Wake Up, Girls! 青春の影
(2015年/日本)
【監督】
山本寛
【キャスト】
吉岡茉祐
永野愛理
田中美海
青山吉能
山下七海
奥野香耶
高木美佑
浅沼晋太郎
日高のり子
鈴村健一
島崎信長
大坪由佳
下野紘
宮本充

*感想

仙台を舞台に新人アイドルグループ「Wake Up, Girls!」(WUG)の活躍を描くシリーズの最新作。
続・劇場版と銘打たれた今作「Wake Up, Girls! 青春の影」は、二部構成の前編。
大手レコード会社との契約を決め、東京という新たなステージで奮闘する7人の少女たちが描かれる。

私はこのシリーズのファンで、完全新作となる今回の劇場版をとても楽しみにしていた。
舞台挨拶などには残念ながら参加できなかったけど、初日(金曜)のレイトショーにはなんとか行けて、待ち望んでいた映像を味わうことができた。
あまりの興奮に開始10分ほどで涙が出てきてしまった。1回目はもうとにかく興奮で落ち着かなかった(笑)

その後、1日おいて公開3日目(日曜)の昼に鑑賞、2日おいて水曜の夜(昨夜)に鑑賞と、既に3回も観に行ってしまっており、こんなことは自身初のことなので驚いている。
2週間の限定上映ということもあって、「映画館で観れるうちに悔いのないように観ておこう!」という心理が働いてるんだと思う。
ちなみにシアター限定版Blu-rayは購入済みだがまだ見ていない。やはり映画館で観ることが作品への応援になるんだと思う。

たぶん今週末も観るだろうし終映後はBlu-rayでも見るんだけど、とりあえず今作を観た心境だけでも書き綴っておこうと思う。
今回はWUGを知らない人にも読んで/観てほしいので、ネタバレ避けつつ感想だけという感じで…。


間にスピンオフアニメの配信、キャラソンやベスト盤のリリースはあったものの、WUG本編の映像となると実は2014年3月のTVシリーズ最終話以来、1年半ぶりとなる。
1年半という期間は私にとっては思っていたよりも長かったようで、初日に鑑賞した時は、ただただWUGやその他のキャラクターが動いて喋っていることに感動してしまった。

待った甲斐があったのか、作画もキレイだし、喋るだけのカットで顔もよく動いている。
TVシリーズのオンエア版が悪い意味で話題になってしまうような作画だっただけに、今作の神作画っぷりは本当に凄いしありがとうございますという感じだ。
前編はダンスで魅せる作品ではないのだが、少しだけ描かれるダンスシーンにも大満足。後編への期待が膨らむ。

作画だけでなく、脚本…特に台詞回しが最高に素晴らしい。
7人の少女たちの個性的なトークが次々と繰り出され、ニヤニヤが止まらない。たとえば未夕と夏夜は何かと絡みが多いのだが今作でも息の合った夫婦漫才を見せてくれる。
中の人である声優ユニットWUGもこの2年で大きく成長したようだ。最初の劇場版「七人のアイドル」はその初々しさが魅力だったりしたわけだが、今作はそんな回りくどい楽しみ方は不要だ。

WUGちゃんだけでなく、WUGを取り巻く大人たちの言葉や演技も最高に気持ちいい。
新たに登場した口先が軽いカルロス鴨田のトークは、3回観て3回とも笑えるのが凄い。
考え無しで口だけのチャラい男なのだが絶対憎めない、そういうキャラクターだ(笑)

美人度が増している丹下社長、マネージャーとして成長しつつある松田、WUGを影ながら見守る早坂…、この辺もいちいちみんな良い顔してる。
白木GMのコワーイ演説などは前作から見所の一つであったが、今作ではさらに磨きがかかっていて、正直シビれた。
白木の持論を声高らかに押し付けて来るんだけど何故か気持ちいいくらいだ。


そしてこれは脚本というより絵コンテとか編集の分野なのかもしれないが、展開が物凄く速い。
仙台と東京を毎週行ったり来たりするWUGの忙しさをスクリーンに再現したかのような場面転換の忙しさ。
様々な神台詞や神脚本を息つく暇もなく積み重ねていく怒涛の前編。
状況で語る…とでも言えばいいだろうか、とにかくあっという間に物語が進んでいくのが快感だ。

その状況の連続に「はわわ…」となっていると、最後に反撃の狼煙がポッと上がる。
54分という短い前編はこの反撃への期待で終わるのだが、これが最高に気持ちいい終わり方なのだ。
当然、2時間で1本にまとめてほしかった思いもあるが、私は、前編が「さあここから反撃よ!」という所で敢えて終わることで、この前編がそれ自体で最高の高揚感と共に終わっていることを評価したい。

映画で面白いのは、黒幕を倒して平和を取り戻したエンディングよりも、主人公が中盤で反撃に転じる部分ではないだろうか?
だとすれば、反撃開始の瞬間で終わっているこの作品は別に何も間違っていないのではないか?
「終わらない夢」を作品自体が体現している。そして「夢の続きと結末」は12月の後編までおあずけなので、そのおかげで終わらない夢を永遠にループすることが可能なのだ。なんというネバーエンディング(笑)

そんな理屈もあって、2回3回と鑑賞を重ねられているのだと思う。
2回目以降はいろいろと見えてきてけっこう冷静に楽しんでいる。
Blu-ray特典のサントラCDやドラマCDを聴いて、さらに今作が好きになってきている。

とにかく観て損はないクオリティは充分にある作品なので、少しでも興味が湧いたら(あと1週間ほどの限定上映だが)観てみてほしい。
54分という短さと、リーズナブルな特別料金は、他の映画を観る際にハシゴ鑑賞するのに最適!
映画館に早く着きすぎた、逆に間に合わなかった、他のを観たけどなんか物足りない、という時には是非Wake Up, Girls!をご覧ください!