機動戦士ガンダム 鉄血のオルフェンズ
#2 バルバトス
*感想

前回端折ったガンダム初搭乗シーンを序盤でちゃんとやってくれてた。
前回ラストのドォーン!ガァーン!の急ぎすぎた展開の舞台裏を今回序盤で語った形。
やはりテレビシリーズとして第1話でガンダムが勝たなきゃいけないというガイドラインがあるのかな…。



命を危険に晒してまでガンダムを動かす三日月と、自分の命を軽んじるなと横から口を出すクーデリア。
でも、貧困を味わったことのないお嬢様のそれは勝手な心配にすぎない。
自分の命を軽く見てるとかそういうことじゃなくて、仲間の命を救うためには自分が出撃しなければならない。その証拠に三日月は自分も死にたくはないと発言している。

「死ねばまた会えるから」などと平然を装いつつも、三日月はやはり仲間の死に何かを思うはず。
ただ、目の前で仲間が死んでる時に命の尊さなんか語っていられない。ただ単純にそれだけなんだろう。
それが貧困を頭で理解し言葉で解決しようとしているクーデリアには分からない。
そもそも少年兵たちには選択肢すらないのだ。言葉を発する権利さえも。

戦闘後のやりとりでも三日月とクーデリアはすれ違う。
戦闘は自分を狙ったものだった、自分のせいで少年兵たちが死んだ、と責任を感じるクーデリア。
いたたまれなくなって謝ろうとする彼女を三日月は「マジでやめて」と拒絶する。

三日月としては、クーデリアたった一人のために仲間が大勢死んだなどと思いたくない。
それを認めることは、クーデリアたち貴族的階級の命はクリュセや火星の行く末を左右するほどに貴重で、反対に自分たち少年兵は彼女を守るために散っていく虫ケラのような命だと認めることになる。

事実、既にそうなっているし、そうだからこそ今回の襲撃による悲劇があるわけだが、それを自分のために死んだ屍の上に知らずに立っているクーデリアの方から示されて受け入れるほど三日月は優しくはない。
そんな現実は三日月も気付いているし、痛いほど身に染みている。
その上でクーデリアが自分の自尊心のために謝罪することを許さなかった。

だけど、第1話の握手拒否に続いて今回の謝罪拒否と、クーデリアとしては八方塞がりの状況(笑)
クーデリアは辛い目にあっている少年兵たちと心を通わし現状を改善してあげたいと思っているんだけど、それが少年兵の側からすれば、彼女自身の目的のために近づいてきているように見えなくもないのかもしれない。
まあでも、クーデリアを拒否りまくってるのに、オルガの言うことは無条件で何でも聞くとか、三日月も充分身勝手というか、フェアではないよな…。

虐げられる少年兵たちが主人公ということで、殺伐とした世界観というか、背景・下敷きがあると思う。
そういう感じが三日月やオルガのセリフの端々に表れている。それはクーデリアが聞けば命を軽んじている言葉になるのだが、少年たちにそのつもりはない。
むしろそれがどうしようもない現実でもあるわけで、それに異を唱えることは富裕層が現実を直視していないことを露呈させる。クーデリアはたった2話で自分の無知を露呈させまくりである。


一方で、どうしようもない残酷な現実の中でも人間は笑うことをやめない。
ビスケットの双子の妹クッキーとクラッカーはこの作品の無邪気な癒やしになるだろうか?
クーデリアお嬢様はアトラたちには拒否されなかったので、女の子同士仲良くやってほしい。

それからカッサパのオッサンのドジっ子っぷりとかズルいでしょ…。
なんなのCGS…、たまたま埋めてた地雷が役立ったり、給油忘れたり…(笑)
また、初稼働にかかり切りで基本的なこと忘れてたとか言い訳がカワイイ。

「死ぬ時はでっけえおっぱいに埋もれて死にたいって言ってたじゃねえか!」
この言葉も、エロ本でしか女を知らず、女の柔らかい肌に触れることもないまま死んでいった少年兵のあまりに短い一生を表しているんだが、一方で作品のユーモアと捉えてもいいんだと思う。
正直、ちょっと笑ってしまったし、そういう演出になっていると思う。

数ある言葉の中から「でっけえおっぱいに埋もれて死にたい」を脚本家はわざわざ選んだわけで。
当然笑われることも泣かせることも想定しているんだと思う。
そして、過酷な戦場にあって何の意味も見出せずに死んでいく少年兵の姿は、ある意味でどうしようもなく滑稽である。
身体に埋め込んだデバイスしか残らないなんて、まるで最初から存在しなかったかのような扱われ方だ。



次回はクランク二尉がCGSに改めて攻撃を仕掛けてくる?
子供を殺すことを嫌がり、せめてその罪は自分一人でかぶろうと出撃する老兵。
模範的な軍人といった感じだが、この人も三日月に論破されてしまいそうな気がする。

武器を持って戦う以上、そこに大人や子供の区別はなく、事実、三日月は大人の兵士を殺してCGSを守っている。
「子供だから」という理由では、ある意味クーデリアと同じ立場にいるとも言える。
この清く正しい軍人、しかしおそらくそれゆえに二尉に甘んじている老兵が、三日月と対峙して何を語るか、三日月が何と切り返すか気になる。

とても面白くなりそうな雰囲気は第1話同様に今回もあり、今回は終わるのがとても早く感じた。