(2015年/日本)
【監督】
長井龍雪
【キャスト】
水瀬いのり
内山昂輝
雨宮天
細谷佳正
藤原啓治
吉田羊
*感想
オリジナルテレビアニメ「あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない」(以下、あの花)のメインスタッフが集結し、再び秩父を舞台に作り上げた青春物語「ここさけ」。
製作はANIPLEX傘下、信頼と実績のA-1 Pictures。
劇場版「あの花」が興収10億円を叩き出した2013年当時のブームには乗り遅れた私だが、最近「あの花」テレビ版を鑑賞したことや、長井龍雪監督がこの秋始まるテレビアニメ「機動戦士ガンダム 鉄血のオルフェンズ」の監督も務めていることもあり、むしろ「ここさけ」鑑賞は必然だったと言える。(前売券も買っていたことだし)
この長井龍雪は、アニメファン以外も映画館に呼び込めるという点で、「バケモノの子」の細田守と同様の立ち位置にいるのかもしれない。
個人的には良い映画だと思ったし、観客満足度もとても高いようだ。
「あの花」での感動を期待しつつ観に行った観客を裏切らない内容だった。
美しい作画、青春を絵に描いたようなストーリー、キャストの演技。
どれを取っても非の打ち所がない。
でも、感動はしたのだが「大感動」ではなかった。
非の打ち所がないだけで、大好きなお気に入りの作品になるわけではない。
誰にも受け入れられるということは、尖った作品ではないということで、大きく尖った部分がなかったからこそ、私の心に深く刺さることはなかった。
(まったく尖ってないわけではないし、まったく刺さらなかったわけではない)
じゃあどこが良くなかったのかというと、そんなものはなく、この映画は良かった。
しいて言うなら、クライマックス最大のヤマ場となる歌唱シーンで、肝心の歌詞が聞き取れないことくらいか…。
音楽好きにはとてもたまらない粋な演出をやってるのだが、それが仇となっている凄く惜しい場面だ。
おそらくそこまでで描かれた様々な感情を一気に浄化させる感動のシーンなのだが…。
でも、それにしたって作品の質を損なっているわけではないし、サントラを聴き込んで理解してから再度鑑賞したら絶対に素晴らしいシーンになると思う。
あとは、これもマイナス要素ではないのだけど、「あの花」と違うテーマを描いているように見えて、細部ではあの花の展開を彷彿させてしまうところか…。
ミュージカルを成功させるためにバラバラだったクラスがひとつになる。そこでずっと覆い隠していた感情が噴出してきてしまう。
恋愛感情という物差しで計ったら、ここさけのあの子とあの花のあの子は同じような抑圧された感情を抱えて似たような役割を演じている気がする。
それを悪く受け取れば「あの花の焼き増し」と斬って捨てることもできちゃうかもしれない内容なのが、ちょっと気がかりだ。(私は良いと思うけど)
なんとか絞り出してバランスをとった格好だけど、基本的にこの映画は手放しで褒めてもいいと思う。
ただ、過剰な期待をしちゃいけないのは他の映画と同じだ。
なんか、今回の感想は面白いものを素直に面白いと言わないでヘンな感じになってしまった(笑)
そういえば、同じスタッフ、同じ秩父が舞台ということで、あの花の脇役たちがチョイ役で登場する。
ただ、彼女らは高校生なのだが、あの花の初出は2011年でさすがに5年も高校生はやらないと思う(笑)
あの花もここさけも西暦何年が舞台か正確には分からないけど、キャラクターが持ってるスマホの普及率に注目すると明らかに時期が違うことが分かる。(あの花ではほとんどガラケー、ここさけではスマホがメイン)
もちろん遊び心で登場したわけで、真面目に考察しちゃダメなのは分かっている。
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