ピッチ・パーフェクト2
(2015年/アメリカ)
【監督】
エリザベス・バンクス
【キャスト】
アナ・ケンドリック
レベル・ウィルソン
ヘイリー・スタインフェルド
ブリタニー・スノウ
アンナ・キャンプ
クリッシー・フィット
ハナ・マエ・リー
エスター・ディーン
アレクシス・ナップ
スカイラー・アスティン
ベン・プラット
アダム・ディバイン
エリザベス・バンクス
ジョン・マイケル・ヒギンズ

*感想

女性だけのアカペラチーム「バーデン・ベラーズ」は、全米大会3連覇中で向かうところ敵なし。
しかし、オバマ大統領の誕生日を祝うパフォーマンスで大失態を犯してしまい、人気は地に落ち、活動禁止の処分になってしまう。

名誉挽回のためアカペラ世界大会での優勝を目指すベラーズだったが、そんな時にドイツから史上最強のライバル「ダス・サウンド・マシーン」が現れる。
さらに、新たな部員エミリーの登場や、音楽業界の道へと進みたいベッカの挑戦など、ベラーズに変化の時が訪れる。



大好評を博した前作「ピッチ・パーフェクト」の続編。
前作は大学に入学したベッカがバーデン・ベラーズのクロエやオーブリーと出会い、仲間との友情を育む物語だった。
今作もテーマはそのままに、あれから3年経って大学4年生になったベッカとベラーズが描かれる。

冒頭からいきなりのステージ。前作の栄光のラストのあと、常にトップを走り続けてきたベラーズの姿が映し出されて、ピッチ・パーフェクトの世界に再び呼び戻される。
あれ?でもファット・エイミーいなくね?なんで?あっ、このあと派手に登場するんだな!おっ、くるぞくるぞ、エイミー出るぞ…!
…って身構えていたのに、エイミーが出てきてやっぱり笑ってしまう(笑)こっちが心の準備しててもさらにその上をいく彼女には、笑いの神が宿ってるよ。

この冒頭の数分で、彼女たちへの愛着が一気に呼び起こされる。ベッカだ、エイミーだ、クロエだ、ハナ・マエ・リーだ、シンシアだ、ステーシーだ、あれ、新顔もいる!
いったんそうなってしまうと、もうストーリーがどうとか関係なく、終始ニコニコしながらベラーズを見守る、いちファンになってしまう。
前作に立ち会ったのは今年の7月で、それからまだ3ヶ月しか経っていないのに、ベラーズの相変わらずのハチャメチャなドタバタぶりにはノスタルジーを感じた。

物語のスケールは前作よりも大きくなった。でも、やっていることは前作と同じかもしれない。
前作も逆境からのスタートだったし、バラバラだったチームが一つになる過程をまた描いている。ベッカはアカペラと別の所でまた自分を売り込んでるし、リフ・オフもまたやってくれる。パーティーのシーンなんてもうね、既視感ありあり。

でも、同じことの繰り返しとか関係ないんですね!
ベラーズの彼女たちも、トレブルメーカーズのアイツらも、ちょっとウザいアイツも、みんなみんな大好きなキャラクターなんですよ!
司会2人の毒っ気たっぷりのトークも、もはや夫婦漫才に見えてきて微笑ましいんですよ!
繰り返していいんです!ずっと繰り返しててほしい!


繰り返すといってもやっぱり新しい要素はいくつもあって。
一番大きいのはヘイリー・スタインフェルドが演じる1年生エミリーが、ベラーズに新加入したこと。
新人ならではの失敗もするんだけど、ベッカとお互いの不足を補うような関係になっていくのが良かった。(ファイナルのステージなんて泣ける)

前作でベッカが経験した、いわゆる恋愛パート。
今作ではなんとファット・エイミーが大恋愛を披露する。
でも、やっぱりエイミーなので全力でコミカルだったけど。

あと、前作でベッカと対立する役だったオーブリーが、意外な登場で笑わせてくれたのは続編ならではの要素。
いやもう、本当にハマりすぎですよ、オーブリー(笑)
そういえばクロエの設定も地味にアタマおかしい。

そういう前作と違う要素もひっくるめて、相変わらず楽しく青春を謳歌している主人公たち。
だが、ふいに夢と現実、青春と卒業なんてテーマが顔を覗かせ、寂寥感を醸し出す。
ちょっとのノスタルジーと、センチメンタル。これが味わえたのは、やはり続編だからだろう。

そして、そのセンチメンタルを受けてのラストがものすごく夢のある、夢の終わらせ方だった。
ベラーズのスピリッツの結集、アカペラって、仲間って、こんなに素晴らしいんだという人生賛歌。
24時間テレビの最後のサライなんて軽く越えていくクライマックスで、ダイレクトに涙腺を刺激された。こんなの見せられたら、泣くしかねえじゃねえかこんなん。