情を描いた、とされる「まどマギ」。
ではその「少女たちの等身大の感情」とは?

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まどかについては、そのリアルな感情が第4話で露呈します。
マミさんの顛末を目の当たりにして、マミさんのようにはなりたくないと思うまどか。
しかし、それはつい先日まで魔法少女のマミさんに憧れていた感情とはまったく正反対で……。
まどかは、自分はなんて臆病なんだと、自分を卑下して泣きます。

しかし、残念ながらそれは紛れもない事実であり、なかったことには到底できない。
まどかとさやかは、マミさんに見せられた非日常的な世界をなかったものとして忘れることはできず、逆に今までの日常こそが異質なものに感じる。
「知ってしまった」からには知らなかった頃には戻れないんですね。

これはそのまま思春期の少年少女の性的成長にも当てはまるのかと。
例えば、誰しも、セックスで何をするかを初めて知った時には衝撃を受けると思うんですが、それが少年少女たちにとって嫌悪したいものであったとしても、「知ってしまった」からには知らなかった頃にはやはり戻れません。
「まどマギ」が描いているのは、幻想と現実のギャップであり、それは現実に生きる僕らもしばしば体験するものなんですよね。


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そんな中で、好きな男子がヴァイオリンを弾く姿をもう一度見たいという祈りを捧げ魔法少女になった美樹さやか。
彼女の動機はとてもピュアなものに思えますね。
いや、まどかだってピュアだからこそ、魔法少女になる勇気がない自分が巴マミを裏切っていると感じてその罪悪感と無力感に悩んでいるわけですが。

しかし、さやかの場合はそのピュアな願いが叶えられても、それが自分の欲望を巧妙に隠した他人に対する願いだったために、思わぬ方向へと事態が動き、自分の欲望は満たされませんでした。
その時、さやかは想い人を奪った友人の命を救ったことを後悔し、そんな自分の愚かさに気付いて自分を責めます。

さやかはちょっと強がりな所があって、絶対に後悔しないと口にしますが、しかしそんな彼女に立て続けに訪れる不幸。
恋敵となった志筑仁美の存在、ソウルジェムに隠された秘密……それが負い目となってけして想い人とは結ばれないと気付いてしまいます。

一人の少女が背負うにはあまりにも大きな精神の動揺……。
そんな状態でも頑なに良き魔法少女であろうとするさやかは黒い感情に精神を蝕まれていきます。
おそらく、自らに清廉さを強いるほど、醜い本心との闘いが苦しみを生むんじゃないかと。

第7話ラストの、さやかが投げやりに魔女と戦うシーンが個人的に大好きです。
笑いながら魔女を惨殺する壊れちゃった演出なんですけど、影絵のような演出にすることで、ファンタジーさを際立たせつつ狂った少女の怖さも描いていますね。
これは「まどマギ」じゃないとできない演出だったと思います。

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さやかと対照的に、うまく割りきって生きているのが佐倉杏子。
何かとツーショットで描かれることが多いさやかと杏子ですが、やはり7話で決別したように本来は相容れない部分がある二人。

第9話で杏子がさやかのために命を賭して戦いますが、あれは杏子の側が一方的にさやかをほっとけなかっただけでね。
だから助っ人としてまどかを必要としたわけですし。
杏子の想いはいつもその本人には届かないのか……。(父親に魔女言われるし……)

ただ、僕自身、ちょっと杏子のことはまだよく分からないですね。
もともと嫌いではないし(つーかまどマギに嫌いなキャラいませんし)、初見の時よりも好きになったと思いますが、まだその存在に夢中になるほどではないですかね。
いや第9話は良かったんですけど、その直後の第10話のほむほむがあるからね……。

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■鳥肌回は第10話

劇場版でもそうでしたけど、第10話が個人的に一番盛り上がった回でした。
暁美ほむらの過去……ではなく……いくつもの平行世界を渡り歩いたほむらの記憶が描かれる第10話。
うん、あれは過去じゃないんですよね。まあ、ほむらにとっては体験してきた過去だけど、過去と言ってしまうとややこしいことになりそうな気がします(笑)

「まどマギ」はその謎が衝撃と共に解けていく作品なんですけど、けっこうセリフで説明してしまうことが多いんですよね。
しかも「VSキュゥべえ」という構図で。キュゥべえの長い説明セリフで語られる真実……みたいな。第11話とかそうですよね。
もちろん、それでキュゥべえという単なるマスコットではない異質な存在を描写する意味もあるんでしょうけど。

ところが、第10話はほむらの視点で描かれ、キュゥべえの長ったらしい説明はないんですよ。
何故なら、キュゥべえも知らない範囲の話だから。
けっこうパッパッっと場面が変わるんですが、そのテンポが心地よくて。

で、もちろん「まどマギ」最大の秘密がマルっとズバッとお見通しだ!になるというね。
しかもよく見ると段階を踏んできちんと描かれてることに感動。

(以下、1行ずつ違う平行世界)
病弱な少女ほむらと魔法少女まどかの出会い、ワルプルギスの夜に破れたまどかのために魔法少女になることを決意するほむら。
魔法少女として出会ったほむらとまどか、しかしワルプルギスの夜に破れ魔女へと変貌するまどか。
キュゥべえに騙されていると他の魔法少女に説くも信じてもらえないほむら、そしてやはりワルプルギスの夜に破れ瀕死のまどかはほむらに過去の自分を託し、魔女にはなりたくないと懇願する。
まどかが魔法少女にならないようにするほむら、一人でワルプルギスの夜に挑むがその姿を見守るまどかにキュゥべえが囁く、「君なら運命を変えられる」そしてまどかは最強の魔法少女となり、そして最強の魔女になる。

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これだけの展開を1話24分にまとめたというのがすごいし、前述のとおりキュゥべえによる長い説明も一切なし。
状況だけを見せられて、それでも「ふあああああッ!?そういうことだったのか!」となるから面白いです。

