感動器官

笑い、涙、鳥肌、私たちの感動を現出させる器官。

2013年07月

【アニメ映画】エクスマキナ

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EX MACHINA -エクスマキナ-
(2007年/日本)

感想 (2013年2月11日、DVDにて鑑賞)

3Dライブアニメ映画「アップルシード」の続編。
前作に引き続き荒牧伸志監督が士郎正宗の原作を映像化。
そして今回は「M:I-2」などのジョン・ウー監督がプロデューサーとして参加しています。

モーションキャプチャーで動かすキャラクターにセル画風の着色を施した3Dライブアニメはちゃんと進化してますね。
全体的に大人びた印象になって(作品世界で7年が経ってるのもあるけど)、人物デザインは前作よりも好きです。

なんというか、人物がより背景に違和感なく馴染むようになったように見えます。
前作ではどうしても「キャラを動かしてる」違和感があったんですけど、本作ではより自然に存在しているんですね。
うまく言えませんが……見比べてもらった方が早いかと。←投げたw


前作で良かった点、メカの戦闘シーンのかっこよさに期待したんですが、まあまあの出来かな、と……。
今回のストーリーは前回に比べると少し規模が縮小された感じですね。
前作の、機動砲台の暴走を阻止する的な白熱したシーンはなかったです。

オリュンポスを含めた各国間の政治的な問題が浮上したり、ブリアレオスのクローンが登場したりと、戦闘よりも脚本で魅せるべき内容なんですよね。
このアクションSFな世界設定で3Dライブアニメというメカが活きる手法を使って、人間の駆け引きや感情を描こうとしてるので、やっぱりちぐはぐな印象はあります。

もちろん、1作目から人間の感情を描こうとしていたわけだし、作り物の自動で動くキャラクターに魂を吹き込むことはこのジャンルが求め続けるべきテーマですけどね。
今回は、感情的なテーマに引っ張られてメカ戦闘が物足りなかったし、感情的な部分もいまいちうまく見せれてないのかな、と……。

こういうアクションアニメに必須の「世界を危機から救う」というメインテーマが、けっこう見掛け倒しで小さくまとまってた印象ですね。
悪役の切なさを描いて、いい感じに終わらせてしまう作品ってあんまり……。

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ブリアレオスのクローンなんですが、ある日、ESWATの一員としてテロ対策のため活動しているデュナンの前に一人の男が現れます。
その男テレウスはなんと、機械の身体になる前のブリの顔を持っていました。
優秀な戦士であるブリの遺伝子を元に作られたバイオロイド兵士です。

見る側からしたらブリは最初から機械の顔だったので、「へえ~ブリってこんなイケメンだったんだ……」って新鮮なんですが、生身のブリを知ってるデュナンからしたら郷愁と愛情がごちゃまぜになるわけで。
私が好きなのはブリであってテレウスじゃない、と頭で理解してはいても、テレウスのふとした仕草にキュンときたりしてて……(笑)

結論から言うと、そういった恋愛感情に端を発する心理描写がうまく機能してなかったですね。
デュナン・ブリアレオス・テレウスの三角関係をもっとクローズアップしても良かったんでは……。
いや、そもそも僕がデュナンに求めていたのは戦闘美少女としてのヒロイン像であって、この「アップルシード」の世界に恋愛劇を持ち込まれる時点で違和感はあるんですが、どうせやるならしっかり描いてほしかったな、と。

なんか最近文句ばっかり言ってる気がしますが、映像はキレイでしたし、普通に楽しめるアニメでした。
「アップルシード」を見て楽しめた人は見ておいて損はないと思います。

【映画】陰陽師II

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陰陽師II (2003年、日本)

感想 (2013年3月13日、地上波にて鑑賞)

実在した陰陽師・安倍晴明の活躍を描き、ヒットを記録した「陰陽師」の第2弾。
監督は前作に引き続き滝田洋二郎監督。

主要キャストも前作から続投の、野村萬斎、伊藤英明、SPEED今井絵理子など。
今回新たに登場する役で、深田恭子、市原隼人、中井貴一などやはりこれまた豪華なキャスト。


時は平安時代――。都では夜な夜な鬼が現れ、人を襲い身体の一部を喰らうという事件が相次ぎます。
邪気を祓い闇を鎮める陰陽師・安倍晴明は、ある貴族の娘が毎晩夢遊病のようにさまよい歩くことと、鬼の事件の関連性を調べていました。
一方、巷では幻角という男が次々と奇跡を起こし、人々から神のように崇められていましたが……。


これも案の定つまらなかったですね。前作で充分つまらないことは分かっていたので、地上波でこれを見ること自体が僕にとってはネタでした。
意地悪な視点で見ると相変わらず面白いです。
そしてそんな感想を連投することこそ意地悪な映画ファンですね。←

野村萬斎の艶っぽさは前作以上だったかと。女装までキメて。好きな女性は大勢いるでしょう。
個人的にはラストバトルで「ずぁあー。うぅっ、ぜぇああー!」言ってたのがツボでした。

