実績もなくジムから追い出されようとしている底辺ボクサーが、スター選手の気まぐれによって人生最大のチャンスを得る。
千載一遇のアメリカン・ドリームを意地と根性で掴みとろうとする物語。

ただしこの「ロッキー」は、ボクシングの撮影手法などで後の映画に大きな影響を与えた作品らしいけど、このシリーズはボクシングを通して一人の男と周囲の人々の人生を描いている。
とりわけこの一作目はロッキーとエイドリアンのラブロマンスも丁寧に描かれ、恋愛映画ということもできると思う。

内気な女エイドリアンに絡むロッキーがしつこさが面白くて、会いに行く口実にペットショップの犬を利用してるのかと思いきや本気で犬も好きだったりする。
真っ直ぐなヤツということがよく分かる。
亀にもガンガン話しかけていくスタイル。

トレーナーのミッキーとのやりとりにしみじみ。
悪友ポーリーの粗暴な兄貴っぷりもざわざわしていい。

試合の劇的な幕切れと共に映画は終わる。
あの誰もが知ってる名台詞(というか名前連呼だが)と共に。
最後の最後に盛り上がりを持ってきて潔く終わる。
やはりクライマックスはボクシングだけれど、見所はそれよりも前にあるドラマ部分だと思う。



ロッキー
(1976年/アメリカ)
【監督】
ジョン・G・アヴィルドセン
【キャスト】
シルベスター・スタローン
タリア・シャイア
バート・ヤング
バージェス・メレディス
カール・ウェザース