特に、最後の行のほむらが戦う横でのキュゥべえの「営業」はバックにMagiaが流れていることもあって鳥肌モノです。
ほむ「まどか、そいつの言葉に、耳を貸しちゃダメぇ!!」
QB「……君なら運命を変えられる。避けようのない滅びも、嘆きも、全て君が覆せばいい」
まどか「私なんかでも、本当に何かできるの?こんな結末を変えられるの?」
QB「もちろんさ。だから、僕と契約して、魔法少女になってよ!」
ほむ「ダメぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!」

……これはほむほむがキュゥべえ殺そうとするはずですよ(笑)
(ちなみにこのシーンは第1話のアバンタイトルとリンクしていて、ほむら視点から描いたようになってます)


ちなみに、最初から魔法少女になってる、気弱じゃないオドオドしてないちょっと調子に乗ってるまどかが見られる回でもありますね。
「クラスのみんなには、内緒だよっ」とかまどかカワイイ……///

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ってか、まどかがオドオドしてるのって第3話以降の展開のせいもあるけど、ほむらが魔法少女になる時に「彼女に守られる私じゃなくて、彼女を守る私になりたい」と願ったからじゃないかな、なんて風にも思ってみたり。
長い千日手を経て、たしかにほむらはまどかを守る存在になったし、まどかは知らずにほむらに守られる存在になりましたよね。

そしてさらにその関係性が第12話で覆されるというね……(笑)


■マミさんの精神的弱さ

今回、再度このアニメを見て感じたんですけど、マミさんってちょっと精神的に弱いよね……。
第3話でマミる直前にまどかに秘めた思いを吐露するシーンがありますが、その言葉からは孤独な戦いを心の奥で恐れていたことが分かりますね。
憧れの魔法少女も、人並み以上に苦しんで戦っているんだ……それ自体は別にいいと思うんですが、前述の第10話でほむほむが辿った平行世界の中に、ちょっと看過できないマミさんがいたので報告しておきます(笑)

「ソウルジェムが魔女を産むなら、みんな死ぬしかないじゃない!」
……と言って杏子のソウルジェムを撃ち抜き、ほむらに銃口を向けるマミさん。
この時の表情がもう魔法少女モノじゃないよこれ……。
さらにそれをまどかが射抜くという恐ろしい展開なんですよ、なにこの病み展開……。

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平行世界の一つでの出来事とはいえ、基本的に平行世界間での人物の性格には大きな差異はないはずなんですよね。
(もし世界を繰り返す度に性格に大きな変化が生まれるなら、ほむらがずっとまどかを想って行動することも困難になるはず)
マミさんってああいう心の脆さを潜在的に抱えた人物なんですよ。少なくともほむらはその可能性を知っていた。

だから、遡って考えるとまだマミる前のマミさんとほむらの関係もけして良好とはいえないんですよね。
ほむらにとっては、巴マミは運命を変えることができない人物として映ってたんじゃないでしょうか?
まだ、さやかについては魔法少女にならないように気にしてたようなセリフがありますけどね。

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で、ほむらがワルプルギスの夜を撃退するという名目上の目的とはいえ、一時的に手を組もうとしたのが杏子。
割り切った生き方をしている杏子の方が、キラキラした表面の下にドロドロしたものを抱えているマミさんよりも信頼できたのかもしれませんね。
(ただ単に、この時マミさんが既にいなかったからだけではないのかもね)

で、まあ精神的に脆いということが分かったマミさんですが、僕の中でその魅力が半減するようなことはまったくなくて。
むしろその脆さこそ魅力であり、「まどマギ」なんですよ。これは少女たちが苦しむ姿を楽しむアニメですからねー(笑)すいませんヘンタイで。


■母親像

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まどかの母親、鹿目詢子。
劇場版でもあまりカットされてなかったと思うのでけっこう重要なキャラなんですよ。
ただ、どういう扱いのキャラなのかいまいち掴みきれてない存在でもあります。

第1話2話あたりでは、まどかが憧れる尊敬の対象であり、悩める娘まどかを導く存在でもあります。
しかし、事態が深刻化してからは、まどかから母親に悩みを打ち明けるという機会がなくなっていき、6話でさやかについて相談した後はクライマックスまで絡みはないんですよね。
詢子はまどかの異変に気づきながらも何もしてやれないという状態に……。

でも、クライマックス直前の第11話ではまどかの担任で古くからの友人である早乙女先生とバーで弱い姿を見せるとか、けっこう描かれてるんですよね、詢子。
ちなみに父親の方はもう見事なまでに存在感がないですね!(笑)

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やっぱり、成長途中の弱くて自信のないまどかとの対比で完璧な女性(完璧な母親とはちと違う)として詢子を描き、第11話でその詢子の庇護から厳しい現実へと飛び出したまどかを描いたということでしょうかね?

個人的には避難所から出て行くまどかを呼び止めた詢子が、結局はまどかに説得され暴風雨の中へ娘を送り出してしまう心境がちょっと分かりませんでした。
あそこはちょっとアニメっぽい展開でしたね。逆にそこまで押しきれるほどまどかの目に力が宿っていたということかな?

第12話では改変後の世界で登場します。
まどかという人間が人々の記憶や歴史から消え去った世界で、かつて自分が選んだまどかのリボンに興味を示すんですが、なんかボンヤリ切ないですこのシーン。
ここの切なさを強調するためにも詢子はちょくちょく出てくる必要があったのかも。
しかし、完璧な女です、詢子。(完璧な母親とは違います念のため)


■キュゥべえの魅力

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黒幕とされるキュゥべえですが、魔法少女たちと比べてけして見劣りしない魅力を持ったキャラクターです。
少女たちとはまた別次元の魅力を備えていて、それがセリフの端々に現れています。

一番鳥肌立ったセリフが、
「この国では、成長途中の女性のことを、少女って呼ぶんだろう?だったら、やがて魔女になる君たちのことは、魔法少女と呼ぶべきだよね」
……という第8話ラストのセリフ。
ここでグググ~っとキュゥべえにズームアップしていくんですが、この時のこの生き物の恐ろしさといったら……(笑)
劇場版[前編]はこのシーンで終わるんですが、当時も、今見てもやはり鳥肌モノですね。

先に「視聴者を騙す構成」と書きましたが、これも見る側が騙されていたことが発覚するセリフなんですよね。
見る側の「魔法少女もの」に対する固定観念を逆手に取ったセリフ。
「魔法少女は悪と戦うものだ」という思い込みを利用した叙述トリックでもあると思います。

