アンダー・ザ・スキン 種の捕食
(2013年/イギリス)
【監督】
ジョナサン・グレイザー
【キャスト】
スカーレット・ヨハンソン
ポール・ブラニガン

*感想

スカーレット・ヨハンソンがフルヌードに挑んだSFホラー。
妖艶な魅力を備えた女性が男たちを誘惑していく姿が描かれる。



なかなかに退屈な映画かもしれない(笑)
説明がまったく無い映画なのであれやこれや考える時間はたっぷりあるんだけど、それでも時間を持て余す。
そもそも考えるべき要素はそんなに無い。

大きな車(バン?)を運転する運送業風の女性。
彼女に道を聞かれた男は助手席に乗り込み道案内を始める。
やがて妖艶な雰囲気の彼女に対して下心を持ち始めた男は彼女の家に招かれる。
暗い廊下を歩きながら服を脱いでいく男。しかし、彼はそのまま餌食となってしまう。

そんな男が数人登場(笑)

彼女が道で声をかけてから家に入るまで、直接的なことは何も言ってないのにその気になってしまう男たち。
その気にさせてしまう、何か秘密のメッセージを発信している彼女の魅力ということかな。(フェロモン以上の何かがあるんではなかろうか)
このシーンは静かなロード・ムービーといった雰囲気。

冒頭の映像は頭おかしくされそうで、いかにもSFホラーという感じ。
捕食シーンもヘンテコで意味不明なんだけど、単調なパーカッションの劇伴と相まってどこかユーモラス。
映像については、監督の才能を感じる部分もあった。

後半になると、「彼女」の活動に変化が訪れる。
捕食をやめ、車を降り、見知らぬ土地を彷徨い始める。
そこで出会う男性との交流。この辺りはまさにロード・ムービーだが、彼女が人間ではないという所で、不穏な空気が張り詰めている。
そして彼女自身も自分が何者かよく分かっていないようなのだ。

最後には背筋の凍るような不気味な展開になるが、結局事件が解決したわけではなく、何も説明されないまま終わってしまう。
何も分からないという意味では不穏な感じの作品で、その不安を煽ることが作品の目的だったんじゃないかと今は思う。
…それにしても、このスローテンポな眠くなる展開はどういう演出からくるのか(笑)
「2001年 宇宙の旅」の方がまだ起きてられる。

監督はてっきり新鋭の人だと思ってたら、ジョナサン・グレイザーは9年前に「記憶の棘」を撮った人だった。
ニコール・キッドマン主演の「記憶の棘」は眠くなったりしない良作ミステリーなのでオススメです。