小川の辺

脱藩した親友を斬れと命じられた侍。
しかし実妹を娶った親友と立ち会えば、必ず妹は自分に刃向かってくるだろう。

「田鶴は、手向かってくるであろうな…」

冒頭から旅立ちあたりまでとても良かった。
静かで重い雰囲気の中に、親友を討てという藩命に逆らえない武士・武家としての苦しい心境と、妹だけは連れ戻したいというわずかな期待を落とし込む。
冒頭から序盤にかけてのわずかな間に、しっかりと武家社会ならではの悲哀を浮き彫りにしている。

旅の途中は回想シーンを織り交ぜつつ展開する。むしろ回想がメインかもしれない。
脱藩した親友が藩政を批判したそもそもの経緯や、剣術の心得がある妹・田鶴(たづ)のことであるとか。

途中まで田鶴が登場しないのでその初登場シーンに期待してしまったが、残念。
どんな劇的な再会になるのだろうと思っていたら、意外にも回想シーンであっさり登場してしまった。
せっかく「剣術できる勝ち気な妹とはいったいどんな顔してるのか」と少しだけ気を持たせてくれたので、もっと焦らして終盤でバーンと登場させるのも一興だと思った。
ちょっともったいないと思ってしまった。


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小川の辺
(2011年/日本)
【監督】
篠原哲雄
【キャスト】
東山紀之
菊地凛子
勝地涼
片岡愛之助
尾野真千子
松原智恵子
笹野高史
西岡徳馬
藤竜也