また、キュゥべえそのものもマスコット的な風貌とは相容れない、冷徹な精神を備えていて、それもまた視聴者を騙す要素でした。
「魔法少女の傍らには彼女を手助けするマスコットがいるはずだ」という思い込みを利用しています。これはアニメという手法を用いた叙述トリックの一種かと。

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とにかく、キュゥべえという存在が「まどマギ」の見た目と内容のギャップを体現しているんですね。
魔法少女たちは幻想と現実のギャップに苦しみますが、彼女たちに幻想を見せ、逃れられない現実へと導くのがキュゥべえの役目。
そういう意味では本当にインキュベーターこそ黒幕なのですが、彼らに魅力を感じるのはその言葉が逐一正論だからなのかもしれません。

そして[前編]のレビュー記事でもちょっと書きましたけど、キュゥべえが語る残酷な現実は、ある意味で僕らが生きる現実と変わらないわけで。
僕らが毎日触れているのは幻想なのか現実なのか?
たぶん僕らは過酷な現実をオブラートに包むことで幻想に変えてしまっているのかもしれません。あるいは、最初から現実を見ずに幻想ばかり見ている僕のような人も少なくないでしょう(笑)←(笑)じゃないけどね。

キュゥべえの言葉が少女たちの胸に厳しさを伴って響くのは、僕らも彼女らのように幻想の中に生きている/生きようとしている、からではないのでしょうか?
インキュベーターの言葉は、逃れようのない現実を僕らに思い出させる、そんな厳しさを持っているように思います。

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■まとまらないですが、とにかく

このレビュー記事は完全に失敗です(笑)項目別に書けば楽かな?と思ってやってみたら、かえって項目ごとにボリュームが出てしまって長くなってしまいました。
しかし、[前編][後編]のレビュー記事もけっこう書いたつもりだったのに、まだこれだけのことが書けるなんて、エヴァよりもハマってるってことなのか……?今回の記事で書かなかったこともいろいろありますし。

まあ、とにかく来週あたり[新編]観に行ってきます!
なので再来週あたり、また長文書くと思いますよろしく~!


(以下、僕の過去ツイートから引用)
「まどマギってなんだろう一言で言い表せないけど。
でも見る前と見た後で絶対イメージ覆ると思う。
こんなアニメだろうな~って思ってるのとは全然ちがうものが見れる。
そういうギャップを狙って作ってる節もあるし。」
(2013年10月13日02時08分06秒)

↑でも上のツイートはまどマギ見てない人向けのツイートで、ネタバレ記事のこんな下の方に載っけても誰も見んだろうし、もし見てない人でここまで読んじゃった人にはなんか申し訳ない(笑)



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【映画】ハイジ

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ハイジ (2005年、イギリス)

【監督】
ポール・マーカス
【出演】
エマ・ボルジャー (ハイジ)
マックス・フォン・シドー (アルムおんじ)
ジェラルディン・チャップリン (ロッテンマイヤー夫人)
ダイアナ・リグ (ゼーゼマン夫人)
ポーリン・マクリン (デーテ叔母さん)
サミュエル・フレンド (ペーター)
ジェシカ・クラリッジ (クララ)

あらすじ

両親を亡くし、母の妹であるデーテ叔母さんに育てられていた少女ハイジは、アルプスの人里離れた山小屋で1人で暮らす父方の祖父アルムおんじに預けられる。偏屈で人間嫌いのアルムおんじについて麓の村人たちの間では良くない噂が囁かれていたが、素直で心優しいハイジはアルムおんじに次第に懐いていき、アルムおんじもハイジに心を開いていくのだった。そんなある日、デーテ叔母さんが山小屋にやってきて、ハイジを無理矢理フランクフルトへと連れて行く。ハイジが連れて行かれたのは、裕福なゼーゼマン家。ハイジはこの家の娘で足の不自由な少女クララの遊び相手として、ゼーゼマンの屋敷で暮らし始めるが……。

感想 (2013年5月12日、TV録画にて鑑賞)

ヨハンナ・シュピリによるスイスの児童文学「アルプスの少女ハイジ」の実写映画。
日本ではアニメ「アルプスの少女ハイジ」を思い浮かべる人が大半だと思いますが(僕もそうです)、そのアニメの実写化ではなく、厳密には原作のスイスの児童文学の実写化映画ということになります。

今回調べてみて初めて知ったんですが、この「アルプスの少女ハイジ」という題材は、テレビドラマも含めるとかなりの回数、実写映像化されてるんですね。
で、この記事で紹介するのはその中で一番新しい作品(と思われます)、2005年のイギリス映画「ハイジ」です。
たまたまローカルの深夜映画でやってたのでね、見てみました。


まあ、僕はアニメの「アルプスの少女ハイジ」も知らないので、当然原作の児童文学も読んだことないし、この映画の出来についてはなんとも言えないのですが、児童向けの文学作品を原作とした映画としてそれなりの出来だったんじゃないでしょうか?
特に面白かったり、特に楽しかったり、ということはなく、じゃあお子様が見たら楽しめるのかというと別にそんなこともなく……。
例えば、「おしん」という作品の、辛い体験や不幸な生い立ちを極力マイルドにしたらこの「ハイジ」になるんじゃないかという……。なに言ってるかわからねえと思うが(笑)

ぶっちゃけ見どころはアルプスの暮らしではなく、ハイジがアルムおんじと引き離されて連れて行かれた都会のゼーゼマン家での暮らしの方ですね。
その家の一切を取り仕切る執事ロッテンマイヤー夫人にとっては、大切なクララお嬢様の遊び相手とはいえ、礼儀作法を知らないハイジは迷惑な居候です。
厳格で口うるさいロッテンマイヤーさんと、自由で無知なハイジとの闘いが繰り広げられます。

ちなみにロッテンマイヤーさんを演じたのは、ジェラルディン・チャップリン。
「永遠のこどもたち」で不気味な老婆を演じた女優で、唯一この映画で顔を知ってるキャストでした。
(喜劇王チャップリンの娘さんです)


