ホーンズ 容疑者と告白の角

恋人殺しの容疑をかけられた主人公。
住民たちから「悪魔め!」と罵られ続ける毎日。
そんなある日、頭から二本のツノが生えてくる。

この悪魔のツノの前では、誰もが本音を曝け出しタガが外れてしまう。
ツノの不思議な力を使って、主人公は真犯人探しに乗り出す。
ブラックユーモアに溢れる映画。

アイディアが面白いし、そのアイディアをしっかり活かす物語や設定が良かった。
あのツノは牛のものでも羊のものでもダメで、悪魔のツノでなければならない理由が少なくとも二つあるのが偉いなと思った。一つは前述の通り。

もう一つは、角が生えてくる原因が、おそらく主人公の罰当たりな行為だということ。(明確な言及はない)
神を冒涜することで堕天して悪魔になるという戒めでもある。
さらに面白いのは、悪魔となったはずの主人公も、真犯人を捕まえることで多少なりとも報われるということだ。
それはまるで神に与えられた試練を乗り越える姿であり、だから最後に一瞬だけ翼が天使のように見えるのも納得してしまう。人は天使にでも悪魔にでもなれるのだ。

田舎の小さな町を舞台にしており、そのスケールも作品にピッタリだった。
田舎ならではのロケーションとか、狭い人間関係が物語の大事な要素になってる。
特に狭い人間関係、「お前もか」「お前もなのか」と笑ってしまった。
人の多い都会ではここまで拗れないだろう。

ハリポタのラドクリフが精神的に疲弊していく主人公を演じることも、何かの映画的効果があったんじゃないかと、そう思いたい。



ホーンズ 容疑者と告白の角
(2013年/アメリカ)
【監督】
アレクサンドル・アジャ
【キャスト】
ダニエル・ラドクリフ
ジュノー・テンプル
マックス・ミンゲラ
ジョー・アンダーソン
デビット・モース