劇場アニメ「楽園追放」を見たすべての人に読んでほしい続編小説。

個人的に「楽園追放」の結末は少し引っかかっていた私だが、この本は原作(前作)で叶わなかった一つの可能性を拾い上げてくれただけでなく、原作に勝るとも劣らないバトルやドラマが展開する、2.0の名に相応しい内容。
しかも宇宙が舞台。やっぱり地球編の後には宇宙編が来ないと…。
これは映画化待ったなしだね!

楽園<ディーヴァ>がいかに虚構であるかとか、少年たちの青春三角関係とか、相変わらずのあのAIだとか、原作よりも突っ込んだ内容もあれば、原作で気づけなかった魅力に気づいた部分もある。
アンジェラは成人ボディでも、ものすごい逆境でも、アンジェラアンジェラしてて可愛いし。

それから途中で強いメッセージも取り上げられ、それが現代日本の歪んだ構造に対する叫びになっているし、そもそも深宇宙を目指すというセンス・オブ・ワンダーにあふれすぎている。
読んでて気持ちの良いSFだった。

原作アニメが好きだった人は当然楽しめると思うし、私のような「結末がちょっとね…」だった人は、この本がそれを補完して余りある面白さだと思う。
ああ本当にこれを映像化してくれないかなあ…。



楽園追放2.0 楽園残響 Godspeed You
大樹連司
ハヤカワ文庫JA