伊藤英明の演技は2年経っても相変わらずで……いや、その晴明のダメダメな相棒っぷりには磨きがかかっていたかも。

今井絵理子続投というのが個人的には一番意外でしたね。
前作でお世辞にも「可愛い」という印象を残せたとは思えないので。
あの式神にしてはしっかり存在感がある蜜虫……。今回も何か特別活躍するわけではないんですけど、その割にしっかりと画面に「実在」していました。

深田恭子の衣装が豪華絢爛な着物姿で、そこだけは素直に見てよかったと思いました。


というか、ようやく気付きましたけど、これって女性向けの映画なんですよね。
野村萬斎演じる安倍晴明と、伊藤英明演じる源博雅の間に漂うただならぬ空気感……。
男同士の友情が描かれる面もあるんですが、それがどうにも女性向けで、男からしてみたらちょっとな……って感じなんですよね。

さらに、稚拙なCGを恥ずかしげもなく使ったり、アクションと言えばワイヤーアクションにすべて頼ってるこの映画は、ハリウッドのアクション映画大好きな若者にはちょっと受け入れられないですね。
ギャグにしか見えなくてお遊戯っぽさを感じてしまいます。

それでも野村萬斎が醸し出す色気にやられる女性は多いみたいですが。
でも、それが魅力ならこの映画じゃなくてもいいじゃないですか。
純然たる同性愛ムービーを作ってもらえばいいんですよ。
きっとその方が社会問題を切り取った傑作になると思うんですけどね……。


流行りってコワイですよ……。



【映画】陰陽師



陰陽師 (2001年、日本)

感想 (2012年10月31日、地上波にて鑑賞)

実在の陰陽師・安倍晴明の活躍を描いたアクション時代劇(?)。
監督は「おくりびと」などの滝田洋二郎監督。

主役の安倍晴明を演じるのは狂言師の野村萬斎。
共演には、まだ初々しい演技の伊藤英明や、アイドルグループSPEEDの今井絵理子の他、夏川結衣、小泉今日子、真田広之などなど、豪華キャストが揃います。


時は平安時代――。この世とあの世の境目が今よりも曖昧で、魔物と人が渾然と存在する中、暗黒の世を鎮め、調和を保つ者、それが陰陽師。
ある日、帝の子が原因不明の病に侵され、陰陽師・安倍晴明が呼ばれます。見事、子を蝕んでいた邪気を祓うことに成功した晴明。
しかし、これは晴明と陰陽頭・道尊の闘いの始まりでした……。


とってもつまらなかったですね。つまらなさがネタの域に達している映画。
逆に意地悪な視点で見るとすごく面白いですね。

全体的な演技・演出のレベルが学芸会のレベルです。
いやでもさすがに素人の子供よりはうまいので、「学芸会で先生方が本気のお芝居を披露したら多分この映画と同レベル」ということにしておきましょう。

野村萬斎のドヤ顔。でもまあ、これは好きな女性も多数いますので良しとします。
飄々とした演技もそういう人物造形なのだろうから受け入れます。
しかし、周りの演技・演出が謎すぎて、安倍晴明のユーモラスな人物像が浮かび上がってこないのも確かだと思います。

伊藤英明の演技はさすがに初々しすぎて大根役者にしか思えないですし、晴明の式神として登場する蜜虫の役を演じたSPEED今井絵理子に不思議系マスコットを演じさせるために片言だけ喋らせた結果、まさしく学芸会の「そうしよう、そうしよう」状態……。そもそも、可憐な蝶をなんであんな実物等身大の人間に変化させてしまうかな……。蜜虫は主人を慕うマスコット的な存在だと思うんだけど、あれではどう考えてもでかすぎる。
悪役の真田広之が突然笑い上戸になって「ふははは……ふはははは……」って言いながら帝を追い回すシーンが無駄に長いし、もうずっと笑ってるし……(笑)

演出についてもナゾだらけで、小泉今日子の老婆メイクなんて誰も望んでないですし特に意味もないですし、さらに夏川結衣まで牙生やして鬼女になるんですが、これもただただ受け止めるしかなく、恐いとも醜いともなんとも思えないレベルの特殊メイク。
いや、そもそもこの安っぽいストーリーからして入り込めてない……(汗;

怨霊や魔物の類はCGで表現。
2001年の邦画なので、CGの拙さには酌量の余地があるとしても、それに斬りかかる役者の演技とかが「天才てれびくん」の子役たちと同レベルなんですよね。(ゆけちが言ってるのは自分が見てた90年代頃の天才てれびくんです。今の子役たちの方が対CGの演技は上手いかもしれません)
もう、明らかにそこにいないでしょ、っていうCGとのバトル……。


はっきり言って、子供騙しの映画ですね。
若い女性の間で陰陽師や陰陽道が盛り上がった時期があって、それに乗っかってヒットを記録した作品なんでしょうけど、僕にはどうにもこの映画の良さが理解できません。
野村萬斎の立ち居振る舞いが素敵……その割にムードがないのは稚拙な演出のせいだと思います。




【映画】レクイエム (2009)