物語の半分くらいはゼーゼマン家が舞台なのですが、終盤思い出したようにハイジはアルムおんじの下へ帰ります。
帰った理由が「ホームシックにかかったから」というなんとも平和な理由(笑)
またアルムおんじとの暮らしが始まり、そこへクララが静養にやってくるという展開。

そして……いや、みなまで言いますまい。


結局、何かメッセージがあるわけでもない(少なくとも僕には分からないw)、平坦なストーリーでした。
まあ小さい子が登場するのでほっこりすることはします。




ギャラクシー・クエスト


ギャラクシー・クエスト (1999年、アメリカ)

【監督】
ディーン・パリソット
【出演】
ティム・アレン
シガニー・ウィーヴァー
アラン・リックマン
トニー・シャローブ
サム・ロックウェル
ダリル・ミッチェル
エンリコ・コラントーニ

あらすじ

かつて一世を風靡した人気TVシリーズ「ギャラクシー・クエスト」。放送終了から20年経ってもその人気は衰えず、「ギャラクシー・クエスト」以降あまりパッとしないキャストたちは、サイン会やファンイベントを糧に俳優生活を続けていた。そんなある日、主役のタガート艦長を演じるジェイソンは、イベント会場で宇宙人のコスプレをした4人組と出会う。彼らの話をプロモーターの出演依頼と勘違いしたジェイソンは彼らについて行くが、目が覚めたジェイソンがいたのは地球から遠く離れた宇宙空間に浮かぶ、「ギャラクシー・クエスト」そっくりの宇宙船だった…。

感想 (2013年5月9日、DVDにて鑑賞)

SFパロディ映画ですね。
けっこう面白いんですが、パロディの元ネタとしている作品はあの「スター・トレック」なので、当然スタトレ知ってる方が楽しめますよね。
(ゆけちはスタトレ見たことなし!残念!)

「ギャラクシー・クエスト」というのはこの映画の中に出てくる架空のTVドラマ。
まさしく「スター・トレック」のような内容で、主人公のタガート艦長が宇宙の悪と戦うスペース・オペラだそうです。

その人気は今も衰えず、俳優としてのキャリアはパッとしないタガート艦長役のジェイソンも、そのおかげでメシが食えるという状況。
しかし、熱狂的なギャラクシー・クエスト信者<クエスタリアン>たちの質問責めや電波な話の相手をするのはウンザリといった様子。
そしてそれは他のキャストも似たような状況で、5人のレギュラー陣の仲もあまり良くはありませんでした。


そんなある日、ファンイベントでジェイソンの前に怪しい4人組が現れます。
最初はただの狂信的なファンと思ったジェイソンですが、その話を聞くうちに、「これはもしかして俺にまたTVに出て活躍してほしいという、出演依頼なんじゃないか?」と誤解。

実はその4人組は本物の宇宙人サーミアンで、彼らは悪の宇宙人サリスとの戦いに勝利するため、伝説の英雄であるタガート艦長をスカウトしに来たのでした。

なんで、そんなことになったのかというと、「嘘」や「フィクション」という概念がないサーミアン人は、地球のテレビ番組「ギャラクシー・クエスト」を遠く離れた宇宙で受信し、その全てが現実だと理解してしまったのです。
そこで彼らは「ギャラクシー・クエスト」に登場する宇宙船プロテクター号を建造し、その艦長として、軍神・タガート艦長を迎え入れたのです。

ジェイソンがそのことに気付いたのは、既に他のレギュラー陣を宇宙船に連れて来たあと。
凶悪なサリス星人との命懸けの戦いに、売れない俳優たちが巻き込まれていきます。

ヒーローを演じた俳優が本物のヒーローと誤解される、というアイディアが面白いですし、バラバラだった仲間たちが団結していくとか、身勝手だった主人公に心境の変化が訪れるとか、王道の展開が楽しめます。

「ハリー・ポッター」シリーズのスネイプ先生役で知られるアラン・リックマンのトカゲヘッドは必見ですし、20年経った今も胸元を開けてないといけない女性乗組員役のシガニー・ウィーヴァーは、ただ言葉を繰り返す、というどうでもいい職務に徹してて面白いし。
あとまあ、気弱で善人で純真なサーミアン星人が憎めないですね。


全体的に気楽に見れるコメディ映画ですけど、まあふざけながらもそれなりにドタバタアクションありますし、シリアスな展開もあります。
特に、ジェイソンがサーミアンのリーダーに「ギャラクシー・クエスト」は嘘なんだということを伝えるシーン、その時のリーダーの表情がなんともいえない切なさなんですよ。

でもやっぱりこれはスタトレ知ってる人の方が楽しめるんだろうなあ…。
それだけがちょっと残念です(´・ω・`)

ちなみに「ギャラクシー・クエスト」の合言葉は、

ネバーサレンダー、
ネバーギブアップ!


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【映画】カプリコン・1



カプリコン・1 (1977年、アメリカ/イギリス)

【監督】
ピーター・ハイアムズ
【出演】
エリオット・グールド (コールフィールド)
ジェームズ・ブローリン (ブルーベーカー)
ブレンダ・ヴァッカロ (ブルーベーカー夫人)
サム・ウォーターストン (ウィリス)
O・J・シンプソン (ウォーカー)
ハル・ホルブルック (ケラウェイ所長)
テリー・サヴァラス
カレン・ブラック

あらすじ

人類史上初の有人火星宇宙船<カプリコン・1>の打ち上げが5分後に迫る中、ブルーベーカー、ウィリス、ウォーカーの3人の宇宙飛行士たちは突然カプリコン・1の機内から連れだされ、人々が何も知らずに見守る中、無人のロケットが打ち上げられた。砂漠の格納庫に監禁された3人はケラウェイ所長から衝撃の内容を聞かされる。火星への旅は計算ミスが発覚し不可能なことが分かったが、国の威信のために計画は続行し、3人は火星に行ったことにすると言うのだが…。

感想 (2013年5月6日、DVDにて鑑賞)

SF映画の傑作として知られる「カプリコン・1」。
当然レンタル店でもSFの棚に置いてありますが、内容は一級のサスペンスドラマです。

人類初の有人火星探査という未だ人類が到達してない事業を描いてる点がサイエンス・フィクションと呼べるのだとか。
個人的には少し無理があると思いますけどね。作った側はSFを作ろうとして作ったんでしょうか?
初めから、NASAと米政府を巻き込んだ陰謀劇、つまりサスペンスを描こうとしてたようにしか思えませんけど…。

それに昨今では現実の月面着陸も偽装だったのではないかという都市伝説も囁かれてますよね。
そんなことからも、SFという空想上の話ではなく、とても現実的なサスペンスドラマだと思いました。
現実に火星への有人探査計画が実現した暁には、この作品はサスペンス/ミステリーの棚へと移動になるのでしょうか?


