少女交響曲
Wake Up, Girls!
DIVE II/AVEX PICTURES, 2015

[CD]
少女交響曲
素顔でKISS ME
少女交響曲(Instrumental)
素顔でKISS ME(Instrumental)
[DVD]
少女交響曲 MV

*感想

声優アイドルグループ「Wake Up, Girls!」(以下WUG)の最新シングル「少女交響曲」(c/w曲「素顔でKISS ME」)。
公開が9月25日に迫る続編劇場版アニメ「Wake Up, Girls! 青春の影」の主題歌でもあり、WUG名義のシングルとしては2014年2月の「7 Girls War」「言の葉 青葉」以来、約1年半ぶりのシングルとなる。
(昨年9月から12月にかけてリリースされた7枚のキャラソン・シングルはソロ的な印象が強い)
(でもまあ今年の春先にベスト盤が出てるからそんなに待たされた感じもしないか…)
(でも待望の新曲であることは間違いない)
まあとにかく、完全新作となる続・劇場版の公開も間近、彼女たちの冠番組「わぐばん!」のテレビ放送など、私の中で再びWUG熱が高まってきた中でのこの新曲「少女交響曲」のリリース。
否が応にも盛り上がらざるをえない。



「少女交響曲」の作編曲はMONACAの田中秀和、作詞は辛矢凡ことヤマカンこと山本寛監督。
続・劇場版でのWUGの新たな出発に相応しい明るく前向きな曲となっており、どこか切なさ入り混じるイントロや、ストリングスを多用したアレンジ、メロに対してのサビの開放感などが、劇場版1作目「七人のアイドル」の主題歌「タチアガレ!」と対になっているような気もする。

山本監督の作詞力も今回磨きがかかっている。
初恋(または初挑戦)に向き合う少女の戸惑いと、勇気を出して挑戦する姿を描いている。
「いっぱい悩んだ日々はけっして無駄じゃないから、笑顔だけは今日もチャージして不安とぶつかる」

さらに「ポリフォニック」「ドミナント」「クリシェ」などの横文字が入っているのも特徴。
これらは音楽用語としても使われることがある単語で、歌詞に意識して組み込まれたことは明白。
単純に歌がかっこよくなるだけでなく、「少女交響曲」が「交響曲」である所以もここにあると思う。

一方でBメロのささやきコーラスやサビ前の合いの手のようなアイドルソングらしい可愛い演出も忘れていない。
「後に退けないけないけない!」のリズムセンス、「バンババンボンババンボン!」のはっちゃけ具合が好きだ。
もっと真面目に作ることもできたはずなのに遊び心も忘れていない。そしてそれが結果として感動をもたらしてくれる。

特典のDVDで見られるMVも毎度のことながら素晴らしい。
コインランドリーで洗濯ドラムを覗き込んで歌うななみんが良いし、「デモーニッシュな〜」のとこのよっぴーの目線もキマっていてグッときた。
ラストにまゆしぃと見つめ合うあいちゃんも良いしな…。
私服とライブ衣装が交互に映ることで、「少女交響曲」の「少女」の部分を演出したんだろうな…。



カップリングの「素顔でKISS ME」は一聴するとWUGらしくない曲。
「少女交響曲」の初恋に揺れる乙女心とはうって変わって、恋人との関係に悩む女子の気持ちを大胆に歌った曲だ。
作曲は田中秀和で、作詞は只野菜摘。

エレクトリックな曲で、EDMとかダブステップとかそっち系のシンセが唸るダンサブルな曲。
WUG曲というよりI-1clubの曲と言われた方がしっくりくる気がする。
これはWUGが続・劇場版で新たな一面を見せることになるということだろう。

2番の歌詞が、アイドルと撮った写真を彼女が見つけ、君の趣味を理解するわと言いつつ彼氏を詰る内容でちょっとドキッとする。
これって、アイドルが我々オタクに向けて放った言葉と受け取るととても面白い。
彼女からしてみたら、彼氏がアイドルに熱を上げるのはやはり気に食わない。それは浮気とは違うと頭では理解していても心の底では納得できない。
そんな内容をアイドル自身に歌わせているという、何とも挑戦的な歌である。(アイドルWUGを推すと、付き合ってるWUGに嫉妬されるというジレンマ)←よくわからないが

七人のソロが順番に聴ける構成で、個人的にはかやたんの「嫉妬しちゃうのもベビーフェイス」直後にみゅーの「嫉妬されるのもベビーフェイス」と続くのがニヤッとしてしまう。みゅーかやである。
あと、みにゃみが、履き慣れないとは言いつつもハイヒールを履いてるらしく(歌の中で)、意外な成長ぶりにおじさんはドキドキしてしまった。(らすとてぃーんさまー購入決定)



そんなわけで、ワグナー以外にはけっこう敷居が高いかもしれないが、一聴の価値はある楽曲になっている。
ワグナーとしては、9月25日の「青春の影」公開まで繰り返し聴き込んでも聴き込んでも聴き込み足りない。
毎日朝夕にこれを服用しないと体調が悪くなってしまうほどである(笑)