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レクイエム (2009年、イギリス/アイルランド)

感想 (2013年3月12日、DVDにて鑑賞)

紛争によって人生を狂わせてしまった2人の男の33年ぶりの邂逅を描いた社会派サスペンス。というよりもヒューマン・ドラマですね、これは。
2009年の東京国際映画祭で「5分間の天国」という題で上映されましたが、一般向けには日本未公開の映画です。
監督が「es」「インベージョン」のオリヴァー・ヒルシュビーゲルだったので借りて見てみました。

主演はリーアム・ニーソン。
若かりし頃、混乱する北アイルランドで対立勢力の男を殺害し、平和になってからはその罪を背負って生きてきた影のある男アリスター・リトルを演じます。

もう1人の主人公には、ジェームズ・ネスビット。
33年前、目の前で兄が殺され、無念さや憤りを抱えながら生きてきた男ジョー・グリフィンを演じます。
物語はこの2人に限って描かれ、余計な脇役のドラマなどは一切ありません。

一つだけ、リーアム兄さんの若い頃を演じた若い俳優がなんとなくリーアムに似てましたね。


物語は1975年の北アイルランドから始まります。
僕は世界史にまったく無知なのでよく分かりませんが、北アイルランド紛争とは、早い話プロテスタント住民とカトリック住民の抗争のようです。
主人公アリスターは、プロテスタントに属する17歳の若者。ある夜、指導者の命令で同年代の若者たちと車を走らせ、あるカトリック住民を殺しに向かいます。
実行役のアリスターは窓の外から標的を射殺することに成功しますが、その様子を標的の弟である8歳のジョーに目撃されます。

33年後、加害者であるアリスターと被害者であるジョーが、カメラの前で再会し言葉を交わすというテレビ企画が持ち上がります。
アリスターを殺そうと企むジョーは撮影現場にこっそりナイフを持ち込みますが、結局アリスターとの対面を拒否し、家に帰ってしまいます。
その様子を影から見ていたアリスターは、自分からジョーに会いに行こうと決意します……。


静かな人間ドラマでけっこう面白かったですね。
北アイルランド紛争についてこれっぽっちも知らなくても、殺した男と家族を殺された男の対面という展開だけで充分興味が湧きます。
なんとも言えないやりきれなさがにじみ出ている作品です。

まず、加害者と被害者を会わせようというテレビの企画自体がすっげえ図太い神経のような気がしますが……(笑)
プロデューサー的には「和解」の瞬間を撮りたがってたみたいだけど、それって第三者が決めていいシナリオじゃないですよね(^◇^;)
撮影現場へ向かう送迎車の中で何か覚悟を決めた様子のアリスターと、別の送迎車の中で憔悴するジョーの姿(良い対比になってます)を見れば、殺人という犯罪によって狂った人生はそう簡単に修復できないことが分かります。

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アリスターは事件の後、無期懲役になりますが12年で釈放され、その後は自分のような若者を生み出さないために自分の体験を語って回る活動をしていました。
リーアム兄さんが演じてるので、元殺人犯なのに妙にかっこいいというね……。
長身にスーツ姿も決まっており、暗い過去を背負った影のある雰囲気はぶっちゃけ女性にモテそう。

しかし、ジョーはそんなアリスターを当然許せません。
兄を殺しておきながら、今は正義ヅラして人の道を説いてるなんて許せない。なんで人殺しのアイツが有名人なんだ?なんで人殺しの言うことをみんな聞きたがる?
俺は事件の後、兄を見殺しにしたと母親から責められ続けたのに!

そこには、ジョーのコンプレックスも混ざっているかもしれません。リーアムとネスビットを比べたら明らかにリーアムのがかっこいい。
自分のコンプレックスさえもアリスターへの憎しみに変わってしまう。
ジョーの気持ちは誰にも否定できないし、理解してあげることも容易いことではありません。

しかし、アリスターもやはりとてつもなく重い罪を背負い続けてるんですよね。
アリスターの自宅が映るシーンでは、余計なものが極力排除された、生活感のない殺風景な部屋が映し出されます。
寂しすぎる部屋で寂しく茶を淹れる独身中年男、それがアリスター。
33年間、罪の償い方だけを考え続けてきたんでしょうね。


やっぱり重たいテーマです。
もはやどうにも変えようのない過去、しかし無かったことには絶対にできない過去。
それを未だ引きずっている、けして解放されることはない男2人。

この映画はどちらが悪人でもないし、どちらが正義でもないんです。
ただ淡々と、2人の男のやりきれないそれぞれの立場を描いているんですね。
アリスターはジョーへの接触を試みますが……。

絶対に相入れることのない2人がどんな結末になるか、けっこう心配でしたが、最後はほんの少しだけ救われる描写が待っていました。
重荷を完全に下ろすことはできなくとも少しだけ荷が軽くなった感じ。
少なくとも、会わないままよりは良かったな~って感じのラストでした。

これ、けっこう良作な社会派ドラマだと思います。




【映画】es[エス]

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es[エス] (2001年、ドイツ)

感想 (2013年3月7日、DVDにて鑑賞)