なんで、こんなジャンル分けという細かいことにこだわっているかというと、SF映画とされることでこの映画を敬遠してる人も中にはいるんじゃないかと思ったからです。(←余計なお世話w)

僕はSFが好きだからこそ思うんですが、SFってまだ市民権を得ていない面も少なからずあると思うんですよ。
TVドラマとか見ててもSF作品は圧倒的に少ないですよね。
一般の人たちはわりと、犯人は誰か、捕まるか捕まらないか、そんなので満足してらっしゃるんですよ。

で、まあそんな状況の中でこの映画をオススメするならむしろSFという言葉を取り去ってしまった方がいいんじゃないかと。
少なくとも他の名作SFとはまったく違った楽しみ方になるはずです。

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前フリが長くなってしまいましたが、ま、まあとにかく見てくださいって感じですね。

早い話が、火星には行ってないけど行ったことにしちゃえ、という大ウソをでっち上げるわけです。
そのことを知ってるのはケラウェイ所長と3人の宇宙飛行士とわずかな人間だけ、なんとNASAの職員すらその真実を知らずに偽のデータを掴まされている。
そして、砂漠の格納庫で撮影したハリボテの火星の映像に人々は歓喜します。

しかし、やがて宇宙飛行士の3人は自分たちのやっていることの恐ろしさを感じ取り始めます。
実は火星に行ってないということは、家族にすら話すことはできないわけです。つまり妻からは一生「火星に行った最高の夫」として見られ、自分は一生妻や子供たちに嘘をつき続けなければならない…。
もともとこの偽装工作自体がケラウェイの独断で始まり、彼らは有無を言わさず格納庫に閉じ込められている。
3人は格納庫を抜け出し、砂漠の中を逃げ続けます。

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後半は、逃げる主人公の逃亡劇と、火星探査計画の不審点に気付いた新聞記者が命懸けで陰謀を暴こうとする物語が描かれます。
もう本当に逃げるしかないというシンプルな展開なんですが、しつこく追いかけてくるヘリが何だか恐かったり、複葉機とのチェイスもあったりで見応えありました。パワーを感じますね。

そして最後の大逆転の瞬間が何故かとても気持ちいいんですよね。
SFだってことはいったん忘れていただいて、多くの人に見てみてほしい作品です。
(でもこの記事はSF書庫に入れてたりしますw)




【アニメ】サムライフラメンコ #01

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サムライフラメンコ
#01「サムライフラメンコ、デビュー!」

【監督】
大森貴弘
【声の出演】
増田俊樹 (羽佐間正義)
杉田智和 (後藤英徳)
戸松遥 (真野まり)
M・A・O (三澤瑞希)
山崎エリイ (森田萌)
小杉十郎太 (要丈治)
大川透 (原塚淳)
中村千絵 (石原澄)
三上哲 (今野明)

あらすじ

交番勤務の警察官・後藤は、ある夜、路地裏で素っ裸の若い男を保護する。男の名は羽佐間正義。ファッション・モデルとして活躍する有名人だが、幼い頃からヒーローに憧れ、ヒーローを愛し、自らもヒーローになることを決意した生粋のヒーローオタクだった。ついに自前のスーツを着込んで街へ飛び出したヒーロー<サムライフラメンコ>と、何故か彼に懐かれてしまった後藤の運命や如何に?!

感想

秋アニメ見始めるまではこれが本命だったんですけどね(笑)
「ガリレイドンナ」と比べちゃいけない…比べちゃいけない…。
ガリドンの後だと「サムライフラメンコ」がゆるふわ…(笑)

第1話見た限りでは面白いのか面白くないのか、このまま見続けていいのか判断つきませんが…。
まあ、映画「キック・アス」のパクリっぽくなってなかったのはよかったです。


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後藤と正義、どっちが主人公なのかもよく分かりませんが、やっぱ正義くんが主人公で後藤は語り部なのか…?


主人公の羽佐間正義は、筋金入りのヒーローオタク。
スカウトされてファッションモデルとして活躍する一方で、<サムライフラメンコ>として世の悪を倒すためにスーツを作ったりいろいろ準備を…。

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↑すごい動きのキレ!(笑)
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しかし、現実には怪人や悪の秘密結社なんてものは存在せず、ヒーローが活躍する場なんてない…。
そこで彼が目を付けたのが、市井の人々(笑)

コンビニの前にたむろする中学生や、歩行者信号を無視する酔っ払いを見つけては、「迷惑行為はやめなさい」「ルールは守りなさい」と注意するサムライフラメンコ。
しかし逆に返り討ちにあってしまうようなまだ駆け出しのヒーローなのです。

しかし彼は言う、「ヒーローの経験の無い自分は小さな悪と戦うことで成長し、そしていつか本物の悪を倒す!」と。(←このへんちょっと頭オカシイw)

この空気感では本物の怪人や悪の組織は出てきそうにないけれど、果たして正義くんにとってのラスボスはなんなのだろうか?
それとも最終回もゆるふわ~で終わる系か?



