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ジュラシック・ワールド
(2015年/アメリカ)

【監督】
コリン・トレボロウ
【キャスト】
クリス・プラット
ブライス・ダラス・ハワード
タイ・シンプキンス
ニック・ロビンソン
イルファン・カーン
ヴィンセント・ドノフリオ
ジェイク・ジョンソン
ローレン・ラプカス
ケイティ・マクグラス
オマール・シー
B・D・ウォン
ジュディ・グリア
アンディ・バックリー

*感想

「ジュラシック・パーク」シリーズ14年ぶりの第4作で、製作総指揮はスティーヴン・スピルバーグ。
アメリカを始めとした各国で6月に公開されると驚異的なヒットを記録し、オープニング興行収入で歴代1位となる新記録を出した。
日本でも8月5日に公開されるとわずか2週間という驚異的なスピードで興行収入50億円を突破し、今年最大のヒットになると目されている。



物語は、映画「ジュラシック・パーク」の22年後の世界。
あの惨劇の起こったイスラ・ヌブラル島は、その後いろいろあって再び恐竜テーマパークとして再建されていた。
しかもハモンド(ジュラシック・パークの創設者)の描いた夢よりも遥かに大きな規模と斬新なアイディアがそこにはあり、世界中から大勢の人々が訪れる世界有数の大観光施設として成功を収めていたのだ。

そんな「ジュラシック・ワールド」を少年2人だけで訪れたザックとグレイの兄弟は、パークの運営責任者である叔母クレアの目を盗んで刺激的なアトラクションを楽しむ。
多忙なクレアはハイブリッド種のインドミナス・レックスの管理について、ヴェロキラプトルの調教師で元海軍のオーウェンにアドバイスを求めるが、クレアとオーウェンが行くとインドミナスは姿を消していた…。

2015-08-22-22-18-17

もうとにかく最高の映画体験だった。
芸能人がキャスティングされた吹替版を避けたために2D字幕での鑑賞だったが、それでも充分過ぎるほどの感動を体験できた。
この夏、いや今年観た映画の中で私が一番興奮したのはこの作品だ。たぶん。

最近では「マッドマックス 怒りのデス・ロード」などもそうなのだが、この作品もドラマとしての「厚み」が凄い。
登場人物がみな生き生きと描写されていて、直接的に語られていないことまでありありと想像できるというか、人間として非常に魅力的なのだ。

ブライス・ダラス・ハワードが演じた運営責任者クレア。
仕事に真面目であるがゆえに恐竜パークを「お金」で評価しがちな感じの女性で、はるばるやってきた甥っ子たちの相手も早々に切り上げて株主たちとの商談に勤しむ。
オーウェンとの仲も最初は険悪(いや、あれは萌えポイントか)なインテリ美女だったが、パークと甥っ子たちの危機に徐々に野性的な魅力を発揮していく。

彼女が発煙筒を振るシーンなどは、そのとんでもない判断力・決断力に驚いたし、その直後に姿を現した「それ」を見て笑いと涙が同時にこみ上げてきた。
私は素晴らしい作品に出会うと、よくぞこれを作ってくれたな、と思わずニヤニヤしてしまう。
今作は、そのニヤニヤが発作となって表に出てきた。笑いで肩を震わせながら涙を流していた。「アハハやってくれたな…!最高かよ…!」と。

終盤のそのシーンだけではなくて、全体的に凄く良く出来ているんだと思う。
魅力的なキャラクターたちの小気味好いやりとり、それがだんだん積み重なっていって中盤からクライマックスにかけてどんどん感情が込み上げてくるのだ。
ザックとグレイ兄弟のやりとり、クレアの変化、オーウェンのラプトルへの思い、ハモンドと同じく夢を追いかけそのために犠牲を厭わないマスラニCFO、ある計画を企んでいる警備責任者ホスキンス、オペレーターの男女の性格まで手に取るように分かり、すんなりと腑に落ちていく充足感。

ストーリーを取り上げればただ恐竜が出てきて人間が襲われて…というそれだけの映画だ。
リアルに表現された恐竜たちの迫力、インドミナス・レックスの凶悪さが素晴らしいということも当然よく言われることだろう。(最後のあのバトルも…)
ただ、それだけではここまで感動はしなかったと思う。確かな演出力があって登場人物が魅力的に描かれることによって映画は厚みを増し、シンプルなストーリーに興奮できるのだ。

2015-08-22-22-19-38
 
まあ、とにかくいろいろ語るよりも観た方が早い。
この夏最高のアトラクション映画だと思う。
できれば4DXでこの映画を体感したかったが、吹替しかないのが本当に悔やまれる。
いや、その吹替がきちんとした声優によるものであれば観に行くのだ。ヘンに芸能人にやらせたりするから作品の質を落とすことになる。(私は吹替での予告編しか観てないがそれで充分だ)
地上波で放送される時も芸能人吹替なのだろうし、これは本当に看過できない問題だと思う。