1971年にアメリカ、スタンフォード大学で行われた心理実験を元に映画化した作品。
「es」と書いて「エス」と読みます。これはけっこう有名なサスペンス映画ですよね。

監督は、以前紹介した「インベージョン」を撮ったドイツ人監督オリヴァー・ヒルシュビーゲル。
「インベージョン」でのテンポの良さが気になっていたので、ヒルシュビーゲル監督の作品をいくつか見てみた次第です。

主演は、「ラン・ローラ・ラン」のモーリッツ・ブライブトロイ。
共演には、「ヒトラー ~最期の12日間~」のクリスチャン・ベルケルや、マレン・エッゲルトなどなど。


実際に行われた心理実験<スタンフォード監獄実験>とは、大学の地下に作られた擬似刑務所で21人の男を「看守」と「囚人」に分け、役になりきらせ2週間生活させるというもの。
実験の目的は「人が肩書きや地位に合わせた行動をとることを証明する」ことでしたが、実際の実験では看守役の囚人への暴力などが発生し、6日で中止する事態になったそうです。

この監獄実験を舞台をドイツに移して描いているのがこの「es」という映画です。
主人公のタレクは新聞に載っていた被験者募集の広告を見て、高額な報酬に興味が湧き、この実験に参加します。
彼は、小型カメラを仕込んだ眼鏡を携帯して実験に潜り込み、実験の全容を暴いてスクープしようとします。

面接の結果、囚人役になったタレク。囚人たちは看守役の言うことを聞きながら牢獄に入り、初日は和やかに終わります。
しかし、些細ないざこざから囚人と看守の対立が徐々に深まっていき、実験は危険な状態へと陥っていき……。

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実は、僕はこの映画のリメイクにあたる「エクスペリメント」(2010年、アメリカ)の方を先に見ています。
アメリカのスタンフォードでの事件をドイツが映画化し、その後、本家(?)アメリカがリメイクしたというわけで。
オリジナルとリメイクで設定や結末が違っているので、どちらが素晴らしいとも言えない甲乙付け難い感じです。

オリジナルでは小型カメラの映像を頻繁に取り入れることによる演出の面白さがありますし、何より看守役の行動範囲の広さには驚愕でした。
リメイクでは、看守役も実験棟の中に缶詰になって閉鎖された空間で過ごしていたんですが、オリジナルでは、なんと自由に擬似刑務所から出て行くんです。大学構内を歩き回るんです。なんと夜は家に帰るんです。
看守役のリーダーを務めた男がまたいい具合に権力の誘惑に魅入られていて、そんな危ない状態の人間が、当たり前に外の世界へと戻って行くというドキドキ。
これはリメイクを先に見たからこそのドキドキかもしれません。

結末については、オリジナルもリメイクも最後に感情が爆発して暴動が起こるんですが、ドイツ人によるオリジナルでは囚人が脱走し看守がキレて追いかける、アメリカ人によるリメイクでは囚人がブチキレて看守を追い詰め暴行する、という違いがあります。
お国柄でしょうか?(笑)


囚人役の中で犯行的な態度を取り続け、看守役たちの絶好の嫌がらせ相手となった主人公。
彼や他の囚人役が受けた屈辱的な行為の数々はやはりオリジナルでもあって、その辺が「心拍数最大!」という所以でしょうかね。
まあ、ヘタに感情移入しない方がいいですね……(笑)

地位が個人を形作り、差別に基づく暴力と憎悪を生み出す。
囚人(=犯罪者)と看守だけではなく、これはすべての人間に当てはまりそうな気がします。
裕福に生まれた者は優雅な振る舞いをし、貧しい者は粗野になりがちではないでしょうか?
貧しいという事実が、その人間の性格までもそれに見合ったものに変えていってしまう……。
これは注意したい教訓ですね。




【鑑賞予定】SHORT PEACE

今週末公開のジブリ映画「風立ちぬ」が話題ですけど、ひねくれ者のゆけちが今気になっている映画はこちら。

SHORT PEACE

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2013年7月20日公開予定。


まあアニメファンにとっては別にひねくれた選択でもないですよね。(大友ファンに怒られるw)
「AKIRA」の大友克洋監督や気鋭のクリエイターが結集して作り上げられたオムニバス劇場アニメが、この「SHORT PEACE」です。
1月頃にチラチラっと大友作品をチェックしていた時にこの映画の公開を知り、それから今まで首を長くして待っていた作品です。


物語は4つの短編から成ります。テーマは「日本」。
森田修平監督・脚本の、魂が宿り物の怪となった道具を修理する話「九十九」。
大友克洋監督・脚本の、江戸の大火事と悲恋を描いた「火要鎮」。
安藤裕章・監督、石井克人・脚本の、神秘的な白熊と空から現れた鬼が激突する「GAMBO」。
カトキハジメ監督・脚本の、廃墟となった未来の東京で無人戦車と戦うある小隊を描いた大友克洋原作漫画の映像化「武器よさらば」。
さらに、森本晃司が手がけたオープニング・アニメーションも加わると全部で5編。