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↓これ、なんかそれっぽくやってるけどどーでもいー(笑)
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初回は中学生相手に「早く家に帰りなさい」と訴えてたサムライフラメンコ。
途中まではどちらかというと中学生たちと同じようにサムライフラメンコをどこか馬鹿にしながら見ている自分がいました。

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でも彼の言葉を聞くうちにサムライフラメンコがとても正しいことを言ってるような気がしてきましたね。
世の中は厳しい、大人は冷たい、ということを認めた上で、「唯一キミたちを心配してくれる親にまず迷惑をかけろ」という言葉に、なんかよく分からないけど説得力があって、思わずガッテンガッテンガッテン!しそうになっちゃいましたよ(笑)

でもまだちょっと「サムライフラメンコかっこいいー!」と言うのは恥ずかしい、という微妙な、とても微妙なヒーローでした(笑)

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後藤さん役の声優・杉田智和といえば、最近見た「涼宮ハルヒの憂鬱」で、心の中でハルヒにツッコミを入れるキョン役の人ですよね。
今作の後藤役も、予想外の行動を取る正義に振り回されながらツッコミ入れる役って感じで、「ハルヒ」は楽しめたのでそのかけ合いにも期待してたりします。

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もう、この表情なんて、いつものように暴走するハルヒをヤレヤレ…と思いながら見つめるキョンの顔だもの(笑)



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まあ気楽に見ようと思います♪
録画溜めても仕方ない感じの内容ですし…。



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OPのかっこいいスーツはたぶん出てこないんだろうな…(笑)

【アニメ】ガリレイドンナ 第一話



ガリレイドンナ
第一話「ガリレオDNA」

【監督】
梅津泰臣
【声の出演】
日高里菜 (星月・フェラーリ)
大久保瑠美 (神月・フェラーリ)
真堂圭 (葉月・フェラーリ)
井上麻里奈 (アンナ・ヘンドリックス)
楠大典 (ロベルト・マテラッツィ)
神谷浩史 (シシーニョ)
小山力也 (夏至生・フェラーリ)
桑島法子 (シルヴィア・フェラーリ)

あらすじ

西暦2061年。温暖化の時代は過ぎ、氷河期の始まりが全世界に訪れていた頃。イタリア・トスカーナに住むガリレオ・ガリレイの末裔、星月・フェラーリは見知らぬ飛行艇に追われていた。同じ頃、彼女の二人の姉、葉月と神月も知らない男たちに襲われる。理由に心当たりのない三姉妹だったが、安全のために別居中だった家族がそろって暮らすことに。しかしその準備の最中、謎の空賊がフェラーリ家に乗り込んできて…!

感想

アニメ僻地宮城でもノイタミナ枠だけは提供されてまして、とりあえずその枠だけは昨年の秋くらいからずっとチェックしてますね。
(「銀の匙」についてはまた今度まとめ記事を書こうと思います)

で、この秋、新たにノイタミナで始まったアニメが「ガリレイドンナ」と「サムライフラメンコ」。
相変わらず5日遅れの放送という悲しい地域ではありますが、今日はこの作品の第1話についてレビューします。(まだ2話放送されてない涙)

まあ、前フリに反してサラリといきたいと思います(笑)



このアニメ、告知ムービーで女の子が追っかけられてる映像とガリレオ・ガリレイの血を引く三姉妹が云々しか頭になかったんで、正直あんまり期待してなかったんですよ。女の子可愛いだけの作品だろうな、と…。
で、「サムライフラメンコ」の方を期待してたんですけど、両作品の第1話を見て、立場が逆転しました(笑)
本命は「ガリレイドンナ」、略して「ガリドン」です!

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もう冒頭の渦巻く雲と魚類の形をした飛行艇で「えっ?…///」とときめき、その後の、ロボ、メカ、ミサイル、工事現場のオッサン…という流れで完全に心を鷲掴みにされました。
なんだよこんなかっこええメカ出てくるなら先に教えてよ~!…と(笑)

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よく見りゃ逃げてる少女もメカ操ってるし!(笑)
告知ムービーで気付け、おれ!

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金魚が作品のモチーフになってるらしく、主人公機も金魚型、そのAIも金魚の姿のホログラム、主役の星月が金魚好きという設定。
でも飛行艇はCGによる線の多いカクカクしたデザインで…要するにかっこかわええメカデザインなんですね。

キャラクターの線の細さも好みだし、今期アニメで一番楽しみな作品です!
(といっても、ログホとサムメンコしか他に見てないけど~笑)

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第1話のストーリーはよく分からんまま進みましたが、とにかくこれは絶対面白くなる!ってかもう既に面白いだろこれ!って感じですね。

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それぞれに謎の組織に襲われるもそれぞれに撃退した三姉妹。
謎の空賊が「ガリレオテゾロ」と呼ばれるガリレオ・ガリレイの遺産を狙って、ガリレオの末裔である三姉妹を、そして三姉妹の父・夏至生の家を襲撃。
難を逃れた末娘・星月が、どうやら自分で組み立てたらしい金魚型飛行艇を起動させ、空賊の飛行艇を撃退する…という第1話。

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まあ、今回は三姉妹の設定や家族構成なんかを、それからどうやら普通の家族じゃねえなこいつらw…ってのを説明する回ってことですね。
世界観とかはまだまだ不明。飛行艇がどれほど普及してる技術なのか…とか気になります。
まあ、説明なしで突っ走った方がオタク魂に火が付くんですけどね。(攻殻機動隊然り)

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本当にわけわかんないけど面白かったんで、今回は魅力的なキャラクターの紹介しときます(笑)

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まず、フェラーリ三姉妹の末っ子、星月(ほづき)。
この子が主役ですね。オドオドビクビクしながら「ごめんなさいっ!」と言って砲火を浴びせてくるタイプ(笑)
どうやら金魚が大好きで自宅にも金魚を飼ってる。
ヒッピーみたいな父親・夏至生と二人で暮らしてた?

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まあ、おっきなお友だちたちがブヒブヒ言ってるのが聞こえてきそうな美少女ですが、本人はメカにしか興味ないような感じかな?
今回、お父さんに抱きついてたところを見ると、13歳とはいえ、中学生というよりは小学生のイメージで、恋愛などは描かれない感じですね。

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星月がすごくだいじにしてるっぽいこの筒の正体は…?



