mazerunner2

メイズ・ランナー2 砂漠の迷宮
(2015年/アメリカ)
【監督】
ウェス・ボール
【キャスト】
ディラン・オブライエン
カヤ・スコデラリオ
トーマス・ブロディ=サングスター
キー・ホン・リー
ロサ・サラザール
ジャンカルロ・エスポジート
エイダン・ギレン
ジェイコブ・ロフランド
デクスター・ダーデン
バリー・ペッパー
リリ・テイラー
パトリシア・クラークソン

*感想

謎の巨大迷路に閉じ込められた若者たちの戦いを描いた「メイズ・ランナー」の続編。
苦境を乗り越え迷路を攻略し、外の世界へと脱出したトーマスたち。
しかし、彼らを迷宮に送り込んだ謎の組織「WCKD」(ウィケッド)は、さらに過酷な運命を彼らに突きつける。

トーマスたちの前に現れたのは、灼熱の太陽に焼き尽くされて全てが崩壊した世界だった。
トーマスたちは、別の迷路を生き残って来た新たな仲間たちと共に、自由を求めてどこまでも続く危険な砂漠へと足を踏み入れる。



1作目はとても面白くて、個人的な上半期ベスト10作の中にも入ったのだが、続編となる今作は正直フツーの出来栄えだった。
最後までノレなかったという点ではむしろビミョーな映画かもしれない。

ただ、これはある程度予想していたことでもある。
1作目は、ダンジョンを段階的に踏破するようなゲーム性や、巨大な構造物の異様な存在感・重厚感が素晴らしかった。
だが、1作目の最後に主人公たちはメイズを攻略してしまう。2作目はそこから脱出した後の話になるということは誰の目にも明らかだった。

もうあの違和感アリアリの巨大迷宮は過去のものになったのだ。
今作は外の世界をさまよう物語が展開する。
前作とはまったく違う作品になることは観る前から分かっていたはずだ。
それでも受け入れられずあーだこーだ言ってしまう自分がいる(笑)

そもそも宣伝する側も「メイズ」から離れることができてないみたいだ。
邦題は「砂漠の迷宮」。「地球スケールの第2ステージでの…」みたいなイントロダクション。
もはや「迷宮」は出てこないし、「ステージ」をクリアすることが目的でもないのだ。なんなんだよ「地球スケールのステージ」って…(笑)

それでも、もしかしたら迷宮とは別の形でメイズが登場するのかもしれない、とか薄っすら期待して観てたのだが、残念ながら私が観たがっていた「何か」は最後まで出なかった。
ああ、もう完全にメイズ関係ないんだな…と、終盤あたりで気づく。

Maze Runner Scorch Trials

メイズの出ないメイズ・ランナーとして見ても、特筆すべき点がないような気がする。
構造物の異様さを感じられる場面もひとつだけあったけれど、ミステリアスな雰囲気は皆無で単にアトラクションとしての使われ方。
前作の迷宮は「えーッ!なんで動くの、誰が動かしてるの!?」みたいな混乱があったんだけど、今作のアトラクションは単に背景でしかない。

タイトルの「ランナー」の部分はしっかりと今作でもやっていた。
全力疾走に次ぐ全力疾走。
しかし、あまり何度もやられると「どうせ間に合うでしょ」という考えが浮かんでしまう。
食事も取らずに疲弊してるはずなのにそのパワーはどこからくるのか、そっちばかり気になってしまう。

新たに登場したクリーチャーについても、驚きや恐怖以前に既視感がまずある。
見た人はけっこうな確率で「バイオハザード」を思い出すかもしれない。
あのクリーチャーを蹴散らすためにWCKDは前作のクリーチャーを野に放てば良いと思うんだが、どうだろうか。

男子たちの友情描写は相変わらず良かったけど、ニュートがすっかり空気になっていたのが解せない。
彼は1作目ではリーダー格として終わったはずなのだが、その座を主人公トーマスが奪う展開もなければ、二人で言い争いになるシーンもない。
気がつけばいつの間にか強引なトーマスに物言わずに付き従っているニュート。
2作目では当然友情の崩壊という展開があると思っていたので、そこも肩透かし。

ニュートよりも数段目立ってたのが、ミンホだった。
強運なのか不運なのか分からない活躍ぶり。
ただ、ドラマ部分を動かしていくキャラクターではないので、「ミンホ面白えw」で終わってしまうのが残念。

若者だけだった前作と違って、大人たちが大勢出てくる。
「自由を求める若者VS大人の事情」という構図になってるのだが、例の如く主人公たちに真実は明かされてないので、出る大人がみんな胡散臭い。
基本的に「いつ裏切るのか」みたいな見方しか出来ないので、ホッと一息つける場所がないという意味では緊張感が持続していたかもしれない。

そして最後にまさかの人物がまさかの裏切り方をしてきて、物語は最終局面へ。
彼らの安息の地はどこにあるのだろうか。
正直、メイズを出てしまった時点でもう1作目の興奮はないのだけど、乗りかかった舟なので最後まで見届けようと思う。
3作目で有終の美を飾ってくれることを、懲りずにまた期待します。