全体で70分弱らしいので、一編一編がそんなに長くなさそうですね。
こういったオムニバスアニメは、大友克洋監督が中心となって作った「MEMORIES」が印象良かったので、個人的には期待大です。


ただ、上映規模が小さく、期間も短いので、うかうかしてるとあっという間に終わってしまいそう。
以前【鑑賞予定】として紹介した「攻殻機動隊ARISE」も、上映期間が2週間と限られていて、見逃してしまいました……。

今回は何とかタイミング合わせられそうですけど、果たしてどうなるか。予定は未定です。
同じ日に公開する某ブロックバスター・アニメは9月・10月頃まで上映するんでしょうけどね(笑)

「アニメを失った大人達へ」

しかし、今回の宮崎駿アニメも大人向けな感じですが……。
ジブリを「アニメ」とは認めない、という挑発にも聞こえる(汗)
「風立ちぬ」と違って空いてると思うので、アニメ好きな方、どうでしょうか?(笑)

【アニメ】宇宙戦艦ヤマト2199 第15話

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宇宙戦艦ヤマト2199
第15話「帰還限界点」

感想

今回が中盤のクライマックスですかね?
ドメル率いるガミラス艦隊との正面切っての戦闘。
これ、今まででヤマトが経験した中で最大規模のバトルじゃないでしょうか?

やること多すぎてOP曲削ってましたもんね。
次回からUVERworldの新曲流れるってんで、今回で主題歌「宇宙戦艦ヤマト」も聞き納めか~と思ってたらOPないんだもの(笑)
ま、まあいいですけど……。


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ドメルが仕組んだ罠にハマったヤマト。
敵の大艦隊が待ち受ける宙域へとジャンプしてしまいます。

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絶対絶命のピンチ!そこへ颯爽と降臨した沖田艦長!まさしく上から降りてきた状態(笑)
で、まさかの敵中突破……!(これは、とんでもないことになるそ……!?)

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ば、バレル・ロールかましたー!?

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主砲弾いた~!?

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こすった~!?

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おおおおお!?

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抜いた~!!


ドメルの乗る旗艦ドメラーズ(ドメルが乗ってるからドメラーズ?)へ正面から突撃を仕掛けるヤマト!
一方突撃してくる敵に進路を譲らず、ヤマトの砲撃を弾き返したドメラーズ!
接触して、ギギギーッゴリゴリーッからのゼロ距離射撃!!な、なんなんだこれは!

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すれ違う一瞬、劇的な邂逅を果たすドメルと沖田……!
お互いに顔なんて見えてないと思いますが、将としての器の大きさ、戦人としての力量を認め合った瞬間に違いないですよこれは!
ああ、ドメルのなんと嬉しそうなこと!(笑)


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旗艦を抜いたヤマトですが、そこへ後続部隊がジャンプで到着……!
つまりドメルはヤマトが敵中突破することも計算のうち、……というより、むしろ艦隊の数を少なく見せることで敵中突破という作戦を沖田艦長に選択させた……のか!メンタリスト・ドメル……!!
とにかく完全にヤマトを仕留めようとしていたことだけは確かですよね。

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しかし、ヤマト撃沈まで後一歩という所で、総統府からの緊急帰還命令……。
このドメルの表情はかなりくるものがありますね。
このままヤマト落としてからゆっくり帰ればいいじゃんというのももっともなんですが、軍人は個人的な感情で戦闘してはいけないし、軍規に逆らうこともできない。名将ドメルが名将であるがゆえの苦渋の撤退ですね。(これぞまさしく戦略的撤退)
無断発艦してばかりのどこぞの女性パイロットや某戦術長に少しは見習わせたいですな……(笑)


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で、話が前後してしまいましたが、まさかのデスラー総統死亡(?)という超展開。
いやいやまだデスラー死ぬには早すぎるでしょう、というより最後までラスボスとして生き残っててもらわないと困る。
多分、あれは影武者か何かで、本物は落ち着いた頃にひょっこり出てきそうな予感。

お忍びでドメルが詰めるバラン鎮守府へ向かっていた途中なので、総統が来ることを知っていたドメルに嫌疑がかかりそう。ドメルの奥さんが反乱分子を匿っている(?)ようなシーンも今回ありましたし……。そのことで今後ドメルは立場を悪くするのかも。
しかし、もちろんドメルがそんなことするわけもなく……。自分で暗殺しといてその余波でヤマトを沈め損ねたなんてありえないですからね。

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そうすると、今はドメルの下にいるけどゼーリック将軍と仲のいいゲール君?うわ、ありうるわー(笑)
ゲール君が何気に報告したら、野心持つゼーリックがこれぞ好機と暗殺したとか……?
ゲール君は小心者だからそんな恐れ多いことは考えないでしょうね。

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あと、親衛隊長のギムレーとかも怪しさ全開なキャラですよね。(何故か保安部長・伊東とイメージ被るw)
今回は冒頭で敵対する惑星を滅ぼしてましたが、あのシーンも強烈でしたね。
むしろあれに比べたら遊星爆弾の攻撃なんて有難いとさえ思えますからね。
人間ドラマも面白いけど、壮大なスケールの宇宙戦争……これも魅力ですよね。

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で、総統の突然の悲報で揺れる総統府。
相変わらずガミラスが一枚岩ではないことを強調してきますが……。
もしかしてデスラーは自分が死んだ後に野心をあらわにして権力を握ろうとする者をあぶり出すために芝居を打ったのかもしれないですね。
もしかして、沖田艦長が倒れて結束するヤマトクルーと、デスラーが死んで揉めるガミラスが対比になってたりするんでしょうか?


