60年代から70年代まで流行したアメリカン・ニューシネマ最後期の作品。
アメリカン・ニューシネマって言葉はよく聞くけど実はなんだかよく分からなかったので調べてみたら、反体制的な若者を描いた映画で、ベトナム戦争当時のアメリカの暗いムードが反映されたものらしい(←かなりテキトー)

この「タクシードライバー」もそんな自省の時代に作られた映画で、ベトナム帰りの元兵士の男が、世の中に馴染めずに不満と狂気を抱えながら、タクシー運転手として孤独に過ごす姿を描く。

不穏な劇伴、繁華街を彩るサックスのエロい響きの中で、タクシーを流すトラヴィスが映し出される。
ニューヨークの華やかなネオンの下は喧騒と犯罪で溢れかえっており、そんな夜の街を、世の中をトラヴィスは内心嫌悪している。

そんな時に出会った高嶺の花とのランチ、そしてある大統領候補との握手。
トラヴィスにも居場所がある、誇らしいことがある、世の中を変えることができるかもしれない。
だがそれはまやかしに過ぎなかった。孤独な男は孤独なまま。彼はますます内なる怒りを膨らませていく。

やがて狂っていく、というか調子にのっていくトラヴィス。
自分が思う世直しを実行しようと計画を立てる。
「ひとりよがり」まさにこの言葉がピッタリな主人公。

終盤になって突然の大立ち回りがあり、かっこいいと言えばかっこいいが、正直よく分からない。
彼の行動は場当たり的であり、自分の怒りを他者にぶつけただけにも見える。日頃の鬱憤を関係ない人間相手に晴らしただけに思える。

だが映画の結末ではトラヴィスの表情は明るい。
彼のひとりよがりの思いから始まった場当たり的な行動は、結果として彼の自意識を充分に満足させた。
そのラストには疑問を感じてなんだかモヤモヤする。
だがそれこそがこの映画が投げかけた問いだったのだろうし、このモヤモヤがアメリカン・ニューシネマ、ということなのかもしれない。

若いロバート・デ・ニーロの有名なセリフ「You talkin' to me?」や、衝撃的なイメチェン、そしてラストの大立ち回りなどが「かっこいい」と評されることもあるようだが、個人的には、それをかっこいいと感じてしまっていいのだろうか、そんな風に考えてしまう映画だ。





タクシードライバー
(1976年/アメリカ)
【監督】
マーティン・スコセッシ
【キャスト】
ロバート・デ・ニーロ
シビル・シェパード
ハーヴェイ・カイテル
ジョディ・フォスター
アルバート・ブルックス