今頃のレビューになってしまったけど、声優アイドルユニットWake Up, Girls!のシングル「Beyond the Bottom」。
12月9日リリースということを改めて考えると、まだそれだけしか経ってないんだな、という感じだ。
1ヶ月は経ったけど2ヶ月は経ってない。そのことが少し不思議なくらいずっと前から聴いているような気がするのは、リリース直後に公開された続・劇場版・後編「Beyond the Bottom」でこの曲を主題歌として何度も聴いたからかもしれない。

続劇前編の主題歌「少女交響曲」は夏クールに放送された「わぐばん!」のエンディング曲にもなっていたから、満を持して…って感じのリリースだった。
しかし今回の「Beyond the Bottom」は、リリース前に期待で胸をふくらませる時間も少なかったし、リリース後に聴きこんで続劇後編に備える時間もなかった。

それだけに最初にネットでこの曲の動画を見た時は、ほとんど動揺に近い驚きがあった。
それは、アニメ「Wake Up, Girls!」を締めくくるとしたらこれ以上に相応しい曲はないほどの神曲だったからだ。
WUGが終わってしまう…!と危機感を覚えるほどの出来の良さだった。

作・編曲はMONACAの田中秀和。 「少女交響曲」に引き続き、ストリングスの響きが印象的で、きらびやかで壮大な世界観を作り出している。
イントロのヴォイス・コラージュなども特徴的。そして何よりも、すごくポップスっぽい。
なんというか、今まではあくまでもアニメソングという感じだったのだが、今回はとてもヒットチャートっぽい。他のアイドルさんの曲に混ざっていても遜色ない、というよりむしろ優ってるとさえ思えてくる。

それはこの曲のキャッチーなメロディと、歌詞も含むシリアスな世界観が、アニメっぽさを排しているせいかもしれない。
そんな世界観を創り出した大きな要素の一つは、辛矢凡こと監督・山本寛による歌詞だ。
インタビューでは、最初の劇場版主題歌「タチアガレ!」と対になる楽曲と語っていたが(相対するのではなく、セットになるという意味だと思う)、まさしくこれも絶望の中から立ち上がる歌だ。

それから、歌声の面から見てもとても聴き応えのある曲だ。
WUGを見たり聴いたりしていると7人全員の声が好きになってくるのだが(MVみんなキレイになってるけどいったいどうした!?)、特にこの曲では、吉岡茉祐、山下七海がフィーチャーされている。
サビ前のまゆちゃんの伸びやかな声、ななみんの間奏での「未来の永遠さに僕達は苦しむ」というフレーズは続劇後編の内容と重なる。

他にもひとつひとつのフレーズがとてもかっこよくて、改めてヤマカンの作詞力は本物だと思う。
「混沌(カオス)となったこの自由から逃げ出そう」なんて意味深な歌詞、みなさんはどう解釈しますか?

自由だけどカオス、そこから逃げ出そう…。その後には「未来の永遠さ」に苦しんだり、「幸せに裏切られ」たり…。
少年少女が大人になるにつれ味わう絶望、現実の厳しさに立ち向かうという意味だろうか?
でも「世界中の憎しみを全部僕が受け止めるから」と歌うことで、閉塞したまま終わりゆく世界そのものに対する応援歌のような感じもする。
まあ大は小を兼ねるというし、いろんなレベルでのBeyond the Bottomが含まれているのかもしれない。

「傷だらけになってでも必ず僕は君を護る。
それが僕には最後の生命の燃やし方だから」



カップリング曲は只野菜摘・作詞、MONACAの広川恵一の作・編曲による「地下鉄ラビリンス」。
こちらは「Beyond the Bottom」と対照的に楽しく元気な曲。
大都会・東京の複雑な地下世界を迷宮にたとえ、都会での生活を始めたばかりの女の子の気持ちを歌っている。
東京と明言はされてないけど、間違いなくそうだろう。(ちなみにリリース直前の12月6日に聖地である仙台で地下鉄東西線が開業したばかりだが、とてもラビリンスといった感じではない)

女の子の気持ちと書いたが、私自身も東京旅行に行った時にその迷宮ぶりに悩まされたので、誰でも共感できる歌だと思う。
「最短距離じょうずに行けない」し、「ちゃっかり乗りかえたりできない」し、「自分ではカフェにさえ入れない」んだよ!そうだそうだ!
よっぴーの「割りこんだりなんかもしたくない!」ってのすごく男前で惚れました。(ほんとに七瀬よっぴーらしくて好き)

個人的には、この曲を聴くと二次元のWUGさんが思い浮かぶ。
続劇で東京に進出し、仙台―東京間を行ったり来たりしているおイモちゃんな彼女たちの心境を歌っているのか、それとも新プロジェクトでI-1 clubと合併することで拠点を東京に移した彼女たちなのか…。
どちらにしても、東京での新生活に心躍らせるWUGちゃんの希望に満ちた表情が浮かんできて、こっちまで勝手に嬉しくなる曲だ。

ちなみにメンバーの永野愛理がダンスの振り付け、そしてタンバリンも担当してるらしい。こういう手作り感好きです。
ついにミュージシャンとしてデビューも果たしたWUGさん(笑)
今後は、作詞なんかにも挑戦してみてほしいなーと思った。


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Beyond the Bottom
Wake Up, Girls!
DIVE II entertainment / avex pictures, 2015

[CD]
Beyond the Bottom
地下鉄ラビリンス
Beyond the Bottom(Instrumental)
地下鉄ラビリンス(Instrumental)

[DVD]
Beyond the Bottom MV