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あーでも、ヤマト艦内にも不穏な空気が……。
森雪の経歴に疑問を持った保安部長・伊東、そしておそらくは以前に艦長に具申して却下された移住計画を実行に移そうとしている情報長・新見。星名くんはどんな気持ちで伊東に従っているんでしょうね?

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移住計画の実行には航海長の協力が不可欠ということで島に色仕掛け?
新見さんちょっとナヨナヨ動きすぎでウケました(笑)

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食糧乏しくて精神的にも参ってるようですしね……。(特に藪w)
付近の地球型惑星に立ち寄ることになったヤマトでどんな事件が起こるのか?楽しみです。


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艦内の恋愛事情も徐々に進展してきたというか……。
加藤と真琴が意外なほど親しくなってましたね。
なんだろあの、友達みたいな関係……(笑)

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格納庫に来てまでイチャイチャしてる古代と雪に怒り心頭の玲……。
彼女は髪切る前からああいう性格なんですかね……?
回想で出てくる出撃前の玲ちゃんはしおらしいんだけど……(笑)
女子の複雑な乙女心を少なからず理解してそうな篠原にもなにかしらを期待(←何を)

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あと、今回初めて気づいちゃいましたが、通信士の相原はもしかして百合亜たんに気がある?↑

……てか、古代や加藤は安心なんだけど、他の男性キャラ(特に脇役)が不憫すぎる……。
雪というメインヒロインにけっして叶わぬ恋をしてしまった南部。
百合亜たんが可愛くて気になるけど接点が少なすぎる相原。
そして、新見さんのことが好きだけど彼女の情報源として利用されてるだけの藪。

クルーが反乱を起こすとしたらこの3人じゃないかと僕は思います(笑)







【今週の百合亜たんの中身】

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前回に引き続き、というより、前回からずっと覚醒状態が続いてるっぽい百合亜たん。
髪の毛クルクルする仕草が中の人が表に出ている時の癖みたいですね。
まあ、口調や雰囲気でモロ分かりですけどね。完全に不思議ちゃん。
むしろなんで誰も異変に気づいてあげられん!

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真田さん、なんで髪型の変化に気づいてあげられん!(笑)
超絶科学談義に花を咲かせていましたが、もはや呪文……。
しかし、真田さんも考えなかったことを指摘するとは……。デキる!

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中の人が本来の身体に戻ることはあるのか、そもそも中の人はなんなのか、いろいろ気になります。

【アニメ映画】アップルシード

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アップルシード (2004年、日本)

感想 (2013年2月11日、DVDにて鑑賞)

士郎正宗の原作漫画「アップルシード」を荒牧伸志が映像化した劇場用アニメ。
フル3Dライブアニメという独自の手法で初めて作られた作品です。

3Dライブアニメとは、役者の動きを映像に取り込むモーションキャプチャーと、3DCGをセル画のように表現するトゥーンシェーダーを融合させた手法。
パッと見はセル画に近い質感のアニメですが、人物にも立体感があり、精密な映像を自由なカメラワークで映し出すことが可能な技術です。
これが全編に渡って採用されているのがこの「アップルシード」なわけです。


物語は、女兵士デュナンと恋人のブリアレオスが、クローン人間<バイオロイド>が管理する理想都市オリュンポスを舞台に、バイオロイドを解き放つ鍵である<アップルシード>を巡る闘いに巻き込まれていくというもの。
冒頭からかっこいい音楽にのせた戦闘シーンで始まり、サイボーグや<ランドメイト>と呼ばれるパワードスーツ、クライマックスでは多脚砲台が大暴れするという未来SFアクションです。
SF戦闘アクション好きな人は概ね楽しめる内容ですね。

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でも、けっこう設定が難解で……。見る者の頭に張り切って詰め込もうとしてくるんですけど、ちょっとついて行けなかったかも(笑)
まず、冒頭で孤軍奮闘する女兵士デュナンが描かれますが、実は戦争は終わっていて、デュナンは理想都市オリュンポスへと連行される。
オリュンポスでは、感情を抑制した人工的に造られた人間<バイオロイド>が政治を管理し、生身の人間が軍事を司っている。
バイオロイドの大統領と、長老たちの思惑……。

意外にも人間の種としての在り方や、社会の在り方について描いてたりするんですよね。
その割に主人公のデュナンはあまり脳ミソ使わないタイプというか……。
まず、2000年代にこういうタイプのヒロインは流行らないんじゃないかと……。