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フェラーリ三姉妹の次女、神月(かづき)。母と同居中?
響きだけ聞くと男性の名前みたいだし、姉の葉月と響きが似ていてちょっとややこしいっすね。しかも今回「かーちゃん」などと愛称で呼ばれてなかったか?母ちゃんの前で!ややこしい…。

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団体行動苦手、保健室警備員、クールな態度、と今にもグレそうな気配プンプンですが、好きな男子に片思い中というピュアな面もあります。
まあ、要するにどっか冷めてたり、くだらないことに悩んだり、些細なことで傷ついたりする、思春期まっさかりの女子高生なんですね。

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実は女の子らしいポーズで怯える乙女だったりする…(笑)
(体術担当という設定とのギャップがいい…///)



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フェラーリ三姉妹の長女、葉月(はづき)。気ままに独り暮らし中。
男子の前でも酩酊して吐いちゃうわ、検事を目指す法学部生だけどあんまり成績よくないわ、というダメ美女タイプ。
(ダメ美女→エヴァでいうところのミ◯トさん…w)
しかし、このダメ美女・葉月が個人的には推しだなー…と思った途端に空賊のお兄さんと恋愛フラグ立ったりしてチクショー!

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そのシシーニョに啖呵(?)切ったシーンで気の強いところが母親そっくりだなーと早くも思ってしまいました。
ただ、まだ勉学不足だし、立場は学生なので、いつか誰かに論破されてタジタジになることを望む自分がいますが…(笑)

まあとにかく、フェラーリの血筋は、メカ好きな中学生時代→人並みに恋する高校生時代→直情型破天荒な大学生時代と経由して、最終的にはシルヴィアお母さんのようなエネルギッシュ・ウーマンへとたどり着く…すいません、戯れ言です。



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で、フェラーリ三姉妹の最終形態(おそらく)、シルヴィア・フェラーリ。
口うるさいミラノ美女、って感じですね。(イタリアでファッションいったらミラノでしょ)
アンタ、そのナイスバディで3人産んでるとか、二十歳の娘がいるとか、反則よ!(CV.マツコ・デラックス)
三姉妹に「あなたたちにはガリレオの血が流れているのよ」とわけのわからない説教をするのが得意とみた。

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この人のアップ見た時にも、「あっなんか違うな、このアニメきっと面白いな」と感じました。
そう感じさせるキャラデザならもうそれはアニメとして面白いこと確定なわけですよ!



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その夫、夏至生・フェラーリ。三姉妹のパパで、なにかの研究者。
服装、髪型、そのすべてからシルヴィアとの別居の原因は夏至生の不徳の致すところということが分かる素晴らしいキャラデザ(笑)
研究一筋で家族を顧みないけど愛情はたくさんある感じですね。星月のメカ好きは親父の影響ってことは言うまでもなく?

航空宇宙工学の研究者らしいですね。(なんでそれでヒッピースタイルになるんだ…w)
作品のキャッチコピーには「三つの月が…」云々とあるし、飛行艇も出てきたし、親父さんは航空宇宙工学…。
その「宇宙」という部分に非常に興味をそそられるんですが…!
「月」と「宇宙」、これにあらすじにあった「氷河期の初期環境」がまさか絡んでくるとか…おおおお!



まあ、今回はこんな感じで。
なんだか謎だらけ…って話だけど、登場人物の性格や設定をさりげなく描いてましたよね。
上に書いたことの半分は僕の妄想ですけど、こんだけの妄想を第1話だけでさせてくれるんだからちゃんと考えられてますよ。

できれば毎回レビューしていきたいですが、第2話のレビュー更新するまではまだ確定しないでおきますね。



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あともうこれは横乳に感謝すべきかオーバーオールに感謝すべきか分からないんですがどっちですかね?(笑)

【映画】トランス

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トランス (2013年、アメリカ/イギリス)

【監督】
ダニー・ボイル
【出演】
ジェームズ・マカヴォイ (サイモン)
ヴァンサン・カッセル (フランク)
ロザリオ・ドーソン (エリザベス)

あらすじ

とあるオークション会場ではゴヤの傑作「魔女たちの飛翔」が競売にかけられていた。しかし、絵画が高値で落札されたその瞬間、強盗団が会場に押し入ってくる。競売人のサイモンは、マニュアル通りに絵画をバッグに入れて金庫へ向かうが、そこにはギャングのリーダー、フランクが待ち構えていた。頭を殴られたサイモンは、病院で目覚めるが、記憶の一部が消えてしまっていた。一方、アジトに戻ったフランクがバッグを開けると中には額縁だけがあり、絵画は消えていた…。

感想 (2013年10月11日、フォーラム仙台にて鑑賞)

ロンドン・オリンピック開会式の総監督を務めたダニー・ボイルの新作映画ですね。
ボイル監督の作品で初めて見たのが「スラムドッグ$ミリオネア」で、映画館で観て感動したのを覚えています。

その後、「127時間」を劇場に観に行ったり、「サンシャイン2057」をレンタルで見てみたりしましたが、「トレインスポッティング」や「28日後…」といった他の代表作はまだ見てません。
ただ、そのスタイリッシュな作風は充分に分かってるつもりです。

あと、音楽のセンスというか、音楽監督を選ぶセンスが、個人的にツボです。
この監督の映画を見るとサントラを欲しくなってしまいますね。

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今作「トランス」は大人のためのスタイリッシュかつちょっとエロティックなサイコ・サスペンスといった感じでしょうか?
タイトルの「トランス」とは、通常とは異なった意識状態の総称的なもの。
今作の場合は、催眠状態を指しています。

また、音楽のジャンルの一つ<トランス>は、激しいシークエンスの繰り返しがまるで<トランス状態>へと誘うようであることから名付けられたジャンルです。
本作でも、冒頭のオークション襲撃のゴタゴタでまさしくトランス・ミュージックがかかり、ちょっとやりすぎなくらいに気持ちを高ぶらせようとしてきます(笑)
映像面でも、夢と現実が交錯するようなスタイリッシュな映像・編集ですね。


物語の方なんですが、小さなサプライズが延々と続くイメージのある映画なので、その一つでも言ってしまうと魅力が半減する気もしないでもないですが……。
つまり何書いてもネタバレになりそうなんですよね。