3Dライブアニメという見慣れない手法が上手く機能していたかどうかは疑問。
というか、生身の人間の描写についてはやはり違和感がありますね。

この作品は、身体の要所の動きだけでなく、顔の表情までモーションキャプチャーで再現しているんですが、それがアニメっぽい外見だと妙な感じがするというか。動いてるというよりも動かされてるというか。
一世代前のゲームの要所で挿入されるムービーならば盛り上がれる内容だったと思うんですけど、これを映画として長時間見るには無理があるかなあ……という感じ。まあそれでも最後まで見たので見れる作品には違いないけれど。

一方、メカの動きに関しては「かっこいい」の一言で、ランドメイトを装着してのバトルは良かったです。
さらにラストの多脚砲台もスペクタクル。
サイボーグ兵士ブリアレオスも全身メカなので悪くないですよね。

2004年時点での3Dライブアニメの精度は、メカを描くには最適だけど、人間などの自然物を描くには難あり……って感じでした。

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音楽の方は、高橋哲也の劇伴の他に、国内外の様々なアーティストから提供された楽曲が場面を彩ります。
いずれも前衛的なアーティストで、例えばBoom Boom SatellitesやPaul OakenfoldやBasement Jaxxなど。
エレクトロ・ミュージック好きな人は絶対気に入るサントラになってます。

戦闘始まるとかっこいい曲が流れる……って感じですね。



アンストッパブル

アンストッパブル (2010年、アメリカ)

感想 (2013年6月30日、TV録画にて鑑賞)

(ブロ友さまからのレビューリクエストです)

2001年にアメリカ、オハイオ州で起こった列車暴走事故をもとにした実話ベースの映画。
危険な薬品を積んで暴走を始めた無人の貨物列車を、2人の勇気ある鉄道員がなんとか止めようとする物語です。

監督は、トニー・スコット。「トップガン」などで知られるメジャー監督ですが、2012年にこの世を去ったため、この映画が彼の最後の監督作品となりました。
主演は、スコット監督と何度もタッグを組んできたデンゼル・ワシントン。暴走列車を追いかけるベテラン機関士・フランクを演じます。
フランクの相棒役には、新「スター・トレック」でカーク艦長を演じたクリス・パイン。コネで入社し、ミスばかりの新米車掌・ウィルを演じます。

共演には、操車場の若い責任者を演じたロザリオ・ドーソンの他、ケヴィン・ダン、イーサン・サプリー、ジェシー・シュラム、ケヴィン・コリガンなど。
溶接工のネッドを演じたリュー・テンプルもなんかかっこよかったですね。吹き替えのせいもあると思うんですけど。


機関士の些細な気の緩みから無人で走りだしてしまった機関車<777号(トリプルセブン)>。
最初のうちは、「ブレーキが効いてそのうち自然に止まる」と思われていましたが、やがて力行(加速状態)にあることが判明し、鉄道会社のスタッフたちは慌てます。
さらに積荷の中には発火性の有毒物質が大量にあることが分かり、このまま777号が走り続ければ市街地で脱線し大爆発を引き起こすとして、さまざまな停止作戦が行われます。

別の操車場の機関士フランクと新米車掌ウィルは、この事件を知り、運転していた機関車<1206号>を使って、会社の命令に逆らい777号を止めようとしますが……。


いやーまさにこれこそハラハラドキドキの展開!
緊張感の持続が素晴らしいですね。
有害物質を積み暴走するもはや「ミサイル」と化した機関車を止めるため、様々な停止作戦が試されますが、一向に止まらない777号。
息をつかせぬ展開で、ある意味ではこれも「ジェットコースター・ムービー」と呼べるのでは?(笑)

フランクとウィルが乗った機関車が、777号と向い合って走ってたりとか、ものすごいドキドキですよね。
単線の線路なのでこのまま行けば正面衝突。すれ違うために各所にある側線に入れるのかどうか、向こうからやってくる777号がどのくらいの速度なのか分からない恐怖。
加えて新米ウィルが間違えて貨物車を多く繋いでるというね……(笑)
フランク冷静だったけど、見てる方はすごく心配しましたよ……。

そこからの止まらない列車の追走劇。
損害を最小限に抑えようとして結果事態を悪化させてしまう会社上層部や、上層部に表向き従いつつもフランクたちに協力する操車場長コニーとの人間ドラマ、そしてなによりも、始めは険悪な関係だったベテラン機関士と新米車掌が徐々にバディとして行動していく様子。
この題材なら当然出てくるような、ある意味ベタなエピソードばかりですが、何故かそれらが面白いんですよね。見せ方が巧いんでしょうか?


主人公のフランクが、ヒーローとしてではなく、いや事実ヒーローなんですけどあくまで普通のオッサンとして描かれているのも好感持てました。
彼は何も超人的な能力を持っていないんですよね。勤続28年という経験の他には何も武器を持っていないんです。
新米車掌を見れば嫌味の一つも言うし、会社から退職を通告されていることに憤りを感じている……。
そんな、超人でも聖人でもない普通のオッサンが、一人の鉄道マンとして強大な敵<トリプルセブン>に立ち向かっていくわけですね。

たぶん、彼の行動は、自分の仕事に誇りを持っていたから出来たような気がします。
街を救って人々から称賛されて誇りを得るのではなく、彼は最初から自分が鉄道員であることに誇りを持っていたんじゃないかと。
うまく言えませんが、自分も仕事に対してそんな思いを持ちたいなと思いました。

あと、敵役の777号もなんか強すぎで良かったですね。
悪役と言ってしまっていいのか……とにかくあそこまでの強さを見せつけた敵は久しぶりな気がします。
人間の悪役も777号のパワフルさは大いに見習うべきですね。

【映画】ライアーゲーム 再生

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ライアーゲーム 再生(リボーン) (2012年、日本)

感想 (2013年6月2日、TV録画にて鑑賞)

(ブロ友さまからのレビューリクエストです)

甲斐谷忍の原作漫画を実写化したTVドラマ「ライアーゲーム」の劇場版第2作。
監督は劇場版第1作「ライアーゲーム ザ・ファイナルステージ」を指揮した松山博昭が今作でもメガホンをとります。

主演は松田翔太。孤高の天才・秋山深一をクールかつダーティーに演じます。
今回、秋山に助けを求める新ヒロイン・篠宮優には多部未華子。前作まで出ていた戸田恵梨香演じるヒロインは今回出てきません。

その他の共演では、今回何故かプレイヤーではなく高みの見物だった福永を演じる鈴木浩介と、いつも通り高みの見物の谷村を演じる渡辺いっけいがいつもの顔触れ。
キャストのほとんどがシリーズ初出演で、船越英一郎、小池栄子、要潤、池田鉄洋、高橋ジョージ、新井浩文、江角マキコ、芦田愛菜などなど。
プレイヤーだけで20名もいて、書き出すとほんときりが無い……(笑)


物語は、原作で人気のエピソード「椅子取りゲーム」に挑戦することになった篠宮優の戦いが描かれます。
勝てば莫大な賞金を手にするが、負ければ億単位の借金を背負うことになる<ライアーゲーム>。
ある日、突然届いた招待状によって否応なくゲームに参加することになった優は、大学で教鞭を執っている秋山に助けを求めます。

一風変わった椅子取りゲームを、<国取りゲーム>だといち早く見抜いた秋山。
プレイヤーは派閥に分かれ、三つ巴の争いになっていきます……。

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まあ、いつもどおり、知略を尽くしてる感じはするんですが、なんかいまいちノレないのもいつもどおり。
中田ヤスタカのBGMが最高にキテまして、ドラマ版のサントラを持ってるくらいBGMは好きなんですが、さすがに2時間の枠の中で同じBGMが2度流れてくると「またかー」「また立場逆転かー」と思ってしまうのが残念。

どんでん返しがたくさん用意されているんですけど、そのせいで「どうせまたどんでん返し」ってなってしまって。
そこへ前のと同じBGMが流れることでより「どうせまた」が強調されてしまうというか……。
中田ヤスタカさんに罪はないんです。それどころか素晴らしい楽曲を提供してるんですけど、それを安易に使い過ぎなのかも、この映画が。


全体的に動きが少ないのもあんまり好きじゃない部分で……。
ひとつの広間での会話を中心とした展開に終始してるので、それもシーンに既視感を与えて「どうせまた」と思わせる理由かな、と。
「閉鎖された空間での人間ドラマ」ってジャンルはむしろ好きなんですけど、この作品は意図的に集められ閉じ込められるタイプで、そうするとどうしても「なんのためにライアーゲームがあるのか?」って疑問が湧くんですが、そのへんについての説得力が弱いですよね。(毎度のことですけど)

あと、今回の副題「再生(リボーン)」ですけど、大仰なタイトル付ける割りには、椅子とメダルを取り合うだけのやりとりなんですよね。
このシリーズは、副題に「ザ・ファイナルステージ」とか付けないで、「今回のゲームはこれです!」を宣伝するためにも、「ライアーゲーム 椅子取りゲーム」とか「ライアーゲーム エデンの園」とか、ゲームの名称を冠したタイトルの方が、内容の規模的にも合ってると思いますね(笑)

後半は、椅子よりもメダルの方が大事になって、<捨てメダル>を<本命メダル>に変えたり、さらに<本命メダル>をなんか別の意味を持つメダルに変えたりとか、もう椅子のことなんかどうでもよくなってくる事態に。
結局、突き詰めればこれ誰が主導権を握るかってそれだけの話ですからね……。
主導権がこっちに移った、あっちに戻った……それだけを追いかけるようになっちゃうんであんまり楽しめないんです。


ただ、社会学的な見方をする人もいるようで、某レビューによれば、3つの派閥は社会主義・独裁主義・新自由主義を表現していて、ゼロサムゲームの中で椅子だけが減っていく状況は、不況の中での競争社会を表わしているんだとか。
そういう見方をすると実は深いメッセージが込められている映画みたいです。

でも、深いテーマを示唆するような描写は僕には見当たらなかったわけですが……。



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