まあ、一応公式サイトなどでもあらすじで言及してる点を挙げると、ジェームズ・マカヴォイ演じる競売人のサイモンと、ヴァンサン・カッセル演じる強盗団のボス・フランクは、実はグル。(これはけっこう序盤ですぐに明かされますので心配しないでくださいw)
オークション会場の警備体制に精通しているサイモンが強盗団を引き入れ、奪われたふりをしてフランクに絵画を渡す、というのが本来の流れだったわけです。

しかし、サイモンから受け取ったバッグには絵画は入っておらず、はずみでフランクに頭を激しく殴られ記憶喪失になったサイモンは絵画の在り処を忘れてしまっていました。
サイモンに裏切られたフランクは激昂しますが、絵画の在り処を知っている者がいるとすればそれはサイモンただ一人。
サイモンの封じ込められた記憶を探るために、催眠療法士であるエリザベス(ロザリオ・ドーソン)が登場し、物語はサイモン、フランク、エリザベスの3人の駆け引きを中心に描かれていきます。

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うん、これ以上書くとネタバレですね(笑)
とにかくスタイリッシュで夢か現実か分からないような映像の中で、それぞれの思惑が交差する心理サスペンスです。
ダニー・ボイル作品らしく、相変わらず音楽も好みだし、何より本作はロザリオ・ドーソンのナイスバディなヌードを拝めるのが素晴らしいですね!

しかし、「騙される/騙された」という謳い文句を言ってるほどには、爽快な解決編ではなかったですね。
全部分かった所で、「ふーん、なるほどね」と思ってしまいました。それ以上の感動はなかったんですよね。

思うに、「騙される」以前にそもそも真実めいたものを語ってないですし、物事の動機を過去に遡ればいくらでも物語をでっち上げることはできると思うんですよね。
要するに説明を省略したがゆえに後から契約書を読んで「騙された」と思うような感じで……。
そりゃ説明を省けば謎はいくらでも作れるよねって話ですよ。

で、その説明不足で作った謎を説明で解決する、という終盤にもちょっと不満が残りました。
期待を持たせるような序盤・中盤と裏腹に、落とし所はあまり上手くなかったかな、と。

それとも僕がまったく理解していないだけで、まったく異なる次元で「騙された」ってことなんでしょうかね?
2度3度と見るうちに最初はスルーしていた部分も気になってくるような映画なのかもしれませんね。



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【アニメ映画】カールじいさんの空飛ぶ家

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カールじいさんの空飛ぶ家 (2009年、アメリカ)

【監督】
ピート・ドクター
ボブ・ピーターソン
【声の出演】
エドワード・アズナー/飯塚昭三
ジョーダン・ナガイ/立川大樹
ボブ・ピーターソン/松本保典
クリストファー・プラマー/大木民夫

あらすじ

78歳のカールじいさんは、最愛の妻を亡くしてから、妻との思い出が詰まった小さな家に引きこもるように暮らしていた。開発地区に指定された家の周囲では大規模な工事が始まり、ついにカールにも立ち退き要求が。大切な家や思い出、全てを失いそうになったとき、人生最初で最後の旅を決意したカールは、家に無数の風船をつけ家ごと大空に飛び立った。

感想 (2013年5月5日、TV録画にて鑑賞)

ピクサー映画のレビューって初めてのような気がします。
…うん、じゃあ、がんばりまっす(笑)


齢七十八の偏屈な爺さんが、生きづらさを感じる都会を捨て、亡き妻の思い出が詰まった家に大量の風船を付けて大空高く舞い上がる物語。
その名も「カールじいさんの空飛ぶ家」!

カールじいさんの旅のお供は、子ブタみたいなボーイスカウト、ラッセル!超機敏な怪鳥、ケヴィン!喋る犬、ダグ!
2人と2匹を乗せて、空飛ぶ家はどこまでも高く、高く……?

いや、そんなに高く飛んでないです!
けっこう低い、ていうか地面スレスレ!(笑)
これ本当に「カールじいさんの空飛ぶ家」?

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家に色とりどりの風船を付けて空を飛ぶなんて、なんて夢に溢れた物語なんだ、と思ったんですが、そういう夢に溢れたワクワクする光景は序盤の離陸直後だけですね。
離陸の瞬間は最高に素晴らしいですし、空を飛ぶ姿も美しいんですが、けっこう早い段階で風船が割れ始めてしまうんですよねー。
中盤は、地上1mに辛うじて浮いてる家をカールじいさんが難儀そうに引っ張る姿が…(笑)

これはもうただ夢のある話ではなくて、夢を叶えるための厳しい試練を乗り越える話なんですよね。
カールじいさんの夢というのは、亡き妻といつか旅しようと約束した美しい滝パラダイス・フォールへ行くこと。
そこまでなんとか家を引っ張って行こうとするじいさん…。

もうなんなんでしょうね。これは「カールじいさんの空飛ぶ家」と言っていいんでしょうか?原題は「Up」ですが、後半全然浮かび上がりません、むしろ「Down」ですからね。


しかし、その苦しい後半こそが人生であり、妻への深い愛情があればこそ成せることなんですよね。
前半は夢に溢れた展開ですが、それは人生から逃げているに過ぎないんです。
周囲と上手く人間関係を作れず、立ち退き要求に抗い、施設という新しい環境で暮らすなんてとてもじゃないができない。
ですがそれはカールじいさんのワガママに過ぎないんですよね。

そしてそれらの現実から半ば逃げ出すようにしてカールじいさんは大空へと舞い上がります。
でも所詮は空想を具現化しただけの夢なのですぐに計画は失敗し、まさしく重荷となった家を背負いこむことになるわけです。
どこへ行っても「現実」は追いかけてきます。

さらにカールじいさんは、妻との思い出を家という形にして後生大事に抱え込んでしまっています。
その思い出の家こそが夢の障害になっていますよね。
終盤で家財道具を放り出したシーンは、「思い出=過去」からの解放を示唆してるんですかね。

夢が大事か、思い出が大事か。
言い換えれば、未来か、過去か。
カールじいさんは、未来を手にするためにちょっとだけ過去への執着を捨てました。
思い出だけでは、生きて行けないんですね。

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あと当然ボーイスカウトのラッセルとのやりとりも描かれます。
カールじいさんには子供がいなかったから、これは開花しなかった父性の遅咲きみたいな感じですか…。



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